水槽管理にはいくつか注意しなければならない点がありますが、そのうちの1つに「水槽内の酸素量を適切に保つ」ということがあります。
酸欠が起こった場合、水質悪化が早まる、魚たちが水面に浮いてきて苦しそうにぱくぱくする、元気がないなどの変化が見られます。
心当たりのある方は、すぐに対策を立ててあげましょう!こちらの記事では、酸欠になる原因、そしてその対策について解説していきます。
目次
飼育水槽が酸欠になる原因
では、飼育水槽が酸欠になる原因を1つずつ見て行きましょう。
原因がわからないと対策は立てられないので、原因とその理由を理解しておくことはとても大切です。
水温上昇で酸素が減る!
水温が上昇すると、水の中に溶け込める酸素の量は減少します。
専門用語では「溶存酸素量」といいます。
例えば、水温25℃の水1Lには8.84mgの酸素が溶け込みますが、水温が30℃になると溶け込める酸素量は7.53mg、1.31mgの酸素が減少します。
この数値は1Lの水のものなので、大型水槽であればかなりの量の差になってしまいます。
水流不足
水槽の中で生きているのは、飼育している生体だけではありません。
水を綺麗にするためのバクテリアたちも生きています。こういったバクテリアたちも生きている間、酸素を必要とします。
水槽内の水流が不足すると、酸素を含む水がすみずみまで行き渡らず、ろ過フィルターにいるバクテリアたちが酸欠になる恐れがあります。
水槽内の水流を、適度に保つように注意してください。
生体が大きい・多すぎる
水槽内で最もたくさんの酸素を必要とするのは、もちろん飼育している生体たちです。
生体は大きなサイズのものほど、たくさんの酸素が必要です。また生体の数だけ、酸素を消費します。
水槽内の水の量と、飼育している生体のサイズ、密度が適切かどうか、気を配ることが大切です。
水槽の酸素量を増やす・保つ対策
では、どのようなことを行うと水槽内の酸素量を確保できるでしょうか?
エアレーション
エアレーションを行うと、水中に放たれる気泡に含まれた酸素が、水の中に溶け込んでいきます。ですので酸素不足の危険を感じた場合、一番効果があるのはエアレーションです。
エアレーションを行うのに必要なアイテムは、エアポンプとエアストーンです。
エアポンプはうるさいから使いたくないな、という方にオススメなのがこちらのポンプです。かなりの静音です。デスクの上などに直接置くと振動で騒音が発生するので、フックなどで吊り下げることでも騒音を防ぐことができます。
エアストーンは水槽のサイズに合わせて検討しましょう。
長いエアストーンはたくさんエアレーションを行えますが、水槽サイズが小さいと使うことができません。また、エアレーションが過剰になると水が蒸発しすぎるという弊害もあります。
こちらで紹介したいぶきのエアストーンは丈夫でポロポロと崩れません。とても長持ちすることで知られており、初心者の方には特にオススメです。
クーラーや冷却ファンで飼育水・温度の上昇を防ぐ
水温が上昇すると溶け込む酸素の量が減少してしまうのですから、水温が上昇しすぎないようにクーラーや冷却ファンで水温を調整するのも大切です。
水温の過度な上昇を抑えると、水質悪化や、魚の体調不良も起こりにくくなるので、メリットはたくさんあります。酷暑が増えている日本では大切な設備です。
水槽用クーラーは、水槽用アイテムのなかでも高価な部類に入ります。手が出ないな、という方はルームエアコンをオンにすることでも水温上昇を防げます。
ルームエアコンを使うことによる電気代の上昇が心配な方は下の記事をご覧ください。
他にも、冷却ファンを使うことで水槽の水温上昇をおさえることができます。
冷却ファンは言ってみれば扇風機のようなアイテムですから、クーラーに比べるとかなりお安く手に入れることができます。
冷却ファンを使うと水の蒸発が早くなるので、水位には注意して使用しましょう。
全体的な水量を増やす
上でご説明した通り、水温によって水1Lに溶け込む酸素の量は変わります。
だったら全体の水を増やしてやれば、水槽内の酸素が増える!そう、その通りです。
特に「生体が成長してきてサイズアップした」「計算してみたら、今の水槽では高密度飼育であることがわかった」場合は、より大きなサイズの水槽に変え、全体の水量を増やすことが最も効果的な方法です。
水草の数を調整する
水草は光合成を行いますので、むしろ酸素を放出してくれるはず、と考えてしまいます。
その考えは正しいのですが、水草が光合成を行うのは光がある時だけです。光合成は光のエネルギーを用いて行うものですからね。
ですから、ライトが消えている時間、夜間は水草も光合成は行いません。ですが生きていくために水草も酸素を消費しています。
「水草は入れた方が酸素は増えるはずだ!」と考えて、ワサワサと水草を植え込みすぎると、夜間に酸欠が起こる可能性があります。実際に「うちの水槽の魚は、朝が一番元気がない」と感じる方もいらっしゃるほどですから、水草の量は適切にしてください。
どのくらいが適量なのか、疑問をお持ちの方は以下のリンクをご覧ください。
まとめ:暑い季節の酸欠を防ごう!原因と対策と水槽の酸素量を適切に保つ方法!
暑い季節になるほど、水槽内の酸素は減少する傾向にあります。
水草もよく繁茂するのでなおさらですね。
お持ちの水槽内の酸素が十分かどうかは、生体の様子を観察することである程度は判断できます。
酸欠が起こらないよう、原因と対策をしっかり把握しておきましょう!

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