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金魚の塩水浴とは!塩水浴の効果・濃度・期間・戻し方を徹底解説します!

塩水浴とは、通常は淡水で飼育している金魚を、短期間塩水で飼育することを言います。

濃度を調整した塩水には金魚の回復力を高める効果があり、主に病気や年齢により弱っている金魚の体力回復を図るために用いられています。

しかし、適切な方法で塩水浴しないと効果がないどころか、ダメージを与えてしまうことも少なくありません。

そこで、今回は塩水浴について詳しく解説します。方法や濃度だけでなく、期間、戻し方にも触れるので塩水浴を試そうとしている方、もしくは塩水浴について知りたい方は参考にしてみてください。

金魚に塩水浴が効く理由

金魚に塩水が効く理由には、浸透圧と金魚の得意な水質が関係しています。

それぞれ解説していきましょう。

金魚と浸透圧の関係

金魚に塩水浴が効く大きな理由の一つに“浸透圧”が関係しています。

浸透圧とは、簡単に説明すると塩分濃度の低い方から高い方へ水分が移動する現象のことです。

例えば、野菜を塩もみして水分を抜く調理法がありますが、これも浸透圧を利用しています。浸透圧によって水分が外に抜けていくということですね。

浸透圧についてはコチラの記事も参考にしてください。

これを金魚に置き換えてみましょう。

金魚の体内の塩分濃度は0.6%程度に保たれており、淡水である飼育水のほうが金魚自体よりも塩分濃度が低いことになります。
そのため、飼育水は常に金魚の体内に侵入してこようとするのです。

健康な金魚は、水を通さない粘膜を体表に作って水の侵入を防いだり、不要な水分を尿として排出することで、体内の水分と塩分のバランスを保っています

健康な状態であれば問題ありませんが、体調不良や病気で体力が落ちていると、この体内のコントロールに体力を奪われてしまい、金魚にストレスを与えてしまうことになりかねません。

そこで、飼育水を金魚の体の塩分に近い0.5%に調整してあげると、浸透圧の差がなくなり、金魚が自分で体内のコントロールをしなくても過ごせる環境になります。

体内の調整に使っていた負担を減らし、その分を体力の温存や自然治癒能力に力を割くことができる、というのが塩水浴の仕組みです。

金魚の粘膜についてはコチラの記事も参考にしてください。

金魚は弱アルカリ性(pH7.0)が得意

金魚は中性~弱アルカリ性の水質を好みます

長期間飼育しているとどうしても酸性に偏りがちなので、定期的に水換えをしなければなりません。その点、塩はミネラルを含んでいるため水質をアルカリ性に傾ける効果が期待できます。ちなみに、水質をアルカリ性に調整することで有名な牡蠣殻もミネラルを豊富に含んでいます。

塩水浴は浸透圧の差を無くすだけでなく、水質の面でも金魚に適した環境を整えることが可能です。

金魚の水質についてはコチラの記事も参考にしてください。

金魚の飼育水は塩分があると良い?

浸透圧や水質の面で塩分が効果的であれば「普段から塩水にしたら良いのでは?」と考える人も少なくありません。

たしかにその通りで、実際に、病気の治療で体力が落ちたり高齢だったりなど、体力面で心配がある金魚を飼育している方の中には常時塩水で飼育してい方もいらっしゃるようです。
また、ミネラルの補給など、飼育水の調整目的で常時少量の塩を混ぜている方もいます。

しかし、塩水の維持には手間がかかりますし、何より塩水は金魚の体を守る粘膜を剥離させてしまうこともあるため、逆に病気にかかりやすくなるなどのデメリットも存在します。

粘膜の剥離は、塩分濃度0.05%程度の少量の塩分でも多少は起きるため、塩水浴で体力が回復しても、長期間続け過ぎると金魚自身の持つ雑菌への抵抗力が弱まってしまうことがあります。

そのため、基本的に塩水浴は必要に応じて行うものと考えたほうが無難です。

金魚の状態や、塩水浴によるメリット・デメリットを考慮して、塩水浴を行うかどうかを判断するようにしましょう。

金魚の塩水浴の方法・ポイント

塩水浴は、適切な方法と塩分濃度を守ることで初めて“良い効果”をもたらします。

塩水浴の対象となる金魚は基本的に体調を崩している状態なので、方法を誤ると“とどめの一撃”になりかねません。塩分濃度や塩水浴の方法を正しく理解してから、慎重に行いましょう。

ここでは塩水浴の方法とポイントについて解説します。

塩水浴についてはコチラの記事も参考にしてください。

金魚への塩水浴の効果

金魚への塩水浴の効果は以下の通りです。

  • 浸透圧の調整による体力の温存
  • ミネラルの補給
  • 殺菌効果

前述した通り、金魚は体内の水分と塩分の量を維持するために常に体力を消費しています。塩水浴を行うことで、浸透圧による体の負担を軽くし、体力を温存することが可能です。

また、塩から得られるミネラルは生き物には必須の栄養素で、傷の回復や免疫力に関与します。

この二つの効果により“自己治癒能力”が向上するため、体調不良時に塩水浴を行うことは効果的とされています。

最後に、塩には殺菌効果があるという話を聞いたことがある方も多いと思いますが、金魚についた寄生虫や病原菌に対しても、塩が殺菌効果を発揮する可能性があるということも、塩水浴の効果といえるでしょう。

金魚の病気の対処法についてはコチラの記事も参考にしてください。

塩水浴の方法、塩分濃度と水質管理

塩水浴を行うにはまず、通常飼育している水槽とは別に塩水浴用の水槽や容器を用意します。

通常飼育している水槽に塩を入れてしまうと、水草や他の生体、バクテリアなどに悪影響を与えてしまう可能性があるからです。

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塩水浴では、水換えの際、9割~全量を換水する必要がありますので、容器は2つ用意しておくと便利です。
また、白点病などの昇温治療が必要な魚の塩水浴の場合は、バケツではヒーターが使えませんのでガラス水槽を用意しましょう。

用意した容器にカルキ抜きして、水温調整を行った水を入れ、塩水浴を行う金魚を移し入れます。

次に、水を塩水にしていくのですが、この時、塩水の塩分濃度が0.5%になるように水量と塩の量を調節します

濃度0.5%の塩水は、水1Lに対して塩5gで作れる計算です。

余談ですが、飼育水の水質調整の目的で塩を入れる場合は、水槽内の塩分濃度は0.05%になるよう調整しましょう。

一度に塩をすべて入れてしまうと、金魚の負担となってしまいますので、数回に分けて少しずつ塩を入れながら塩分濃度をあげていきましょう

数時間かけて濃度をあげていき、最終的に0.5%になるようにするのが理想です。

塩水浴中の水換え

新しく用意した塩水では、水を浄化してくれるバクテリアの働きがないため、最低でも1~2日に1回のペースで水換えを行います。

水の汚れを防止するために、一度の水換えで9割~全量を換水します。このとき、新しい水も塩分濃度を0.5%に調整した塩水を用意してください。

塩水浴中は、金魚から排出された古い粘膜などもたまっていくため、常に新しい塩水に保つのが理想です。

ただし、あまりに弱った魚だと、水換えが負担になりますので、金魚の様子をみながら行いましょう。底で動かない状態の場合は2/3程度の量を毎日換水したほうが体力を温存できます。

塩水浴中の餌やり

塩水浴中は、基本的に餌を与える必要はありません

餌を与えて体力をつけさせたくなりますが、金魚は元々消化器官が未熟のため、体調を崩しているときに餌を食べると消化不良を起こしやすいです。

また、塩水浴では別の水槽や容器に移すのでバクテリアがほぼいない状態となり、水中のアンモニアや亜硝酸の分解が上手くいかずに金魚が中毒症状を起こす可能性がある点からも、餌はあまり与えないほうがよいと考えられます。

金魚は1~2週間程度餌を食べなくても飢え死にするようなことはありませんので、安心して断食してください。

塩水浴期間と真水への戻し方

塩水浴の期間の目安は1週間です。

その間は状態を確認しつつ、病気の症状が悪化、もしくは長期化しそうであれば薬浴への切り替えも検討します。

前述のとおり、塩水浴中は金魚に餌を与えないという観点からも、1週間という期間を1つの区切りとしたほうが良いでしょう。

1週間経過しても症状の改善が見込めない場合は薬浴、もしくは少量の餌を与えて塩水浴を続行します。塩水浴を続行する場合は、水換えを行いながら0.5%の塩分を維持するようにしましょう。

また、塩水浴から真水に戻すには水換えするしかありません。その際にいきなり新しい水にするのではなく、毎日少しずつ塩分濃度を薄めていくと金魚の負担がなくスムーズに移行できます。

金魚におすすめの塩3選

塩水浴に使う塩は普通の食塩でも構いませんが、専用の塩はゆっくり溶ける形状をしていたりミネラルが豊富だったりと、塩水浴に適したものになっています。

ここでは、おすすめの塩を3つご紹介します。

スドー 金魚の天然珠塩

スドー 金魚の天然珠塩 1kg

塩水浴や水質維持に効果的な天然塩です。

1Lと容量も十分で、ビーズのような形状により少しずつ溶けるため塩分が急激に上がることがありません。また、1杯5gの計量スプーンが付属しているのも嬉しい点です。

ビーブラスト 究極のあら塩

ビーブラスト (B-blast) 究極のあら塩 250g

ミネラル豊富な3種類の塩をブレンドすることで塩水浴だけでなく、水質維持を目的としたミネラル補給の面でも効果的です。

その際は濃度が0.05%になるよう調整しましょう。こちらも計量スプーンが付属しています。

水作 塩タブレット

水作 塩タブレット

天然塩をタブレット状にしたものです。

タブレットの数だけで濃度を調整できるので計量する必要がありません。非常に扱いやすいので、初めて塩水浴を試みる方にもおすすめです。

まとめ:金魚の塩水浴とは!塩浴の効果・濃度・期間・戻し方を徹底解説します!

塩水浴は金魚を長期間飼育する上で欠かせない技術です。

体調不良を改善する方法として比較的簡単なので、初心者の方でも心配ありません。調子がおかしかったり病気の可能性があったりなどした際に実践してみてください。

治療法というだけでなく予防法としても効果的です。

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コメント

  1. たか より:

    飼育水槽に塩入れた場合、バクテリアは死んでしまうのでしょうか?

    • 中島 より:

      濃度によります。0.3%ぐらいまでなら意外と硝化作用は平気なこともあります。
      0.5%になると、硝化バクテリアもダメージを受けるようですね。

  2. やす より:

    記事の中に塩分濃度0.5%と0.05%が、混在してます。

    • 中島 より:

      ご指摘ありがとうございます。
      0.05%は塩水浴ではなく健康維持目的での濃度です。
      読みやすく修正いたしました。