金魚に適した水質は中性~弱アルカリ性です。金魚は環境適応力が高いので、弱酸性の水質でも長生きしてくれますが、排せつ物などで水質が悪化すると酸性に傾き、pHが下がり過ぎると悪影響を及ぼしてしまいます。
さて、近年ではpHの低下を緩和するために、金魚の飼育に「カキガラ」を用いる方も増えてきました。カキガラは上手く使えれば、pH低下の抑制に確かに効果的ではありますが、使用時における水質の急変には注意が必要です。
ここでは、金魚の飼育に最適な水質や、その水質を実現するためのおすすめの調整方法、水質検査薬について解説していきます。
金魚に適した水質について
金魚が好む水質は中性~弱アルカリ性ですが、金魚は環境への適応力が高いので、多少酸性側に傾いていても変わらず長生きする個体も多いです。しかし、金魚は大食漢ゆえに排せつ物の量も多く水を汚しやすい魚種で、水質が悪化するとpHは一般的に低下します。
pHが低下し過ぎる(=より強い酸性になる)と、金魚はストレスを感じて長生きできなくなるだけでなく、病気にかかるなどして寿命を全うできないこともあるので、水質の管理には注意が必要です。
これは、金魚に限らず、他の熱帯魚などの水生生物に一貫して言えることなので、覚えておいて損はありません。
さて、pHの低下が金魚に悪影響を与えるのであれば、それを抑制できれば良いということになります。そのために、水換えなどのメンテナンスが必須なのですが、近年ではその手間を省くために、金魚の飼育に「カキガラ」を用いる飼育法も一般的になってきました。
カキガラは上手に利用できれば確かに水質の維持管理に役立ちますが、水質を変化させる性質があるので誤った方法で使用すると、かえって金魚に負担をかけてしまうので注意してください。次項からはカキガラとは何なのか、その正しい使用法などについてご紹介します。
近年人気のカキガラ!水質の急変には要注意
カキガラとは何か?
カキガラとは牡蠣の貝殻を利用した水質調整剤です。牡蠣に限らず、貝類の殻には炭酸カルシウムが主成分として含まれています。炭酸カルシウムはわずかではありますが水に溶け、その水溶液は弱アルカリ性を示します。
そのため、カキガラを飼育水中に入れておくと炭酸カルシウムが徐々に溶出し、水質をアルカリ性側に傾ける効果があるのです。
貝類の中でもなぜ、牡蠣が用いられるかと言うと、牡蠣の貝殻を思い浮かべていただけますと、何となくお分かりになると思いますが、多孔質な構造をしているからです。その構造がバクテリアの良い棲家になり得るので、表面が平滑なホタテやハマグリなどではなく、牡蠣が用いられているのです。
カキガラ使用の注意点
カキガラを使用する際の注意点は水質の急変です。前述の通り、カキガラは水質をアルカリ性側に変化させる効果があります。金魚にとって適した水質が中性~弱アルカリ性だからと言って、今まで弱酸性の水質で管理していたのにもかかわらず、大量のカキガラを投入するとpHが急変してしまいます。
金魚は体力があるので、ゆっくりとした変化であれば幅広い水質に適応し、長生きできる魚です。しかし、水質が急変してしまうと多大なストレスを受けて病気になってしまったり、最悪の場合は「pHショック」に陥って死んでしまいます。
今現在の環境で調子を崩さずに飼育できているのであれば、その環境の水は金魚が慣れて成育に適していると言えます。そこから水質を変化させたいのなら、カキガラを使用する場合に限らず、1カ月以上の長い期間を設けて徐々に目的の水質に近づけていきましょう。
カキガラを金魚水槽に導入する時はよく洗い、大量に入れすぎないよう注意するとともに、いくらカキガラを入れても水質を維持できる期間には限界があるので、水換えなどのメンテナンスを怠らないようにしてください。
おすすめの水質調整アイテムと検査薬
前述の通り、カキガラは酸性側に傾くことを抑制し、中性~弱アルカリ性の水質に傾け維持する働きがあります。ただし、急変させることは危険なので定期的に水質検査薬を用いてpHを測定し、カキガラの投入量を調節すると良いでしょう。
ここでは、おすすめの水質調整アイテムと水質検査薬をご紹介します。
スドー 特撰かきがら
1セットで600gのカキガラが入っている経済的な商品です。カキガラは使いやすいように120gずつネットに入っているので、水槽の大きさによってはそのままフィルターに入れたり、底に沈めて使用できます。
コメット 金魚ボール
カキガラが入った水質浄化ボールです。飼育水に浮かべて使用するので、導入する時も交換する時も手軽です。また、浮上する性質は水槽内の情景を邪魔することがありません。
テトラ pH/KHプラス
pHとKH(炭酸塩硬度)を上昇させるための、液体タイプの水質調整剤です。KHも上昇させられるので、急激なpH低下を抑制できる水質へと調整が可能です。しかし、カキガラと比較すると持続性には劣るので、補助的に導入するのが良いでしょう。
テトラテスト 6in1 試験紙(淡水用)
試験紙を飼育水に浸けるだけで、1度に6つの項目をチェックできる優れものです。pHはもちろんのこと、アクアリウムで重要になるNO2(亜硝酸)やNO3(硝酸)なども調べられます。金魚に限らず、熱帯魚など水生生物の飼育には用意しておきたい一品です。
まとめ・金魚に最適な水質とおすすめの調整方法・水質検査薬について
金魚にとって最適なpH帯は中性~弱アルカリ性の範囲です。しかし、今現在の環境が弱酸性だからと言って、水質調整剤を用いて急激に水質を変化せさせることは避けましょう。金魚は環境適応力が高いので、弱酸性の水質でも問題なく成育が可能で、平均寿命よりも長生きすることもあります。
要は環境への慣れが重要で、慣れた環境が急速に変化すると、本来なら適した水質であっても多大なストレスを感じて病気になったり、pHショックにより死亡する危険があります。
そのため、水質を変化させる時は検査薬を用いて水質を測定しながら、最低でも1カ月ほどの時間をかけて、目的とする水質へと近づけていきましょう。
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