サンゴが発光する確かな理由は未だ謎に満ちています。
最新の研究では、サンゴの多くは緑色の光を発して生育に必要な共生相手の藻類(褐虫藻)を誘い込んでいるということが分かってきました。
サンゴの多くは、紫外線(UV)や青色の光を受けるとサンゴの体内にある緑色蛍光タンパク質が緑色の光を発します。
この発光色が褐虫藻を集めやすい色合いとのことです。
このことから、UVと青色の光はサンゴにとって必要なためサンゴ水槽にも取り入れていかなければなりません。
ここでは、上記を踏まえてサンゴの美しい蛍光色にするポイントと方法を解説していきます。
サンゴを発光させるために必要な水槽機材
サンゴと一概にいっても様々ですが、サンゴを発光させるためにはサンゴを健康に育成させなければなりません。
サンゴを健康に育成させるためには専用機材が必要です。
ここでは、アクアリウム業界で一般的に出回っているLPSサンゴとソフトコーラルサンゴへ焦点を当てて解説していきます。
ろ過システム
一般的な海水魚を飼育することができる環境ならば問題ありません。
オーバーフローシステムでも外部ろ過システムでも良いですが、硝酸塩が蓄積しにくいようなろ過システムにすることをおすすめします。
例を挙げるとベルリンシステムです。
ベルリンシステムは硝酸塩が蓄積しないようにする代表的なろ過システムでおすすめです。
プロテインスキマー
プロテインスキマーを設置すると、不純物をより取り除くことができるため水の透明度が上がります。
このことから、清浄なサンゴを育成させるためにはプロテインスキマーは有効です。
ただし、あまりに大型なプロテインスキマーは水中のサンゴに必要な微量元素を取り除き過ぎてしまうため選定は慎重に行いましょう。
照明
サンゴ水槽にとって肝である照明。
照明はサンゴ育成用の照明(UV入り)を使用しましょう。
また、必ず青色が含まれているサンゴ照明を選びましょう。
水槽内に満遍なく照射されるような量を調節してください。
水流ポンプ
メイン循環ポンプだけでは水槽内に淀みが生まれてしまう場合に必要です。
サンゴの上にデトリタスと呼ばれるゴミが溜まらないようにしましょう。
水槽用ヒーター・クーラー
サンゴを管理する上で水温調節は重要です。
低温も良くありませんが、28度以上の高温となるとサンゴと共生している褐虫藻が抜けてしまうため危険です。
水温は23度~25度程度の間をキープするように設定しましょう。
人工海水
サンゴを健康に育成させる上で海水選びはとても大切です。
わたしは、サンゴ用の高濃度人工海水をおすすめします。
サンゴ用ではない普通の人工海水を使用しても良いのですが、天然海水と同成分のためサンゴの吸収に追い付かず栄養が不足する場合が考えられます。
もし、普通の海水でサンゴを健全に育成する場合、頻繁に水換えをするか添加剤を使用しましょう。
また、天然海水を汲んできて使用しても良いのですが、透明度の高い清浄な天然海水を汲んでくるのはなかなか重労働です。
このことから、サンゴ用の人工海水がおすすめです。
以上が、サンゴを発光させるための最低条件です。
次に、サンゴの持つ美しい蛍光色をより上げていくポイントを解説していきます。
サンゴを美しい蛍光色にするポイント
サンゴを美しい蛍光色にするポイントをいくつか解説していきます。
水質
サンゴの蛍光色をより美しくしていくには照明ばかり意識がいきますが、じつは水質が重要です。
サンゴは、亜硝酸や硝酸塩、リン酸塩やケイ酸などの栄養塩を限りなく少なくしていかなければ綺麗な色にすることは難しいでしょう。
このことから、サンゴ水槽にはプロテインスキマーが必要だと言われています。
最近では、魚の糞がサンゴの育成に必要だということが分かってきたため、多少の栄養塩が必要だと見直されてきましたが、豊栄養水は良くありません。
魚の数や餌の量を減らす、場合によってはRO水を使用するなどし水槽内の栄養塩が蓄積しないように注意しましょう。
照明
水質が正常な貧栄養水となったら照明を考えます。
サンゴの色を揚げるには、青色の光を照射しなければ色揚げはすることができません。
さらに掘り下げるとただの青色でなく、UVやシアン、バイオレットなどが盛り込まれたサンゴ水槽用照明のブルー球が色揚げには必要です。
ホワイト球は光合成には必要ですが、色揚げには期待できません。
ホワイト球とブルー球を混ぜ合わせて、見た目的にブルーがかった照明選定にすると良いでしょう。
サンゴフード
サンゴフードを与えなくても色揚げは可能です。
しかし、さらに色揚げを促進したければサンゴフードを与えることも必要です。
とくに、オオバナサンゴやハナガタサンゴ、バブルコーラルなどのLPSサンゴは、サンゴフードを与えることでより綺麗な色揚がりを見せてくれます。
しかし、サンゴフードを与えることで栄養塩が高くなります。
サンゴフードは夜間に与えるようにし、栄養塩が蓄積しないように日々の水質チェックはかかさないようにします。
栄養塩が蓄積した時は水換えをして対処しましょう。
魚
サンゴ水槽で飼育する魚は、ポリプ食であるチョウチョウウオなどの海水魚は同時に飼育することが難しいでしょう。
サンゴは攻撃にあって食べられたり齧られたりすれば、色揚げどころか健康に育成することすらできません。
ポリプ色であるヤッコやチョウチョウウオ、テングハギなどを飼育する場合は、食べられにくいソフトコーラルなどのサンゴを選定するなど工夫しましょう。
まとめ: サンゴを発光させるには! 美しい蛍光色にするポイントと方法を解説します
いかがでしたか。
サンゴを発光させる方法から、より綺麗に色揚げをしていく方法まで解説してきました。
少し外れますが、サンゴの色揚げ方法のなかでパステルカラーにしていくやり方で、ゼオビットという色揚げ方法が存在しています。
ゼオビットとは、サンゴ内の褐虫藻を減らしてサンゴ本来の持つ美しさを引き出す方法です。
水換えに頼らず添加剤で管理していくマニュアル型水槽管理方法です。
たしかにパステルカラーのサンゴ水槽は美しいのですが、管理が難しいことや添加剤をいくつも使用しコスト高のため国内での需要は減ってきています。
同じ添加剤で管理する方法で、MMCが提唱するRCP方法は初心者でも分かりやすく需要もあるでしょう。
まずは、わたしがお伝えしたサンゴの蛍光色を色揚げするための方法を覚えて管理してみてください。
更なる飛躍を求める場合は、自分の求めるマニュアル方式を取り入れていくようにしてみましょう!!
熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
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