ガス病(気泡病)とは!魚の身体に気泡が付く病気の原因と対処法を解説!

ガス病は魚の体表や血管内に気泡が発生してしまう病気です。体表の気泡は魚体に穴を開けてしまいますし、血管内に気泡が生じると血行が阻害されて死に至る危険があります。

原因は水中に溶存している酸素と窒素にあり、これらの気体が過飽和状態になって遊離することで発症します。そのため、ガス病を防ぐためには、エアレーションを調整したり水温をコントロールして、飼育水中の気体が過飽和状態にならないようにすることが効果的です。

ここでは、ガス病について症状や原因、対処法について詳しく解説していきます。

ガス病(気泡病)とは

ガス病とは魚の体に気泡が発生してしまう病気です。原因となる気体には酸素と窒素があり、酸素が原因のガス病を「酸素ガス病」と、窒素が原因のものを「気泡病」と呼んでいます。この病気の直接の原因は、これらの気体が過飽和状態になることです。

気体の水への溶解度は一般的に水温が上昇するほど減少します。そのため、低水温時に気体が限界まで、あるいはその近くまで溶存している水の温度が上昇することで、魚の体内に溶け込んでいた気体が遊離し、気泡となって体表や血管内に現れてしまうのです。

気泡が発生しやすい場所は眼球や頭部、エラやヒレなどで、体表に気泡が発生するとその場所はやがて穴が開いてしまいますし、血管内に発生すると血管を詰まらせて体組織の壊死などを引き起こします。

酸素ガス病の場合は血管を詰まらせることはあまりないので、この病気が原因で死亡することは希ですが、そのまま衰弱してしまうこともあります。また、穴が開くことで一様に鑑賞性の低下を招くことは問題です。

気泡病の場合は血管を詰まらせやすく、血行が阻害されて死に至るケースが多いです。なお、稚魚が罹患した場合は、双方ともに死に至ることが珍しくないので注意してください。

ガス病・気泡病の原因

 

過剰な溶存酸素(酸素ガス病)

酸素ガス病の場合は、水中の溶存酸素量が250~400%に達すると発症します。通常であれば、水温の上昇に伴って溶け込めなくなった酸素は空気中に逃げていくのですが、飼育水中に多数の水草や藻類が存在したり、能力が高いエアレーションを使用してる時は別です。

水草や植物プランクトンが光合成を行ったり、能力が高いエアレーションの微細な気泡によって多量の酸素が添加された結果、過飽和状態になることが起こり得るのです。

窒素量の飽和(気泡病)

窒素が原因の気泡病は、水中の溶存窒素が120%以上になると発症すると言われていますが、過飽和状態であればそれよりも低い濃度での発症報告もあります。気泡病の場合は、メンテナンスが行き届いていない環境だと発症リスクが上昇します。

飼育水中の硝酸塩など、硝酸性窒素の濃度が高い富栄養化した環境だと、過飽和状態になりやすいのです。フィルターの掃除をせずにフィルター内部が蓄積した汚れで嫌気的な環境になっていたり、高水温時に水換えをほとんど行わなかったりすると罹患するリスクが激増します。

ガス病になりやすい魚

金魚

金魚は温調機器を使用せずに飼育されることが多いので、ガス病になりやすい魚種と言えます。特に、夏季の朝から昼にかけての水温上昇時グリーンウォーターでの飼育など、酸素が過飽和になりやすい環境が整ってしまっています。

また、金魚は大食漢ゆえに排せつ物の量も多いので、飼育水が富栄養化しやすく、窒素も過飽和になりやすいです。

錦鯉

錦鯉も金魚と同様の理由で、ガス病を患いやすい魚種と言えます。池などで飼育されていることが多く、藻やコケが大量に発生していると、光合成の影響で酸素が過飽和になりやすいので注意が必要です。

また、池などに引く水にも気を付けなければなりません。飼育水に地下水を使用する場合、地下水は窒素が過飽和状態になっていることが多いことを知っておいてください。

そして、地下水にかかわらず水をポンプなどで揚水する場合は、取水口で空気を吸ってしまうと、窒素が多量に溶け込む可能性があることにも留意してください。

あの大量死の原因もガス病?!

記憶に新しい方もいらっしゃると思いますが、2014年12月から15年にかけて葛西臨海水族園でマグロの大量死がありました。この死因は特定のものではなく、いくつかの原因が複合して起きたと考えられていますが、その1つに酸素ガス病が挙げられています。

詳しくは後述しますが、特に酸素は良かれと思って行ったことが、過飽和を招くことがあるので注意が必要です。

ガス病の対処法

エアレ―ションを調整する

水温や水槽の設置場所など飼育環境にもよりますが、微細な気泡を発生させるタイプの、能力が高いエアレーションを設置し過ぎると過飽和状態になることがあります。

水換えをしてもなお、水槽内から気泡が消えない場合は、酸素が過飽和状態になっている可能性があるので、そのような時はエアレーションの数を減らすなり、出力を絞るなりして調整すると良いでしょう。

グリーンウォーター飼育の場合はエアレーションしよう!

グリーンウォーターで飼育している時にガス病を患った場合は、エアレーションを強化して余分な酸素を空気中に放出することが効果的です。

その際も、上記のような微細な気泡を発生させる物を使用すると逆効果になるので、目の粗いエアストーンを使用するなどして気泡を大きくすることが重要です。

水換えをする

ガス病対策にシンプルかつ効果的な方法が水換えです。新しい水と交換することで余剰な気体を放出でき、飼育水の富栄養化を防止することも可能なので、酸素ガス病と気泡病の両方に効果的です。

特にグリーンウォーターの場合は、濃度を低下させる(=植物プランクトンの数を減らす)ことで、光合成による酸素の放出を抑えられるので、水換えだけで解消することもあります。

水温を調整する

前述のように、気体の水への溶解度は一般的に水温が上昇するほど減少します。そのため、1日の水温の変化が大きいと、昼間に水温が上がった時に過飽和状態になってしまいます。

水温が上昇するほど過飽和状態に陥りやすくなるので、夏場でも30℃を超えないように、25~28℃を目安に水温を調整することも効果的です。ただし、水温を急変させると観賞魚が弱ってしまうので、今現在で30℃を超えていても、ゆっくりと水温を下げるようにしてください。

水深を深くしよう

水深を深くするとは、単純に水量を増やして溶存できる気体の量を増加させ、過飽和状態にならないようにしよう、という算段です。

シンプルながらも効果的で、水温の変化も緩やかになりますし、富栄養化の状態になるまで時間がかかるようになります。水量を多くすれば、純粋に飼育環境の維持管理が容易になるのでおすすめの方法です。

まとめ・魚体に気泡が生じるガス病の原因と対処法について

ガス病は魚の体に気泡が発生してしまう病気で、原因は過飽和状態になった酸素と窒素です。酸素が原因のものを酸素ガス病、窒素の方は気泡病と呼ばれており、後者は致死率が高いので特に注意が必要です。

対処法としては、とにかく酸素と窒素が過飽和状態にならないようにすることです。具体的には、エアレーションを調整したり、定期的に水換えをするなどして、飼育環境を適切に保ちましょう。

ガス病はその性質上、温調機器を使用せずに飼育することが多い金魚や錦鯉がかかりやすい病気です。これらの観賞魚を飼育している方は、気を付けてあげてください。

 

 

4件のコメント

  1. FK より:

    金魚の飼育を始めたばかりで、貴社のサイトに助けていただいております。
    コメットを飼っていたのですが、お店から来てすぐ、体から1,2本白い糸のようなものが1センチほど出ていました。同時に体表に気泡もついていました。糸は(ヒレや鰓付近ではなく)体の側面から出ていました。気泡は体の側面や尾びれについていました。1日後には糸も気泡もなくなったのですが、その後何度か同じことが続き、2か月後にその金魚は亡くなってしまいました。
    原因が分からず、同じことが他の金魚にも起こってしまうのではないかと心配しております。ご助言いただけましたら幸いです。
    よろしくお願いいたします。

    1. トロピカ編集部 より:

      実際に拝見していないため、正確な回答ではないことをご了承ください。
      体の側面の場合は、水カビ病ではないかと考えています。
      寄生虫かはこちらの情報ではわかりかねてしまいますが、できる対策としては、こまめな水換えと掃除です。
      こちらのコラムもご参照ください。

      ・【金魚の病気まとめ】金魚の飼育で気をつけたい病気とその対策とは
      https://t-aquagarden.com/column/goldfish_sick

      ※弊社運用の別サイトが開きます。

      よろしくお願いします。

  2. Uva より:

    時々拝見してます。
    水草水槽に憧れて魚メインの水槽に水草をたくさん入れ生体も多いのでエアレーションも追加しました。
    数日してラスボラの目に泡が付いてるのを見つけ2日?後、体まで広がりどうしていいかわからない時にこのページを見つけました(^^)
    毎日少量の水替えをして様子見てます。ありがとうございました。

    1. 中島 より:

      コメントありがとうございます!
      もし、どんどん広がるようでしたらコショウ病の可能性がありますので、回復傾向でなければグリーンFゴールド顆粒での薬浴治療をおすすめいたします。
      よろしくお願いいたします。

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