グッピーやベタなどさまざまな種類があり、初心者から上級者、プロまで多くのアクアリストに愛される熱帯魚ですが、その中でも「トゥッカーノ・テトラ」や「アークレッド・ペンシル」、「カージナル・ダーターテトラ」などのように日本に入ってくる量も少なく、繁殖も難しいためにレアと位置付けられる熱帯魚がいます。
この記事ではそんなレアな熱帯魚の中でも人気が高い11種にスポットを当てて、どういった魚なのかや、熱帯魚の中でもレアものになる理由などをお話ししていきます。
目次
なぜレアな熱帯魚なのか?
熱帯魚の中でレア種と位置付けられているものは、基本的にワイルド(原種)のものがほとんどです。
日本で繁殖されているものではないので、入手するための流通経路も輸入のみになってしまい、それでいて国内に入ってくることもほとんどないことも少なくないレベルのものなんです。
また輸入することができても水質や水温などの飼育環境はもちろんですが、それ以上に繁殖条件の敷居が高く、プロでも繁殖させられないというケースも少なくありません。そのためブリードの個体が販売されるケースもとても少なく、値段もおのずと高値がつくことに。
こういった背景からアクアリウムを専門にしているショップでも入荷するケースは少ないので、このような熱帯魚がレア種として位置づけられているんです。
ブリードとワイルドの違いが気になる人はこちらの記事をご覧ください。
レアだけど人気の魚11種!
日本国内に入ってくることが少ないレア種の熱帯魚ですが、その中でもネット通販などで取り扱いがあるなど入手がしやすい種類もあり、アクアリウムにも向いた小型魚の人気が高いです。
今回はレア種の熱帯魚を比較的入手しやすい順に11種ご紹介していきます。
レアじゃないけど値段の高い熱帯魚も当然います。そちらについてはこちらのページで解説していますよ。
トゥッカーノ・テトラ
名前のとおりテトラの仲間ですが、鮮やかなクリアーイエローの体色と中央部分に太く入った黒いバンドがかわいらしさを引き立てています。
性格的には温和ですが、体調が約2㎝ととても小柄なこともありエサを食べるときに苦労することもあるので、混泳させるときには十分に注意してあげる必要がありますし、水流も強くしすぎないようにするなど気を付けることが重要です。
トゥッカーノ・テトラを飼育するときは弱酸性の水質にしてあげるようにしましょう。
アークレッド・ペンシル
小型の淡水魚として知られるペンシルフィッシュの仲間ですが、名前にもあるように赤色が美しい特徴を持つ熱帯魚です。
気性は荒いものの他の種類の魚と混泳させることもできます。
しかし同じ水槽にアークレッド・ペンシルを複数入れるなどをする場合には、隠れ家を作ったり水槽の大きさを大きめのものにするなどの工夫をしないと縄張り争いが激しくなってしまうため、注意が必要です。
弱酸性~中性の水質を好みますが水質の変化にはかなり敏感な魚なので、水合わせをする時には長い時間をかけてアークレッド・ペンシルの反応を見ながら合わせてあげるようにします。
カージナル・ダーターテトラ
体長が約2㎝と超小柄に分類されるカラシンの仲間です。赤みがある体色とダータテトラをそのままミニサイズにしたような体型に特徴があります。水中で止まったりホバリングをするような独特の動きもかわいらしいです。
飼育難易度はやや高めの魚で、人工飼料には食いついてくれないことも多いのでブラインシュリンプの幼生をメインに、イトミミズなどをあげるといいですよ。とにかく体が小さいのでエサをちゃんと食べてくれているか常にチェックしてあげないと飼育が上手くいかないことも多いです。
混泳もできないわけではありませんが、大きな魚を入れてしまうと食べられたりいじめられる危険性が高くなるので同サイズレベルの小型魚がベターです。
レモンラピス・テトラ
体に入る黒の太いラインとその周りの水色、体色やヒレが淡いレモンイエローといったカラーコントラストが美しいブラジルを原産地とするカラシンの仲間です。
餌付けなど飼育は比較的しやすい魚ですが、水質の変化には弱めなので水替えなどの際は気を付けてあげましょう。同じようなサイズの熱帯魚などなら混泳も可能ですが気が強い部分もあるので、同種の魚を入れる場合は広めの水槽で隠れ家をきちんと作ってあげるなどの配慮が必要です。
ペルーグラス・テトラ
名前からもわかるようにペルー原産のテトラで、体長4㎝程度の小型魚ですが体高があるタイプです。
多くの種類がいる熱帯魚の中でもとても珍しい透明色の魚で、ガラスのように透き通った体は水槽内でキラキラと輝き、かなりの美しさを誇ります。
繊細な見た目をしていることから飼育が難しいといったイメージを持たれるかもしれませんが、体も丈夫で飼育難易度も高くありません。性格も温和なタイプなので混泳にも向いていますし、群泳させることでその美しさを際立たせることもできます。
レッドデビル・テトラ
ブラジル原産で体長4㎝程度と小柄なカラシンの仲間です。オスとメスで色に違いがあり、メスは赤茶色の体色をしていますが、オスは体色のみならずヒレも全部赤く染まるので、その美しさを見たい場合はオスがおすすめです。
初めて日本に輸入されてからしばらくの間は輸入が止まっていましたが、近年になってまた輸入されるようになった魚です。
水質の変化には弱いので注意は必要ですが、その点さえカバーできれば飼育は比較的やりやすい熱帯魚です。
混泳も可能ですが、同種間のオスだと小競り合いをすることも多いので注意する必要があります。
ニューブラックチェリーテトラ
ブラックチェリーテトラという熱帯魚もいますが、産地が違うため「ニュー」の名前がついています。
大きな尾びれの中に赤いスポット模様が入りますし、シルバーチップも大きくのるので水槽の中で格好良く映えます。
人工飼料でもちゃんと食べてくれるので飼育もやりやすく、体長も約3㎝程度と小柄で性格も温和なので混泳させる魚としても向いています。
レッドチェリー・コンゴテトラ
この熱帯魚の存在が明らかになったのは2007年とまだ比較的新しく、流通量も極端に少ないので生態などについてもはっきりとはわかっていないという謎の多い熱帯魚です。
通常時でも光の加減でネオンブルーに輝く体色と赤いヒレが美しいのですが、飼育環境に慣れて発情するようになるとボディまでもが真っ赤に染まるので、アフリカンカラシンの中でも最高峰のものとされています。
体長の最大サイズなど判明していない部分もありますが、若干気性は荒いものの混泳ができない、というほとではありません。
ゴールデンコンゴテトラ
こちらもアフリカンカラシンの一種で、飴色とも山吹色のようなイエローともいわれるベースの体色に対して、太く入るネイビーのラインが映えます。比較的色味が少ないとされているアフリカンカラシンの中で、美しい特徴を持つ熱帯魚です。
上記でご紹介したレッドチェリー・コンゴテトラと同じようにその生態には謎な部分も多く、入手の難しさもかなりのもの。しかし色揚げに成功すると頭部を中心にブルーになり、さらに美しさが際立ちます。
水草は柔らかいものを選ぶとかじられることもあるので、なるべく硬いものにしてあげるとこういったことも防げます。
レアなアピストグラマ
小型のシクリッドで、南米原産のアピストグラマはさまざまな種類があり、アガシジィやビタエニアータなど人気が高いものも多いですが、ギガスやグッタータ、ホイグネイなどのアピストグラマはほとんど日本国内へ輸入・入荷がされることのないレアなものです。
まれにショップに入荷されることもありますが、それぞれが特徴的な体型を持ち、他のアピストグラマとは異なる独自の魅力がある魚たちです。それぞれの特徴は以下のとおり。
- ギガス=体色は控えめなタイプですが、体に入る黒いラインが濃淡を持つという珍しい熱帯魚。顔にも愛嬌がありクランデリとも呼ばれています。
- グッタータ=ころん、としたぷっくり系な体がかわいらしいですが、背びれの長さと尖り具合も特徴的。飼育自体は比較的容易なほうで、色揚げに成功すると見た目も美しいです。
- ホイグネイ=メタリックブルーの体色と尾びれの上下に入る赤色が美しいアピストグラマ。尾びれの赤色は成熟したオスのみなので、色を楽しみたい場合はメスを買わないように注意です。
テトラと同じようにさまざまな種類がいるベタですが、価格が上がる条件もあります。気になる人はこちらをご覧ください。
チャンナバルカ
一昔前までは『チャンナアンフィビウス』と呼ばれていた魚で、スネークヘッドの中でも最高峰のものとされていますが、その値段も最高峰レベル。
淡いブルーの体色にブラックの飛び模様がアクセントを加え、イエローやピンクを帯びたヒレが織りなすその美しさは「泳ぐ宝石」ともよばれるほど。成長すると約30~50㎝程度とかなり大きく成長するので小型水槽での飼育は避けましょう。
混泳させることも可能ですが、混泳させる魚によってはヒレが攻撃されて傷ついてしまうこともあるので、美しさを保ちたい場合は単独での飼育も視野に入れたほうがいいですよ。
水草にもこれと同じように高級なものがあります。そちらについて興味がある人はこちらの記事を参考にしてください。
プロトプテルス・アンフィビウス
アフリカ原産のプロトプテルス・アンフィビウスは肺や内鼻孔を持つ「肺魚」のひとつですが、小型で寸詰まりの体型をしていて、胸びれと腹びれが手足のようにも見えるのでかわいらしく人気も高い魚です。
しかし輸入されるケースがかなり少なく、数年~5.6年に1回ということも珍しくありません。20年以上生きるといわれているほど寿命が長いので、運よく手に入って飼育するときはきちんと最後まで飼育するという心構えを持ってからにしてください。
とはいえ、プロトプテルス・アンフィビウスに出会うことはもちろん、日本国内に輸入されることもほとんどないのでレア熱帯魚の中のレア熱帯魚といえる魚です。
まとめ:レアな熱帯魚とは!なかなか出会えないけど人気の魚11種!魅力を解説!
熱帯魚と一口にいっても飼育しやすいものや混泳させることが難しいもの、そもそも入手するのがレアなものなどさまざまな種類がいます。でもアクアリウムでの飼育を始めてしまえばどんな熱帯魚だってきちんと飼育してあげる必要があるのは言うまでもありません。
今回ご紹介した熱帯魚たちは珍しいので値段も高くなりがちですが、それだけ他のアクアリウムとは違った見せ方をしてくれるので、きちんと環境に合わせた飼育や色揚げをしてあげて、その姿を堪能してみてはいかがですか?

トロピカライターの日下部柚希です。
グッピーやベタなどが泳ぐアクアリウムに癒されたのが始まり。たくさんの種類がある熱帯魚の中でも、特にブルーグラスグッピーやサンセット・ドワーフグラミーのような、見た目が鮮やかでかわいい熱帯魚が好き。
熱帯魚初心者さんにもわかりやすい記事を書いていきます。