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魚のお腹が膨らむ!腹水病とは・グッピーや金魚などかかりやすい魚と治療

観賞魚の飼育において病気はつきもので、中でも厄介な病気として「腹水病」が知られています。この病気はストレスを受けたり病原体に感染することで、消化器系を中心とした内臓疾患によって腹部に水が溜まってしまう病気です。

その結果、腹部が膨張してしまい鑑賞性が著しく低下し、病状が進行すると衰弱死してしまいます。この病気は致死率が高いことでも知られているので、早期発見・早期治療が重要です。ここでは腹水病について症状や原因、かかりやすい魚種やその治療法などをご紹介します。

腹水病とは?

症状

初期症状としては活動性の低下や食欲の減退が見られ、病状が進行すると腹部が膨張して白いフンを出すようになります。また、腹水病はポップアイ松かさ病を併発することが多く、り患してしまうと治療が困難です。

腹部が膨張する理由は後述する原因により、消化器系を中心とした内臓疾患が生じて腹部に水が溜まるからです。そのため、この病気は”腹水”病と呼ばれています。

原因

ストレス

観賞魚も私たちと同様に、生活環境が悪ければストレスを感じて免疫力が低下し、やがて病気にかかってしまいます。

ストレスになる要因としては、飼育水が不適切頻繁な水換え水換えの際に毎回網ですくって別の容器に移す餌の与えすぎエアレーションの不足、などが挙げられます。

飼育水の水温や水質が観賞魚にとって不適切な状態になっていると、ストレスになり弱ってしまいます。また、通常の水換えの時は網などで掬うと傷を作ってしまうこともあるので、観賞魚を別の容器に移してはいけません

さらに、餌を与えすぎたり、エアレーションが不足するとアンモニア亜硝酸の濃度が高くなり、観賞魚はストレスを感じてしまいます。

頻繁な水換えは一見すると良いことのように感じると思いますが、有害物質を分解するバクテリアの定着を阻害してしまうので、アロワナのような極端に水を汚しやすい魚種以外では推奨できません。

細菌感染

腹水病を引き起こす細菌として、「エロモナス・ハイドロフィラ(運動性エロモナス菌)」が知られています。この病原細菌は淡水や沿岸海水に常在しているため、魚の免疫力が正常であれば感染しません

しかしながら、前述したようにストレスを感じて免疫力が低下していたり、飼育水の汚れなどの原因で病原菌が異常繁殖すると細菌感染する場合があります。

運動性エロモナス菌が引き起こす病気としては他にも、赤班病や松かさ病、ポップアイなどが知られており、腹水病の症状に加えてこれらの病状が見られる場合は、細菌感染が原因である可能性が高いです。

不適切な餌とその与え方

腹水病の大きな要因として消化器疾患が分かっています。そのため、観賞魚に合わない餌を与えると消化不良などを誘発し、消化器官がダメージを受けることにより腹水病が発症することもあります。

また、餌に問題がなくても与え方が不適切な場合でも、消化器官にダメージを与えて腹水病を発症させてしまうことも考えられます。餌は観賞魚がきちんと活動している時間に与えて、消化に悪いものを与えていないか、餌が古くなっていないかなど確認してください。

腹水病にかかりやすい魚種とその理由

腹水病の報告が多い魚種としてはグッピー、金魚、メダカ、コリドラス、ベタ、ネオンテトラなどが挙げられます。ここでは、これらの魚種が腹水病にかかりやすい理由をご紹介します。

食性

まずは食性が雑食性であることが挙げられます。雑食性の魚種は肉食性の魚種よりも長い腸を持っており、その分だけ消化に長い時間を要します。よって、餌の良し悪しの影響を受けやすく、消化不良を起こした際に消化器系が損傷しやすいのです。
▼餌に関してはこちらもご参考にしてください。

品種改良の弊害と遺伝的多様性の低下

次に、品種改良の弊害や近縁個体同士の繁殖による遺伝的多様性の低下といった要因があります。グッピーや金魚などは品種改良を繰り返した結果、先天的に内臓が弱い個体が生まれることが知られています。

また、個人で繁殖を楽しむ場合に見られるケースとして、同一水槽内で世代が進んだ結果、遺伝的多様性が失われて病弱個体が生まれやすくことがあります。よって、繁殖を楽しむ場合には、定期的に外部から新しい個体を迎えた方が安全です。

不適切な飼育環境

そして、これらの魚種は一般的に丈夫で飼育しやすく、ベタを除けば混泳相性も良いので、過密飼育や不適切な水質での飼育など、ストレスになりやすい環境で飼育されているケースが散見されます。

観賞魚が適応できる環境と快適に暮らせる環境は別なので、これらの魚種に対しても生活しやすい飼育環境を作ることが大切です。
▼に関してはこちらもご参考にしてください。

腹水病の治療方法

腹水病の疑いがある場合、まずは病気の拡散を防ぐために病魚を隔離しましょう。その後の治療法について以下で紹介します。

塩水浴

方法

塩水浴は腹水病に対して直接の治療効果は持ちません。しかし、観賞魚の浸透圧調節を助けてストレスを軽減することにより、自然治癒する力を高めることが可能なので、病気の初期段階であれば治療効果を望めます

方法としては、食塩カルキ抜きした水道水に濃度が0.3~0.5%になるように溶かし、通常の水合わせの要領で隔離した容器の飼育水と入れ替えます。ちなみに、0.3~0.5%の濃度になる食塩の量は水1Lに対して3~5gです。

塩水浴を行っても症状に改善が見られない場合は、後述する薬浴を並行して行う必要があります。

注意点

塩水浴の注意点としては、バクテリアが存在しにくい環境になり、水質が悪化しやすいので水換えを小まめに行うことと、餌の量を少なくすることです。

特に始めてから2~3日の間はアンモニアや亜硝酸が蓄積しやすいので、水換えは毎日行う必要があり、その間は餌も与えない方が良いです。治療が完了して塩水浴を終了する時は、水合わせを行ってから飼育水槽に戻してください。

薬浴

動物用医薬品 ニチドウ ニチドウ 観パラD 10ml

方法

薬浴は魚病薬を飼育水に添加して観賞魚を治療する方法です。前述した塩水浴と併用することも一般的に行われています。腹水病に効果がある魚病薬は「観パラD」や「グリーンFゴールド」が挙げられます。

また、魚病薬ではないのですが、「ニトロニダゾール」と呼ばれる化学物質が腹水病の病原体に効果があるとされており、その成分を含む薬として医薬品の「フラジール」が有名です。

魚病薬を使った薬浴の方法は基本的には塩水浴の場合と同様で、濃度についてはパッケージに記載されている規定量で行ってください。

フラジールの場合は錠剤の形で販売されているので、まずは粉末の状態に砕いて濃度が2.5~5.0ppm(0.00025~0.00050%)になるようにカルキ抜きをした水道水に溶かします。この濃度になる具体的な分量は水1Lに対して、薬剤2.5~5.0mgです。

後は、魚病薬の場合と同様に水合わせの要領で飼育水と交換し、必要に応じて水換えを行ってください。

注意点

薬浴を行う場合は、フィルターは使用しないでください。フィルター中に活性炭などの吸着性のろ材が入っていた場合、薬効成分を吸着してしまい魚病薬が十分な効果を発揮できない可能性が生じます。

また、ろ材に定着しているバクテリアに悪影響を及ぼす可能性もあるので、水質の悪化に対しては水換えで対応してください。

ココア浴

方法

ココア浴は名前の通り、ココアを溶かした水で行う治療法です。しかし、この手法は人によって評価が分かれる方法なので、実行するのであれば自己責任で行う覚悟が必要です。

人がココアを摂取した際の薬効は認められているので、観賞魚に対しても薬効が発揮されることは十分に考えられ、実際にココア浴で腹水病の治療を成功させた例もあります

方法としては、砂糖などが入っていない純ココア0.02~0.05%の濃度になるように、カルキ抜きをした水道水に溶かします。同濃度になる分量は水1Lに対して純ココア0.2~0.5gです。あとは水合わせ時と同様にして飼育水と交換します。

注意点

ココアはカカオ豆から作られているので、食品としての品質には問題がなくても、生産された季節や年によって薬効成分が増減していることは十分に考えられます。よって、同じ純ココアを謳う製品であっても治療効果にバラつきが出る可能性があります。

それから、ココア浴を行う場合は、前述した塩水浴や薬浴を併用することはできません。また、ココア浴の場合も薬効成分が吸着されてしまったり、バクテリアがダメージを受けることがあるので、フィルターの使用は避けてください。

まとめ・腹水病にかかりやすい魚と治療法について

腹水病はグッピーや金魚、メダカなどアクアリウムで人気の魚種に多く見られる病気です。一度発症すると治療が難しく、致死率も高い厄介な病気として知られています。

他の病気以上に早期発見・早期治療が重要になるので、日頃からよく観察すると同時に、魚たちにとってストレスが少なく快適に暮らせる環境を整えてあげることが大切です。