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水槽の水温が上昇すると起きる5つのリスクとは?クーラーやファンで対策

近年の日本は本当に夏暑くなりますね!

24時間ルームエアコンをつけているならアクアリウムの温度も保たれると思いますが、仕事で長時間家を空けるなど、そうもいかない事情もおありかと思います。

そんな時、酷暑のアクアリウムはどういう変化があるのでしょうか。こちらのページでは、水槽の水温が上昇することで起こりうる5つのリスクについて、そしてその対策についてご説明していきます。

熱帯か?!と思うような暑さから大切なアクアリウムを守りましょう!

日中暑い時、水槽の温度はどうなるか

夏の日差し

私たちが外出している時、クーラーをつけなかったら室温や水槽の水温はどう変化しているのでしょうか?

基本的な水温の変化についての解説

まずは基本的な温度の変化について解説します。

熱というのは接しているものから伝わるものです。それを「熱平衡」と言います。

室温が高くなればその熱が水槽の水にも伝わります。もし帰宅時に室温が35℃であれば、水槽の水も35℃になっているはずです。

30℃くらいであれば問題ないかもしれませんが、近年の猛暑では40℃近くまで気温が上昇していますので、もっと水温が上がる可能性は高いでしょう。

ルームエアコン・水槽用クーラーが稼動している場合

とは言え、ルームエアコンや水槽用クーラーが稼動しているならば、もちろん水温は過度に上昇しません。ルームエアコンが稼動していれば室温は28℃近辺に下がっているでしょうし、水槽用クーラーがあれば水槽の水温は飼育している魚に適度な温度を保つことが出来ます。

水槽用クーラーの購入を検討なさる方は以下のページをご参照ください。かなり詳しく解説されていますので参考にしていただけます。

室温を下げる設備等が稼動していない場合

ルームエアコンも、水槽用クーラーも稼動していない場合、上でご説明した通り水槽の水はかなりの高温になってしまう危険性があります。

飼育されている熱帯魚の適温は様々ですが、ほとんどの熱帯魚にとっての適温は23~27℃です。「熱帯から来たんだから、少しくらい暑くても平気だろう」と思うかもしれませんが、そういうわけではなく、30℃を越えれば熱帯魚にとっては暑い状況なんです。

あなたが家を留守にしている間、水温は23~27℃に保てているでしょうか…?現在の日本の夏では難しいことと思います。

では、水温が上がりすぎるとどんなことが起こるのかについて、次の項でご説明します。

水温が上がりすぎると起こる5つの恐ろしいこと

ろ過能力のダウン

水槽の水をろ過するシステムは大きく分けて3つに分かれます。

物理的ろ過・化学的ろ過・生物的ろ過ですね。その中でも最もパワーがあり、重要なのがバクテリアたちによる生物的ろ過であることはご存知かと思います。

生物的ろ過はバクテリアが魚たちの排泄物などを分解してくれるはたらきです。バクテリアも生物ですから、過ごしやすい温度があります。ですが水槽の水温が上昇しすぎると、バクテリアの元気もなくなります。そのことから、生物的ろ過の能力が低下する恐れがあります。

水質の悪化

夏の時期は食べ物などが腐りやすいのはみなさん経験的におわかりですね。

水の中の物質も同じことです。魚の排泄物、食べ残された餌、水草の枯れた葉などが腐りやすい状況になっています。

上でご説明した「ろ過能力のダウン」も手伝い、水質がとても悪化しやすい状態となっています。

酸素量の低下

水温が上昇すると、水に溶け込むことのできる気体の量が低下します。

全ての気体が溶けづらくなるため、魚たちの生息に必要な酸素や水草がイキイキと育つために必要な二酸化炭素も溶け込まず、空気中へ逃げていきます。

そうなると魚や水草の元気がなくなります。加えて上でご説明した生物的ろ過を行なってくれるバクテリアの元気もなくなり、水質が悪化する原因になります。

生体が弱り死の危険も

私たちも夏の暑い日に、外にずっといたら熱中症になりかねませんよね。熱帯魚だって同じことです。

健康な熱帯魚には免疫力がありますので、めったなことでは病気になりません。ですがあまりにも水温が上昇すると魚の免疫力も下がります。それに伴い病気になりやすくなります。

また水草も枯れる危険性があります。水草が枯れればそれだけ水が汚れます。よってまた水質が悪化してしまうのです。

バクテリアたちにも高温は影響を与えます。殖やすのは難しいのに環境が変わると一気に死滅してしまうバクテリア…。そのバクテリアたちも高温は苦手です。普通の生物のひとつですから当然と言えば当然です。

機器のトラブル

「水槽のフタがあると余計に水温が上がるだろうと思ってフタを開けておいたら、高温になった水槽の水がどんどん蒸発し、その水蒸気の湿気でライトが壊れた」というのは時々聞く夏場の機器トラブルの1つです。

また、水温が上昇すればそれだけ水の蒸発も早まります。気づいたら水位がずいぶん下がっていたな…などということも有り得ます。その結果、本来水の中に入っていたはずの機器が空気中に出てしまって故障したというケースもありますので、夏場は水槽の水位にも注意しましょう。

夏場の水温上昇の対策は

水槽用クーラーの導入

確実かつ安心なのが、やはり専用の機器の導入です。

「でもお高いんでしょう?」いえ、そうでもないんですよ。今は比較的手軽に購入できる水槽用クーラーも増えています。お持ちの水槽のサイズに合わせて能力を選んでくださいね。

ジェックス アクアクールファン レギュラー

テトラ (Tetra) 25℃クールファン CFT-30

長年丹精してきた水槽をリセットなんていう羽目になりませんように…。

エアレーションの強化

水に溶け込む気体の量が低下しますので、エアレーションを強化してカバーするのもひとつの手段ですね。大切な熱帯魚やバクテリアが酸欠にならないように気をつけてあげたいものです。

水作 水心 SSPP-7S(エア量固定式)

水換えの回数を増やす

水質の悪化に対する改善方法です。普段よりも少し回数を増やしてあげると水質の悪化を防ぐことができます。

水換えは大変だから、水質が悪化しているか知りたい…水換えをしても水質が保てているか不安、そういった方は下のページから「水質チェック」について一読してみてくださいね。

水槽に氷を入れるのは厳禁!!

ネットには様々な情報が載っています。中には「水温があがる夏場は、水槽に凍らせたペットボトルを入れよう」と書いてある場合がありますが、これはとても危険です!

熱帯魚たちが水の変化に弱いことはみなさんご存知のはずです。ショップから購入した熱帯魚に対して、とても慎重に水合わせをしますよね。それなのに水槽に0℃のものを投入したら、水温がどう変わるか…熱帯魚がどんなダメージを受けるか…想像しただけで「ヤバイ!」とわかっていただけると思います。

急激な温度変化は熱帯魚にはタブーです。気をつけてくださいね。

水温を上手に保って夏の素敵なアクアライフを

水槽の水温が上昇すると5つのリスクがあることをご説明しました。

大切な熱帯魚を守って上げられるのは私たちだけですので、しっかり対策を練って酷暑を迎えたいものですね。

夏は開放的で楽しいシーズンです。美しいアクアリウムを眺めると、ひと時の涼を感じることも出来ます。熱帯魚たちを熱中症にしてしまわないためにも、様々な工夫を凝らしてくださいね。