ドジョウ少し地味な印象を持たれやすい魚ですが、実は愛嬌があり飼育している人もたくさんいます。ドジョウは1種類だと思われがちですが、日本に生息しているものはいくつかの種類があり、熱帯魚にもドジョウの仲間がいます。
日本に生息しているドジョウも、熱帯魚の中のドジョウの仲間も基本的に育て方はあまり変わりません。とても愛らしい顔が人気でドジョウだけ飼育している人もいます。
今回はそんなドジョウの種類や餌、水槽のレイアウトなどについてお話していきましょう。
目次
ドジョウの飼育についてを動画で知る!
この記事の内容は動画でもご覧いただけます。
ドジョウの種類やエサなどを音声付きでわかりやすく解説しています!
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ドジョウについて知ろう!
ドジョウは川にいて、細長く茶色い体がとても地味だというイメージの人は多いです。
日本の自然環境下では、田んぼや用水路、河川に生息しています。熱帯地方にいるドジョウの仲間は、「〇〇ローチ」というような名称でアクアリウムショップで販売されています。
ドジョウの性格や寿命は?
種類によって性格は異なり、臆病なものや泳ぐのが好きなもの、気性が荒いものなどさまざまです。ほとんどが水槽の底層を泳ぎ、底砂にもぐるのを好む傾向にあります。
飼育できる魚としては寿命が長く、平均すると8~10年生きると言われています。長生きさせるには水槽内の環境が良いことが条件ですし、混泳させる魚との相性やストレスの状態などにも左右されます。
ドジョウはどれくらいに育つ?
生物を飼育するとなると、購入時よりも最終的にどれくらいの大きさになるのかを気にしなければなりません。
一般的にアクアショップで販売されているものは、5cm前後の稚魚が多いです。
水槽での飼育だと15cm前後になるものが多いですが、種類や飼育環境によっては30cmを超える場合もあります。
さすがに30cmを超える場合は最低でも45cm~60cmの水槽で飼育をしないと、ドジョウにストレスが溜まってしまいます。
ドジョウの飼育は難しい?
川魚でもあるドジョウの飼育が難しいのではと思っている人は多いですが、必要な機材をそろえておけば飼育自体はとても簡単です。
熱帯魚のドジョウの仲間などは水温など少し気にしてあげる必要がありますが、アクアリウム初心者でも育てやすいです。
ここではドジョウの飼育についてお話していきます。
水槽サイズ
ショップで購入したときは5cm程度でも、最終的に20センチ近くなることを考えると、最初から30cm~45cmの水槽で飼育したほうが、後から水槽の移動や購入を考える必要がありません。
大きくなって30cm近くなってしまった場合は、60cm~90cmの水槽にしましょう。
ちなみに、ドジョウは飛び跳ねることがあるので、飼育するときは水槽のフタをするようにしましょう。
また、水槽のほかにエアレーションや、ろ過フィルターも必要になってきます。
ドジョウの飼育に最適なフィルターとは
酸素が豊富!上部フィルター
上部フィルターはその名の通り、水槽の上部にフィルターを設置して使用します。ポンプで飼育水を汲み上げてフィルター内部に導入し、ろ材を通してろ過を行った後に水槽へ排水する仕組みで飼育水を浄化します。
上部フィルターのメリット
- 水槽サイズ別の対応機種が多くて安価
- 容量が大きくろ過能力に優れる
- フィルターのメンテナンスが容易
- 酸素供給力が高い
上部フィルターは最も普及してい機材の1つなので、対応している水槽サイズが多いうえに、大量生産できるためか安価な商品が多いことが特徴です。
また、フィルター内部の容量が大きく、ろ材を大量に入れることが可能なのでろ過能力にも優れています。ろ過槽が解放されているので、バクテリアが酸欠になりにくい点もポイントです。
さらに、メンテナンス時はフタをあければ、すぐにろ材の交換や内部の掃除が行えるので、メンテナンス性も優れています。
上部から落水する構造のため、水音はややするものの、酸素をたっぷりと飼育水に供給できます。
上部フィルターのデメリット
- 水槽の上部スペースを圧迫するので見栄えが悪い
- 水を落とすので静音性に欠ける
上部フィルターは水槽の上部さえ空いていれば、別の設置場所を必要とはしません。しかし、水槽の上部スペースを大きく専有してしまうので、アクアリウム全体としては見栄えが悪くなってしまいます。
また、ポンプの収納スペースとろ過槽が解放されており、フィルターを通った飼育水は水槽へ落ちていくので、どうしてもポンプの動作音や落水音がしてしまい、静音性に欠ける欠点があります。
ろ過能力が高い!底面フィルター
底面フィルターは水槽の底に敷き詰めて使用するフィルターで、形式により2つのタイプが存在します。1つは底面フィルター本体で吸水してろ過を行う底面吸水式。もう1つは外部フィルターなどの排水口を接続して底面フィルターから水を排水する底面吹上式です。
底面フィルターのメリット
- 安価な商品が多い
- 底砂全体がろ材になるのでろ過能力が高い
- フィルターが底砂に隠れるので見栄えが良い
- 接続部分がすべて水槽内のため、水漏れしない
底面フィルターにも安価な製品が多く、商品によってはベースフィルターを接続してろ過面積をコントロールできるので拡張性があり使い勝手が良いです。
そして、底砂全体をろ材として利用するので高いろ過能力を発揮でき、特に生物ろ過能力に優れています。また、底面への有害物質の蓄積を軽減することが可能なので、下層で生活するドジョウの健全な育成を助けてくれます。
さらに、底面フィルターは水槽内に導入して底砂をかぶせて使用するので、設置場所が必要ないうえにフィルター本体が隠れるので、アクアリウムとしての見栄えも良いです。
ろ過構造が水槽内で完結するため、水漏れの心配が無いのも魅力です。
底面フィルターのデメリット
- メンテナンスが煩雑
- 底砂がフィルターに侵入してろ過能力が低下することがある
- 物理ろ過能力は高くない
底面フィルターは底砂に埋めた状態で運用するので、日常のメンテナンスが困難で異常が発生しても気が付くのに時間がかかります。特にフィルターを交換しなければならない時は、水槽をリセットする必要があります。
そして、底面吸水式の場合は底砂にゴミが溜まりやすいことにも留意してください。ウールマットのようにゴミがたまったら交換…というようなメンテナンスができないため、底床用クリーナーでしっかりとゴミを吸い出します。
また、ドジョウのように砂に潜る性質を持つ魚種の場合は、振動などの影響でフィルター内部に細かい砂が侵入しやすく、ろ過能力の低下を招きやすい点に注意します。
底面フィルターを使用する場合の底砂は、細かめの大磯砂が詰まり難くおすすめです。
こちらはメダカの記事ですが、底面フィルターでの飼育方法やポイントを解説しています。併せてご参照ください。
ドジョウ水槽にいれる砂(底砂)と砂利のおすすめベスト5
ドジョウは砂に潜る性質があるので底砂は必須ですが、どんな底砂でもよいというわけではありません。粒が大きな砂利だとドジョウがうまく潜ることができず、角のある底砂の場合はドジョウの体が傷ついてしまいます。ここではおすすめの底砂をご紹介します。
1.田砂
同商品は田んぼの粘土質の土を除去した後に、砂利のみを粒径の揃った砂に加工したものです。角が取れているのでドジョウが潜っても傷つかず、汚れたら洗って再利用できるのでドジョウの飼育において理想的な底砂の1つです。
水質を大きく変えないのも良いポイントです。
2.川砂
観賞魚の健全な育成のために天然素材にこだわった商品です。加工の際に砂の角も取れているので、ドジョウのヒゲなども傷つけません。安全面だけでなく鑑賞性の面でもより自然な演出ができるよう、品質管理がなされているので安心して使用できます。
3.ボトムサンド
ドジョウをはじめとした底棲魚のための底砂で、加工の際に角を取っているので魚体を傷つけずに済みます。また、軽い素材を使用しているので潜りやすい底砂です。色合いも自然で水質への影響も少ない性質の砂なので安心して使用できます。
4.大磯砂
底面フィルターを使用する場合におすすめするのが大磯砂です。
角がありそうなイメージですが、細粒タイプなら問題なく飼育できます。
底面フィルターに詰まらずに使用できる頼もしい底砂利です。
5.玉砂利
こちらも砂利ですが、角が丸く取れているのが特徴で、ドジョウ飼育でも使用できます。水質への影響もないため、安心して使用できます。
砂に比べてやや重い為、ドジョウのサイズによっては、すんなり潜れないこともありますのでその点はご留意ください。
生息環境が似ているメダカの底砂も併せてご参照頂くと選定基準が明確になりやすいです。
隠れ場所は必須
単独飼育する場合も、他の魚と混泳させる場合もドジョウの隠れ場所になるような、岩や流木、土管などといったアイテムを入れてあげましょう。
同じドジョウ同士でも喧嘩することがあるので、隠れ場所になったり、泳ぎ疲れたときの休憩所にもなります。
砂にもぐるという性質からか、1匹でも土管などの隠れ場所があったほうが、人間の目を気にせずストレスが軽減され落ち着ける環境になるようです。
ドジョウ水槽のレイアウト注意点
ドジョウは川に住んでいるから…と、ドジョウ水槽のレイアウトを考えるとき、水草を入れるイメージを抱く方が多いと思います。しかし、ドジョウの砂にもぐる性質を考えると、底砂に根を張るタイプの水草は、ドジョウが潜ったときに根元から倒れたり、砂から掘り起こされてしまうことがあります。
そのためウィローモスのような活着できる水草や、カボンバなどのように浮かせておくだけでもOKというような水草がおすすめです。
水草の活着方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
また、人工の水槽用のレイアウトアイテムにある水草を使うという方法もあります。しかし素材によっては水中に有害な物質が流れ出ることがあるので注意しましょう。
ドジョウの餌はどんなものがよい?
ドジョウの餌に困るという人もいますが、他の魚と混泳させている場合は、水槽の底床に落ちた餌の食べ残しを食べてくれます。また水草がある場合には、水草が腐ったり、傷んできた部分を食べます。
しかしそれだけでは足りないこともあるので、やはり市販されているドジョウ専用の餌を与えてあげましょう。
クーリーローチのような熱帯魚に分類されるドジョウの仲間は、熱帯魚用の沈降性の餌でも良いです。
ドジョウは雑食性なので、専用フード以外にも冷凍ミジンコや冷凍アカムシ、イトミミズなども食べるので、たまにおやつ程度に与えてあげると喜びます。
餌やりの頻度は1日1回~2回で大丈夫です。食べ残さないよう、5分程度でドジョウが食べきる量を与えてください。
ドジョウ飼育のメンテナンスについて
ドジョウの飼育におけるメンテナンスの内容は、他の一般的な観賞魚と同様に水換えと水槽内部および周辺機器の掃除です。
水換えの頻度については飼育環境に大きく依存するので一概には言えませんが、肉食食性が強い魚種との混泳をしておらず、過密状態でなければ2週間に1回程度で問題ないはずです。すぐに水質が悪化するようでしたら、フィルターなどを見直してみてください。
水換えをする際は飼育水の全量に対して1/3程度の水量を交換します。一度にすべての水を換えてしまうと、環境の急変を招きpHショックなどの弊害を起こすことがあるので注意してください。
また、ドジョウなどの底棲魚の場合は底砂の掃除も重要です。汚れた底砂で飼育していると、ドジョウが病気にかかるリスクが上昇してしまいます。
そこで、ドジョウの飼育においてぜひ用意しておきたいメンテナンス用品があります。それは「底砂クリーナー」と呼ばれるもので、「水作 プロホース」などが代表的な商品です。これを用いると底砂の掃除とともに水換えが可能なので、メンテナンスが容易になります。
ドジョウの種類をご紹介!
それではここからは、ドジョウの種類についてご紹介していきましょう!
ドジョウは実にたくさんの種類があるので、驚かれる人もいるかもしれません。
可愛いドジョウについてはこちらの記事でもご紹介していますので、併せてご覧ください。
マドジョウ
マドジョウは最大サイズが15cm程度で、ショップでもよく販売されています。
野生環境下でも、よく採取されているドジョウで、大型魚の餌として販売されていることもあります。
ヒドジョウ
ヒドジョウはマドジョウの色違いといったところで、大きさは15cm前後になります。黄色っぽくみえるのでアルビノと間違えられますが、これはアルビノではなくこういった色の種類です。
アルビノドジョウ
アルビノドジョウはマドジョウを品種改良したもので、大きさもマドジョウと変わりありません。目が悪いですが、匂いで餌をかぎ分けています。
シマドジョウ
シマドジョウはマドジョウよりやや小ぶりで13cm程度になります。日本特有の在来種で、アクアリウム初心者でも飼育しやすいドジョウです。
スジシマドジョウ
野生環境下でも棲息していますが、自然環境の変化から年々その数が減っていると言われており、大きさは13cmほどになります。
イシドジョウ
イシドジョウは7cmと、ドジョウの中でも小さな部類に入ります。自然環境では河川の上流に生息しており高温に弱いため、夏場はクーラー必須なドジョウです。
アジメドジョウ
アジメドジョウは田んぼや用水路、一般の河川ではなく、人里離れている清流の中でないと生きていけません。
そのため、飼育するときは水質の変化に弱く、高温にも弱いため夏場はクーラーが必要になってきます。アクアリウム初心者には、飼育が難しい部類に入り、大きさは10cmほどになります。
ホトケドジョウ
ホトケドジョウは日本固有のドジョウで、田んぼや小川などに生息しています。
ホトケドジョウは底砂にもぐることがなく、水槽内では中層を泳ぐ習性があるドジョウです。近年環境破壊が進んでいるせいで、野生のものは環境省がレッドリスト登録している絶滅危惧種IB類になっています。
クーリーローチ
熱帯魚飼育をしているアクアリストの中では、水槽の底層の掃除をしてくれることでも知られています。細長い体に縞模様が特徴的で、顔を見るとちゃんとドジョウのようにヒゲもあります。
砂にもぐる性質があるので、水槽内で姿をあまり見られないことも多いです。
クラウンローチ
熱帯魚として知られているクラウンローチも、実はドジョウの仲間です。少々気性が荒いところがあるので、混泳させるときには注意が必要な熱帯魚です。
捕まえたドジョウを飼ってみよう!
ドジョウは日本全国に生息しているので、田んぼや河川などに行けば捕まえることが可能です。
草や木で日陰になっているところや、岩陰などを少しさがせば見つけることができるので、網ですくあげたり、手で捕まえることもできます。川釣りをしていると、引っかかってくることもあるんです。
しかしホトケドジョウのように、絶滅危惧種に指定されいてるようなものや、天然記念物扱いされているような生物は連れて帰ることができませんので注意してください。
ドジョウの捕まえ方はこちらのYouTube動画を参考にしてみてもよいでしょう。
川などで捕まえてきた魚は弱ることが多いので、なるべく弱らせずに持ち帰る方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
まとめ・ドジョウの種類とレイアウトや餌などの飼育方法について
今回はドジョウについてや、ドジョウの餌や水槽レイアウトの注意点、種類などについてお話しました。
熱帯魚や金魚などと比べると、とても地味な色合いのドジョウですが、その顔はとても愛嬌がありかわいらしい魚です。混泳向きの種類もいるので、ドジョウの飼育をはじめてみてはいかがでしょうか。
餌の食べ残しや水草の痛んだ部分などを食べてはくれますが、プレコやオトシンクルスのようにコケまでは食べないので、水槽の掃除はしっかりと行いましょう。

水槽のプロ トロピカライターの上原巧です。
魚介類は観賞するのも食べることも好きです。
情報を発信する立場として、正確な情報を分かりやすい文章でお伝えすることを心がけています。
私の記事が皆様のお役に立てれば幸いです。