アクアリウムで使用する水草にも、農薬を使用して育てられたものと、無農薬栽培のものがあります。
新しい水草を入れたことがきっかけで、エビが全滅してしまうということがあります。
これは、水草に残っていた残留農薬の影響であることが多く、水質に敏感な生き物を飼育している場合は、必ず無農薬の水草を用意しましょう!
しかし、購入した水草が農薬付きなのかがわからない…そんな時に、残留農薬の影響を受けないためには、どうしたらいいのか。
この記事では、水草の残留農薬に関する基本的な知識や、水草の残留農薬を除去するための処理方法を解説します。
目次
水草の残留農薬とは
なぜ新しい水草を入れると、エビが全滅してしまうことがあるのか。
それは簡単に言うと、水草に農薬が残っていることが原因です。
アナカリスなど一部の水草は、害虫が入り込まないように農薬を使用して栽培されます。
農薬を使用した水草は、成分が水草にしみこむため、農薬が無い環境(水槽内)で成長した部分以外には農薬が残っています。
いわゆる残留農薬です。
購入した水草に残留農薬があると水中の生き物、特に水質や薬品に敏感なエビに害が及び、全滅してしまう、というわけです。
特に水草の残留農薬で害を受けやすい生体とは
水槽で飼う生き物のなかで残留農薬の影響を受けやすいのが前述したエビ類です。
- ヤマトヌマエビ
- ミナミヌマエビ
- チェリーシュリンプ
- ビーシュリンプ
- ルリーシュリンプ など
こうした小型のエビはの残留農薬があると、神経系にダメージを負ったような症状をだして死んでしまいます。
農薬関係のトラブルでよく見かけるのも、エビ類の被害に関するケースが多いです。
水槽でエビ類を飼われている方は、水草の残留農薬に特に気を付けましょう!
▼エビの飼育に関してはこちらもご参考にしてください。
エビにも安心できる!無農薬水草とは
市販されている水草のなかには、エビなどへの影響を考慮した『無農薬水草』もあります!
具体的にはどんなものなのか、以下にご説明します。
無農薬水草の特徴
無農薬水草とは、その水草を栽培してから商品として販売するまでの過程で、農薬を一度も使ったことがない水草のことです。
エビや稚魚などの水槽にも、安心して使用できることから、最近では無農薬のものが増えてきています。
一方で、無農薬のためにスネールの卵などを持ち込む危険もありますので、導入時には十分な点検が必要です。
現在ブームになっているビオトープでのメダカ飼育では、エビや貝類も同時に飼育することから、無農薬水草の人気はさらに高まっていると言えるでしょう。
無農薬の水草のなかで、ランクの高いものとして『組織培養水草』も流通しています。
組織培養水草は、その名の通りに人工的に培養した水草のことで、害虫やスネールを持ち込むことがありません。
そのため、複雑に水草をレイアウトする水草水槽やネイチャーアクアリウムなどで多く採用されています。
▼無農薬水草に関してはこちらもご参考にしてください。
農薬処理済みの水草とは
無農薬や組織培養以外の水草には農薬が使用されています。
しかし、すべての水草で、残留農薬の影響が出るわけではありません。
最近ではほとんどの場合、農薬が使用されている水草を市販する場合には残留農薬の影響が出ないように、残留農薬の除去がおこなわれています。
このような残留農薬の除去がきちんとおこなわれていれば、水槽に入れた際の危険性はかなり低いと言えます。
とはいえ、エビがいる場合はやはり無農薬水草を選ぶのが無難です!
残留農薬付きの水草でも問題ないことがある
安価で入荷して間もない水草は農薬処理が行われていないことがあります。
購入前にはショップで確認するのもおすすめです。
しかし、薬物に強い生き物には、農薬付きの水草でも普通に使用できます。
- 金魚
- 鯉
- メダカ
- 熱帯魚 など
基本的にこうした魚類にはほとんど無害です。
しかし、前述の通りにエビ類にとっては非常に有害なので気を付けましょう。
影響がないとは言っても、混泳しているエビが死んでしまったことで水質悪化が起こり、魚が病気になってしまうこともあります。
もし、エビが死んでしまった場合には、すぐに取り出しましょう!
水草の残留農薬を除去する処理方法について
水草の残留農薬の影響を防ぐために、自分で残留農薬の除去をおこなうこともできます。
水草の残留農薬を除去するには
水草の残留農薬を除去する処理方法は、農薬のない水に1~3週間つけておくことです。
水にさらすことで留まっていた農薬が溶け出します。ちなみに、その間に育った新芽部分などはほぼ農薬の影響がないか、無農薬状態です。
ストック用の別水槽を用意すると管理しやすいでしょう。
まず、水草の根元に巻き付いているロックウールなどはすべて取り除くことで、雑菌などの持ち込みを予防できます。
残留農薬を除去した後の水草を水槽に入れる際の注意点
上記のような処理を行っても、完全に影響がないとは言い切れません。
水草を熱帯魚やエビたちの水槽に入れる際には、水槽に入れてからしばらくの間、生体に異常が出ないかどうか、必ずご確認ください!
注意しておく時間は1時間以上を目安とするとよいでしょう。
もし、何らかの異常があれば、速やかに生体を別の水に移すなどの処置を行なってください。
より万全を期したい場合には、最初に少数の生体だけを水草と一緒に水に入れて、安全性を確認してみるとよいでしょう。
まとめ:水草を水槽に入れる前に残留農薬を除去する処理方法について
購入した水草に残留農薬があると、エビに害が出る場合があります。
無農薬の水草には最初から農薬が使われていません。
また、無農薬でなくても、市販する前に残留農薬の除去をおこなってある場合にも、心配はありません。
残留農薬が気になる場合には、数日から1週間程度、漬けっ放しにしておく方法がおすすめです。
しかし、そうしたことは別容器が必要ですし、なかなかに手間ですので、最初から無農薬栽培の水草を用意すると手軽に導入できるでしょう。
予算や飼育生体、お持ちの設備などで購入する水草の種類を選ぶと良いですよ。

トロピカプレゼンテーターのぶっちーです(。-`ω-)
この記事が、皆様の素敵なアクアリウムライフの手助けになれば幸いです。
YouTubeトロピカチャンネルもご贔屓に!
コメント
コメント失礼します。
農薬を除去するために水につけると書いておりますがその水はカルキぬきとかバクテリアとか入れてますか?
コメントありがとうございます。
水草を処置する水は、基本的にはカルキ抜きしていない水道水です。
カルキを抜いてしまうと雑菌が増えてしまいすし、クリーンにする意味でも水道水で行います。
ただし、塩素に弱い水草の場合と、エビのように敏感な生体の水槽に入れる場合は、塩素が残っていると致命的になることがあります。
その場合はカルキ抜きの水でしっかりすすぎます。
ウィローモスにも農薬がついていることはあるのでしょうか。
又、ペットショップの店員さんが農薬が除去されているか分からないというときはどうしたらいいでしょうか。
コメントありがとうございます。
ウィローモスにも無農薬でないものはあります。エビが入っている水槽のものを購入すれば安心です。
もしカップ入りのものしかなくて店員さんがわからない場合は、残念ですが違うお店で購入したほうが安全と言えます。
水草は最長で、どれくらい水につけておけばいいのでしょうか?
もしよろしければ教えてください。
だいたい1週間程度で抜けますが、葉が入り組んでいたり硬い水草は抜けにくいです。
最長で3週間ほどかければほぼ安全になります。
ただし、エビは本当に敏感ですのでやはり無農薬と明らかな水草を使用してあげてください。
今日夕方ホームセンターに行って輸入水草を買いました。店員に聞いたところ農薬は除去されてるからそのまま水槽へ入れて大丈夫と、言われたので帰宅後そのまま水槽へ入れたました。
ですが2時間後ミナミヌマエビは全滅していました。
メダカは元気そうでしたが他の水槽へ移しました。
相当ショックです。
コメントありがとうございます。
ミナミヌマエビ、お悔やみ申し上げます…。
除去工程を行っていても、どうしても残留することがあります。
エビは本当に農薬に敏感ですので、もともと無農薬で栽培されているものが良いですね。
メダカがご無事でなによりです!
水草のことをあまり調べないうちに、ホームセンターで購入した水草をメダカ水槽に入れてしまいました。翌日、ミナミヌマエビがほぼ全滅してしまいました。やはりダメだったようです(T_T) メダカはまだ大丈夫そうですが、このまま水草を入れておいて、あらたにエビを購入して入れても大丈夫でしょうか?水槽の水は、もう汚染されてダメでしょうか?
コメントありがとうございます。
エビさん残念でしたね。エビは本当に農薬に敏感です。
水槽の水は、すべて取り替えたほうが良いですし、水草も、もったいないですが無農薬のものへの交換をおすすめします。
どのくらい農薬が残っているかがわからないですが、一度全換水→その後もこまめに換水をくりかえせば、1ヶ月程度で徐々に薄まっていくかと思います。
この場合、できれば、水草とエビは同じタイミングで入れたほうが良いですね。