実は、メダカにも理想の体型というものがあります。
餌を食べ過ぎれば肥満になりますし、体調を崩せば痩せてしまうことも。人間と同じく、メダカの体型は、体調の把握や元気に育っているかの指針になります。
そして、ちょうど良い体型を維持し、健康なメダカに育てるためには、日照時間や水温、水流などの飼育環境を整えることが重要です。
そこで今回は、理想的なメダカの体型と飼育環境をご紹介します。
メダカの体型は見慣れていないと判断が付きづらいところがありますので、ぜひこの記事を参考に、ご自分のメダカの状態を見直してみてください。
メダカの理想的な体型とは
メダカにも理想の体型があり、健康を判断する上で欠かせない指針となります。
メダカの体型は次の3点で判断することが可能です。
- 上から見てお腹が膨れすぎていない
- 背骨がまっすぐに伸びている
- ヒレが欠損していない
体型からメダカの状態を判断できると、餌の頻度や量を変えたり、メダカの不調を素早く見つけて対処することができるようになったりなど、配慮しながら飼育できます。
健康な状態を維持しやすくなることはもちろん、長い目で見ると生存率の向上にもつながるので、体型の良し悪しの判断はできる方が良いでしょう。
メダカの飼育方法については、こちらのページでもご紹介しています。
※東京アクアガーデンのサイトが開きます。
上から見てお腹が膨れすぎていない
メダカを上から見たときに、背中のラインから腹部が大きくはみ出している場合は肥満です。
餌の頻度や量が適切でない可能性があるので、1日1~2回、3分程度で食べきる量を目安に餌を与えるようにしてください。餌の与え方を変えても体型が変わらない場合は、過抱卵病や腹水病の可能性も考えられます。
体調を崩している場合は、肥満よりもお腹が大きく膨れることに加えて、
- 過抱卵病:メスのみがかかる
- 腹水病:泳ぎが鈍い、餌を食べない、体表が荒れるなど
といった症状が出てくるので、総合的に見て病気にかかっていないか確認しましょう。
背骨がまっすぐに伸びている
背骨が曲がっていないことも体型が良いメダカの条件です。
背骨がまっすぐ伸びていない個体は『背曲がり』と呼ばれ、長生きできない傾向にあります。側面から見るとわかりにくい場合がありますが、上から観察すると判別しやすいです。
また外見だけでなく泳ぎ方も変わるので、他のメダカと比較して違和感があれば背曲がりを疑いましょう。
ヒレが欠損していない
健康的なメダカは、各ヒレがすべてきれいにそろっています。
欠損していたり、白濁・充血したりしている個体は病気の可能性がありますので、適切な対処をしてください。
ただ、『マルコ』というメダカは、背ビレを持たないよう品種改良された品種なので問題ありません。また、ヒレの一部が伸長する『スワロー』や、切れ込みが入る『メラー』など、ヒレに特徴を持つメダカも多いため品種も加味して判断しましょう。
異常があるのか品種の特徴か判断が難しい場合は、こちらの記事でメダカの特徴や病気を解説しているのでご覧ください。
メダカの理想的な飼育環境
続いてはメダカの理想的な飼育環境についてです。
適切な飼育環境を整えることは、良い体型のメダカを育てる土台になります。特に、
- 日照や水温
- 水流
- 水中の栄養量
の3点はメダカの健康に直結するため、優れた体格のメダカに育てたいときや、長期飼育を見据えている場合は、意識してみましょう。
ここからは、理想的なメダカに育てるための飼育環境について解説します。
日照・水温が適切
日照と水温はメダカの健康に与える影響が大きいため、優先して整えたい飼育環境の1つです。
メダカは他の魚に比べて光を好む性質があり、日光浴や照明時間が不足しがちだと、次第に元気がなくなり、繁殖率も下がるため、10~13時間を目安に光が当たるように管理しましょう。効率的に繁殖させたい場合は、13時間以上がおすすめです。
また、魚は水温によって活性が変わる“変温動物”なので、18~28度ほどの活動しやすい温度で管理すると健康な状態を維持しやすくなります。とはいえ、季節によって水温は変わるため、
- 冬の低水温:冬眠させる、水槽用ヒーターを使う
- 夏の高水温:すだれで強い日差しを遮る、水槽用冷却ファンを使う
といった方法で調節しましょう。水温がわからないと判断できないので、水温計を用意するようにしてください。
水流が強すぎない
メダカは速い流れが得意ではないので、水流は緩やかに調節してあげましょう。
小川に住んでいるイメージもありますが、実際は流れが緩い、もしくは無い場所を探して住処にしています。
強い水流はメダカの消耗につながるため、パワーのあるろ過フィルターの使用は避けましょう。製品にもよりますが、ろ過フィルターの吐出量や吐出口の向きを調節することで水流の強さを加減できます。
屋外飼育では風などで酸素が供給されやすいので、ろ過フィルター無しで管理することも可能です。
屋外飼育では水が透明すぎない環境
水は透明なほどきれいで良い環境、というイメージがありますが、屋外でのメダカ飼育においては、必ずしも最適な環境とは限りません。というのも、屋外飼育においては薄い緑色をした『青水(グリーンウォーター)』と呼ばれる飼育水の方がメダカに有益だからです。
青水は植物プランクトンを豊富にふくんだ水のことで、メダカが餌として利用できるほか、水を浄化してくれるバクテリアが多く生息しているため、環境を維持しやすいという特徴があります。
ただ、青水の濃度が濃すぎると、夜間に植物プランクトンが酸素を消費してしまいメダカが酸欠になることがあるので注意してください。飼育容器の底が見える程度に濃度を調節しましょう。
また、青水が有益なのは基本的に屋外飼育のみに限定されます。
室内飼育では、水は透明な方がメダカに良い環境です。濁りが発生した場合は速やかに水換えをして、環境の見直しを行ってください。
屋外飼育と室内飼育では、環境・ろ過のサイクルが異なるため、飼育場所に合った環境の判断を行うことが大切です。
メダカに適さない飼育環境例
理想的な飼育環境と合わせて、メダカに適さない飼育環境も把握しておきましょう。
メダカにもストレスや苦手なものがあるので、可能な限り取り除いて落ち着ける環境を整えてあげるのがポイントです。
日光・照明が足りない!
光があまりあたらない環境は、メダカ飼育に適切とは言えません。光が不足すると、体調を崩したり、体格に影響が出たりすることがあるからです。繁殖が滞ることもあるでしょう。
先ほどお話した通り、メダカは日光や光を好む性質がとても強い魚です。
メダカ飼育においては一日10~13時間程度、しっかり光を当てることを意識してください。
ただ、光を当てるとコケが発生しやすくなりますので、こまめな掃除を心がけることが大切です。
ミナミヌマエビや石巻貝などのお掃除生体を導入すると、コケの繁茂を遅らせることができます。
騒音・振動
メダカに限った話ではありませんが、魚類は全般的に大きな音や振動が苦手で、ストレスを受けます。
- 人通りが多すぎる場所に水槽を設置する
- 不安定な設置台で飼育する
- 水槽をたたく
といった環境や行動は、メダカの負担になるため避けましょう。すぐに悪影響が出ることはありませんが、長期化すると体調不良や食欲低下などにつながることがあります。
水草が無い
水草が無いこともメダカにとって大きなストレスになります。
そもそも、野性のメダカは水草が多く繁茂する環境に生息しているのですが、それには以下のようなメリットがあるためです。
- 隠れ家や産卵場所になる
- 水草の浄化作用できれいな水質が維持されやすい
- 水流が当たりにくい
飼育下のメダカも生態や習性は同じなので、水槽や飼育容器には水草を導入して飼育することをおすすめします。
メダカにおすすめの水草については、こちらの記事をご覧ください。
まとめ:メダカの理想とは!体型・飼育環境などメダカにとっての最適を考える
今回は、理想的なメダカの体型と飼育環境をご紹介しました。
メダカの状態は体型に現れるので、上から見てお腹が膨れすぎていない、背骨が曲がっていないものが良い個体の判断基準になります。ヒレの欠損が無くそろっていることも良いメダカの条件です。
また、理想的なメダカに育てるためには、飼育環境がなにより重要なことから、
- 日照や照明時間は10~13時間を目安にする
- 水温は18~28度に調節する
- 水流を抑える
- 植物プランクトンやバクテリアが豊富な青水を活用する
といった環境を整えるようにしましょう。メダカにとって理想的な飼育環境に近づけることで、ストレスが減って体格の良い健康な個体に成長しやすくなります。
長生きにもつながりますので、ぜひ、理想の体格・飼育環境を整えてみてください。

トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。