メダカは丈夫で大掛かりな飼育設備が必要ないことから、子供と一緒に自宅で飼育が楽しめる魚です。
繁殖することもあるため、飼育することで生き物の成長過程や生命のサイクルを学ぶことができます。
小学校の教材や童謡、絵本など様々な機会で目にすることの多いメダカを「飼ってみたい!」と子供にお願いされることもあるでしょう。
しかし、飼育するには飼育用品を揃えることはもちろん、親がメダカの育て方を知っていないと上手くいかないことも少なくありません。
そこで今回は、メダカの成長や産卵を子供と観察するために必要なものと育て方をご紹介します。
メダカから学べる事
子供と一緒にメダカを飼育するならば、この経験から『何か』を学び取って欲しいと考える親御さんは多いと思います。
そこでここでは、メダカの成長や産卵を通して学べる・伝えられる事をご紹介します。
- 産卵と成長過程を観察できる
- メダカたちの行動や性質を知れる
- 生命のサイクルを感じられる
メダカを観察する目的ともいえるので、詳しく解説していきます。
産卵と成長過程を観察できる
メダカは飼育・繁殖が簡単な魚なので、産卵と成長過程を観察できます。
水質や水温の変化に弱かったり、繁殖条件が難しかったりすると生き物観察のハードルは高くなります。
メダカの場合は、大掛かりな飼育設備は必要ありません。水槽と簡単なろ過フィルター・エアレーションがあれば、子供と一緒に飼育できます。
また、成長速度と孵化してから繁殖できるまでの期間が短いため、比較的短期間で成長から産卵まで観察することが可能です。初めて魚を飼育する方でも産卵と稚魚からの成長過程を観察できるのは、メダカならではです。
メダカたちの行動や性質を知れる
メダカを観察することで、行動や性質を知ることができます。
- 昼に活動する
- 視覚が良い
- 仲間同士で距離感がわかる
など、間近で見ないとわからないことも少なくありません。メダカは身近な河川や湖沼にも生息していますが、広い空間を自由に泳ぎ回っている野性のメダカを、集中して観察することは難しいです。水槽で飼育することで、自然の中でどのように過ごしているかわかるのは、メダカ飼育のメリットといえます。
メダカを観察することで生き物への関心が深まりますし、自然に目を向けるきっかけにもなります。
生命のサイクルを感じられる
メダカは繁殖しやすい魚なので、生命のサイクルを感じることができます。
メダカの一生は、
- 産卵
- 孵化
- 成長
- 繁殖
という流れです。産むものが子・卵の違いはありますが、この流れは多くの生物に当てはまります。
メダカの飼育を通して生き物が「生まれてどこに向かうのか」理解することができます。これは、実際に生き物と接して直に感じることが大切です。
もちろん、メダカの観察で生命のサイクルをすべて理解することはできませんが、考え方の基盤になるのは確かでしょう。
メダカ観察についての疑問7つ
ここからは、メダカを観察するときに悩みやすいポイントを7つご紹介します。
- 必要な飼育用品
- 飼育環境
- メダカの飼育と繁殖方法
といったことを中心に、メダカを初めて観察・飼育する方が抱きやすい疑問にお答えしていきます。
疑問1:観察に必要な飼育用品とは?
メダカを飼育するには、まず最初に以下の3つを用意します。
- 飼育容器(水槽)
- ろ過フィルター
- 水槽用照明
メダカの飼育容器は、観察しやすい透明なものがおすすめです。
プラスチックケースでも十分飼育できますが、安定性があって丈夫なガラス製の30cm水槽などが良いでしょう。プラスチックは1~2年で劣化するのに対して、ガラスは7年以上使用できます。
水槽で魚を飼育するためには、水中に酸素を供給したり、水をろ過してきれいな水質を保ったりするろ過フィルターを用意します。スポンジフィルターや投げ込み式フィルターであれば、エアーポンプに接続することで簡単に設置できるのでおすすめです。
もしくは、エアーポンプがいらない『水作 スペースパワーフィットプラス』のような水中フィルターも良いでしょう。
ろ過フィルターの種類によっては、産まれたばかりの小さな稚魚が吸い込まれてしまう危険があります。稚魚が産まれたら別の容器に隔離する、もしくは隔離ケースに入れて水槽に浮かべて事故を防ぎましょう。
その他には、メダカのバイオリズムを整えたり、繁殖を促したりするために水槽用照明を設置します。
メダカ観察の消耗品と費用
メダカ観察の消耗品は次の3つです。
- カルキ抜き
- 餌
- ろ過フィルターのろ材
高価なものではなく、半年~1年に500円ほどです。
メダカを観察するために必要な費用は、照明を含めると5000~6000円です。そろえるのが手間な場合は、飼育用品が一式になっているメダカ飼育セットがおすすめです。
疑問2:どんな場所で飼育・観察できるのか?
水槽は、水平で安定感のある場所に置きましょう。
水を入れると重くなるので、設置台の耐荷重を確認してから置くようにしてください。直射日光が差し込む場所は、コケが生えやすいうえに水温が変わりやすいので避けます。
室内飼育でメダカを観察する場合は、水槽用照明で管理するようにしましょう。
疑問3:子供が手伝える飼育ポイントとは?
メダカの観察で子供に手伝ってもらえるポイントは次の3つです。
- 水換えの水をゆっくり注ぐ
- 餌を与える
- メダカの状態を観察して連絡する
水を入れたバケツは重くなるので、安全に持ち上げられるか確認をし、必要に応じて支えてあげるなど大人が付き添いながら作業を行ってください。また、新しい水には水道水を使いますが、魚に有害な塩素(カルキ)が含まれているため、カルキ抜きで除去してから使います。
カルキ抜きの分量は正確に量る必要があるため、大人の目で確認してから入れてもらいましょう。
疑問4:メダカはいつ卵を産むのか?
メダカの産卵を観察するためには、卵を産む時間を把握することが大切です。
一般的にメダカは明け方(4時ごろ)に産卵することが多いとされています。時間帯が早いので直接観察することは難しいかもしれませんが、朝起きてから水槽を確認すると、水草などに産み付けられた卵を観察することができます。
繁殖を考えている場合は産卵場として、マツモやアナカリスといった水草を入れるようにしましょう。
卵は親メダカや他のメダカが食べてしまうことがあるため、見つけたらすぐに産み付けられた水草ごと別容器に隔離してください。
疑問5:卵と稚魚の育て方とは?
メダカの卵を孵化させるためには、「水温」と照明・日光などの「光」が重要です。
卵が孵化する条件は次のとおりです。
- 積算水温が250度
- 光の当たる時間が13時間以上
積算水温は1日の水温の積み重ねで、水温が25度の場合は10日(25×10=250)で孵化します。室内で観察する場合は水槽用照明で管理するので、点灯時間を13時間以上に設定しましょう。
稚魚は、孵化してから3日程度は腹部にある栄養(ヨークサック)で成長するため、餌を与える必要はありません。3日以降は、稚魚用の人工飼料やゾウリムシなどの生き餌を与えます。
卵と稚魚の育て方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
疑問6:メダカと一緒に飼える生き物は?
メダカは丈夫で大人しい魚なので、他の生き物と一緒に飼うことができます。
メダカと相性が良いのは次の生き物です。
- 日本淡水魚:ドジョウ
- 小型熱帯魚:ネオンテトラ、アカヒレ、コリドラス
- エビ類:ヤマトヌマエビ、ミナミヌマエビ
- 貝類:イシマキガイ、タニシ
メダカを食べない小型の魚や生き物であれば、一緒に飼育できることが多いです。熱帯魚は26度ほどの水温が適温なので、水槽用ヒーターを設置して水温を一定に保つ必要があります。
また、生き物が多いことで餌とフンの量が増えるため、ろ過フィルターを能力が高いものに変更することをおすすめします。
他の生き物と一緒に飼育することで、魚同士の関係性や暮らし方など観察の幅が広がります。メダカ飼育に慣れてきたら検討してみると良いでしょう。
メダカと一緒に飼育できる生き物は、こちらの記事で詳しく解説しています。
疑問7:飼育水槽の掃除で注意するところは?
水槽を掃除するときは、水温の変化に注意しましょう。
水温が異なる水を急に注ぐと、水温が急変してメダカにダメージを与えてしまいます。バケツに水を入れたら水槽の近くに置いて、水温を合わせてから入れるようにしてください。
水槽に生えたコケは、メラミンスポンジでこすると効率良く除去できます。
底砂を敷いている場合は「プロホース」などのクリーナーポンプを使うと便利です。水換えの際に底砂も一緒に掃除できます。
観察が終わったら大切に飼育しよう!
メダカは観察が終わっても大切に飼育してあげましょう。可愛らしい魚で人にも慣れるので、飼い込むほど愛着が湧いてきます。
また、繁殖して増えたメダカを飼いきれないからといって河川に放流してしまう事例も多発しています。しかし、この行為は生態系を崩してしまう事になりかねない非常に重い問題です。
繁殖をさせる場合は、稚魚を飼育しきれるか(そのための水槽を用意することはできるか)考慮したうえで、難しい場合は譲渡先を見つけておくなど対策をしてから繁殖を行いましょう。
観察を始めることは「最後まで飼育すること」と同じ意味です。飼い続けることも「命の大切さ」を学ぶ機会になります。
まとめ:メダカで学ぶ!産卵を子供と観察するために必要なものと育て方をご紹介
今回は、メダカの成長や産卵を子供と観察するために必要なものと育て方をご紹介しました。
メダカを観察することで、卵から生まれたり、成長したりする姿を間近で観察することができます。
生き物については、本で読んだり、映像で見たりしただけでは伝わりにくいことも少なくありません。「自分の目で見て理解できる」ことは、生き物観察の大きなメリットです。
メダカを観察・飼育して触れ合うことで、子共たちに生命のサイクルや命の大切さを伝える機会にしてみてください。

トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。
コメント
とても参考になりました😭
ありがとうございます!