動植物の飼育・育成はもちろん、生きたインテリアとしても楽しむことのできるパルダリウム水槽。
熱帯雨林に生息する生き物や植物を取り入れるのがパルダリウムの基本とも言われていますが、レイアウトのベースとなるのが種類豊富な「苔」などの植物です。
そこで今回はパルダリウム水槽を美しく彩る苔について、おすすめのものを全部で7種類ご紹介していきます。
見た目が可愛らしく容易に育成できるものを中心にピックアップしてみましたので、パルダリウムだけでなく苔テラリウムや苔玉の制作などにもお役立てくださいね。
パルダリウムにおすすめの苔7種
それではパルダリウムにおすすめの苔ということで、今回は以下の7種類の苔についてご紹介をしていきます。
- ホウオウゴケ
- アラハシラガゴケ
- スナゴケ
- ハイゴケ
- シノブゴケ
- コツボゴケ
- ヒノキゴケ
気になる苔がありましたら、しっかりとチェックしておきましょう!
ホウオウゴケ
まずはじめにご紹介するのは、山地や沢で自生していることの多い苔の一種、ホウオウゴケです。
鳳凰(ほうおう)の羽に似たみやびな形の葉が特徴的で、湿度の高い半日陰の環境を好みます。
乾燥や高温にさらされると葉が黄色く変色しやすいので注意しましょう。
ホウオウゴケは仮根が出やすいので、流木や石などに活着させて楽しむこともできます。
鮮やかな濃い緑色の葉を保つためには、直射日光を避けたレイアウトでこまめに水分を与えることが鉄則です。
ミスティングシステムを導入すると、外出中も自動で霧を吹きかけることができるので安心ですね。
アラハシラガゴケ
やや乾燥気味の半陽地に群生する、アラハシラガゴケ。
こちらは盆栽の下地にも定番な山苔の一種で、小さな山のようにこんもりとした形で群生します。
苔の中では乾燥に強い部類に入るため、葉を常に湿らせておく必要はありません。
むしろ湿潤環境は苦手なため、高湿度の環境や水の与えすぎには注意しましょう。
土壌や空気が乾燥すると葉が白っぽく変色しますが、水を与えると綺麗なモスグリーンに戻ります。
天然のアラハシラガゴケは杉の木の根本に生えていることが多いため、レイアウトする際は地面に群生させるとより自然な見た目になりそうです。
スナゴケ
日当たりの良い砂地や石垣の上に群生するスナゴケは、あらゆる環境への適応力が強く初心者向けの苔としても知られています。
黄緑色をした葉は上から見ると星くずのようで、とても可愛らしいですよね。
乾燥して葉を閉じたスナゴケに霧吹きすると、ふわっと一気に葉が開く姿を見ることができます。
明るく適度に乾燥した環境を好む苔なので、レイアウトする際はライトや日光が当たる風通しの良い場所に配置してやりましょう。
室内の照明だけだと光量不足でうまく育たないことがあるため、テラリウムなどで使う植物用のライトを取り付けるのがおすすめです。
ハイゴケ
パルダリウムはもちろん、テラリウムのレイアウトにも使われることの多いハイゴケ。
こちらも乾燥に強く育成がしやすいビギナー向けの苔として知られています。
空気がよどみ光の不足した容器や水槽内だと上に伸びてきてしまうため、マット状にはわせたい場合は通気が良く適度に光が当たる環境で育てましょう。
ハイゴケは日本のほとんどの地域で自生していて、日当たりの良い道端から日陰の岩の上などあらゆる場所で見かけることができます。
仮根を張ることが少ないため採取も容易です。
苔の採取方法については以下の記事で解説していますので、是非参考にしてくださいね。
シノブゴケ
繊細に枝分かれした葉がとても美しいシノブゴケは、湿り気のある林や沢の周囲に多く自生しています。
どちらかというと日陰を好みますが、光の当たる環境でも綺麗な緑色を維持できる丈夫な苔の一種です。
ただし丈夫ではあるものの、乾燥を繰り返すと葉先が茶色く変色して枯れてしまいますので、十分な湿度を保つ環境で育ててやりましょう。
パルダリウム水槽では水槽の下の方、あまり光の当たらない場所に配置すると、鮮やかな緑色を保つことができるのでおすすめです。
シノブゴケもハイゴケ同様、密閉空間では上方に細長く、通気性の良い空間では平べったくマット状に成長します。
コツボゴケ
ガラス細工のように透明感のある葉が特徴的なコツボゴケ。
沖縄名産の海ぶどうのような可愛らしい見た目をしていることから、人気が高まりつつある苔としても知られています。
コツボゴケは日本の全域で見られる在来種です。
湿潤した半日陰~日陰の環境を好み、水路のふちや石灰質の壁などに多く着生しています。
庭に自然と生えることもあるようです。
かなり丈夫な苔なので、多少の乾燥や光の当たる空間でも枯れることはめったにありません。
ただし乾燥を繰り返すと葉先が枯れてカビが付くことが多いため、変色した部分はこまめにトリミングをしましょう。
ヒノキゴケ
別名「イタチノシッポ」とも呼ばれるヒノキゴケ。
触るととても柔らかくフサフサとしていて、葉は細長く繊細な形をしています。
葉先に向けて明るくなるグラーデーションのような色味がとても美しい苔です。
ヒノキゴケは稲穂のように直立に近い形で成長していくため、背の高さを生かして水槽の奥の方に配置すると立体感を出すことができます。
環境としては湿度の高い半日陰を好むため、乾燥に気を付けながら育成しましょう。
根腐れを起こしにくい苔なので、水は十分に与えてやるのがおすすめです。
苔の組み合わせで密度を出そう
ここまでご紹介してきたように、苔は種類によって高さや色・密度が異なります。
苔の特性をよく理解し組み合わせてレイアウトすることで、クオリティを高く仕上げることができるのです。
また、観葉植物同士との隙間を埋めたり、背面に盛った土に苔を植えることで、繊細な奥行きも出せます。
乾燥や湿り過ぎ、通気性などに気を付け苔を美しく保つことが、パルダリウムの品質を底上げする方法です。
そして、さらに本格的なパルダリウムを目指したい場合は水槽を特注してみるのもおすすめです!
扉の仕様やコードの配線などにもこだわった水槽を作ることができるので、気になる方は以下の記事をご覧になってみてくださいね。
まとめ:【パルダリウム制作に必須】パルダリウム水槽を美しく彩るおすすめの苔!
今回はパルダリウム水槽に欠かせない苔について、おすすめのものを7種類ご紹介してきました。
ひとことで「苔」といっても適した育成環境や形状、色味などがそれぞれ異なり、種類によってさまざまな個性を楽しむことができます。
いかに苔の特性を生かし美しく保てるかがパルダリウムの品質を左右する重要な要素となってきますので、好みのレイアウトに合った苔を見つけて上手に育ててみてくださいね。

トロピカライターの井上あゆみです。
金魚から熱帯魚・海水魚まで、全部で20種類程度のお魚を飼育してきました。
お気に入りはイエローヘッド・ジョーフィッシュ。怒ったような顔をしているのに、実はかなり臆病というなかなか憎めない海水魚です。アクアリウム初心者の方でも楽しく読めるような記事を書いていくので、よろしくお願い致します!