熱帯魚・金魚の水槽・アクアリウム情報メディアサイト「トロピカ」

フォローする

水草水槽用照明は蛍光灯がおすすめ!?LEDやメタハラと比較してみた

ここ数年、熱帯魚用の照明としてLEDがかなり普及してきました。

しかし、水草水槽には「LEDよりも蛍光灯やメタハラ(メタルハライドランプ)が良い」という声もまだまだ根強く聞かれます。

今回の記事では、自分の水槽に最適な照明を見つけることをテーマとして、蛍光灯とLEDとメタハラを比較していきたいと思います。

はじめに・水草水槽におすすめの光の色とは?

水草水槽におすすめの光の色と聞いて、あなたはどのような色をイメージしますか?

おそらく、初夏の太陽のような「明るい白色の光」をイメージした方も多いと思います。でも実は、水草水槽におすすめの光は白色ではないのです。どちらかと言うと、若干暗めに見える青色(光の波長が0.40~0.50μm)や赤色(光の波長が0.60~0.70μm)の光が、植物の光合成には向いています

しかし、水草水槽は美しく観賞できてこそ、存在する価値があります。そのため水草水槽で使われる照明には、青色や赤色の光に「白色の光を追加する」ことで、人間の目にも自然な色で見えるように工夫されている商品がほとんどです。

水草育成用の蛍光灯

交換球 テクニカ レフクリアーランプ 20W型18W 2本セット 水槽用照明 ライト 熱帯魚 水草

最近はLED照明に押されていますが……数年前までは、観賞魚用の照明と言えば蛍光灯でした。そんな水草水槽では、水草専用の蛍光管を購入して使用するのが一般的。2灯式の蛍光灯を2台使ったり、4灯式の蛍光灯を使用したりして、光量アップを図っていました。

〇メリット
比較的低価格で購入することができる。最近はLEDに押されてさらに安価に……。
・水草用、海水用、観賞用など、用途に合わせて蛍光管を交換することができる。
・光が拡散するので、目に入ってもあまり痛くない
・水草育成用の製品を使用すれば、水草の育成に必要な光を得られる。

〇デメリット
・蛍光管を数か月置きに交換する必要がある。
・本体が若干、発熱する。
・本体が大きく重さもそれなりに有るため、水槽の上に増設できる数に限界がある。

水草育成用のLED

アクロ TRIANGLE LED GROW 600 3000lm Aqullo Series 60cm水槽用照明 ライト 熱帯魚 水草

最近かなり普及している水草用のLED。特徴としては、白色だけでなく、青色や赤色の光を放つLEDが採用されていることです。ちなみに、私が使用している「某メーカー製の90センチ水槽向けのLED(最初の画像の照明)」は、白色LEDが60灯に対して、青色と赤色LEDが各16灯という比率でした。

〇メリット
・照明本体の厚みが薄い
(→見た目がスマートなため、フレームレス水槽に似合う)
・照明本体の重さが軽い
・本体がスリムなため、蛍光灯よりも増設しやすい
・光の明るさが同じなら、他の照明よりも電気代が安い。環境にも優しい。
・発光部分の寿命が長い。理論値では数万時間は明るさを維持できる

〇デメリット
・光が直線的過ぎて、飼育している生き物の目を傷めてしまう――かも?
・光が直線的過ぎて、水槽の写真を撮影する時に「白とび(色が白く抜ける)」してしまう。
・発光部分が壊れても、一部だけの交換ができない。丸ごと買い替えるしかない。
太陽光に近い波長の光を得られない製品もある

水草育成用のメタハラ

カミハタ ファンネル2 10000k 150W シルバー

本気モードの水草水槽では、まだまだメタルハライドランプの人気は健在です。赤系水草の赤味を引き出したり、水深45センチ以上ある水槽の水底にある前景用水草を元気に維持したりするには、メタハラの力が欠かせません。

しかし、「誰でも使えるか?」「気軽に導入できるか?」ということを考えると……正直、疑問符がついてしまう玄人好みの照明器具です。

〇メリット
太陽光に近い波長の光を得られる。
強い光を得ることができる。
・水深のある水槽でも、水草を育てやすい。
・赤系の水草を含めて、水草育成に効果が高い。

〇デメリット
本体が高価。LEDの3~5倍以上の価格がする。
・ライト(電球部分)を1年ごとに交換する必要がある。
・消費電力が大きいので、ランニングコスト(電気代)が高い
・本体が、かなり発熱する。
・水槽のガラスの上に直接置けない。専用のスタンドなどで吊り下げる必要がある。
・光が強すぎて、発光部分を直視すると目を傷めることがある。

植物育成用のLED

余談ですが、植物育成専用のLED(野菜工場などで使用するLED)を水槽に流用したことがあるので、簡単に紹介したいと思います。

Amazonで購入できる『某・太陽光に近い波長が売りのLED』だったのですが、結論から先に言うと、育成効果はかなり良かったです。赤系の水草は真っ赤に染まりますし、有茎種はトリミングが大変なくらい育ちました。

〇メリット
業務用の技術を転用しているため、植物の光合成に特化している。
部分的な増設が可能。ピンポイントで水草を赤くできる。

〇デメリット
・水槽への使用は自己責任。防水性能が不明
・植物が育ちすぎてトリミングが大変
・クリップ式は、吊り下げるスタンドを購入するか自作する必要がある。
・類似した安価な製品は効果が不明。購入前に、レビューや関連情報の確認は必須。
・照射範囲の調整が難しいので、スポットライト的な扱いになる製品もある。

おわりに・水草水槽には蛍光灯がおすすめ?

ここまで、蛍光灯とLEDとメタハラの特徴とメリット&デメリットを見てきました。改めて振り返ると、初期投資やランニングコスト、発熱や水草の育成具合、見た目のスマートさなどから、総合的にLEDが普及してきたのも理解できる気がします。私自身も、メインの90センチ水槽には、赤色や青色のLEDを使用した製品を現在使用しています。

しかし、蛍光灯からLEDに切り替えた時には、ロタラの仲間の葉が細くなったり、赤い水草の色が飛んだりしてしまいました。

ここで結論をまとめます。

年々、水草用のLEDは性能が上がって来ている印象を受けますが、気難しい水草を育成される方や、水草水槽のコンテストに出品を考えている方は、まだまだメタハラや蛍光灯をメインの照明に使用する選択肢は「断然アリ」です。

メタハラは本体もランニングコストも高いので、自分の情熱やお財布事情に合わせて、蛍光灯を上手に運用するのが賢い方法だと思います。あるいは、LEDをメインの照明にして「植物育成用の蛍光灯」や「植物育成用LED」を補助的な照明として組み合わせる選択肢も効果的です。ぜひ試してみて下さい。

最後に、ちょっとした余談です。カエルやイモリ、爬虫類などの「テラリウムやアクアテラリウムで飼育する生体」には、蛍光灯の使用をおすすめしたいと私は思っています。

なぜなら、光を減衰させる水(フィルター的な役割のモノ)が無い状態で、直線的な光のLEDやメタハラを使用すると、生体の目を傷めてしまいそうな気がして、精神衛生上あまり良くないからです。

しかし、LEDのランニングコストの安さは魅力的です。メーカーさん、テラリウム用のLEDライト(生体の目を保護するために、光を拡散する白いカバーを付けた製品)を作ってくれませんか? 私は買いますよ!

(↓こちらの過去記事も、見てみて下さいね♪)