ふと水槽を見てみたら水面にキラキラ輝く膜が張っていた…油をまいたように見えるのこの現象は、油膜と呼ばれる水槽トラブルの一つです。
水槽の中の余分な有機物(タンパク質)が水面に浮いている状態で、水質が悪化しているときによく見られます。
見た目が悪いだけでなく、飼育している生体にも悪影響がありますので、発生したら速やかに取り除きたいですね。
油膜が発生する原因は主に以下の5つが考えられます。
- 水質が安定していない
- 生き物の死骸
- 水草や流木
- 水温の上昇
- 餌
ここでは、油膜の発生する原因と対策について解説していきます。水槽の状態によってできる対策が異なりますので、しっかり原因を把握し油膜に対処していきましょう!
水槽の油膜対策・解消法を動画で解説!
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油膜とは
油膜とは、水槽の水面に発生する膜のようなものです。
上の写真を見ていただくと、水槽面に何か浮いているのがわかるでしょうか?これが油膜です。
水質に何らかのトラブルが発生しているときに見られることが多く、見栄えが悪いのはもちろん、放っておくと飼育している生体にも悪影響を及ぼすため、発見したらすぐに対処していきたい現象です。
そもそも油膜とは、水槽内の余分な有機物(タンパク質)が水面に浮いている状態をいいます。
生き物の糞や餌の食べ残し、バクテリアや生体の死骸など、水槽には有機物が豊富ですが、水槽の中のろ過システムがうまく働いていればこれらはろ過されて油膜が張ることはありません。
つまり、油膜が張っているということは、何らかの原因で水槽の中のバランスが崩れて有機物をろ過しきれなくなっているというサインでもあるのです。
コケや水カビなどの他のトラブルも起こりやすい状態ですので、油膜の対策を行いつつ、水中の過剰な養分を水換えなどで調整するといった対処が必要となります。
ろ過の仕組みについてはコチラの記事も参考にしてください。
油膜の原因
油膜が発生する原因はいくつか考えられます。原因によって対処の仕方が異なりますので、まずは、自分の水槽で油膜が発生している原因を探りましょう。
水槽の水質が安定していない
水質が安定していないときに油膜が発生することがあります。
特に水槽を立ち上げたばかりで、硝化バクテリアがまだしっかりと定着していないと、たくさんのバクテリアが死滅することがあり、それらが水面を覆うことで油膜となります。また、バクテリア剤を入れすぎても定着できなかったバクテリアが死んで、白濁りや油膜の原因になります。
バクテリアの死骸が増える原因は主に酸欠です。硝化バクテリアは好気性菌ですから、バクテリアの数に対して酸素供給が少ないと酸欠で死んでしまいます。
水槽立ち上げ時にバクテリアの死骸が増えるのは、適切な数に淘汰されている最中といったところなので、油膜もある程度は自然な現象です。水槽の状態が落ち着けば油膜が張ることも次第になくなっていくでしょう。
バクテリアを定着させるには適切な水流と定着できる住処(ろ材や砂利など)、豊富な酸素が必須です。
また、低水温(だいたい20℃以下~)ではバクテリアの活性が落ちますので、寒い季節は水槽用ヒーターで保温すると良いでしょう。水温は25~27度くらいを保てれば、油膜もはりにくく、熱帯魚を飼育する環境としてもベストといえますね。
水質についてはコチラの記事も参考にしてください。
生き物の死骸
飼育していた生き物が残念ながら死んでしまったとき、その死骸をそのままにしているとそこから有機物が溶け出し油膜の原因となることがあります。
生き物の死骸は速やかに取り除くことを心がけましょう。
水草や流木など
水草をトリミングすると、切った茎の断面から気泡のように分泌物が水面に上がってくることがあり、これらが水面を覆うことで油膜となります。
また、水草をトリミングする→水草の総量が一時的に減るため、水草が吸収できる栄養分が減って余った分が油膜として現れることもあります。
水草のトリミングが原因の油膜は一時的なもので、水換えをしたり時間が立てば自然と収まることも多いですが、油膜を発生させないためには一度にすべての水草をトリミングするのではなく、少しずつ日にちを置いてトリミングすると良いでしょう。
また、水草に肥料を添加している場合、トリミング後はたくさん栄養をあげたくなりますが、これは間違いです。水草の総量が減って必要な栄養も少なくなりますので、トリミング後は肥料の量を控えめにしておくと油膜の発生を抑えることができます。
水草のトリミングについてはコチラの記事も参考にしてください。
また、まれではありますが、流木から有機物が発生して油膜の原因となっていることがあります。これは、運悪く流木の中が腐ってしまった場合に起こりやすいので、流木を入れた後に油膜が発生した時には、こちらもチェックしてみましょう。
水温
夏場などに発生する油膜は、高水温によるものが多いです。気温が高くなるとどうしても水温が上がってしまい、水温が30度近くなると油膜の発生率は高くなってしまいます。
水温が高くなると水中の酸素量が低下し酸欠状態になるため、バクテリアが死滅してしまい油膜が張る原因になります。また、水温が高い中では、糞や餌の食べ残しなどが腐るスピードも速く、水質が悪化しやすいため油膜も発生しやすくなるのです。
高水温についてはコチラの記事も参考にしてください。
餌
単純に餌のあげすぎが油膜の原因になっている可能性もあります。
魚に食べてもらえず、水槽の底に溜まった餌が余分なタンパク質として水に溶けだしてしまい、油膜になります。また、餌の量が多いと糞の量も増えるため、油膜が発生しやすくなるでしょう。
餌のあげ過ぎは油膜や水質の悪化を招くだけでなく、生き物の体にもよくありません。量や回数を守り適切な量を与えましょう。
餌やりについてはコチラの記事も参考にしてください。
油膜の対策
油膜は見栄えが悪いだけでなく、水質や魚にとっても悪影響にしかなりません。しっかりと対策や改善を行いましょう!
先ほどお話した通り、油膜の原因は水槽の中の環境にありますので、水槽の環境を改善すれば自然と油膜も収まることが多いです。まずは油膜の原因を根本から改善し、油膜の発生しない水槽を目指しましょう。
水槽の掃除をこまめに行おう
油膜はいわば水槽内の不純物の塊です。しかし固まって見えている分、取り除きやすいとも言えます。
油膜が発生したら、まずは水を換えて、水槽を綺麗に掃除することから始めてみましょう。また、定期的にフィルター内を掃除したり、ダメになったフィルターは速やかに取り換えたりすることも効果的です。
水を換えれば当然油膜も無くなりますし、一時的なものであればこれで油膜が発生しなくなることもあります。
換水や水槽の掃除をしても油膜が繰り返し発生する場合は、一時的なものでなくどこか他のところに原因があると考えられますので、他の対策を行ってみてください。
水槽の掃除についてはコチラの記事も参考にしてください。
エアレーションをしよう
エアレーションを取り付けて水面を揺らすことで、油膜を散らして目立たなくします。
油膜対策としては一番有効でポピュラーな方法で、エアレーションにより水の中の酸素量も増えるので、酸欠が原因で油膜が発生している場合にも有効です。
もともと魚の為にエアレーションを入れている場合は、大きいものに変えてみるだけでも効果は変わりますので、試してみると良いでしょう。
また、同じく水槽内に水流を起こして酸素を送るディフューザーも油膜対策に有効です。ご自分の水槽に合った方法を選んでみてください。
エアレーションについてはコチラの記事も参考にしてください。
肥料添加を調節しよう
水草の肥料も多すぎると油膜の発生につながります。肥料を添加している場合は、量を見直してみましょう。
また水草のトリミングを行った後は、油膜が発生しやすい状態なので肥料の量を控えめにすると良いでしょう。
水草の肥料についてはコチラの記事も参考にしてください。
流木を変えよう
流木を入れてすぐに油膜が張るようならば、その流木が油膜の原因になっている可能性が高いです。
一度流木を抜いてみてしばらく様子を見ましょう。これで油膜が引くようならば、その流木の中が傷んでしまっていることが考えられますので、残念ですが破棄した方が良いです。
流木についてはコチラの記事も参考にしてください。
水温管理に気を付けよう
夏場の暑い時期は水温が一気に上がってしまうことも!
高水温は油膜の原因になるだけでなく、水槽内の環境や生体に様々な影響を与えますので、すぐに対処が必要です。直射日光の当たらない場所に水槽を移動するだけでも水温は変わります。しっかり管理していきましょう。
高水温を改善するには、水槽用のクーラーやファンを付けて水を冷やしたり、室内のエアコンを使って室温を下げるなどの方法が有効です。
クーラーやエアコンについてはコチラの記事を参考にしてください。
餌を見直そう
餌を一生懸命食べる魚が可愛くて、ついついたくさんあげたくなってしまいますよね。しかし、餌のあげ過ぎは魚の体調にも飼育水にもよくありません。
餌の量はきちんと守りましょう。
腹八分目と言いますが、魚も同じです。餌の時間を決めて、決まった時間に適切な量を与えるようにしましょう。食べ残しが多い場合は餌の量を見直すと良いです。
また、消化に良い餌や水を汚しにくい餌など餌にもそれぞれ特徴がありますので、量を守っていても油膜が張るなどの異変があるようならば、餌を変えてみるのも一つの手です。
餌についてはコチラの記事も参考にしてください。
油膜を一時的に減らす方法
どうしてもすぐに油膜を無くしたい!一時的にでもいいから減少させたい!ということもあるでしょう。そんな時に使える手をご紹介します。
ただし、これからご紹介する方法は油膜が発生しなくなるのではなく、油膜を見えなくする、減ったように見せる方法です。
無くなってもまた再発してしまう可能性がありますので、どこかのタイミングで根本の原因を見直してみることをおすすめします。
油膜除去アイテムを使う
水面に浮いているため、通常のフィルターでは処理にしきれない油膜を吸い取ってきれいにする、油膜専用のろ過装置が市販されています。これを使用すれば簡単に油膜を除去することができます。
特にエアレーションでの塩ダレが気になるで海水魚水槽では、このような油膜除去専用のアイテムがおすすめです。
魚に食べてもらう
なんと油膜を食べてくれる熱帯魚がいます!
それがモーリーです。中でも特に大食いのブラックモーリーが油膜除去には有効です。
ただし、モーリーは繁殖力が強く増えやすいので、飼うのは一匹にとどめておくといいでしょう。
また、モーリーは混泳しやすい種類の熱帯魚ではありますが、すでに飼育している他の生体との相性をよく考えてから飼育を始めるようにしてください。
モーリーについてはコチラの記事を参考にしてください。
新聞紙やキッチンペーパーで吸い取る
単純ですが大変有効な緊急手段として、家にある新聞紙やキッチンペーパーで油膜を吸い取ってしまうという方法があります。
用意するものは新聞紙やキッチンペーパーのみ。私はよく新聞紙を使用します。
新聞紙を広げて水槽面に浮かべて、数秒たったら新聞紙を交換。これを何回か繰り返すと油膜が綺麗に取り除けます。
根本的解決にはなりませんが、すぐに綺麗にしたいのならば手軽にできておすすめの方法です。
水槽の水面に発生した油膜には原因に合わせた対策を行って対処しよう!
せっかくきれいにレイアウトした水槽でも、油膜が浮いていると少し残念に見えてしまいますよね。油膜が発生したらすぐに取り除きたいところです。
油膜は水質のバロメーターといっても過言ではありません。油膜が発生しているということは、水槽内の環境に何かしらの不具合が生じている可能性があります。
放っておくと飼育している生体が体調を崩してしまうかもしれませんので、しっかり原因を探り速やかに対策していきましょう。
また、根本的な解決にはなりませんが、油膜を減らす、無くす方法もありますので、状況に合わせてご自身の水槽に合った方法を試してみてくださいね!
水槽のプロが所属するサイト運営チームです。
淡水魚・海水魚・水槽設備やレイアウトのことまで、アクアリウムに関する情報を発信していきます!
コメント
とても参考になりました。
コメントありがとうございます!
よりわかりやすく、加筆なども行っていきますのでよろしくお願いいたします。
よくわかった
コメントありがとうございます。
わかりやすい記事をお届けできるように頑張ります!
亀でも同じですか?
カメ飼育でも基本は同じです。
ただ、カメの場合水量が魚より少ないですし、水の汚れも全く違いますから、水換えを行ったほうがうまくいきます。
カメ用のろ過フィルターもあるので、そちらも併用しつつ水換えで維持するのが良いですね。
水槽初めて40年今だ満足していません。
大変奥が深い趣味ですが、癒しになっています。
疑問が一つ解決出来ました。
また訪問します。ありがとう!
アクアリウムは本当に奥深いですよね。しかし探求も魅力の一つです。
より良い情報をお届けできるように研究を行っていきますね。
凄く参考になりました
ありがとうございます!
ありがとうございます!とても励みになります。
これからもアクアリウムのより良い情報を発信していけるように頑張ります。
はじめまして。メダカの飼育について質問があります。
以前飼った時1ヶ月も経たずして10匹のメダカ達が次々と死んでしまいました。
その後ネットで色々勉強してまた買いはじめたいと思って、まずは水槽を立ち上げようと3日前からカルキ抜きした水に高濃度バクテリアというのを入れてロカボーイを使用しています。
あと何日位したらメダカを入れて大丈夫かなぁ?と考えている所なんですが、
1週間位このまま何も入れない方がいいですか?
メダカは水槽設置から1週間後にはもう導入しても大丈夫です。
難しいのは、バクテリアの定着と水質の安定にはメダカ導入後3~4週間ほどかかります。
バクテリア剤を使っても、ろ材などに棲みついてくれないと、なかなか効果が出にくいです。
その間は、こまめな水換えで有害物質(アンモニアや亜硝酸塩)を排出するのですが、ここがちょっぴり気を遣うところです。
2週間目あたりからアンモニアでなく亜硝酸塩が出始めるのですが、ここが一番、魚にダメージがでやすいです。
メダカの匹数にもよりますが、2~3日に1度、1/3~2/3程度の水換えで乗り切りましょう!
参考になりました
コメントありがとうございます。
励みになります!
自分は60cm水槽でオトシン1エビチリ1スネール?2のみ、co2無しで、赤系水草とニューラージパールグラスを一応枯らさずに育成できています。(徐々にだけど増えてます。)
数少ないco2を無くさない為に、シャワーを水中で若干下向きにしています。そのせいか、油膜びっしりです。生物濾過の子たちは酸欠で死んでしまったのでしょうか?それとも、水流を上向きにするだけでいいでしょうか?
ラミレジィたちをお迎えする予定なので全滅なんてさせたくないです。(エビチリは移動させます。)
CO2を極力減らさずに、油膜を解消するには、フローパイプの導入が良いかなと思います。
水面を優しく揺らしてくれるます。ただ、CO2量は多少減ります。
絶対にCO2が減らない方法としては、生体が増えてしまいますがブラックモーリーを導入するのが効果的です。
こちらの記事も是非読んでみてくださいね!
https://tropica.jp/2019/09/26/post-28629/