熱帯魚の飼育を始める季節は、冬が断然おすすめです。
熱帯魚というと夏のイメージがあるかもしれません。しかし、実は初心者がアクアリウムを始める季節としては、寒い冬が一番適しているのです。
それはなぜなのでしょうか? 反対なんじゃないの? そんな疑問を解消するために、今回は「熱帯魚飼育を始めるなら冬がおすすめな3つの理由」をテーマにして紹介していきます。
冬に熱帯魚飼育を始めたい理由①:温度管理がヒーターを使えば楽々できる♪
熱帯魚の飼育において、1番難しいと言われているものが2つあります。そのうちの1つが「温度管理」です。
熱帯魚にとって水温は生命維持に直結します。寒すぎると代謝が落ちたり病気になったりして死んでしまいますし、暑すぎても代謝が高くなりすぎて疲弊するように死んでしまいます。特に、水温が高いのはエビや小さな魚には影響が強く、夏場などに室内を締め切るなどして水温を35度以上にあげてしまうと、エビや魚が全滅することもあります。
特にレッドビーシュリンプなどの一部の観賞生物は、夏場の高水温に耐えられずに死んでしまうことが良くあります。でも、水槽に数か月単位で馴染んでいれば、環境に適応して生き残ってくれる個体も出てきます。夏の暑さに向けて体を慣らすという意味でも、冬場から飼育するのはメリットがあります。
ちなみに、水温が低い時にはヒーターで温めれば良いのですが、夏のように水温が高過ぎる時には冷やすことは難しいです。水槽用のクーラーを設置したり、部屋全体をエアコンで温度管理したりすれば水温を下げることはできるのですが、24時間稼働させることを考えると一般の家庭ではまだまだ現実的ではありません。
そういうわけで、ヒーターで加温すれば目的の水温設定が可能である冬は、熱帯魚飼育のハードルを大きく下げることができるのです。
冬に熱帯魚飼育を始めたい理由②:バクテリア(水質)のコントロールが夏よりも容易
水温管理と並んで、熱帯魚の飼育に置いて1番難しいと言われているものの2つ目は「バクテリア(水質)の管理」です。バクテリアは熱帯魚の排泄物や枯れた水草、食べ残された餌などを、熱帯魚にとって比較的害の少ない硝酸塩という物質に変えてくれます。
バクテリアが十分に増殖していない水槽では、排泄物などから発生するアンモニアなどをバクテリアが分解することができず、水が白く濁ったり、最悪の場合には魚が大量死したりということにつながります。つまり、バクテリアの管理は水質の管理と直結しているのです。
このようなバクテリアの管理をするにあたっては、「夏よりも冬の方が管理はしやすい」です。その理由は、ヒーターで水温を適温にコントロールできるからです。
水中のバクテリア自体は、水温が27~28度の時に増殖するスピードが最も早くなると言われているですが、バクテリアが分解する物質(熱帯魚の排泄物や枯れた水草や食べ残しの餌)はどうでしょうか? 30度を超えるなど水温が高すぎると、一気に腐敗してアンモニアの発生源となり水が汚れてしまいます。
まとめると、水温を25~28度前後にヒーターで固定できる冬場は、バクテリアの活性をコントロールすることができるので「水槽の立ち上げに向いている」&「水質を維持しやすい」と言えます。
冬に熱帯魚飼育を始めたい理由③:水草の緑や熱帯魚に癒される
さて、3つ目の理由なのですが、水槽には癒しの効果が有ると言われています。それは熱帯魚の動く姿だったり、水草の緑だったり、場合によってはフィルターからの水音だったりもします。
病院や学校、老人福祉施設などに水槽を設置することが、利用者の心に良い影響を与えるという研究結果もあります。日常の中の緑が減ってしまう冬だからこそ、水槽を設置することで癒し効果がより高まると言える――というのは、皆さんも経験したことが有るんじゃないかなと思います。
水槽には、人間を惹きつける魅力がありますからね。
冬に熱帯魚飼育を始める時に注意したいこと
ここまで、冬に熱帯魚飼育を始めるメリットについて紹介してきました。しかし、冬に熱帯魚飼育を始めるにあたって、注意してほしいこともいくつかあります。
冬の熱帯魚飼育は、輸送に注意
熱帯魚は、その名前の通り「熱帯に棲む魚」がほとんどです。熱帯魚として流通をしている魚の一部は、冬場に無加温でも飼育できる種類の魚もいますが……ほとんどの熱帯魚は水温が15度以下になると元気がなくなってしまいます。
そのため、ペットショップなどで熱帯魚を購入したら「寄り道をせずに、まっすぐ家に帰ること」をおすすめします。せっかく買った熱帯魚が、家に帰るまでの間に元気をなくしてしまうのは可哀そうですからね。
(ちなみに、インターネット通販で熱帯魚を購入すると、冬場は上の写真のようにホッカイロで保温されて送られてきます)
冬の熱帯魚飼育は、水合わせに注意
ペットショップなどからまっすぐ家に帰ったら、早速、水槽に入れるために水合わせをしてあげましょう。――でも、少しだけ待って下さい。移動中に下がった水温のまま、水槽の水と水合わせをしたら急激な温度変化が生じてしまいます。
水合わせをする前に、10分~15分程度、水面に熱帯魚の入ったビニール袋をそのまま浮かべて「水温合わせ」をしてあげて下さい。水合わせの前に1ステップ挟むことで、魚がダメージを受けるリスクを減らすことができます。
冬の熱帯魚飼育は、電気代に注意
観賞魚用のヒーターの電気代は、60センチ水槽用で1ヵ月1000円~2000円程かかります。これは住んでいる地域や水槽の設置場所(温かいリビングなのか、人がいない玄関なのか)によって変わってくるのですが、複数本の水槽を維持するとなると電気代も馬鹿になりません。
自分の生活スタイルに合わせた水槽の本数を事前に考えておきましょう。また、冬場は無加温で飼育できる水草や熱帯魚(ウイローモス、ミクロソリウム、ウォータースプライト×アカヒレ、メダカ、レッドチェリーシュリンプなど)だけの水槽を作るのも1つの手段です。
冬の熱帯魚飼育は、水替えに注意
水合わせの項目でも書きましたが、水温差は熱帯魚にダメージを与える要因になります。水替えの時も同じで、なるべく温度差を無くしてあげる工夫をすることが大切です。
水槽に入れる水には、加温したお湯で水温調整をしておきましょう。温度計で26度くらいになっていることをしっかりと確認するのを忘れずに。
まとめ/熱帯魚飼育を始めるなら冬がおすすめです♪
ここまで、冬の熱帯魚飼育について考えてきました。こうして振り返ってみると「水温」という言葉がキーワードになっているのが分かります。
水槽という小さな箱の中に、自然を再現するのですから「光、温度、水、+α」などの色々な条件を飼育者の手で揃えてあげないとバランスの良いアクアリウムはできません。
夏場はコントロールしづらい水温がコントロールできる冬は熱帯魚飼育を始めるのにとても向いています。ぜひ、熱帯魚の飼育にチャレンジしてみて下さいね。
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