日々の水槽管理方法を教えます!熱帯魚、水質、機器類に注目しよう

生体を飼育していると水槽内の環境は日々変化していきます。一見すると綺麗な飼育水でも生体の生育に不適切な水質に変化していることもあり、それが原因で生体が病気になってしまったり、最悪の場合は死に至ることもあります。

そのような状況を防ぐためには日常的な水槽の管理は必要不可欠で、水槽の保守管理を容易にしてくれる製品も数多く市販されています。ここではアクアリウムについて日々の管理で注目すべき点と、管理方法について解説したいと思います。

飼育水について

水槽で飼育される熱帯魚や水草にとって飼育水は大変に重要な要素です。ここでは飼育水について日常的にチェックすべきものを紹介します。

水温

それぞれの生体にとって、適した水温が保たれているかは日常的にチェックしましょう。特に夏と冬は適正な温度域から外れやすいので注意が必要です。水槽には必ず水温計を常設するようにしましょう。

通常では夏場はクーラーを、冬場はヒーターを用いて水温を調節すると思いますが、それぞれについて故障してしまうと水温調整ができなくなり、致命的な事態に陥ってしまいます。温調機器は予備のものを常備しておくことを強くおすすめします。

水質

水質を決定づける指標はたくさんありますが、日々の管理で特に注目すべきものを以下に示します。

pH

pHは水中の水素イオン濃度を示す数値で、pH0~14の範囲で示され中性はpH7です。数値が大きいほどアルカリ性が強いことを示し、酸性が強いほど数値は小さくなります。

適正値は海水生の生物の場合はpH8付近の弱アルカリ性です。淡水生の生物に関しては種類によって異なり、アマゾン川が原産の熱帯魚や水草全般については弱酸性を好む傾向にありますが、大部分に関しては中性付近を保てば問題ありません。

pHは生体の代謝によって、最終的に生じる硝酸塩が蓄積してくると酸性に傾いていきます。生体にとって適したpH帯を外れるとストレスになり、食欲減退や免疫力の低下により病気にかかりやすくなるので注意してください。

水温と比較すると毎日のようにチェックする必要はありませんが、小まめに確認しておいた方が良い重要な指標です。

GH(総硬度)

GHは水中に溶存している硬度物質の総量を示す指標です。硬度物質とは主にカルシウムイオンマグネシウムイオンのことで、これらの物質の量が多い水を硬い水(硬水)、少ない水を軟らかい水(軟水)と表現します。

硬度物質は、バクテリアの働きによって生じる硝酸と反応して硝酸塩となるので、pHの低下を緩やかにするpH緩衝効果を持ちます。

そのため、GHが高い方がpHが低下し難いのですが、生体によって適したGHの範囲が存在し、その範囲から外れると発育不全などの弊害が生じるので注意してください。

推奨値は一般的な熱帯魚で6~16°dH(ドイツ硬度)ですが、水草の場合は低い硬度を好む品種が多く、特に南米原産のものに顕著です。

GHも生体を飼育しているとpHと同様に次第に低下し、低くなりすぎると急激なpH低下を招くので、定期的にチェックすることをおすすめします。

飼育している生体の観察

日々の水槽管理において飼育している生体の観察は欠かせません。熱帯魚などがいつもと違う様子を見せている場合は、水槽内の環境が悪化していることが考えられるからです。日頃から以下の点を意識して観察するといち早く対処できます。

熱帯魚の場合

・餌への食い付き

・元気に遊泳しているか

・色はいつも通りか

・体表に付着物はないか

・ヒレなどに傷がないか

熱帯魚は水温や水質が適切でない場合、ストレスを感じて食欲の減退遊泳性の低下などの症状が出ます。いつもより餌を食べなかったり、底の方でじっとしている時間が長いなどの様子が見られたら、飼育環境が適切かどうか見直してみると良いでしょう。

また、熱帯魚の病気には体表に異常が生じるものも数多くあります。よって、色やひれ、うろこの状態などを日頃からよく観察することで、病気をいち早く発見することが可能です。病気の早期発見・早期治療ができれば、それだけ完治させられる可能性も高くなります。

水草の場合

・枯葉が多くないか

・新芽が元気か

水草は成長の過程で古い葉が枯れてくることは自然なことですが、根茎新芽にまで枯れている部分が出てくると問題です。水草の場合は多くの養分を蓄えられるので、生育に適さない環境下に置かれてもしばらくは生きることができます。

そのために、問題が発覚する頃には対処が間に合わず、全て枯れてしまうことも珍しくない点に注意してください。

機器類もチェックしよう

水槽という限られた空間で生体を飼育するためには、ビオトープなどの特殊な環境を除けば、温調機器やフィルターなどが正常に作動していることが必要不可欠です。特に日常的に気を付けるべき点を以下に示します。

フィルターは正常か

フィルターについては水を汲み上げるポンプの動作や、ろ材が目詰まりを起こしていないかが主なチェック項目です。

ポンプの能力低下とろ材の目詰まりは、どちらも飼育水の流量低下を招きます。フィルターに導入される飼育水の流量が低下すると、ろ過能力も連動して低下してしまうので、水質が悪化してしまいます。

温調機器はきちんと動作しているか

温調機器については前述したように、生体にとって適した水温を保つために欠かせないものです。正常に動作しなければ致命的な事態に発展するので、日頃からきちんと動作するかチェックしておきましょう。

エアレーションがきちんと働いているか

エアレーションの不足は酸欠に直結するので、日々の動作確認は重要です。エアポンプの能力が低下していないか、チューブが途中で折れていたり劣化していないか、先端に取り付けるエアストーンの目が詰まっていないかなどについて確認しておくと良いでしょう。

まとめ・日々の水槽管理について

水槽という限られた環境で生体を飼育するためには、フィルターや温調機器などの正常な動作が欠かせません。よって、それらの外部機器を日常的に確認することは、水槽の管理において非常に重要な要素です。

また、外部機器が正常に動作していても、水質は徐々に悪化してしまいます。水質に関しても生体にとって適切な状態が保たれているか定期的にチェックし、必要なタイミングで水替えを行ってください。