レストランやアクアショップにある大型水槽ってとても素敵で、アクアリウムが好きな方なら一度は憧れるものですよね。
自宅に設置してみたいと思うこともありますが、ああいった大型水槽は自宅には設置できないのでしょうか?
普通の家に置ける水槽のサイズは実は無制限というわけではなく、置ける大きさが決まっています。また、大きな水槽を置くには家を傷つけず、事故を起こさないための対策が必要です。
今回は、一般住宅に置ける水槽サイズ、かかるランニングコスト、設置するとしたら注意しなければならないポイントについて解説します。
大型水槽に憧れている方は、ぜひ参考になさってください!
目次
一般住宅に設置できる水槽のサイズとは
結論から申し上げますと、あらかじめ水槽用に準備をしたわけではない、一般の住宅に設置できる水槽のサイズは120cmまでです!
それはなぜなのでしょう?対策をすればもっと大きな水槽を置くことはできないのでしょうか?
下の項で詳しくご説明します。
120cm水槽が最大サイズ!理由は床の耐荷重
一般家庭に設置できる水槽のサイズは120cmが最大。それにはきちんとした理由があります。
普段特に意識していないかもしれませんが、床にも強度が決められています。建築基準法では「普通の住宅の床の耐荷重は1平米あたり180kg」となっており、180kgを超えたものを置いた場合の床の強度は一般的に保証されていません。
つまり、重すぎるものを考えなしに置いてしまうと最悪床が抜けてしまうこともある、ということです。
120cm水槽は、水槽だけでおよそ60kgです。水槽に入れられる水の量は340kgほど。そこへ生体、流木や岩、床材を入れますね。そしてその水槽を支えられるガッシリとした水槽台も必要となりますのでその重さもプラスされます。
120cmの設置面積は、単純に水槽だけで考えても1.2 × 0.6 = 0.72平米なので、ただ水槽を置くのも厳しい数値になることがわかりますね…。これが、120cmより大きな水槽が一般家庭には置けないとされる理由です。
まれに120cm以上のサイズの水槽をご自宅に置いている方もいますが、これは水槽を置くことを前提とした住宅選びをされていることが多いです。家を建てるときに水槽を置くスペースの床を強化していたり、ペット可のマンションなど床が丈夫な家を選んでいるということですね。
では、一般の住宅に大型水槽を設置ならばどうすればよいのでしょうか?
一般の住宅の場合、120cm水槽をそのまま床に置いてしまっては危険ですので、水槽台の下に鉄板を敷いて床を補強する、強度の高い梁の上に設置する、などの工夫をしてください。
それを怠って無理に置くと、最悪床が抜けてしまいます。当然水槽は割れ、生体は死に、部屋は水浸しになりますので、対策なしで120cm水槽を設置することは絶対に避けてください。
床の耐荷重についてはコチラの記事も参考にしてください。
設置スペースに入らないことがある?!
水槽の重量と置き場所以外にも注意すべきポイントがあります。
まず、120cm水槽は想像よりもずっと大きく重いです。購入したのはいいけれど、
- 部屋の間口を通らないから部屋に入れられない
- 玄関から部屋までの動線で引っ掛かり、部屋まで持って行けない
- 重くて持ち上げられず、運べない
などのケースがありえます。一般住宅で扱うには課題が山積みです。
他にも、大型水槽には大型の設備が必要となります。ヒーター、クーラー、フィルター、どれも大型でたくさんの電力を消費します。電力を消費している機器は熱を発することも多く、その排熱を外へ逃がしてやるために、水槽周りには余裕をもたせて設置したほうが良いですから、一般家庭のリビングでは収まりきらないことが多いです。
大型水槽のコスト問題
でもうちなら置ける!という広いスペースがあるとして…コストはどのくらいかかるのでしょうか。
水槽や生体、機器を購入するのに必要な初期コストの他に、ランニングコストも必要なのでそのあたりをご説明します。
大型水槽の設置ポイントについてはコチラの記事を参考にしてください。
大型水槽=板厚が大きく高価
水槽は大型になるほど、値段が飛躍的に高くなってしまいます。その理由は
- 水圧に耐えるために板厚を大きくしなければならない
- 需要が多くないため、大量生産ができず1つ当たりの価格が跳ね上がる
の2点です。
大手メーカーで販売している60cm水槽はかなりたくさん売れる商品なので、大量に生産することでコストを抑えることができているのですが、120cm水槽となるとそうもいかないのです。
水槽台は絶対に必要!
小型サイズの水槽でも水槽台はあったほうが良いくらいですから、大型水槽には水槽台が絶対に必要です。
水槽台は水槽専用に作られていますので、水平をとりやすいです。水平にならない台の上に重い水槽を置くと台の板がたわみ、水槽面をゆがめてしまいます。それがきっかけで水槽が割れる、ひびが入って水が漏れることもあるのです。
そういったトラブルを未然に防ぐため、大型水槽ほど水槽台は欠かせません。
また、保証期間内に水槽が破損した場合も、水槽台に設置していなければ保証されないこともあるのでご注意ください。
水槽台についてはコチラの記事も参考にしてください。
パワーの強い設備はコストが高い
水槽が大型であれば、水槽用の機器もパワーが必要です。
パワーのある機器は高額ですし、稼働させるための電力も多く必要になるため、ランニングコストが高くつきます。
また、稼働音をゼロに抑えることはできないので、寝室などに設置すると「夜に音が気になって眠れない!」ということになってしまいます。
大型水槽の設備についてはコチラの記事も参考にしてください。
個人宅の大型水槽の事例
でも個人宅でも大型水槽を置いてあるところがある…それは、ペットOKのマンションなどではないでしょうか?
あらかじめペットOKに設定してある住宅の場合、床の耐荷重が十分で大型水槽を設置できることもあります。
そういった「東京アクアガーデンが個人宅に設置、メンテナンスした大型水槽」の事例を下の項でご紹介します。
マンションの120cmサンゴ水槽
マンションの窓辺に設置された、サンゴやイソギンチャクがたくさん飼育されている水槽です。
水槽の背後にブラインドがあるのが見て取れると思いますが、ブラインドをあげると外の景色も楽しめるようになっています。幻想的な雰囲気で、つい長時間見入ってしまうような魅力がありますね!
リビングで古代魚たちを飼育
こちらの水槽はなんと150cm!
リビングに設置された水槽には大型の古代魚がゆうゆうと泳ぎ回っています。その泳ぐ様を見ていると、とてもゆったりした気分になれそうですね。
リビングの特殊な海水魚水槽
これはすごい!
キッチンとリビングの境目に特殊なオーダーメイド水槽が設置されています。まるでレストランのようですね。自宅にいることを忘れてしまいそうです。
まとめ:一般住宅に置ける最大水槽サイズとは!大型水槽はNG?かかる費用も解説
一般的な住宅に置ける水槽サイズや設置する場合に必要な注意点、東京アクアガーデンによる設置例などについてご紹介しました。
120cm以上の大型水槽は迫力満点で見応えのあるものですが、それを自宅に置き管理するとなると並大抵のことではありません。自宅に大型水槽を設置するのならば、まずは床に対策を施したうえで安全に置くことを心がけましょう。
無理して水槽を設置すると必ずトラブルに見舞われてしまいますので、無理のない範囲でアクアリウム生活を楽しんでください!
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水槽のプロ トロピカライターの高井です。
遺伝子学が専門分野で、高校の理科教師として、日々、生徒たちに自然の偉大さを教えています。
アクアリウム全般が好きで、現在はアベニーパファーのトリコ。
ピンセットでアベニーにアカムシを食べさせるのが日々の癒しです。