ベアタンクという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ベアタンクとは、水槽内に底砂を一切敷かずに水棲生物を管理する方法のことを指します。
ベアタンクのベアはbareと書き、和訳すると裸や剥き出しという意味です。つまり、水槽底がむき出しになっているという事です。
さらに、定義では底砂を敷かないということですが、ベアタンクで管理している多くの方は水槽内に砂を敷かないだけでなく、レイアウト物や水草なども入れない方がほとんどです。
では、何故ベアタンクで管理するのでしょうか。
ベアタンクで管理するメリット、デメリットを解説していきたいと思います。
目次
ベアタンク飼育とは?!を動画で解説!
この記事の内容は動画でもご覧いただけます。
ベアタンクの基本からメリットや考え方を音声付きで解説します。
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ベアタンクで管理するメリットとは
ベアタンクで魚を飼育すると、いくつかのメリットがあります。それを一つずつご紹介していきます。
掃除がしやすい
ベアタンクで管理するメリットは、何と言っても水槽の掃除をしやすい点にあります。
底砂を敷いていないため、水槽底に溜まった餌の残りや糞を発見しやすくメンテナンスが簡単です。
掃除も管理も簡単ということが最大の特徴で、ベアタンクの最大のメリットとなります。
そのため、飼育生物の管理に優先順位を重視した水槽を目指す方が取り入れる管理方法となります。
熱帯魚ショップではあまり見かける機会が少ないかもしれませんが、私どもが仕入れを行う問屋さんではベアタンクで販売管理しているケースがほとんどです。
入荷出荷を繰り返すため、魚を掬うことも考えるとベアタンクが理想的となりからです。
病気を防ぎやすい
掃除が簡単なため、水質の悪化が起こりづらくなります。よって自動的に病気になる可能性も低くなります。底砂に白点虫などの原虫も定着しないため、病気の抑制にも一役かっていることでしょう。
また、病気が蔓延してしまった場合に水槽のリセットを行うことも容易です。リセットしよう!と思い立ったらすぐに行動することができるため、魚の健康維持にもベアタンクは役立っています。
飼育している魚がとても目立つ
ベアタンクには余計なアクセサリーもありませんし、底砂も敷いていないため、飼育している魚がとてもよく目立ちます。
多少地味でも、まだ小さくても、ぱっと目立つのは飼育している私たちにとっては嬉しいポイントではないでしょうか。
水槽全体の重量を軽くできる
水槽は水がいっぱいに入っているばかりか、底砂も入れておくケースも多いですね。よって水槽全体では非常に大きな重量となります。そのため置き場所に頭を悩ませている方も多いかと思います。
ベアタンクであれば、底砂分の重量が緩和されます。水槽全体からしたらわずかな量かもしれませんが、少なくできるに越したことはありませんね。
ベアタンクで管理するデメリット
コケや汚れが目立つ
ベアタンクで管理するデメリットは、水槽底が剥き出しのためコケ汚れや糞などが目立つことです。
メリットに糞や餌の残りが目立つことと書きましたが、観賞という観点からすればデメリットにもなってしまいます。
そのため、ベアタンクで美しい水槽を保ちたい場合は、それだけメンテナンスの手間がかかってしまいます。
底面フィルターを使えない
底砂がないため、底面フィルターを使うことができません。
底面フィルターは、水槽の底に置いたフィルターの上に底砂を敷き、底砂をろ材として生かしながらゴミを集めるという仕組みだからです。
ではベアタンクに向いているフィルターはどんなものでしょうか。
上部フィルター
こちらのフィルターはとてもろ過パワーが強いフィルターです。
海水魚にも使えるので、将来的に海水魚も飼ってみたいなあという方にもオススメです。
ろ材をカスタマイズすることができるので、飼育する生物や好みに合わせることができるのも魅力の一つです。
外部フィルター
少々お高いですが、それだけの価値のある外部フィルターです。
ろ材を入れるスペースが大きいので、とてもろ過能力が高いです。
本体の分解が容易なので掃除がしやすいところ、消耗品パーツが豊富に販売されているところが人気のポイントです。
ろ過バクテリアが繁殖しづらい
底砂を敷かないと、バクテリアが不足してしまいがちです。
というのは、水槽内の水に増えていくアンモニアや亜硝酸を分解するバクテリアは、デコボコしたところに住むからです。デコボコしていればいろいろな箇所に住みますが、底砂はそのメインの場所になるのです。よって底砂がない=バクテリアの住処が少ないということになりますね。
そのため、ベアタンクにする場合、ろ過機材の選定をメーカー水量の1.5倍以上強力なろ過機材を選定することをオススメします。
そうすることで、底砂分のバクテリアをカバーすることができます。
ベアタンクと相性のいい生物は?
では、ベアタンクと相性のいい生物にはどんなものがいるのでしょうか。
金魚
金魚は「水を汚す魚」として有名ですね。
理由は、たくさん食べるからです。食べればそれだけ排泄しますので、水が汚れるわけです。
水を汚してしまう金魚も、ベアタンクで飼育すると掃除がとても楽です。排泄物や餌の食べ残しが目で見えますので、吸い取ってやればいいわけです。
また、金魚を守るためにとがったアクセサリーなどは避けるべきなのですが、ベアタンクであればそういった心配をする必要もありません。
ディスカス
ディスカスといえばベアタンク!というほど、定着した飼育方法と言えるでしょう。
ディスカスは「ディスカスハンバーグ」という、ディスカスの好きな牛肉(ハツ)で作られた餌を好んで食べます。ひき肉を練ったものですから、ディスカスがつついて食べているうちに水の中に散っていきます。そりゃあ底砂など敷いたら、底砂の中にディスカスハンバーグのカスが埋まってしまい…想像しただけでも掃除が大変そうです。
でもベアタンクならささっと吸うだけ。簡単ですし、確実に汚れを吸い取れますね。
古代魚
アロワナに代表される古代魚もベアタンク向きの魚です。
アロワナもディスカスと同じく「肉食」の魚です。
肉食の魚はどうしても水を汚しやすいので、ディスカス同様、掃除のしやすさがアロワナ向けということができます。
アロワナはとても大型になる魚です。100㎝に迫る勢いの巨大魚ですから、餌もたくさん食べますし、食べ残しも多くなってしまいます。
ベアタンクなら掃除も楽々ですから、アロワナを飼育するならベアタンクが常識となっています。
また、与えた餌をきちんと食べているかの確認も容易ですね。残っていれば食べが悪いということですので、餌を変えてやるような工夫が必要であることにすぐに気づけます。
ウーパールーパー
ヒレとつぶらな瞳が可愛らしいウーパールーパーは、メキシコ産のサンショウウオです。
ウーパールーパーはぱっちりとした瞳をしているのに視力が弱く、底に置かれた餌を食べる際に、砂利なども一緒に吸い込んでしまう場合があります。
もちろん体によくありませんから、最初から底砂を敷かない飼育が向いています。
水が汚れにくく、掃除がしやすいのももちろんです。
ベタ
小さなガラスの容器にいれられて販売されている、華やかな色彩をもつベタ。
ベタもベアタンクで飼育されることの多い魚です。
美しい色彩が売りの魚であることがその理由です。パッと目立つ美しいベタはとても魅力的ですね!
ベアタンクで管理している水槽をご紹介
では、ベアタンクでのメリット・デメリットを解説したところで、ベアタンクで管理している水槽事例をご紹介していきたいとおもいます。
アロワナ水槽
まさにベアタンクの代表的な魚といえばアロワナではないでしょうか。
上の項でも説明した通り、アロワナは排泄物の多い魚です。
アロワナは肉食性の生き物ゆえ、金魚やコオロギなどの生き餌を与えます。それも相当な量を食べるため排泄物が多くなり、同時に水質が悪化します。
アロワナ愛好家の間ではベアタンクで管理されている方がほとんどかとおもいます。
アロワナの美しさ、壮大さもよく目立っていますね。
活魚水槽
こちらは飲食店様の活魚水槽です。水槽内にはタイやヒラメなどの活魚が泳いでいますね。
活魚水槽の場合は大抵ベアタンクで管理されていることが多いかとおもいます。
やはり、魚を水槽から取り上げる頻度が多いため砂やレイアウト物があると邪魔になるためです。
そして、この水槽はベアタンクのデメリットとなるコケの抑制をするために、ある加工をしています。
それは、水槽底と背面側面の水槽板を黒色にアクリル板を使用しています。
これにより、水槽に生えるコケを目立たなくし観賞面も美しく維持できる期間を長くする工夫をしているのです。
スッポン水槽
こちらはクリニック様の待合室に設置してあります。
開業時から大切に飼育されており大型水槽のベアタンクで管理されています。
このスッポンも40センチ近いサイズがあるため、餌の量が多くなることで排泄物も比例してでるため汚れやすくなります。
このように、水槽内の生物が大きく汚れやすい場合はベアタンクが好ましい飼育スタイルになりますね。
まとめ
いかがでしたか。
ベアタンクの特徴について理解できましたでしょうか。
わたしがベアタンクを初めて知ったのは、今から23年程前の学生時代です。
友人のお父さんがディスカスを飼育していたことで初めて知り、ディスカスは水質に敏感なため良好な水質を保つためにベアタンクという管理方法をしているんだと教えていただきました。
その後、熱帯魚業界で仕事をしているとアロワナなどもベアタンクで管理している方が多いことを知り、さらには問屋さんもベアタンクで管理している姿を目の前で見たことで、改めて熱帯魚管理において水質が大変重要なんだということを覚えました。
それ以降、自身で管理する生体ストック方法の一部にもベアタンクを取り入れることで、より簡単に管理することに成功しました。
インテリアとしては少し劣るかもしれませんが、水槽板を黒くするなど工夫次第では十分美しく管理することもできます!!
魚を大切に管理するためにベアタンクを検討している方はオススメですよ!

熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
アクアリウム専門のYouTubeチャンネル『アクアリウム大学』も配信中!
よろしくお願いいたします!
コメント
淡水魚。主に川魚等を飼ってまして、この度ベアにしようかと思いました。
水槽を統合して大きくなるのと、今まで10年程飼ってきましたが、いつも底の汚れとの戦いでした。(餌やりが多いのもありますが)
川の魚(オイカワ、カワムツ、モロコ、コイ、野ゴイ)ですが、どうでしょうか??
元の水槽は再度熱帯魚を飼育しようと思ってます。
コメントありがとうございます。
川魚をベアタンクで飼育することは全く問題ありません。
今回は水槽を変えるということなので関係ないかと思いますが、底砂が敷いてある水槽をベアタンクにすると、底砂を取り出すことでバクテリア(底砂の分)が減ります。
それをやる場合は、ベアタンク後よく水質を計測し水換えなどで調整管理する必要があります。
最初からベアタンクにする場合は、通常のベアタンク管理で大丈夫です。
メダカはベアタンク飼育できますか?
ベアタンクでも飼育は可能ですが、アナカリスやマツモなどの水草があったほうが、落ち着いて育てることができますよ。
ぜひ、ご検討ください。