通常の水槽は透明なため、あらゆる方向から水槽内が観察できる反面、パイプ類やヒーター、コードが悪目立ちしてしまうという難点があります。
そんな水槽のデメリットを解消するのが、底面や背面を黒く加工したブラック水槽です。
『背面を黒く加工』というとバックスクリーンを貼るのが定番ではありますが、実は元々黒いガラスやアクリルを使用して作られた水槽があるのをご存知でしょうか。
今回は元々黒い面があるブラック水槽の特徴やメリット・デメリット、市販されているおすすめのブラック水槽についてご紹介していきます。
ブラック水槽とは
ブラック水槽とは、背面や底面に黒いガラス(もしくはアクリル)を使用して作られた水槽のことを指します。
アロワナ用の大型水槽で用いられることが多いのですが、通常の熱帯魚飼育でも使用できますし、なかにはベタ専用の小型ブラック水槽も存在します。
透明の水槽と比較すると水景がグッと引き締まり、観賞性が高まるため、水槽に高級感を求めている方にはかなりおすすめです。
ブラック水槽のメリット
ブラック水槽を使用するメリットとしては、主に以下の3点が挙げられます。
- 観賞性が上がる
- 生体の目隠しになる
- コードや機材を隠せる
詳しく解説していきます。
観賞性が上がる
ブラック水槽最大のメリットが、観賞性が上がるという点です。
水槽の背面や側面を黒くすると、熱帯魚の鮮やかな色味やレイアウトのシルエットがくっきりと際立つため、水景が引き締まり観賞性が上がります。
これはバックスクリーンを貼ることでも得られるメリットではありますが、元から黒い板で作られたブラック水槽の場合、バックスクリーンを貼る手間や失敗のリスクが無いのが大きな利点です。
特に大型水槽ではバックスクリーンの貼り付けがかなり難しいため、大型水槽であればあるほど、ブラック水槽の利用価値は高まります。
生体の目隠しになる
側面や底面を色板仕様にすると、生体にとって水槽の外側の空間が見えにくくなります。
つまり目隠しの役割にもなるため、神経質な個体を落ち着かせることができるのです。
特にアロワナは周囲の状況に敏感な一面があるため、『目垂れ』症状を防ぐ目的としても、ブラック水槽での飼育が推奨されています。
コードや機材を隠せる
水槽内に入れる必要のある機材(ポンプやパイプ、ヒーターなど)は、ブラック水槽の中に入れると目立ちづらくなります。
世界観を損ねがちな無機物を水景に取り込みたくない場合にも、ブラック水槽はおすすめです。
ブラック水槽のデメリット
続いてはブラック水槽のデメリットについて、以下の3点を解説していきます。
- 色板部分を外せない
- 両面から観賞できない
- 吸盤が付きにくいことがある
色板部分を外せない
一番のデメリットとして挙げられるのが、色板部分を外せないという点です。
別の色に変更しようと思っても、バックスクリーンとは異なり、剥がすことができません。
両面から観賞できない
2つ目のデメリットとして挙げられるのが、黒くした面からは水槽内を観賞できないという点です。
たとえば左右の側面と背面に黒い板を使用した水槽では、前面と上方からしか水槽内を見ることができません。
両面から観賞できる水槽に変更したい場合には、水槽自体を交換する必要があります。
吸盤が付きにくいことがある
色板の材質や質感によっては、機材の吸盤が付きにくいこともあります。
特に艶消し色板の場合はキスゴムがくっつきにくいことがあるため、注意しましょう。
上級者がブラック水槽を選ぶ理由
ブラック水槽は、どちらかといえば玄人向けの水槽で、熱帯魚の飼育に慣れた上級者が選ぶことが多い傾向にあります。
というのも、色板を外すことができないブラック水槽は、使用目的(飼育生体やレイアウトの方向性)を決めて必要に応じて選ぶことが推奨されるからです。
そもそも、ブラック水槽が必要になるようなアロワナなどは、デリケートで飼育が難しい上級者向けの生体であることが多い、というのも理由として挙げられるでしょう。
ブラック水槽に興味があるが飼育イメージが固まっていない、ということであれば、まずは普通の水槽にバックスクリーンを貼って飼育してみるのがおすすめです。
しばらくバックスクリーンで環境を維持した後に、必要であればブラック水槽の購入を検討してみましょう。
おすすめのブラック水槽
続いてはブラック水槽仕様となっているおすすめの商品についてご紹介していきます。
今回ピックアップするのは以下の4点です。
- ジェックス ラクテリア ブラック
- ジェックス グラステリア ベタ ブラック
- ジェックス マリーナ ブラック
- オーダーメイド水槽
ジェックス ラクテリア ブラック
まずご紹介するのは、ジェックス ラクテリア ブラック。
底面と側面の一部が黒くなっている水槽です。
こちらの水槽は色板仕様にプラスして便利な水換え構造もついているため、多機能なインテリア水槽をお求めの方にもおすすめできます。
テトラ リビングキューブ
続いてご紹介するのは、テトラ リビングキューブ。こちらは背面がブラック仕様です。
背面式ろ過フィルターが一体化したオールインワンタイプで、水槽周りがすっきりして見えます。
サイズがコンパクトなので、飼育できるのは小型魚に限られますが、スタイリッシュなデザインから、お部屋のインテリア水槽にも最適です。
ジェックス マリーナ ブラック
続いてご紹介するのは、ジェックス マリーナ ブラックです。
こちらは底面が黒い水槽で、この価格帯(3,000円前後)のフレーム水槽としてはかなり画期的な仕様と言えます。
底面が黒いと魚も落ち着きますし、ベアタンク飼育にしても見栄え良く仕上がります。
オーダーメイド水槽
市販品で好みのサイズ・デザインのブラック水槽が見つからない場合は、オーダーメイドするのもひとつの方法です。
アクアガーデンでは、水槽の背面・底面以外の面や、仕切りなども、カラーを指定して制作することができます。
もちろん、白板での制作も可能です。
バックスクリーンよりも色板仕様が推奨される150cm以上の大型水槽も制作できますので、こだわりの水槽をお求めの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
バックスクリーンと色板仕様はどちらが良いのか?
最後に、バックスクリーンを貼るのと色板仕様の水槽を購入(制作)するのとでは、どちらのほうが良いのかということについてお話していきます。
結論から言うと、色板仕様はバックスクリーンを貼り付ける手間こそ無いものの、どちらが良いかは好みによります。
色板仕様は、バックスクリーンに比べて耐久性が高く、水槽が壊れない限り環境を維持することができますが、カラーを変更したいとなったら水槽を買い直す以外に方法がありません。
カラーを変える可能性があるのでしたら、バックスクリーンのほうが気軽に変更できます。
しかし、バックスクリーンの貼り方によっては後々きれいに剥がせなくなるケースがありますし、特にアクリル水槽ではシール跡が残ってしまうことも多々あるようです。
大型水槽ではそもそもバックスクリーンを貼るのがかなりの手間になりますし、水圧などの関係からアクリル製のものが多く出回ります。
大型水槽であればあるほど色板仕様のほうが推奨されるのには、こういった理由があるのです。
最終的には予算と相談しつつ、好みの仕様のものを選びましょう。
まとめ:ブラック水槽のメリット・デメリット、上級者がブラック水槽を選ぶ理由
今回はブラック水槽の特徴やメリット・デメリット、市販されているおすすめのブラック水槽についてご紹介してきました。
ブラック水槽は水景の引き締め効果により観賞性が上がり、視界が不安定な生体にも優しい仕様となっています。
しかし、色板部分を外すことができなかったり、水槽内を観察する面が限られてしまいますので、こうしたデメリットもよく考慮してから判断してみましょう。
アロワナを大型水槽で飼育するようなケースでは、目垂れ予防の効果もありますので、ブラック水槽での飼育がおすすめです。
アクアガーデンではオーダー制作もできますので、お気軽にご相談ください!

トロピカライターの井上あゆみです。
金魚から熱帯魚・海水魚まで、全部で20種類程度のお魚を飼育してきました。
お気に入りはイエローヘッド・ジョーフィッシュ。怒ったような顔をしているのに、実はかなり臆病というなかなか憎めない海水魚です。アクアリウム初心者の方でも楽しく読めるような記事を書いていくので、よろしくお願い致します!