「アクアテラリウム」という言葉を聞いたことはありますか?
アクアテラリウムとは、アクアリウムとテラリウム両方の良い所取りをした「水中と陸上を水槽などで再現したもの」のことです。
そう、アクアテラリウムは陸地と水中の風景を一度に眺めることができ、室内に自然を再現できる今注目の大人気アイテム(水槽)なのです!
そこで今回の記事では、アクアテラリウムの制作方法(入門編)について、水槽のプロが丁寧に紹介していきたいと思います。
ゆっくりと、お付き合い頂けますと幸いです。
初心者にもおすすめ!アクアテラリウム
アクアリウムの中の「アクアテラリウム」というジャンル。
- 忙しくてなかなか自然に触れ合う機会がない。
- 自然を感じるインテリアが欲しい。
- 爬虫類も両生類も魚類も好きな人。
アクアテラリウムは、そんな方におすすめです。
- 水中部分に、熱帯魚を入れるもよし!
- 陸上部分で、カエル、トカゲ、ヘビ、カメなどを飼育するもよし!
- 緑をたくさん入れて、大自然を再現するもよし!
でも、水中と陸上を水槽の中に再現するのは難しそう……そんなイメージを持っていませんか?
実は水槽初心者でも、ちょっとしたコツを押さえればアクアテラリウムを手軽に始めることができます。
また、身近なものを使って、自分だけのオリジナルの水景を楽しむこともできます。
この記事では、そこら辺のポイントについても紹介していきたいと思います。
アクアテラリウムとは?
冒頭でも軽く触れましたが、ここでアクアテラリウムの定義を考えてみたいと思います。
アクアテラリウムとはケース(水槽や瓶など)の中に陸地と水中があることを示していて、AQUA=水、TERA=陸地を意味しています。水中部分と陸地部分を同時に楽しめることが人気の秘訣となっています。
(ウィキペディアの説明は↓次のような内容でした)
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アクアテラリウム(aqua terrarium)は、一つの飼育槽の中に水中部分と陸地部分が混在している動植物の飼育スタイル。水陸混在ということでアクアリウムとテラリウムを合体した造語である。主に淡水の水辺を再現したものが多い。
引用:Wikipedia
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どんな入れ物でアクアテラリウムを作るか?
それでは、早速アクアテラリウムの作り方に入りたいと思います。しかし、「アクアテラリウムを始めるには、ちゃんとした水槽を買わないといけないの?」という疑問をお持ちの方もいるかと思います。
その答えは――「いいえ」です。
もちろん、水槽が有った方が制作の自由度は高いのですが、アクアテラリウムを作るには空き瓶やおしゃれなボトルなど、100円ショップで売っているものでも大丈夫です。家にある材料を使って、気軽に作るのは楽しいものです。
例えば、↓下で紹介しているボトルアクアリウム+コケリウムを並べるだけでも、アクアテラリウムの雰囲気を楽しむことができます。
上の記事は家にある材料で難しい道具は一切使わず、簡単にアクアリウムとテラリウムを作り上げています。
また、ボトルアクアリウムにポトスやスパティフィラムなどの観葉植物を指すだけでも、アクアテラリウムらしさを出すことが可能です。
大きくて迫力のある水槽もいいですが、小さくて可愛い、綺麗な水槽をたくさん置くのも素敵ですよね。
アクアテラリウムの制作には、特別なアイテムがなくても大丈夫
アクアテラリウムの陸上部分には、庭や知り合いの山などで自然に映えている雑草やコケ、落ちている木の枝や落ち葉などのアイテムを活用できます。もちろん「自然公園や国立公園などの動植物の採集が禁止されている場所」では動植物を取ってはいけません。
日本の土地は、国や自治体、個人や企業などの所有地です。土地の所有者に断らずに採集することはいけないことです。他人の土地にある植物が欲しい時には、その土地の管理者や所有者に相談しましょう。
(個人的には、目的の場所の近くで農作業をしている方に話を聞くのがおススメです。地元の人が多いので、土地の所有者と顔見知りの事も多いからです)
なお、ホームセンターや園芸店などで売っている植物を活用するのも、おススメです。特に観葉植物は斑入りなど綺麗な品種が多く、また水気を好む種類も多いので、お店の人に相談しながらお好みの種類を選んでみて下さい。
そして、小さなアクアテラリウムの制作に慣れてきたら――大きな水槽を使って隅々までこだわって作ることもおすすめです。最終的には下の写真のような、迫力あるアクアテラリウム水槽を目標にしましょう♪
【初心者にも簡単】アクアテラリウムの作り方を紹介します
アクアテラリウムの陸地を作る
必要なものは――
- 容器
- プラダン(プラスティックの段ボール。100均やホームセンターで売っています)
- 流木
- 岩や石
- 用土(ホームセンター等にあります)
- 植物(綺麗めの雑草や、花屋&園芸店&ホームセンター等を見てみましょう!)
――たったこれだけです!
ちなみに、コケがあればプロっぽい雰囲気が出ますのでおすすめです。また、生き物を飼育したい時には、容器や水量に合わせてどんな生き物を飼育するのか考えることも大切です。
アクアテラリウムの制作の流れは――
1. 空の水槽に、プラダンを敷きます。
これは、石や流木の重さを分散して、水槽の底が割れないようにするために必要です。(↓下の画像では、底面式フィルターがプラダンの代わりになっています)
2. 流木、岩、石などで土台を作ります。
石垣を積むように組み合わせていくのですが、大きな流木や石の場合には、木ネジやシリコンで固定した方が安心です。
3. その上に、用土を盛り観葉植物を植栽します。
水槽内の水が掛かる場所に黒土を使うと、当たり前ですが水中が濁ってしまうので、「観賞魚用のソイル(粒状に固めた土)」や「水で洗って粉を落とした赤玉土」や「セラミックの粒(ハイドロカルチャー用として売っています)」を使用することをおススメします。(↓砂を使用することも可能です)
4. 流木や石などを積み上げて、滝や池などを作ることもできます
ポイントとしては、骨組みを作る時に、水中モーターや外部式フィルターにエアチューブを接続して、陸上部分に給水することです。
5. シダやコケ類などを流木や岩に活着させます。
そうすることで、給水用のエアホースを隠したり、より自然な雰囲気を演出したりすることができます。
ジブリ映画に出てくるような原生林をイメージしたシダやコケメインのレイアウトや南国をイメージした色彩豊かな植物を植え演出しても良いと思います。
滝のあるアクアテラリウムも人気です↓
アクアテラリウムの水中を作る
必要なものとして――
- 砂やソイル(アクアショップやホームセンターにあります)
- 水草(アクアショップなどで既に流木に水草が巻きついているものがあれば、そちらを購入するのもおススメです。好きな色の水草を用意するのも忘れずに!)
- 水中に入れる生体(熱帯魚やメダカなど。丈夫で綺麗なゴールデンアカヒレもおススメです)
――を揃えましょう。
なお、水草は二酸化炭素を添加しなくても枯れない、丈夫な水草を選ぶことをお勧めします。
例えば――
- アヌビアス・ナナ
- ミクロソリウム
- ハイグロフィラ・ポリスペルマ
- ロタラ・インディカ
- グリーンロタラ
- パールグラス
- マツモ
- アメリカン・スプライト
- ビグミーサジタリア
- スクリューバリスネリア
- 南米ウィローモス
――などは、定番ですのでチェックしてみて下さい。他にも、「サンショウモ」「フィランタス」「アマゾンフロッグビット」などの浮草を浮かべるのも、風情があって楽しいです。
水中のレイアウトを作る流れ
1. 砂やソイルなどの底砂を敷きます。
2. 土台に使っている流木や石組に水草を植えつけます。
ミクロソリウムやアヌビアス・ナナを活着させても良いですし、ピグミーサジタリアなどの水草を差し込んでも良いですね。
3. 底砂に水草を植えていきます
ライトの光が当たる位置を考えながら、バランス良く配置することを心がけましょう。
水中は、アクアリウムの世界です。かわいい熱帯魚を入れて華やかにしてみましょう。
応用編/「アクアテラ映え」する生き物について
インスタ映えするアクアテラリウムを作るために、「アクアテラ映え」する熱帯魚をここでは簡単に紹介したいと思います。
アクアテラリウムでの飼育をおススメしたい生き物は、正直たくさんいるのですが――その中でも特におススメしたい生体は「はっきりとした体色の熱帯魚」です。例をあげると、プラティーなどの原色の魚、アルビノ系の魚、ゴールデン系の魚、高グレードのビーシュリンプやレッドチェリーシュリンプなどがおススメです。
なぜかと言いますと、水の上から観賞した時にも、魚がいることがはっきりと分かるからです。
アクアテラリウムは、水槽を上から楽しんだり、横から楽しんだり、斜め上から見て楽しんだりできます。そのため、入り組んだレイアウトでもすぐに魚を見つけることができるというメリットや、水面からしっかりと魚が見えるというメリットが、とても美味しく感じられるのです。
個人的には、派手な魚に混じって地味な生体を入れておくのも、隠しキャラ的な楽しみ方ができるので、観賞する人に受けが良いと感じています。ぜひ、試してみて下さい。
応用編/プロっぽいアクアテラリウムのレイアウト(構図)について
小さな水槽などでアクアテラリウムを作ることに慣れてきたら、今度はレイアウト(構図)にも注目してみましょう。
ネイチャーアクアリウムなどの水草レイアウト水槽でも使われている「基本となる3つの構図」を覚えて意識するだけで、プロっぽいアクアテラリウムを仕上げることが可能です。
三角構図
画像のように、「水槽の左右どちらか」に頂点を持ってきて「三角形を作る」レイアウトです。三角形の頂点と底辺の間に落差を付けることで、ダイナミックなレイアウトを作ることができます。
また、給排水パイプやヒーターのコードなどを背面の一か所にまとめることがしやすい構図なので、より自然な雰囲気のレイアウトを演出することができます。
今回紹介する構図の中では、1番簡単にできる構図と言われていますので最初に挑戦するのに向いている構図です。
凸型構図
この構図は、「水槽の中央」に頂点を持ってきて「三角形を作る」レイアウトです。三角形の落差があることで迫力を演出することができるのですが、植物が成長した時の全体的なレイアウトバランスの維持が難しいため、今回紹介する構図の中では1番難しい構図と言われています。
綺麗に維持するのが難しいレイアウトです。
凹型構図
画像のように、「水槽の中央を空ける(あえて空間を作る)」レイアウトです。こうすることで、水槽の中央の奥行きを演出することができて、レイアウトに厚みが出ます。
なお、この凹型構図を制作するにあたって注意したいポイントが2つあります。
それは――
- 水槽両端と中央の差にメリハリをつけること。
- 左右のボリュームのバランスを6:4(黄金比/正確には1.618:1)にすること。
――の2つです。
両端と中央にメリハリをつけることで、より一層の奥行きを出すことが可能になりますし、人間が本能的に美しいと感じる黄金比を意識することで、より自然で整った印象を伝えることが可能になります。
ぜひチャレンジしてみて欲しい、おすすめのレイアウトです。
プロっぽいアクアテラリウムのレイアウト(構図)のまとめ
ここまで簡単にアクアテラリウムの構図について紹介してみましたが、基本となるのはやっぱり「知識×経験」です。知識だけでもダメですし、闇雲な経験だけでも効率が良くないです。知識として3つの構図を意識しつつ、自分で色々と試行錯誤して経験値を積むことが、上達への近道だと私は思います。
そしてレイアウトを作ることに慣れてきたら、今度は「水槽内の配色」にも気を配ってみて下さい。土台に使う石や流木、底砂の色、植える植物の色や配置、水中を泳ぐ魚の体色など……組み合わせは無限大ですので、きっと自分の好きな雰囲気を演出できるはずです。
赤系の溶岩、黒系の溶岩、焦げ茶色の流木、白い岩、黄色い木化石などなど……土台にする素材が違えば、それに似合う植物も変わってきます。特に観葉植物は、アグラオネマや改良品種などのカラフルな植物も多いので、選ぶのに迷ってしまいます。
また、水槽という限られた空間に植物や石を配置するという意味では、生け花や盆栽などの本がとても参考になります。
余白や空白で世界を表現する「わびさび」は、バランスが難しいところもありますが、使いこなせるようになったら水槽レイアウトの上級者の仲間入り間違いなしです!
アクアテラリウムを綺麗に維持するための5つの注意点
さて、こうしてアクアテラリウムがひとまず完成しました。ですが、アクアテラリウムを綺麗に維持するためには、5つの守ってほしいポイントが有ります。
1.直射日光は避ける
直射日光は避けましょう。日光が当たるとコケが生えやすくなり、見た目が悪くなります。
2.湿度に気を付ける
湿度に気を付けて下さい。乾燥すると、観葉植物が枯れてしまうこともあります。
対策としては、朝晩に毎日霧吹きをしてあげると、かなり状態良く管理することができます。霧吹きが面倒な時には、最初の制作時に「水中ポンプとエアホースを使って、植物の根元に水を給水する」と水やりの手間が省けます。
3.植物の組み合わせに注意!
植物の組み合わせに注意して下さい。
多肉植物、観葉植物、エアプランツなど性質の違う植物は混合しないことがポイントです。
4.植物の病気やカビに注意!
植物の病気やカビを見つけたらすぐに取り除きましょう。他の植物に移ってしまいます
5.容器は安定した場所に置く
安定した場所に置きましょう。水平に置かないと、陸地部分が崩れたり、水槽が歪んで水漏れの原因になったりします。
まとめ/アクアテラリウムの世界は、イメージさえ思い浮かべば自由自在♪
自然を再現するだけでなく、貝殻やフィギュア、木の実や小石など、さまざまな小物を使って自分だけのオリジナルレイアウトを楽しんでみて下さい。例えば、苔むした流木の上に、野鳥やカエルのフィギュアを置いて「たまに位置を変えてみる」のは、とても子ども受けします。
今回紹介したポイントを押さえるだけで、アクアリウム水槽の初心者でも素敵なアクアテラリウムを仕上げることが可能です。キッチンやデスクにちょこんと置くだけで、とてもおしゃれなインテリア・アクアリウムの出来上がりです。
是非、ちょっとした時間がある時に、お試し下さい♪
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コメント
ポンプがなくっても作れるテラリウムある?
アクアテラリウムの場合、水をろ過する必要があります。
一番お手軽なのは底面フィルターを使用する方法です。
こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧になってください!
こんなに簡単!!底面ろ過機で作る本格アクアテラリウム水槽の作り方
https://tropica.jp/2017/06/19/post-3787/
百均なんかに売っている、オアシスでも陸地を作れますか?魚には害はないでしょうか?
オアシスは、使い続けるとボロボロと崩れる可能性がありますので、あまりおすすめはできないです。
スタイロフォームのほうがもうすこし崩れにくく、陸地の厚みを持たせるのに使う方もいますよ。
害としては、破片を口にしてしまうのがちょっと心配ですね。