低光量・CO2(二酸化炭素)添加なしでも育てることのできるウィローモスは、アクアリウム初心者向けの水草としてもしられています。しかし育てやすいと言われているにもかかわらず、思ったほどうまく育たないと悩んでいる人は多いです。
初心者向けといっても、きれいに育てるにはちょっとしたコツがあり、ウィローモスの特徴などをきちんと把握していないと、枯らしてしまったりコケまみれになってしまいます。
今回はアクアリウム初心者でも比較的育てやすい、ウィローモスの種類や育て方やトリミングや活着方法などについて解説していきます。
▼水草の生育に関してはこちらもご参考にしてください。
目次
ウィローモスの育成方法を動画で解説!
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ウィローモスの基礎知識やきれいに育成する方法を音声付きでご紹介します。
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水草の育成方法から豆知識、水槽レイアウトのポイントまでを動画でわかりやすく解説しています。
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ウィローモスとは?
水草として販売されているウィローモスですが、実はミズゴケなんです。根を持たず、流木や岩などに活着(かっちゃく/くっつくこと)という特徴があります。
水槽内のレイアウトを気にする人ならば、流木や岩などに活着させて使うことがほとんどですが、レイアウトを気にしないのであれば、そのまま水槽内においておくだけでも育ちます。
流木や岩影など、日陰になってしまうような場所でも育つことのできる「陰性植物」で、CO2はなくても育ちますが、よりきれいな色で育てたい・増やしたいと思うのであれば、CO2の添加をしたほうがきれいに育ち、成長もはやくなります。
▼陰性水草に関してはこちらもご参考にしてください。
ウィローモスの種類
ウィローモスには細長く育つ一般的なウィローモスの他に、南米産ウィローモスをはじめとしたさまざまな種類があります。
ここではウィローモスの種類についてみていきましょう。
一般的なウィローモス
一番流通量が多くショップでも手軽に購入できるタイプのウィローモスです。細長い枝葉が特徴的で、茂みを作りやすく魚の産卵床として使われることも多いです。
南米産ウィローモス
南米産のウィローモスは、細かな葉が幾何学模様を連想させます。育っていくと葉全体の形状が逆三角形に育っていくという特徴があり、一般的なウィローモスよりは明るめな色をしています。
一般のウィローモスと比べると活着力が弱いという特徴があるため、水槽レイアウトでは使い分けが重要なポイントとなってきます。
名前に「ジャイアント」とついているものは、通常のものよりは大きく育つ種類です。サイズが大きいので、うまく育てれば前景~後景と幅広く利用することができます。
ジャワモス
一般的なウィローモスと見た目がほとんど変わりませんが、ジャワモスの方が若干葉が細いので、下の方の葉に光が当たりやすく枯れにくいという特徴があります。
フレイムモス(フレームモス)
フレイムモスの名前の意味は「炎」という意味で、光に向かって成長するので上に向かって成長していくモスとなります。
この特徴をふまえておけば、工夫次第で緑の炎のような形状をつくることができるので、レイアウトの幅が広がるのではないでしょうか。
ウォーターフェザー
ウォーターフェザーは「ホウオウゴケ科」のモスです。ウィローモスと比べると葉が長く、ふさふさとした柔らかな印象を持っています。成長するとボリューム感のある茂みを作ることができるので、魚の隠れ場所にもピッタリです。
バブルモス
バブルモスもぱっと見は一般的なウィローモスと変わりませんが、CO2を添加している環境だと光合成で作られた酸素が、気泡となって葉に付く様子を見ることができる珍しいモスです。
▼に関してはこちらもご参考にしてください。
オレゴンリバーモス
オレゴンリバーモスは大型のモスの一種です。
成長していくに従い、ふわふわ・もこもこした感じになっていきます。オレゴンリバーモスだけの水槽レイアウトは、独特の雰囲気があり見ごたえがあります。
マナウスモス
マナウスモスは「ハイロゴケ科」のモスで、一般的なウィローモスと比較すると葉の形状が丸みを帯びています。
また枝分かれせず、真っすぐに伸びるという特徴を持ったモスです。
ノコギリカワゴケ
日本のごく限られた地域でも自生しているモスで、葉が1枚ずつ長く伸びるという特徴があり、ボリューム感のあるモスです。水槽レイアウトでは中景~後景で活躍してくれるでしょう。
プレミアムグリーンモス
こちらは「スジゴケ科」のモスで、葉が小さくライトグリーンのモスです。ビーシュリンプなどの小型のエビと相性が良く、流木などにも活着させやすいです。
ゼニゴケ
見た感じがワカメのようなモスですが、葉幅が大きくリボン状に成長しとても大きな茂みを作ることができます。
類似品種に「モスファン」というものがありますが、葉の形状などの見た目や育て方などはほぼ同じなので同として扱われていることもあります。
ホウオウゴケ
ホウオウゴケは一般的なモスよりも葉が長くなり規則正しく並んでいます。その見た目が「鳳凰の羽」のように見えるので、この名前が付けられたと言われています。
フジウロコゴケ
フジウロコゴケは小さな丸い葉を密集させ、半透明で鮮やかなグリーンのモスです。
しかし葉が小さく細かい分、成長していくに従い茂みが大きくなってくると、下葉に光が当たらなくなり枯れてしまうのでこまめなトリミングが必要になってきます。
ウィローモスの育て方
ウィローモスは根を持たないコケ類で、栄養は水中から吸収します。水質にもあまりうるさくなく、対応する水温の幅も20度から28度と広いのでそこまで神経質にならなくても大丈夫です。
ウィローモスが枯れる原因として考えられるのは
- 光量や肥料が足りない
- 水温が低すぎる
- 水質が合わない
- 小さくカットしすぎた
というようなことが考えられます。
さすがに育てやすいと言われているウィローモスでも、水槽内の環境が悪ければ育たないため、水質や水温の改善を行いましょう。
光が足りない場合は、水槽内のウィローモスを光が当たる位置に置き換えたり、水槽用の照明を使う、水槽を日当たりの良いところに置くといったことで対処することができます。
栄養分がたりないようであれば、固形肥料を水槽の底砂に埋める、液肥を水槽内に投入することで改善できますが、水草の肥料はコケの肥料にもなるので与えすぎに注意してください。
ウィローモスは比較的強い水草ですが、小さくカットしすぎると成長するだけの力が残っておらず、水槽内の環境がよくても枯れてしまう場合があります。
ウィローモスのトリミング方法と増やし方
ウィローモスはトリミングでカットした部分から新芽が出てきます。生い茂らせるためには、2mm~3mmくらいの長さにカットしていくと、こんもりとした茂みになりやすいです。
ウィローモスはとても細かいので、水槽内でカットすると切った先が水槽内に散らばって掃除が大変だったり、カットした切れ端が細かすぎて除去しきれず、気が付いたら変なところで増えていたということになる場合があります。
そのためウィローモスをトリミングするときは、水槽から出してトリミングを行うことをおすすめします。
ウィローモスのトリミング手順
岩や流木に活着させたまま、水槽から取り出します。ウィローモスはトリミングに耐性があり、手でちぎっても枯れることは少ないですが、手でちぎると見た目的にきれいにできないため、トリミング専用のはさみを使いましょう。
活着させている部分から2mm~3mmくらいのところでカットしますが、伸ばしたい部分は少し長めにしておいたほうが後から形を整えやすくなります。
カットが終わったら、切れ端が水槽内に入り込まないよう、一度水で軽くゆすいでから水槽内にセットします。
ウィローモスの増やし方
ウィローモスの増やし方はとても簡単です。
トリミングでカットした切れ端を一つにまとめて、流木や岩に巻き付けるように活着させるだけで育ちます。
面倒だという人は、やや乱暴な感じになりますが、水槽内にカットした切れ端をそのまま入れておけば自然と成長していきます。ただしあまりに短いものは枯れてしまうことが多いので注意してください。
ウィローモスを活着させるには?
ウィローモスを流木や岩に活着させる方法は難しいと思っていませんか?
実はそんなに難しいことではないんです。
ウィローモスを活着させるために、まず次の道具を用意しましょう。
- 活着させる流木や岩
- ウィローモス
- トリミング用のハサミ
- ウィローモスを括り付けるための糸やワイヤー
活着に使用する糸は?
ウィローモスを活着させるために使用される糸には次のようなものがあります。
- ビーズアクセ用のテグス
- 釣り糸
- 木綿糸
木綿糸は水中に長期間入れておくとバクテリアなどによって分解され、溶けてなくなってしまうのがメリットと言えます。しかしほとんどの場合ウィローモスがきちんと活着する前に溶けてしまうので、使用は避けたほうが良いです。
また木綿糸は白や緑・紺色など色がついているので、ウィローモスが成長するまでに色が目立つ、生き物が突っついて切れてしまうことがあるというデメリットがあります。
その点テグスや釣り糸なら、無色透明で丈夫という特徴があります。水中で溶けることもないので、ウィローモスを活着させるのに使用しても糸が目立つことはありません。
ウィローモスを活着させるのなら、テグスや釣り糸がおすすめです。
ウィローモスの活着手順
それではここから、実際にウィローモスを流木や岩に活着させるための下準備や活着方法などについて、ご紹介していきます。
下準備
購入したウィローモスをまず1cmくらいにカットしましょう。形を整えるという意味もありますが、最初にカットしておくことで水槽内に入れた後に新芽が生えやすくなります。
カットしたウィローモスを水に濡らします。これは岩や流木に活着させやすくするためで、濡らし方に決まりはありません。ただカットした後でばらけているので、網などに入れて水にくぐらせるのが一番楽です。
活着させたいアイテムにウィローモスを乗せていく
活着させたいアイテムにウィローモスを付けていきます。活着させるときのポイントは、ウィローモスが成長したときのことを考え、全体的に岩や流木の表面が薄く見える程度の厚さにすることです。
重なっている部分の下の葉は光が当たらなくなると、腐ってくるので重ならないよう気を付けてください。ある程度ウィローモスを乗せたなら、テグスをまいていきましょう。
ウィローモスはテグスの間から伸びていくので、テグスの間隔はだいたい5mmくらいが理想と言えます。
テグスをまき終えたらはみだし部分のカットを!
テグスをまき終えたら、長くはみ出している部分をカットしていきます。そのままでも構わないのですが伸びている部分を放置しておくと、その部分だけ大きくなって見栄えが悪くなるので、形を気にするならカットしておきます。
カットしたウィローモスの切れ端や、テグスの間から落ちてしまうようなウィローモスがないかを確認するためにも、バケツなどに水をはって活着させたウィローモスを軽く水洗いしましょう。
こうすることで水槽内に入れたときに、ばらばらになって散らばることを防ぐことができます。バケツに残った切れ端はそのまま巻き付けて使うことができます。
早く活着させるには光合成が重要なポイント
ウィローモスはCO2なし、弱い光でも育つ水草ですが、活着させるためには「仮根」という流木や石にくっつくための根が必要です。早く仮根を出して活着させたいのであれば、CO2の添加や光を与えて光合成を促すことが大切です。
光合成が盛んになってくると成長スピードも速くなるので、それだけ仮根が出るのが早くなるので活着も早くなります。
ただし成長が早くなると、トリミングもこまめに行う必要がある点は注意が必要です。
▼光合成に関してはこちらもご参考にしてください。
流木にウィローモスを活着させる際の注意点
ウィローモスを流木に活着させる場合も、基本的に先にお伝えした方法とほとんど変わりません。
活着させるための流木の選び方ですが、ウィローモスが成長したときのことをイメージすると次のような形状のもなら自然な雰囲気を出すのに理想的と言えるでしょう。
- 折れ曲がり部分が少なく枝分かれが多い
- 切断面がはっきりしていないもの
- 黒っぽくないもの
表面が硬かったり、黒っぽいものは木の皮が残っている確率が高いので避けたほうが無難です。木の皮は芯よりももろくなっているので、水中に入れておくことで腐ってしまったり剥がれてくることがあります。
そのためモスを活着させようとしても、水中に入れておいて皮ごと剥がれてしまうことがあるんです。
また流木はウィローモスを活着させる前に「あく抜き」を行っておきましょう。
あく抜きについてはこちらの記事で詳しく書かれています。
あく抜きがきちんと終わった流木を使用することで、流木についていた寄生虫や病原菌を水槽内に持ち込むことを防ぐことができますし、ブラックウォーターになる心配もありません。
▼流木への活着に関してはこちらもご参考にしてください。
ウィローモスのコケ対策
ボトルアクアリウムや、水槽内で水流がゆるい場所、また通水性が悪い場所にウィローモスを設置していると「茶ゴケ」や「糸状のコケ」が付きやすいです。
ウィローモスにコケがつくと、コケが葉を覆ってしまうため光合成ができなくなり成長が止まったり、枯れてしまうというデメリットがあります。
ウィローモスは葉がとても細かいため、一度葉にコケがついてしまうと人間の手では落としにくいです。
市販のコケ用の薬剤は、ウィローモスや他の水草にダメ―ジを与えてしまうことが多いため、ミナミヌマエビやタニシなどコケを食べてくれる生物で対策をとることをおすすめします。
コケを食べる生き物やコケ対策については、こちらの記事で詳しく書かれています。
またコケのついた葉をトリミングでカットして、コケを除去するという方法もあります。
水槽内にコケが発生するということは、水質が悪化しかけていることを示しているので、水槽内の環境も見直しておく必要があるでしょう。
まとめ:ウィローモスは活着や育て方が簡単!水槽レイアウトにぜひ取り入れてみよう!
ウィローモスはアクアリウム初心者でも育てやすい水草ですが、水槽内の環境によっては枯れたりコケが付きやすくなるため、育てる時にはこまめなトリミングを心がけ、水槽内の環境に注意する必要があります。
またトリミングに強いので、アクアリウム初心者のトリミング練習用としても最適と言るでしょう。
プレートに活着させれば水槽レイアウトで敷き詰めて前景に使用することもでき、大型の種類は中景~後景に使用できるなど、水槽レイアウトでも幅広い活躍を見せてくれます。
熱帯魚などの産卵床として使われることもある水草ですので、一度育ててみることをオススメします。

水槽のプロ トロピカライターの杠葉 狼です。
アベニー・パファーやバジスバジスなど小さくて綺麗な熱帯魚やベタ、ブラックゴーストなどちょっと変わった熱帯魚が好きです。
熱帯魚飼育初心者さんにお役に立つ記事を書いていきます。