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失敗しない海水魚水槽のメンテナンス方法!コケ掃除、水換え方法を解説

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海水魚水槽はメンテナンスに手間がかかって難しい、と考えるアクアリストは多いです。

海水魚は全般的に水質の変化や病気に弱い傾向があり、掃除や水換えをした際のちょっとした変化で体調を崩してしまいます。また、飼育水にしても人工海水を作ったり濃度を確認したりと、単純に水を注げばよいというものではないため、この作業が手間と感じるのでしょう。

しかし、海水魚水槽のメンテナンスも基本的な考え方は淡水と変わりません。ちょっとしたコツを意識することで、美しいマリンアクアリウムを維持することができます。

そこで今回は、筆者が約20年間マリンアクアリウムを管理してきた経験に基づいて、海水魚水槽の基本的なメンテナンス方法を解説します。

※このコラムはアクアリウム情報サイト・トロピカの記事に、最新の情報を加えて再構成したものです。

プロアクアリストたちの意見をもとに失敗しない海水魚水槽のメンテナンス方法を解説


このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

病気や水質の変化に弱い海水魚水槽では、メンテナンスを行ったことで環境が変化して生体が体調を崩すきっかけになってしまうことがあります。
しかし、掃除をしないと汚れが溜まって病気の発生につながりますので、変化を起こさないメンテナンスの仕方を身に着けましょう。

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、失敗しない海水魚水槽のメンテナンス方法を解説します。

海水魚水槽の基本的なメンテナンス内容


海水魚水槽で定期的に必要となるメンテナンスは以下の2つです。

  • 汚れやコケの除去
  • 水換え

メンテナンスの内容自体は淡水水槽と変わりありませんが、やり方やコツに違いがあります。

ここからは、海水魚水槽のメンテナンスの内容についてポイントを抑えながら解説していきますので、参考にしてみてください。

汚れやコケの除去

レック 激落ち ダブルポイポイ ( メラミンスポンジ )

水槽壁面に付着した汚れやコケメラミンスポンジを使って取り除きます。

底砂を敷いているときは、底砂に触れて巻き上げてしまわないよう注意してください。
底砂と水槽の隙間に生えたコケは下手に触ると病気の蔓延につながるため、そのままにしておく方が良いです。

ライブロックに付着したコケは、取り出してブラシなどでこすり洗いします。
ただ、やり過ぎるとライブロックに付着したバクテリアが流れてしまうため、一度にやらず、日を分けて少しずつ落としていくようにしましょう。

それでもバクテリアの減少が気になるという時は、ライブロックを掃除した後にバクテリア剤を添加してください。

底砂の扱いに注意

【海水魚・観賞魚・ハゼ】 ミズタマハゼ ■サイズ:4cm± (1匹)

海水魚水槽の掃除をする際に注意しなければならないのが、底砂の扱いについてです。
アクアリストでも意見が分かれるところではありますが、基本的に海水魚を飼育している環境では底砂は掃除しないほうが良いでしょう。

海水魚水槽で使うパウダー状の底砂は病気の原因となる菌や汚れが蓄積しやすく、下手に触ると中に溜まった菌が砂と一緒に水中に舞い上がって、白点病などの発生につながりかねません。
砂を掃除をしないでいた場合と、掃除をして舞い上がらせてしまった場合を比較すると、残念ながら掃除をした場合の方が病気が発生するリスクが高いと考えられるのです。

そのため、他の部分を掃除しているときも、底砂に触れて巻き上げてしまわないように注意してください。

底砂に付いたコケや汚れが気になる場合は、砂を食べてきれいにしてくれるベントス食性を持つハゼ類を飼育するのがおすすめです。
食べながら適度に砂をかき混ぜてくれるので、菌の蓄積防止にもなります。

コケ取り生体を活用しよう

(海水魚)貝 シッタカ貝(バテイラ) Sサイズ コケの掃除(2匹)

淡水水槽に比べてガシガシ掃除がしにくい海水魚水槽では、コケ取り生体を上手に活用するのがきれいに保つ秘訣です。

生体によって食べてくれるコケの種類や場所が異なりますが、一例をあげると

水槽壁面のコケ:シッタカガイ
ライブロックのコケ:ハナビラタカラガイ、ヤドカリ、ヤエヤマギンポ
底砂のコケ:マガキガイ、ベントス食性を持つハゼ類

などが、優秀なコケ取り生体として知られています。
先住の生き物との相性を確認したうえで、汚れを落としたい場所を掃除してくれる生き物を導入してみましょう。

水換え

海水魚水槽の水換えも基本的なやり方は淡水と同じです。1~2週間に一度水槽の1/3の量を換水します

新しく入れる人工海水は比重に注意してください。人工海水の作り方については後述します。

また、海水魚は水温の変化にも敏感なので、新しい水は水槽の飼育水と水温を合わせてから注ぐようにしましょう。

定期的な水換えは上記で問題ありませんが、これと合わせて筆者がおすすめしているのが、2ヶ月に一回程度の頻度で水槽水量の50~80パーセント交換する方法です。
長く水槽を管理していると、定期的に水換えをしていても徐々に水質が悪くなってしまうことがあります。
一度悪い方に傾いてしまうと一定量の換水では元の水質に戻すのが難しいので、このようなときは思い切って大量換水に踏み切るのがおすすめです。

頻度は飼育生体などによって異なりますが、水質の異変を感じたら一度、換水量を増やして元の水質に戻すことを検討してみてください。

RO水でなく水道水で問題無し!

マリンアクアリウムでは、RO浄水器で不純物を取り除いた純水を飼育水に使う場合がありますが、通常の海水魚飼育であればRO浄水器は特に必要ありません

もちろん純水に必要な添加剤を入れた飼育水は生体に良いものですが、日本の水道水はそのまま飲み水にできるぐらい安全なので、RO水使わずとも海水魚やサンゴを飼育することができるのです。

SPSサンゴなど水質にかなり気を使わなければならない生き物を飼育する場合や、どうしてもコケを抑制したい場合など、なにか特別な理由がある場合はRO水が必要ですが、そうでなければ、無理に用意する必要はないでしょう。

人工海水を作るコツ


淡水水槽と海水水槽の大きな違いが、飼育水に海水(人工海水)を使う点です。

海水魚を健康に育てるためには、人工海水を正しい比重、水温で作ることが重要なのですが、この作業が面倒に感じて、マリンアクアリウムに手を出せないという方も多いのではないでしょうか。
確かに、飼育水を用意するのにひと手間かかりますが、人工海水の素を正しく計量して作ればよいだけなので、慣れてしまえば誰でもできる作業です。

ここでは、人工海水を作るコツをご紹介します。

人工海水の作り方

人工海水は以下の手順で作ることができます

  1. バケツに水道水を用意する
  2. カルキを抜く(人工海水の素にカルキ抜き成分が含まれている場合は、必要ありません)
  3. 水温を調整する
  4. 人工海水の素を入れて良く混ぜる
  5. 比重を計測する
※分量や作業方法が製品によって異なる場合がありますので、人工海水の素の説明書きに従ってください。

人工海水を作るうえで一番ネックとなるのが比重の調整でしょう。

基本的にはメーカーが推奨する分量通りに作れば問題ありませんが、水温によっては比重が少し高くなってしまうことがあります。
そのため、慣れないうちは人工海水の素を少しずつ溶かして比重を確認しながら合わせていくと、調整しやすいです。

人工海水の素の選び方

人工海水の素は様々なメーカーのものが販売されており、それぞれ成分や特徴に微妙な違いがあります。

どの製品を使ったらよいか迷ったときは、

  • 飼育している生き物に合っている
  • 融解速度が速い

の2点を基準に選んでみましょう。

まず、飼育している生き物に合わせた水質になるかどうかです。
最近はサンゴの育成に必要なカルシウムなどのミネラル成分が多く含まれたものや、pHを調整しやすいものなど、特定の生き物の飼育に重点を置いた人工海水の素が販売されており、使用すると生き物の調子を整えやすくなります。

次に融解速度、つまり人工海水の素が水に溶ける速さです。実は製品によって溶けやすさには結構な違いがあり、長いと完全に溶け切るまで10分近くかかるものも。
早く溶ける製品ならば手早く水換えを終わらせることができますので、迷ったら溶ける速さも意識してみましょう。

迷ったらナプコ インスタントオーシャン

ナプコ インスタントオーシャン プレミアム 120L用 4kg

初めて人工海水を扱うという方や、どれが良いか決めかねているときは『ナプコ インスタントオーシャン』がおすすめです。

カルキ抜き成分が含まれていないため、別途カルキ抜き剤を添加する必要はありますが、水に溶ける速度が速く、時間を掛けずに水換えを終わらせることができます。

また、インスタントオーシャンは世界規模でシェア率が高く、マリンアクアリウム界の定番として長い間支持されている商品です。
定番というのはそれだけ信頼されている証。大量生産でも成分が安定しており、どんな生き物でも飼育できる安心感は他にはない魅力です。

比重について

テトラ (Tetra) テトラ ハイドロメーター 比重計 人工海水


海水魚水槽の比重は1.022~1.026の間で調整しましょう

白点病を予防するために比重を低くすると良いと言われることがありますが、エビやカエルウオ、貝類などは低比重だと調子が崩れる場合がありますので、あまり得策とは言えません。

逆に、高比重だと魚が痩せやすくなりますので、やはり比重は1.022~1.026が安定しやすいです。

海水魚水槽の適正水温


最後に水温管理についてお話します。

海水魚水槽では水温を一定に管理することもとても重要で、一般的な海水魚飼育では、22度~26度が最適です。

水温管理で注意したいのが、1日の間に+1~-1℃以上の変化が複数回起こること。
水温が繰り返し変化する環境では白点病の発生率が高まってしまいますので、変化を起こさない対策をしましょう。

また、海水魚水槽では水槽用ヒーターだけでなく、水槽用クーラーも使って水温を管理することをおすすめします。

海水魚は高水温に弱い傾向があり、ハナダイや深い場所にいる海水魚、サンゴやイソギンチャクなどは水温が28℃以上になると調子を崩してしまいます
暑い季節では管理していても簡単に超えてしまう可能性がある水温ですので、安定して飼育を続けていくには水槽用クーラーを設置しましょう。

なお、エアコンを使って室温を調整して水温を管理する方法もありますが、この場合は24時間エアコンを稼働させて、水温が変化しないよう注意してください。

まとめ:失敗しない海水魚水槽のメンテナンス方法!コケ掃除、水換え方法を解説


今回は、海水魚水槽のメンテナンス方法について解説しました。

海水魚水槽は手間がかかると思われがちですが、コツさえつかめば誰でも美しいマリンアクアリウムを楽しむことができます

掃除をするときは、砂を巻き上げないよう注意するのがポイントです。コケ取り生体を上手に取り入れると管理がしやすくなります。

水換えの時は、水温合わせをしっかりすること、人工海水は比重をしっかり計測することの2点を意識しましょう。

水槽管理の基本のように感じる内容かもしれませんが、ベテランほど初心を忘れず基本に忠実です。
もし、水槽が調子を崩していると感じたときは、ぜひ基本に立ち返ってポイントを確認してみてください。

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執筆者 木下 裕人

熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
アクアリウム専門のYouTubeチャンネル『アクアリウム大学』も配信中!よろしくお願いいたします!

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