近年では、サンゴの種類問わずサンゴフードによる給餌が必要であるという飼育者が増えつつあります。
サンゴ水槽が流行り始めた数十年前は、イソギンチャクや陰日性サンゴはプランクトン給餌が必要であるが、spsと呼ばれるミドリイシなどにサンゴフードを与える飼育者はほとんどいませんでした。
その理由として、サンゴ水槽を管理する場合は、亜硝酸や硝酸塩が検出されることがない貧栄養水を目指していたため、水を汚すサンゴフードは毛嫌いされていたからです。
しかし、LEDでのサンゴ飼育が確立してきたこと、さらに魚の糞がサンゴの栄養に繋がっているという研究結果が広まったことで、大きく飼育スタイルに変化が生まれてきています。
ここでは、サンゴ飼育最前線課題となっているサンゴフードについて徹底解説していきます。
サンゴフードとは
サンゴフードとは、自然界でサンゴが捕食するプランクトンを指します。
商品によって、大きくは動物性プランクトンか植物性プランクトンの2つに分かれています。
植物性プランクトン
最近は流行っているのが、この植物性プランクトンです。
自然の海では植物性プランクトンは、動物性プランクトンに捕食され夜間にサンゴが動物性プランクトンを捕食しています。
この理屈だけで言えば、植物性プランクトンを選ぶ理由が分からなくなってしまいがちです。
しかし、海外のリーファーと呼ばれるサンゴ飼育者達は、植物性プランクトンは動物性プランクトンより効果が高いと言っています。
その理由は、大きく3つです。
- 動物性プランクトンは水を汚しやすい
- 吸収力が高い(動物性プランクトンより細かい)
- 動物性プランクトンは魚の糞などで代用できる
植物性プランクトンをサンゴが捕食するのかの謎は残りますが、サンゴの褐虫藻を増やすまたは元気にする、動物性プランクトンを水槽内で増殖させ結果的にサンゴを元気にさせるという理屈は辻褄が合うことは分かります。
ただし、魚がいない水槽だと糞による窒素吸収ができにくいため、動物性プランクトンも併用すると効果的です。
動物性プランクトン
動物性プランクトンは、植物性プランクトンよりプランクトンサイズが大きくなります。
個人的には、イソギンチャクや陰日性サンゴ、そしてLPSサンゴなどのポリプが大きくプランクトン捕食をメインとする無脊椎動物は、動物性プランクトンがおすすめです。
サイズが大きいためプランクトン単体から栄養を取りやすいこと、硝酸塩が多少検出させる程度水が汚れても大きな支障が出にくいからです。
次に、サンゴフードの与え方について解説していきます。
サンゴフードの与え方
サンゴフードを与える場合、準備が必要です。
循環ポンプを停止する
必ず、濾過槽にプランクトンが流れ込まないように循環ポンプを停止します。
濾過槽にプランクトンが流れてしまうと、水質悪化に直結しますので注意しましょう。
水流ポンプを止める
これは、絶対ではありませんがわたしは止めます。
基本的に、プランクトンは与えたいサンゴに無駄なく与える必要があります。
水槽内に満遍なく流し入れると、吸収しきれなかったプランクトンが水槽内の蓄積し水質悪化を招くからです。
もし、水流ポンプを止めるのが面倒でサンゴに満遍なく与えたいという方は、植物性プランクトンを選びましょう。
夜間に給餌をする
サンゴは、褐虫藻を利用し日中は光合成により栄養補給をし、夜間はポリプを伸ばし動物プランクトンを摂取します。
これが自然界で行われている摂取サイクルなので、これにそのまま従い夜間に給餌をしましょう。
昔から夜間はタイマー制御で水流ポンプを停止または弱めていた理由は、夜間サンゴがプランクトンを摂取しやすいように配慮していたからです。
ポリプを開かせる準備
よく誤った使い方として、ポリプが開いてないのにプランクトンを与えてしまう人がいます。
ポリプが開かなければプランクトンを吸収することはできません。
そのため、はじめに少量吹きかけてポリプを刺激させたり、ガーリック系の臭いが強いものを餌にまぶしサンゴの付近ですりつぶし刺激させるなど、ポリプを開かせる工夫をしましょう。
必ず、ポリプが満開に開いてからプランクトン給餌を行うようにしましょう。
スポイトで給餌
水流ポンプのところでも説明しましたが、基本的に狙ったサンゴへ直接スポイトを使い給餌しましょう。
水槽内に広がると栄養塩となり、水質悪化してしまうからです。
まとめ: サンゴに餌は必要? プロがおすすめするサンゴフードの種類と使い方を解説
いかがでしたか。
サンゴフードの給餌方法について解説しましたが、分かりやすかったでしょうか。
強力な照明を使いサンゴ飼育がスタンダードだった頃は、メタルハライドランプを多灯しとにかく光合成を促進させるところに目を向けていましたし、それで美しいリーフタンクを維持できていました。
現在では、LEDの登場でサンゴには照度だけでなく波長も大切であることが重要視され、サンゴの色揚げへと段階が変わりつつあります。
サンゴ飼育の最高峰と言われるミドリイシ飼育をLEDで管理するには、まだまだ研究段階であることが否めない状況です。
とくに、満遍なく均一な光を水槽内に照らしサンゴ育成には、まだまだメタルハライドランプが最強と考え愛用しているベテラン飼育者もいます。
そこで、LED+サンゴフードでサンゴを飼育する方法が脚光を浴びてきています。
サンゴフードを使用した、まだ見ぬ美しいリーフタンクができるよう、参考記事となれば幸いです。
熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
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