緑や赤の、美しい水草が水流になびく水槽は、誰でも一度でも憧れるアクアリウムの1つですね。
ですが残念ながら、水草を食べてしまう熱帯魚・エビがいることをご存知でしたか?熱帯魚やエビが水草を食べるなんて驚きですよね。他にも、食べるときに水草を引き抜くタイプまでいます。
光の量や二酸化炭素量に注意して大切に育ててきた水草を食べられてしまったら、大変なショックです!
そこで今回は、水草を食べてしまう熱帯魚やエビの種類、そしてその対策についてご紹介したいと思います。
目次
水草を食べる熱帯魚・エビってどんなものがいるの?
丹精した美しい水草を食べてしまう熱帯魚・エビにはどんな種類がいるのでしょうか。
基本的には、コケ掃除をする生物=植物を好んで食べる生物なので、そういった種類の熱帯魚・エビは水草を食害することがあります。
プレコの仲間
プレコは基本的に、餌として植物を好む熱帯魚です。
その性質を買われ、コケ掃除役として水槽に入れられることも多いのですが、コケを食べ終わって餌が不足した場合、水草も食べます。
プレコの口は吸盤上で、吸い付くようにして食事するため、細い葉よりは広い葉が食害にあいやすいようです。
チェリーバルブなどコイの仲間
コイの仲間は雑食性ですが、特に食草性が強いので水草を食べます。
赤い色が人気のチェリーバルブや、ゴールドに輝くゴールデンバルブは、水草をひっぱって食べるという悪い癖があります。ひっぱるので、根こそぎ引き抜かれてしまうことがあるのです!
柔らかい葉だと、葉をすっかり食べられて丸坊主にされてしまうことも……。
モンクホーシャ・グリーンテトラなどカラシンの仲間
小さな身体で、きらめくような色合いが人気のカラシン系ですが、モンクホーシャやグリーンテトラは水草の新芽を好んで食べることで有名です。
新芽だけでなく、柔らかい葉をつける水草は食べられる可能性がありますので、注意が必要です。
エンゼルフィッシュ
エンゼルフィッシュはとても食欲の旺盛な種類です。食べるものが不足すると水草をつついて食べたり、引っ張って水草を抜くことがあるようです。
コケを食べる熱帯魚
コケを掃除してくれる熱帯魚は、食草性があるわけですから、柔らかい水草や、水草の新芽を食べることがあります。
例としては、サイアミーズ・フライングフォックスがあげられます。コケ掃除屋さんとして有名なサイアミーズ・フライングフォックスは、コケに近いモス系の新芽が好物ですので注意が必要です。
ヤマトヌマエビ・ミナミヌマエビ
ヤマトヌマエビやミナミヌマエビもコケの掃除屋として人気ですが、こちらも食草性があり、柔らかい水草を好んで食べます。
巻貝の仲間
レッドラムズホーン・スネールの仲間など、コケを食べてくれることで有名な貝の仲間も基本的に食植性があるので、水草を食べることがあります。
水草の食害を防ぐ方法4選
では、美しい水草水槽を維持しつつ、熱帯魚やエビを楽しむにはどうしたらいいのでしょうか。こちらの項目ではその対策を4つ、ご紹介します。
硬い葉をもつ水草を植える
水草には様々な種類があります。その中には熱帯魚やエビに食べられにくいのは、葉の硬いも水草です。ですから、食べられたくないのであれば、葉の硬いものを選ぶのが1つの手段です。
硬い葉をもつ水草の代表的なものは、アヌビアスナナでしょう。丸くてツヤツヤとした葉が可愛らしい水草です。丈夫ですし、二酸化炭素の添加がなくても元気に育ってくれますので、初心者の方にもおススメです。光もさほど必要としません。
他に葉が硬い水草といえば、ミクロソリウムが挙げられます。アヌビアスナナとは違い、細い剣のような葉をたくさん茂らせる、シダの仲間です。生長がゆっくりなので、トリミングなどのお世話をあまり必要としないのもメリットのひとつです。
陰性植物でもあるので、光の量に神経質にならずとも育ってくれるので、手軽にトライすることができる水草でもあります。
筆者は、繊細でほっそりした草姿の水草が好みなのですが、そういった方にはシペルスもおススメです。シペルスは色合いが明るい黄緑色で、人気のある水草です。
硬質な葉なので、シャープな印象を与えてくれます。
葉の硬い水草を用いると、食害を防ぐことはできますが、ひれの薄いタイプの熱帯魚と一緒の水槽に入れると、熱帯魚のヒレを傷つける場合があります。その点はご注意ください。
餌を切らさないように気をつける
コケを食べる熱帯魚・エビが水草も食べてしまうことを上でご説明しましたが、そういった生物も、コケがあればコケを優先的に食べることがほとんどです。
ですが、そのためにコケを生やすのもおかしな話ですので、そういった場合は、水草よりも美味しい餌をあげると、水草を食べるのを止めます。
熱帯魚やエビによって好む餌は異なりますが、雑食性のコイの仲間であれば動物性の餌もたべます。管理が若干面倒ではありますが、ブラインシュリンプやアカムシは人気のある餌です。食植を好む種類であれば、ゆでたホウレンソウを餌として与える方法もあります。
水草水槽には水草を食べる熱帯魚・エビを入れない
水草をメインで楽しむ水槽の場合には、最初からそういった熱帯魚・エビを入れないという方法もあります。
ですが「水草は食べて欲しくないけど、コケは食べてもらいたい」という場合もありますね。その場合は、「普段は別の水槽で飼育し、水草水槽にコケが生えたときだけ緊急出動する」という手段もあります。
水草を抜かせない工夫をする
熱帯魚が水草を引張って抜いてしまうことがお困りごとであれば、水草をソイルや砂利に植えるのではなく、流木に活着させるのがおススメの手段です。
流木に活着した水草は、根をがっちりと流木に這わせています。ちょっと引張ったくらいでは抜けることはないでしょう。
どうしてもソイルや砂利を使いたい場合は、水草を植えたあと、しっかりと根を張った頃に熱帯魚やエビを入れましょう。
熱帯魚・エビ・貝の性質を知って上手に付き合っていこう
水草を食べてしまう熱帯魚・エビ・貝について解説させていただきました。
水槽へ入れられる生物たちは、一生懸命に生きています。私たち人間の都合で水槽へ投入する生物ですから、その性質や暮らしぶりを知り、後々困ったことにならないようにしたいものですね。
水草を食べてしまうことのない、水草水槽と相性のいい熱帯魚もたくさんいます。上手に選んで、美しい水草水槽を楽しんでください。

水槽のプロ トロピカライターの高井です。
遺伝子学が専門分野で、高校の理科教師として、日々、生徒たちに自然の偉大さを教えています。
アクアリウム全般が好きで、現在はアベニーパファーのトリコ。
ピンセットでアベニーにアカムシを食べさせるのが日々の癒しです。