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年末は水槽の大掃除を♪ 大晦日までには水槽をきれいにしよう!

大掃除は今年の汚れを来年に持ち込まず、清々しい気持ちで新年を迎えるために行われる年末の恒例行事で、家庭はもちろん職場などでも行っている方も多いと思います。

そんな大掃除をアクアリウムにおいても実践し、飼育している生体とともに新しい年を迎えようと考えているアクアリストの方もいるのではないでしょうか。しかし、アクアリウムの掃除をただ奇麗にすることだけを考えて行ってしまっては危険です。

なぜなら、バクテリア(硝化菌)が極端に減少してしまっては、生体に適した水質の維持が難しくなるからです。

ここでは、年末を期にアクアリウムの大掛かりな掃除をしたいとお考えの方や、逆にあまりアクアリウムの掃除に時間をかけたくない方のために、それぞれのケースについて効果的な大掃除の方法をご紹介します。

年末に行いたい水槽大掃除を動画で解説!

この記事の内容は動画でもご覧いただけます。

新年に向けて水槽もスッキリさせたい!という方にぴったりの掃除法を音声付きで解説します。

年末の水槽大掃除!“汚れゼロ”で新年を迎えるための3つメンテ方法!

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水槽の大掃除はバクテリア(硝化菌)に注意!

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アクアリウムにおいて、水を奇麗にしてくれるバクテリア(硝化菌)の存在は欠かせません。なぜなら、生体の排せつ物や餌などから発生した有害物質である「アンモニア」は、硝化菌の働きにより「亜硝酸」を経て、最終的に毒性が低い「硝酸」に変換されるからです。

水槽立ち上げ直後に水質が安定しない主因として、硝化菌の不足が第一に考えられるほど、アクアリウムにおいて寄与が大きい存在と言えます。

さて、水槽とその周辺機器の掃除は、アクアリウムにおいて欠かせないメンテナンス作業の1つではありますが、いずれにしても硝化菌の減少を招いてしまいます。

硝化菌は主にフィルター内のろ材や底砂に定着しています。よって、フィルター内のろ材を洗浄すれば、硝化菌を物理的に洗い流して減少させてしまいますし、交換は言うまでもありません。

底砂についても同様で、日常的な水換え時でさえも水質の差から硝化菌は多少のダメージを受けています。しかしながら、水槽や特にフィルターなどの周辺機器の掃除を全くしないと、有害物質の蓄積により飼育環境が崩壊して生体の飼育どころではなくなってしまいます。

よって、アクアリウムのメンテナンスは、日常的なものはもちろん大掛かりなものであっても、バクテリア(硝化菌)が急激に減少しないバランスを見極めることが重要です。

局所的に大掃除する方法

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まずは、それほど汚れていないか、アクアリウムのメンテナンスにあまり時間が割けない方向けの方法です。その方法は、日常のメンテナンスで触れられていない場所だけを局所的に大掃除することです。

特に、底砂の掃除は欠かせません。なぜなら、底砂の間には生体の排せつ物や食べ残した餌などが入り込むので、フィルターの次に汚れやすい場所だからです

底砂を放置しておくと、吸着した有機物が飼育水の富栄養化を招いて「飼育水の黄ばみ」の原因になったり、硝酸塩が蓄積して「pHの低下」を誘発します。

底砂を洗う時は、水槽から取り出してバクテリアの減少を抑えるために飼育水で洗浄します。そこまでする必要性を感じないのであれば、「底砂クリーナー」を用いて汚れを徹底的に取り除きましょう。

レイアウト用の岩石や流木は必要に応じて取り除き、水草の根元などもしっかりゴミを吸い出してください。水草を抜いてしまっても良いですが、再び水槽のレイアウトとして利用するのであれば、根にダメージを与えないように底砂を掘ったうえで優しく引き抜いてください。

底砂の掃除を徹底するだけで、飼育水の透明度は大きく上がるので、水槽の掃除に時間をかけたくない方も、ぜひお試しください。

全体的に大掃除する方法

目立つ汚れがあったり、年末を期にアクアリウムのメンテナンスを徹底的に行いたい場合は、水槽ならびに周辺機器を全体的に掃除しましょう。

水槽内壁の汚れを落とし、レイアウト用の岩石や流木も取り出して掃除します。岩石や流木は水道水でよく洗い、天日干しを行って完全に乾燥させておくと、コケなどの発生を遅らせることが可能です。

アクアリウムの大掃除で最も時間を要するのが底砂の掃除です。底砂の掃除を徹底的に行う時は、水槽から取り出してバクテリアの減少を防ぐために飼育水で洗ってください。

底砂には多数のバクテリアが定着しており、レイアウト用品と同様にしてしまうとバクテリアが死滅し、大掃除後の水質に悪影響を与える恐れがあるので注意してください。

また、水草を植え直す場合は、掃除中の水温管理に気を付ける必要があります。底砂を掃除する際は、水草を引き抜いて別の水槽などの容器に退避させると思いますが、日本の年末時は気温が低いので、そのままにしておくと水温が低下して水草がダメージを受けてしまいます。

最悪の場合、植え直しても水草が枯れて(溶けて)しまうので、退避先の容器にもヒーターを設置したり、暖房が効いた部屋に置いておくなどの措置を取ってください。

大掃除後の管理を容易にするコツとしては、飼育水を極力捨てずに取っておく(あまり吸いださない)ことが挙げられます。バクテリアは飼育水中にも存在しているので、掃除前の飼育水をなるべく保存しておいて掃除後に水槽に戻せば、バクテリアの減少量を緩和することが可能だからです。

そのため、掃除前にレイアウトを取り除く時などは、汚れが飼育水中に舞い上がることを避けるために、なるべく静かに動かしましょう。

水槽をリセットして大掃除する方法

水槽のリセットは、今までの飼育環境を完全に無に帰す作業です。水槽をリセットしてしまうと、また1から飼育環境を構築することになるので、通常時はもちろんのこと大掃除であっても可能ならばすべきではありません。

水槽をリセットする動機として妥当なものの例を以下に挙げます。

  • コケが異常発生してしまい手が付けられない
  • スネールやプラナリア、水ゲジ(ミズムシ)、水ミミズなどの生物が大量発生した
  • 水槽内で病気が発生した

アクアリウムがこれらの状況に陥ってしまった時の対処法としては、水槽のリセットは極めて有効な方法です。なぜなら、リセットをすることでコケや有害(不快)生物、病原体などを一掃できるからです。

しかし、また1から水槽の立ち上げを行わなければならず、底砂やろ材などは新しく購入する必要があるため、手間と時間・コストがかかる点に注意してください。

リセットをする場合は、水槽や周辺機器、レイアウト用の岩石・流木など、アクアリウムを構成するもの全てを水道水や熱湯などで洗浄・消毒したうえで、天日干しを行って完全に乾燥させます。

こうすることで、水槽内に発生すると不都合なもの自体と、その卵や胞子に至るまでをも駆除することが可能です。

また、リセットの場合はフィルターの内部エアレーションのチューブなども、洗浄や交換をして殺菌・消毒を行わなければなりません。さもないと、古い飼育水中に残存していたコケや有害(不快)生物の胞子や卵などが新しい環境でも拡散してしまい、再発する危険があります。

特に、底砂やろ材には紛れ込みやすいので、リセットする場合は新しいものに交換してください。

水槽のリセット方法と注意点

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ここでは水槽のリセット方法と注意点について簡単にご紹介します。

リセット方法

  1. 飼育している生体を隔離する
  2. 周辺機器を取り外し、レイアウト用品を取り出す
  3. 水を抜いて底砂を除去
  4. 水槽を全体的に洗浄して、1~2時間は天日干しを行い完全に乾燥させる
  5. 水槽乾燥後、消毒用エタノールでさらに殺菌・消毒
  6. 周辺機器やチューブ類も水槽と同様に殺菌・消毒する
  7. 水槽の立ち上げ

補足・注意点

病気や有害(不快)生物が原因で水槽をリセットする場合は、水槽はもちろんですが再利用したい周辺機器類についても殺菌・消毒する必要があります。殺菌・消毒の際はエタノール以外にも熱湯でも可能です。

しかし、沸騰するほど高熱のお湯では、水槽のシリコンなどが傷んでしまうことがあるので、60℃くらいのお湯を使用してください。

また、チューブの中やフィルターの入り組んでいる場所などは、エタノールや天日干しでの殺菌・消毒ならびに乾燥が難しいので、10%以上の食塩水に30分以上、または漂白剤に10分以上浸けることで対処すると良いでしょう。

食塩や漂白剤が残存していると生体に悪影響を与えるので、しっかりと水道水で洗い流したうえで、水道水に数分間浸け置きして完全に除去してください。漂白剤を使用した場合は、再利用する際にカルキ抜き剤を多めに入れておくことも有効です。

フィルターの掃除、寒いときは後日が正解

水槽の大掃除で底砂を清掃あるいは交換した時は、フィルターの掃除を同日中に行うことは避けてください。なぜなら、底砂の掃除でバクテリアが減少している時にフィルターの掃除を行うと、さらなるバクテリアの減少を招いてしまうからです。

その結果、水質が不安定になり、茶ゴケの発生などの弊害が生じる可能性が高くなってしまいます。底砂あるいはフィルターの掃除を行った時は、もう片方の掃除は水質の経過を観察しつつ、1~2週間後に回してください。

特に、日本産淡水魚などをヒーターを用いずに管理している水槽は危険です。冬季は気温の低下とともに水温も低下しており、バクテリアの活動も鈍化しています。つまり、バクテリアの繁殖に気温が高い時期以上の時間がかかることを意味し、水質の安定化までより長い時間を要するのです。

そもそも、気温とともに水温が低下する冬は、飼育している生体の活動も鈍化し、餌をあまり必要としなくなります。餌を食べないということは、排せつもしないということなので水はあまり汚れません

生体によっては冬眠していることもあるので、水槽の大掃除はあえて年末に行う必要はなく、日常のメンテナンスのレベルに留めるべきです。ヒーターを用いずに管理している水槽の大掃除は、暖かくなって生体が活動を始める春先に行ってください。

まとめ・年末の水槽大掃除の方法について

アクアリウムの大掃除は、水槽の汚れ具合とメンテナンスに掛けられる時間を考慮して、そのレベルを決めると良いでしょう。あまり汚れていない時やメンテナンスに時間をかけられない場合でも、底砂の掃除を重点的に行うだけで、かなりの効果を得られます。

汚れがひどい場合や年末を期に徹底して掃除を行いたい時は、バクテリアの保全に気を付けてください。特に、底砂とフィルター内のろ材を掃除するとバクテリアが減少し、水質の不安定化を招くので、両者の掃除を並行することは避けてください。

リセットは有害生物や病原体などを一掃するのに効果覿面ですが、また1から飼育環境を構築しなければならないので、最も手間がかかる方法です。新年を迎えるタイミングでアクアリウムも一新したいのであれば止めませんが、生体に対しても負担が大きいので基本的には避けるべきでしょう。

バクテリアを意識した大掃除を実践し、奇麗なアクアリウムで飼育している生体と気持ちよく新年を迎えてください。