ベタは美しいヒレと人懐っこい性格で人気の熱帯魚です。
鮮やかなその姿から、テレビなどのメディアでも度々、華麗な熱帯魚のイメージとして採用されています。品評会も盛んです。
ベタは、フィルターなどの特別な装置が無くても飼育できる初心者におすすめの熱帯魚です。
熱帯魚を飼ってみたいけれど最初は小さな容器で飼育したい、また水質管理が楽な熱帯魚を飼いたいという方向けに、小さな容器でのベタの飼育方法を伝授します!
目次
人気のベタと飼育方法を動画で知る!
人気のベタ7選と飼育方法は、YouTube動画でもご覧いただけます!
ベタの飼育の基本から注意点を音声付きで解説しています。
トロピカでは人気の記事やアクアリウムの制作方法などを随時まとめ、YouTubeチャンネル「トロピカチャンネル」でご紹介しています。
ベタなどの飼育の疑問から熱帯魚がかかりやすい病気の治療法まで、続々アップしていきます。
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ベタってどんな熱帯魚?
ベタは古くから世界中で観賞魚として親しまれ、品評会が行われるほどの熱帯魚です。日本でもコップやガラス容器で飼育ができること、またその美しい外見から人気のある熱帯魚の一つです。
ベタにはラビリンス器官という、呼吸器官があります。この呼吸器官のおかげで、空気中から直接酸素をとることができるため、コップやガラス容器などといった狭い容器での飼育が可能なのです。
ペットショップやホームセンターなどで販売されているのは品種改良されたトラディショナルベタやクラウンテールがなどの種類が多いです。
ベタの改良品種とは
ベタはもともと、沼地に住む野生の魚です。原種をワイルド・ベタと呼びます。
美しい色合いの鱗や長く華麗なヒレを固定したものが、トラディショナル・ベタをはじめとする改良品種のベタです。
トラディショナル・ベタ
長い歴史を持つ改良品種です。
長く美しい鰭が特徴で、ベタの中では日本で最も流通しています。
『ベタ』というと、真っ先にイメージされるのがトラディショナルベタ、というくらいにスタンダードな品種です。カラーバリエーションも豊富です。
ショーベタ
品評会に出すために改良されたベタたちです。
尾鰭を中心に、身体全体のヒレのバランス・色・形によって呼び名が変わります。多様な姿ながら、どれもが美しいです!
ハーフムーン
尾がトラディショナルベタより大きく、半円型に広がった品種です。
ヒレの軟条(ヒレを構成する筋)がトラディショナルよりも多いため、美しく幅広い尾ヒレになりました。
ハーフムーンをさらに改良し、背ビレを含め正円に近づいたタイプをフルムーンと呼びます。
スーパーデルタ
ハーフムーンよりも尾ビレの角度が狭い品種です。少しリーズナブルで、購入しやすいです。
ハーフムーンとの区別は軟条の状態で決められます。
クラウンテール
ヒレの軟条(ヒレを構成する筋)を突出させ、すだれ状にした品種です。ヒレを横から見たときの形状から、クラウン(王冠)という呼び名が付きました。
クラウンテールを改良し、軟条の突出をより繊細にしたベタをハーフサンと呼び、さらにコームテールやキングテールという派生品種もいます。
プラガット(プラカット)
原種に近いベタです。
そのため、他の改良品種に比べて縄張り意識や闘争本能が強いです。
しかし、同時に病気になり難い強健種でもあります。
ヒレの長さも程よいので、引っかかってしまうことも少ないです。
ダンボ ベタ
胸ビレを大きく改良し、ゾウの耳に見えることからこの名で呼ばれます。
フワフワと泳ぐ姿は、本当に空を飛ぶゾウのようです!
ダブルテール
尾鰭の真ん中に切れ込みが入った品種です。
丸みを帯びたヒレが何とも可愛らしいです。通常のトラディショナルベタは尾ヒレが一枚なので、切れ込みがあるものをダブルテールと呼びます。
ベタの飼育におすすめの水槽と容器
初心者は小さくてもいいから水槽で飼育を!
アクアショップやホームセンターでよく瓶など小さな容器に入れられているものや、インスタグラムなどの画像で小さな容器でベタを飼育している画像を見たことがあるでしょうか?
ベタはコップなどの容器でも飼育が可能ですが、容器が小さくなればなるほど水質の管理などが難しくなるので、アクアリウム初心者は25cmキューブのような小さな水槽で飼育することをおすすめします。
水槽や機材についてはこちらの記事を参考にしてくださいね。
水槽以外のガラス容器
とはいえ、いきなり水槽を揃えるのが難しい場合、別の容器で対応するかたちになります。できる限り安定性が良く、水がたくさん入る容器を用意してあげましょう。
水質が心配なら、4~5L程度を目安に選ぶとよいです。フタ付きのものは、フタを外して利用しましょう!
金魚鉢
ベタは金魚鉢での飼育にも向いています。
金魚鉢といえば金魚!と連想しがちですが、ベタの方が好相性です。
理由はフィルターを特に必要としないこととと、少ない水量でも金魚より耐えられるからです。
水温は何度がいい?
ベタ飼育をする水槽の水の温度は25度前後が基本です。
上の商品のように、自動でベタに最適な水温を維持してくれるものがあります。小型でスペースをとらないのも嬉しいですね。
ただ、病気になったときに水温を上げる必要があるため、最初はヒーターは温度設定の調節が可能なタイプのものを購入するのをおすすめします。
瓶やガラス容器などの場合には冬場の水温低下を防ぐためにペット用の小さなヒーターを利用したり、暖かい部屋に容器を置いておくことが必要なります。
水温確認のためにも、水温計はセットしておきたいですね。
丸い容器でベタを飼育する場合のヒーター
ベタは先述のとおり熱帯魚であるため寒さに弱いため、ヒーターは必須アイテムです。しかし、大抵の水槽用ヒーターは直線的な形状ですので、曲面に固定できません。
丸い金魚鉢などで飼育する場合は、底に敷くタイプのパネルヒーターを使用しましょう!
ベタ購入時の注意点
ホームセンターのペットコーナーでも販売されているベタですが、瓶でも飼育できるという点から劣悪な環境のまま放置され、病気だったり弱った状態で販売されているものがいることが多いんです。
購入時に注意したいポイント
- ヒレが破れていたり溶けていないか
- えらや口元、体の表面が充血していないかどうか
- ベタの入っている容器の水が汚れていないか
- 体にできものができていたり、何かくっついていないか
- 入荷直後かどうか
購入時にはこの5つのポイントを重点的に見ると良いでしょう。
ヒレが破れていたり、充血している、できものがあるなどといった場合は病気や寄生虫がいることがあります。
また入荷直後は体調を崩しやすく、弱っていることがあるので、なるべく入荷してから少し時間の経っているものを選びましょう。
通信販売は運任せになる!
ネットショップでベタの生体を購入することもできますが、航空便での輸送などで家に着いたときに死んでしまっていたということもあります。また、通信販売では実際に自分で気に入った色の個体を選ぶことが出来ません。
通信販売で購入する際はまずお店の評判を調べて、ユーザーから信頼のあるお店で購入するようにしましょう。なるべく家に着いたときに死んでいた場合の保証のあるショップで購入するようにしたいですね。
ベタのは気性が荒いので単独飼育で!
ベタはとても縄張り意識が強く、同種族間でも激しい喧嘩をします。タイなど東南アジア方面では「闘魚」としても知られ、ベタのオス同士を戦わせることもあるほどなんです。
熱帯魚の混泳についてはこちらの記事も参考にして下さいね。
ベタは混泳には向かない
大きな水槽で他の熱帯魚を飼育しているとベタも混泳させてみたいと思いがちですが、他の熱帯魚を追いかけ回したり、激しく攻撃することがあります。
またヒレがとても大きく長いので、他の熱帯魚からヒレをかじられてしまうということも。ベタは単独飼育で育てましょう。
▼ベタと混泳できる生体に関してはこちらもご参考にしてください。
例外は繁殖時のみ!
ベタのオスは普段はメスでも容赦なく攻撃しますが、繁殖期の時だけは別です。
気の合うメスがいれば繁殖するためにこの時だけは今までの気の荒さがウソのように、優しく接します。しかしメスが卵を産んでしまうとまた激しく攻撃することが多いです。
▼ベタの繁殖・ペアリングに関してはこちらもご参考にしてください。
ベタのオスとメスの違いとは?
オスの特徴
オスの特徴として、長く美しいヒレがあります。
一般に観賞魚として広まっているのはオスのベタです。しかし攻撃性が非常に高く、寂しげに見えても、やはり単体での飼育を強く推奨します!
また、オスは口から粘液を出し、水面に『泡巣』を作ります。これは繁殖のための行動です。単体飼育の場合は、かわいそうですが水換えのタイミングで除去するしかありません。
フレアリングでヒレを鍛える?!
ベタはフレアリングという威嚇行動をします。
他のベタを認識すると全身のヒレやエラを広げて、体を大きく見せるのです。しばしば、水槽の壁や鏡に映った自分の姿でもフレアリングしてしまうことがあります。
その性質を利用して、品評会に出すショーベタはヒレを鍛えています。全身に力が入ることで、ヒレの発達が促され、形も美しく広がります。人間の筋トレのようなイメージです。
ただし、ベタにとってフレアリングは非常に体力を消耗するので、5~10分を限度に行いましょう。
メスの特徴
メスのベタはヒレが短く、トラディショナルベタの場合、色も控えめです。
よく『地味』といわれてしましますが、顔つきは女の子らしく、つぶらな瞳が可愛らしいです!もちろん、人に慣れます。
混泳もオスほど厳しい条件ではないです。コリドラスなどと混泳できます。ただ、やはり気性は荒いので注意が必要です。
流通量はオスよりも少なめです。もしメスも取り扱っているアクアショップでしたら、ベタに力を入れている、良いお店だと考えていいです。
水替えの頻度は?
ベタの水槽の水に関しては他の熱帯魚同様、しっかりとカルキ抜きをした水を使います。必要な場合は水質調整剤も入れ、水温は飼育している水槽と同じにして水替えを行います。
水替えの詳しいことはこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
コップなどの小さな容器で飼育している場合
ベタを小さなコップやガラス容器などで飼育している場合は、水質の悪化が大きな水槽に比べて早い傾向にあるので、最低でも週1回くらいのペースで1回につき3分の1くらいの量で水替えを行います。
水槽で飼育している場合
小さな水槽で飼育している場合は、コップなどと同様に週一回、3分の1の量の水替えを行います。大きな水槽であれば2週間に1回程度のペースで水替えを行います。
餌は何?餌のやり方は?
熱帯魚の餌は人工餌や生き餌など様々な種類がありますが、ベタの餌はアクアショップで販売されているベタ専用のもので問題ありません。
餌の選び方
このベタ専用の餌、数年前までは1種類しかなかったのですが、2019年11月現在、顆粒タイプでもメーカーが違うと粒の大きさが異なるだけでなく、餌に乳酸菌入りのものなどさまざまな種類のものが販売されています。
選び方のポイントですが、ベタは口が小さいので大きな顆粒タイプのものだと、一度口に含んでからすぐに吐き出してしまいます。人工餌を購入する際は、なるべく小さな顆粒のものがおすすめです。
また、ベタは他の熱帯魚同様に生き餌を好む傾向にあるので、赤虫などの生き餌を与えるのもよいでしょう。しかし、他の熱帯魚もそうですが、生き餌ばかりだと栄養が偏ってしまいますし、人工餌を食べなくなってしまうことがあるので生き餌を与える場合は月1~2回程度と少な目に与えた方がよいですよ。
生き餌についてはこちらの記事も参考にしてくださいね。
餌のやり方
ベタの餌のやり方ですが、1日に2回にわけて与えるのがベストでしょう。
1回で5~6粒程度、粒が小さくスプーンが付いているものならスプーン1杯弱が適量です。
ベタは大食漢であればあるだけ食べてしまい、食べ過ぎで死んでしまうこともあります。食いつきがよいからと大量に与えるのは避けましょう。
また1度に大量に与えてしまうと餌の食べ残しが発生し、水質悪化の原因になってしまいます。食べ残しがあったときは、水質悪化を防ぐためにも残った餌はすぐにスポイトで取り除くことを忘れずに!
病気になったらどうする?
どんな生き物でも避けて通れないのが「病気」です。熱帯魚も病気になりますが、ベタが病気になった場合、どのように対処したらよいのでしょう?基本的な対処法をご紹介します。
▼病気に関してはこちらもご参考にしてください。
水面に泡が!これって病気?
オスのベタを飼育していると口から気泡を出して水面に泡が沢山浮いていることがあります。ベタ飼育初心者だと病気かと心配になってしまう人もいますが、実はこれ繁殖時にメスが産卵するための「泡巣」と呼ばれるものなんです。
この泡巣は繁殖適齢期のオスが作るものなので心配することはありません。
病気になったらまず水温を高めに設定し塩浴させる
熱帯魚は病気になったらまず、水槽内の水温を28度くらいに設定します。これはベタも例外ではありません。なぜ温度を上げるのかというと、病原菌が高温を苦手としているからです。このときいきなり水温を上げるとベタも弱ってしまうため、1~2日かけて少しずつゆっくりと水温を上げるのがポイント。
温度の目安としては1回で0.5~1度くらいのペースで上げてベタが水温に慣れてからまた上げるといった感じです。
そして同時に塩浴をさせます。水槽内の塩分濃度を0.5%(10リットルで50グラムの塩)にすることでベタの体の負担を減らし、病原菌に対しての消毒効果で病気を治せるかを試します。
▼塩浴に関してはこちらもご参考にしてください。
薬は最終手段
熱帯魚が病気になったときや、なかなか治らないときはやはり薬を使うことになりますが、ベタは比較的薬に弱い熱帯魚です。水温を上げ塩浴を続けてもなかなか治らないときに、最終手段として市販されている薬を使います。
薬を使うときは、規定量よりも少し薄めで使いましょう。
間違っても効果がなさそうと、規定量よりも多く薬を投入しないように。この場合ベタが薬によってショック死してしまうこともあります。
繁殖は難しい?
先述したとおりベタのオスは繁殖期のみ、気の合うメスには優しく接します。しかしこの「気の合う」というのがとても難しく、仕切り板で区切って大丈夫そうだからと板を外した途端にメスを攻撃してしまうことも多々あるんです。
気の合うメスを探す段階でまず一苦労しますが、無事産卵が終われば親と卵を別水槽にして卵を孵化させることは可能です。
しかし孵化したばかりの稚魚はとても小さいため、初心者には飼育が難しいのである程度熱帯魚飼育に慣れてから繁殖を考えましょう。
ベタの飼育方法についてまとめ
今回はアクアリウム初心者さんに向けてベタの飼育方法についてお話しました。
コップなど小さな容器では水質管理が難しいため、アクアリウム初心者は25cmくらいの小さな水槽で飼育することをおすすめします。
ベタは飼いこめば飼い込むほどに、その魅力に引き寄せられる、そんな熱帯魚です。
模様や色の具合など全く同じものがいないのも、魅力の一つです。水質にもそこまでうるさくなく、世話も簡単なので、一匹育ててみませんか?
▼ベタの飼育に関してはこちらもご参考にしてください。

水槽のプロ トロピカライターの杠葉 狼です。
アベニー・パファーやバジスバジスなど小さくて綺麗な熱帯魚やベタ、ブラックゴーストなどちょっと変わった熱帯魚が好きです。
熱帯魚飼育初心者さんにお役に立つ記事を書いていきます。