熱帯魚や海水魚、ウーパールーパーなどの水棲生物を飼育すると決めたなら、まずは水槽選びです。アクアリウム初心者の場合、水槽の大きさやデザインは見ればわかりますが、使用している材質の違いは判らない人がほとんどで、あまり気にしていない人もいます。
実は水槽に使われている材質によって、耐久性などに違いがあるんです。今回は水槽の材質から種類とその特徴をご紹介していきますので、購入のときの参考にしてください。
目次
水槽は大きく分けて2つの種類がある
水槽の種類は使用している素材でわけることができ、ガラスとアクリルの2種類があります。
ガラス水槽とアクリル水槽を比べると、材質の違い以外に耐久性などの特徴が異なるので、水槽を購入する際にはそれぞれの材質の特徴や性質をしっかり把握しておく必要があるんです。
それぞれの素材にどのような性質や特徴があるのか見てみましょう。またガラス水槽、アクリル水槽のメリット、デメリットについてはこちらの記事も参考にしてください。
ガラス水槽の性質や特徴とは?
ガラス水槽は透明度が高く長期間使用していても経年劣化で濁りにくいです。そして底砂に使用する砂利やライブロックなどによる表面に傷がつきにくいという特徴があります。
しかしガラスという素材は重く、衝撃を受けて割れてしまうとこなごなに砕けて周囲に飛び散るというようなことがありますが、高温状態や水圧によって変形しにくいという特徴もあるんです。
ガラス水槽についてはこちらの記事も参考にしてください。
アクリル水槽の性質や特徴とは?
アクリル水槽はアクリルを使用している水槽で、ガラス水槽と比べると軽くて割れにくいという特徴があります。
長期間使用しているとだんだん板が曇ってくる、ガラス水槽と比べると表面に傷がつきやすい、衝撃に強くて割れにくいという特徴もあります。
水圧によって形がゆがんでしまうため、水槽の上部にフランジという補強材を付ける必要があり、ゆがまないように、さらにフランジの中央にはセンターフランジという板状の補強材があります。
フランジ・センターフランジは幅や板の厚さが水槽ごとに異なり、アクリル水槽を購入するときにはこのフランジ部分の開口部サイズを把握しておく必要があります。開口部のサイズを知らないで、レイアウト用に購入した岩が入らない、なんてことにもなりかねないので購入時にチェックしておきましょう。
アクリル水槽についてはこちらの記事も参考にしてください。
大きな水槽になるほど重さの違いが大きくなる
小さなサイズのものだと、ガラス水槽でもアクリル水槽でもあまり重さが変わらないと感じることが多いですが、サイズの大きな水槽になるにつれ、重さの違いがはっきりと判るようになります。
水槽の重さに関しては、こちらのページにある自動換算システムを使って計算してみてください。
ガラス水槽とアクリル水槽の値段の違い
基本的に同じサイズのガラス水槽とアクリル水槽の値段を比較すると、60センチ以下のコンパクトサイズのものだと、ガラス水槽のほうが値段が安く、60センチ以上のものになるとアクリル水槽のほうが安くなる傾向にあります。
しかしサイズの小さな水槽でも、ADAのような材質にこだわった高級ブランドメーカーものになると小さなサイズのガラス水槽でもアクリル水槽よりも高くなることが多いです。
ガラス水槽とアクリル水槽の耐久性は?
水槽は長期的に使うものなので、耐久性も気になるところでしょう。
ここではガラス水槽とアクリル水槽それぞれの耐久性について見ていきます。
ガラス水槽の耐久性
ガラス水槽の耐久性は一般的な目安として
- 淡水魚:約4~6年
- 海水魚:約3~5年
と言われています。しかし水槽を設定している場所や水槽の使い方などで差が出る場合があります。ガラス水槽は長期間使用しているとガラスを接続しているシリコンがはがれてしまい、水漏れが起こってしまいます。
長期間使用して劣化が進んでくると、シリコンがギザギザになって、はがれたものが浮く、汚れがついて茶色っぽくなってくるので、こうなったら買い替え時といえます。
海水魚飼育のほうが目安年数が早いのは、海水によって淡水よりもシリコン部分の腐食が早まるからです。ガラス水槽を使う時は、コケとりや掃除のときにシリコンを傷つけないようにすれば、寿命を延ばすこともできるでしょう。
アクリル水槽の耐久性
アクリル水槽もガラス水槽のようにつなぎ目が弱いため、劣化はつなぎ目から始まることが多いです。
一般的には
- 淡水魚:約5~7年
- 海水魚:約5~7年
と、淡水・海水で買い替え目安年数はほぼ同じです。アクリル水槽で使用している接着剤はガラス水槽で使用しているシリコンのように、海水の影響を受けにくいため年数が変わらないと言えます。
またアクリル水槽は、アクリル板の接着方法でも寿命が変わり、強力な接着方法の「重合接着」の場合だと、淡水・海水ともに約10年はもつようです。
アクリル水槽は劣化がはじまるとつなぎ目部分に気泡が入ってきて、気泡が大きくなるとアクリル板のつなぎ目に隙間ができてしまい水が漏れてしまいます。
接続部分の劣化による水漏れの場合は一気にアクリル板がはがれるのではなく、ゆっくりとポタポタといった感じで外に水が漏れるのです。
ガラス水槽とアクリル水槽の安全面
ガラス水槽とアクリル水槽の安全面は、水槽を設置する場所によっても変わってきます。
それぞれの性質上、屋内・屋外のどのような場所に置くかといった違いで、安全性も異なってきます。
屋内に水槽を設置する場合
ガラス水槽は地震などで台から落下したり、衝撃を受けるとひび割れ、粉々に砕けて周囲に飛び散りますが、アクリル水槽はひび割れても飛び散ることがありません。
小さなお子さんや犬・猫といったペットを室内で飼っているご家庭では、何かの拍子で水槽が落下したときのことを考えると、破片が飛び散らないアクリル水槽のほうが安全でしょう。
屋外に水槽を設置する場合
屋外に水槽を設置する場合でも、ガラスは高差のある場所から落ちれば粉々になりますし、アクリル水槽は割れても砕けることはありません。
吹き曝しの場所なら雨風が直接当たります。直射日光が当たるような状態であれば屋内に設置するよりもガラスやアクリルの劣化が早まるのです。
冬場にガラス水槽を水を入れたまま屋外に放置しておくと、中の水が凍って膨張したり、寒さが原因でガラスが割れてしまう可能性があります。
アクリル水槽の場合は直射日光の熱が原因で、水槽の形がゆがんだり割れてしまうこともあるので注意が必要です。
ガラス水槽とアクリル水槽の楽しみ方の違い
ガラス水槽とアクリル水槽はそれぞれの性質の違いから、楽しみ方にもちょっとした違いがあります。楽しみ方の違いにはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
ガラス水槽での楽しみ方とは?
ガラス水槽はアクリル水槽にはない「透明感」があります。
このガラスという素材にも2つあって、一般的に流通量のが多く価格が安めな水槽に使われているガラスはやや緑色がかっていますが、ブランドメーカーのものなどは色のついていない透明感がより強い「高透過ガラス」を使っています。
水槽をより美しく見せたい、見た目の透明度にこだわりたいという人は、値段は高くなりますが高透過ガラスを使用した水槽がおすすめです。
アクリル水槽の楽しみ方は?
アクリル水槽ではガラス水槽とは異なり、色のついた板を水槽に使うことができ、水槽の背面や底に使う人が多いです。
水槽の背面に色付きのアクリル板を使用すれば魚はもちろん、水草やサンゴの色が引き立つので美しい水槽を演出することができます。
また底面に色付きアクリル板を使用すれば、底砂を敷かない場合に水槽台が透けて見えないという効果があります。
【徹底比較】ガラス水槽とアクリル水槽の安全性・耐久性・価格についてまとめ
水槽選びはデザインや大きさも考えなければならないため、素材だけで選ぶことは難しいでしょう。水槽を置く人や自分が作りたい水槽の条件に合ったものを使うのが一番満足できますよ。
水平で安定している場所に置く、小さな子どもに対する対策をする、耐震マットなどを敷くなときちんと対策を取れば水槽が落下することは滅多にありません。
自分ではどちらにするのか決めかねるといった場合には、東京アクアガーデンのようにオーダーメイド水槽の注文を受け付けている会社に相談するのもありです。
相談や見積もりだけなら無料で行っていることが多いので、気になっていることなどを聞いてみましょう。
もし市販の規格外のサイズやオリジナルデザインの水槽が欲しいなら、複数の会社に見積もりを出してもらって、金額などが合う企業に制作依頼をするのもよいですよ。
自分の理想のオリジナル水槽を作ることで楽しみが増します。
楽しみ方や目的に合った水槽を選んで、素敵なオリジナル水槽を作ってくださいね。

水槽のプロ トロピカライターの杠葉 狼です。
アベニー・パファーやバジスバジスなど小さくて綺麗な熱帯魚やベタ、ブラックゴーストなどちょっと変わった熱帯魚が好きです。
熱帯魚飼育初心者さんにお役に立つ記事を書いていきます。