カラフルな体色とコケをついばむ仕草がかわいらしい「チェリーシュリンプ」は、飼育が簡単で繁殖にも挑戦できるアクアリウムでは大人気のエビです。
大掛かりな飼育設備は必要なく小型水槽やボトルでも飼育できて、手軽に飼い始められる点も魅力の1つでしょう。丈夫な種類なので、あまり手をかけなくても育てることはできますが水質や水温、餌などに気を配ると体調が安定しやすく、長期飼育につながります。
飼い始めたからには末永く元気な姿を眺めたいと思うのが、飼育者の本音ではないでしょうか。
そこで今回は、餌や水質など飼育の基本・必要なことを解説しつつ、チェリーシュリンプの飼い方をご紹介します!
目次
チェリーシュリンプとは
ここでは、チェリーシュリンプの特徴や種類を解説します。
基本情報は飼育や生体選びに役立つことがあるので、飼育方法の前に目を通してみてください。
チェリーシュリンプの特徴
「チェリーシュリンプ」はカワリヌマエビ属のエビで、4cm程と小型です。
体色は黒・茶色っぽく目立ちませんが、突然変異によって現れたレッドやイエロー、ブルーなどを固定した品種がアクアリウムでは広く流通しています。寿命は1~2年程ですが繁殖させやすいので、累代させて長期飼育を楽しむことも可能です。
チェリーシュリンプの種
チェリーシュリンプは日本に生息するミナミヌマエビと近い種類です。
品種改良が盛んで、
- レッドチェリーシュリンプ
- イエローチェリーシュリンプ
- ブルーチェリーシュリンプ
- オレンジチェリーシュリンプ
といったカラーバリエーション豊富な品種が作出されています。
見た目が華やかなので、タンクメイトとしてはもちろん、水槽のアクセントとして入れる人も少なくありません。
チェリーシュリンプの飼育方法
チェリーシュリンプはミナミヌマエビと近いだけに、飼育方法も簡単です。
- 水質
- 水温
- 餌
など、基本的なことを押さえることができれば、安定した飼育も難しくありません。
水質・水温
チェリーシュリンプの飼育では、pHが弱酸性~中性の水質が向いています。
水質を安定させるために、ソイルの使用もおすすめです。水温に関しては、15~27度ほどであれば問題ありません。
ただし、水質や水温の急変には弱いので、水槽に入れる際は水合わせ・水温合わせを入念に行い、水換えでは少しずつ水を入れるようにします。
室内の水温が低下しにくい場所であれば、冬場でも水槽用ヒーターを使わなくても飼育できますが、下がり過ぎる、もしくは安定しないようなら加温してあげましょう。一方で、夏の高水温は水槽の置き場所を変えたり、すだれを使ったりなどして対策します。
熱帯魚と混泳できる!
飼育可能な水温を考えると、熱帯魚と混泳させることができます。
ただし、カラフルで目立つうえに、好んで食べる魚も少なくないので混泳相手には注意しましょう。肉食魚は高確率で捕食してしまうので避けた方が良いです。
大人しい小型熱帯魚(ネオンテトラやオトシンクルス)であれば、お互いに干渉することなく、にぎやかな水槽を楽しむことができます。
チェリーシュリンプの餌について
体の大きさからも予想できる通り小食なので、食料になる水草(ウィローモスなど)があれば餌を与えなくても問題なく飼育できます。
しかし、たくさん飼育している場合や繁殖させたい場合は、専用のエビタブがおすすめです。ちなみに、コケや餌の食べ残しも食べてくれるため、メンテナンスフィッシュとして導入するケースも少なくありません。
チェリーシュリンプの繁殖
チェリーシュリンプの繁殖は難しくありませんが、注意点が3つあります。
- カラーは単色で繁殖させよう
- 抱卵したら隔離しよう
- ミナミヌマエビと交雑することがある
気を付けないと本来の体色が失われたり、食べられたりして思ったように繁殖させられないことも少なくありません。
カラーは単色で繁殖させよう
先ほどお話しした通り、チェリーシュリンプにはさまざまなカラーの品種がいますが、繁殖させる場合は単色にするようにしましょう。
別のカラー同士をかけ合わせると、原種に近付き、黒・茶色っぽい体色になってしまう傾向があります。せっかくの鮮やかなカラーが失われては悲しいものがあるので、繁殖は同じカラーがおすすめです。
また、意図していなくても別カラーを混泳させていると勝手に繁殖して、気が付くと地味なカラーが増えていることがあるため、体色を維持したい場合は複数のカラーを混泳させない方が無難です。
抱卵したら隔離しよう
効率良く繁殖させたい場合は、メスが抱卵したらすぐに隔離しましょう。
生まれたばかりの稚エビは魚の格好の餌なので、小型魚であっても水槽や飼育容器を分けた方がよいです。ウィローモスは餌になるだけでなく、エビが落ち着くので繁殖・隔離ケースともに入れてあげましょう。
ちなみに、チェリーシュリンプのメスは、
- 体色が濃く鮮やか
- 体が大きい
- 尾部のひだ(卵を抱える部分)が大きい
- 体内に黄色がかった卵巣が確認できる(成熟している場合のみ)
といった特徴があるので、雌雄判別の目安にしてみてください。見分けがつかない場合は多めに10匹程度入れておくと、オス・メスがいる可能性が高いです。
ミナミヌマエビと交雑する!?
チェリーシュリンプはミナミヌマエビと近い種類なので、交雑してしまいます。
別カラーのチェリーシュリンプをかけ合わせた場合のように鮮やかな体色が失われることがあるので、混泳は避けた方が良いでしょう。
また、自然の河川や池に放すと在来種のミナミヌマエビと交雑してしまい、遺伝子が乱れてしまう可能性がある(遺伝子汚染)ので、むやみに放流してはいけません。一度飼い始めたら終生飼育を原則にして、責任もって面倒を見ることが大切です。
まとめ:チェリーシュリンプの飼い方!餌や水質など飼育の基本・必要なことを解説
チェリーシュリンプは小さいながらも、鮮やかな体色で目を引く人気のエビです。
エビだけの水槽を楽しむのはもちろん、熱帯魚の混泳相手や水槽をきれいにしてくれるメンテナンスフィッシュとしてもおすすめなので、興味のある方は飼育に挑戦してみてください。
魚とはまた違った魅力がありますよ。

トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。