水草の成長にCO2添加は必要でしょうか? 不要でしょうか?
結論から先に言いますと、アクアリウムで使用される水草には「CO2添加が必要な種類」と「CO2添加が無くても育成できる種類」があります。
なお、この差は「光合成に必要な二酸化炭素の量の違い」によって生まれます。大まかな傾向としては、光合成に強い光を求める水草はCO2添加が必要な種類が多い(より多くの二酸化炭素を光合成で消費する)ですし、光合成を弱い光でも行える水草はCO2添加が不要な種類が多い(高効率な光合成が可能)です。
それでは、どのような水草がCO2添加が必要か、あるいは不要なのか、具体的に見て行きましょう!
CO2添加が必要な水草の種類
いきなりですが、アクアリウムショップで購入できる水草は、原則ほとんどの種類がCO2添加が必要だと考えておいた方が良いです。
その理由はシンプルで、ほとんどの水草は「水中化している状態=仮の姿」だからです。元々の原生地が雨季や乾季で水位の上下がある場所になりますから、現地の季節によって水草は、水中化している状態(水中葉)と空気中で生存できる状態(水上葉)を使い分けています。
また、自然界に存在する水は、二酸化炭素の含有量が水槽内に比べると格段に多いです。その理由もシンプルで、水槽という限られた空間の中では、微量に含まれる水中の二酸化炭素が水草によって1日~数日で消費されてしまうからです。
このような理由で、CO2添加が必要な水草を紹介していくと数が多すぎて水草図鑑が出来上がってしまいますので……今回は代表的な種類を7種類あげてみたいと思います。
グロッソスティグマ
前景用の水草として人気がありますが、きれいに維持するのにはコツが必要な水草です。二酸化炭素の大量添加とかなり明るい光量と底面肥料が育成の鍵になります。
ウォーターウィステリア
ボリューム感を出すのに便利な水草です。二酸化炭素を添加しないと、短期間で溶けるように枯れてしまいます。
ヘアーグラス ショート
草原のようなレイアウトを作れるため、前景用として人気のある水草です。CO2添加の有無で成長速度が大きく違う水草でもあります。なお、CO2添加をしない状態でもなんとか育てることはできますが、その場合には綺麗な草原を作ることはかなり難しいと思います。
リシア
前景用として人気のある水草です。草原のようなレイアウトを作るためには、かなり多くの光量とCO2添加が必要です。
コブラグラス
前景用として人気のある水草です。密生させるためには、CO2添加が必要です。古い葉に黒髭コケが生えやすいので、小まめな水替えが維持管理には欠かせません。
CO2添加が不要な水草
ここまで、CO2添加が必要な水草を紹介してきましたが、CO2添加が無くても育成を楽しめる水草は結構あります。
アクアリウムを始めたばかりの方や、上部式フィルターやスポンジフィルターなどの二酸化炭素の添加に向かないフィルター(エアレーション効果で二酸化炭素が空気中に逃げてしまう)を使用している方は、ここで紹介する水草を使うと綺麗なレイアウトを作ることができます。
ぜひ、参考にしてみて下さい。
ハイグロフィラ・ロザエネルビス
ハイグロフィラ・ポリスペルマの改良品種。赤い色を維持するには、液肥で鉄分を補給するのがポイントです。なお、他のハイグロフィラの仲間(ラージリーフなど)は、CO2添加が必要なので注意して下さい。
バリスネリア
スクリューバリスネリアやジャイアントバリスネリアなどの種類がありますが、いずれもCO2添加が不要な水草です。
グリーンルドウィジア
硬めの葉っぱが特徴的ですが、CO2添加が不要な水草です。
グリーンロタラ
緑色のロタラの仲間です。中景~後景用に人気があります。
パールグラス
透き通った緑色の葉が特徴的な水草です。見た感じでは、いかにもCO2添加が必要そうですが……二酸化炭素の添加無し&室内で無加温栽培が可能な、丈夫な水草です。中景~後景用に人気があります。類似種のキューバパールグラスなどはCO2添加が必要なので注意して下さい。
アナカリス
理科の実験でもおなじみの水草。丈夫で成長が早いので、草食魚やザリガニの餌にも活用できますし、金魚や両生類の繁殖にも重宝します。
アヌビアス
アヌビアスナナやアヌビアスバルテリーなどの種類がありますが、いずれもCO2添加は不要です。ただし、CO2添加をしていないと葉にコケが生えやすいので注意して下さい。やや暗めの環境でも適応してくれる丈夫な水草です。
ミクロソリウム
ナローリーフやトライデントなどの品種がありますが、いずれもCO2添加は不要です。やや暗めの環境でも適応してくれる丈夫な水草です。
ボルビティス
細かい葉っぱが魅力的なシダの仲間です。やや暗めの環境でも適応してくれる丈夫な水草です。
ウィローモス
苔の仲間の水草。普通のウィローモスはCO2添加は不要です。やや暗めの環境でも適応してくれる丈夫な水草です。ただし、フレイムモスやホウオウゴケなどはCO2添加が必須ですので、注意して下さい。
クリプトコリネ・ウェンティグリーン
独特の形が人気の水草です。クリプトコリネの仲間は、水質にうるさい&CO2添加が必要な種類が多いのですが、このクリプトコリネ・ウェンティグリーンは比較的丈夫です。
浮き草の仲間
浮き草の仲間は、原則として空気中からも二酸化炭素を吸収できますので、CO2添加は不要です。
メダカ飼育などでポピュラーなマツモも、浮草です。産卵床としても活躍します。
水槽へCO2を添加する4つの方法
CO2を水槽に添加する方法は4つあります。
CO2高圧ボンベ式添加
CO2の充填した高圧ボンベを装着し、飼育水に添加する方法です。
必要な物が多く、初期コストはかかりますが、安定してCO2を供給することができます。
いかにも、『添加している!』という感覚を味わえる添加方法でもあります。
CO2高圧ボンベ式添加に必要な物
- CO2ボンベ
- レギュレーター
- 耐圧チューブ
- 拡散器
- タイマー
- 電磁弁
結構、用意するものが多くて敷居を高く感じますよね。
フルセットで販売しているメーカーもあり、入門編として最適です。
発酵式CO2添加
イースト菌を容器(炭酸飲料のペットボトル)の中で発酵させて、発生するCO2をチューブを通じて添加する方法です。イースト菌の準備などは個人で行うため、手作りの添加方法です。
コストが安く、自然由来なところに親しみを覚えやすい方法です。
イースト菌、砂糖、水を混ぜることでCO2(と、アルコール)が発生します。
この3点だけだとCO2の発生が急激なものになるので、寒天や重曹を混ぜて、遅らせます。ただし、気温が低いと菌の活動が鈍りますので、冬場はあまりお勧めできません。
容器は必ず、炭酸飲料用ペットボトルを使用しましょう!
タブレット型CO2添加
タブレット型添加は、その名の通り、CO2が発生するタブレット(錠剤)を水中に投下する添加方法です。簡易的な方法で、設備が一切いらないのが最大の魅力です。
しかし、簡易的ゆえ、デメリットも少なからずあります。
- CO2添加のON、OFFができない。
- コストが高い
- 添加量がわからない
それでも、急遽他の添加装置の故障などで、CO2が必要になったりした場合は、大変助かります。予備として用意しておいても良いですね。
自然溶解型
CO2の充填した容器を水中に沈め、自然に溶けださせ添加する方法です。
高圧ボンベ型が、一定量を強制的に添加し続けるのに対して、非常に緩やかに添加されます。しかし、水中で添加するため、CO2を容量に対し、効率よく溶け込ませることができます。添加タイプの中では最も無駄がないです。
しかし、溶解量をカウントする術がないため、目視で管理しなければいけないデメリットがあります。また、水中に沈めるため水槽内が狭くなったり、ON、OFFも、もちろんできません。
効率は良いものの、安定供給・カスタマイズ性では高圧ボンベに軍配が上がります。
まとめ/水草の成長にCO2添加は必要か?水草の種類別に考えてみた結果
水草の成長にCO2添加は必要か? と言われたら「水草の種類によりけり」という答えになります。
なお、水草の成長にはCO2添加だけでなく「光合成に必要な条件」を満たしてあげることが欠かせません。CO2添加をしていても、光量が不足すれば水草はヒョロヒョロと間延びしてしまいます。また水草の種類によっては、鉄分などの微量元素が無くなると色が出ない(色が白っぽくなる)水草もあります。
最後に、まとめです。
水草を育成する時には、CO2添加だけでなく、光量や肥料にも気をかけてみて下さい。水草の種類によっては、別種のように感じるくらいの綺麗な姿を見せてくれますよ。
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