サンゴの鑑賞性は抜群で、マリンアクアリウムにおいては主役も務められる華やかさがあります。しかし、サンゴはデリケートな生物で、適切な環境を維持できなければ死んで白化してしまいます。サンゴが白化してしまう理由としては、主に次に示す5つの原因が考えられます。
- 水温・水質が不適
- ミネラル不足
- 食害
- 刺胞動物との接触
- 水槽底部への落下
サンゴを上手に育成するためには、環境の変化を少なくするのとともに、自力で動けない生物であることを理解しておくことが重要です。ここでは、サンゴが白化する原因について詳しく解説するのと同時に対処方法を紹介していきます。
サンゴが白化してしてしまう原因
理由1:水温・水質が不適
サンゴが白化してしまう原因として第一に考えられるのが、飼育水に関連することです。サンゴはデリケートな生物で、些細な環境の変化にも鋭敏に反応して白化する恐れがあります。まずは水温と水質が、サンゴの育成に適した状態になっているかを確認しましょう。
現在、マリンアクアリウムで一般的に育成されているサンゴにとっての適温は23~26℃で、27℃を超えると白化する危険があります。
また、サンゴは硝酸塩の蓄積に弱いことでも知られています。硝酸塩濃度の許容範囲は種類によって異なりますが20mg/Lまでで、中でもミドリイシなどは2mg/Lまでに抑える必要があります。
理由2:ミネラル不足
サンゴは海水中に含まれるカルシウムなどのミネラル(無機物)を吸収し、骨格を形成しながら成長します。自然下では無尽蔵ともいえる量のミネラルが海水中に溶存しているため、ミネラル不足の心配はありませんが、水槽内となると話は別です。
特に、ミドリイシに代表されるSPSは、「KH(炭酸塩硬度)を食べる」と表現されることもあるほどに、海水中の無機物質の消費量が多いので、成長不良に陥る前に供給しなければなりません。そのため、飼育水中のミネラルが不足していないかもチェックすることが重要です。
理由3:食害を受けている
(海水魚)フエヤッコダイ MLサイズ(1匹) チョウチョウウオ 本州・四国限定[生体]
サンゴを他の生体と混泳させている場合は、タンクメイトにも注意が必要です。なぜなら、海生生物の中にはサンゴを好んで食べてしまう種類がいるからです。
サンゴを食害する生物としては、「チョウチョウウオ」や「ヒトデ」などが挙げられ、これらの生物を混泳させるとサンゴが食べられて白化してしまうので注意してください。
理由4:他の刺胞動物との接触
(海水魚 無脊椎)サンゴイソギンチャク Mサイズ(1匹) 本州・四国限定[生体]
サンゴも刺胞動物なので、種類によって程度の差はあれ触手に毒を持っています。そのため、サンゴ同士が接触することがストレスとなり、弱ってしまってそのまま白化にまで至ることがあります。
また、サンゴの他にも刺胞動物であるイソギンチャクなどを水槽に入れている場合も、接触することで毒の影響を受けて白化する恐れがあります。特に、イソギンチャクは自力で動ける種類がほとんどで、水槽内で落ち着ける場所を探してあちこち動き回ることがあるので注意してください。
理由5:水槽底部への落下
混泳している海水魚がぶつかるなどして、サンゴが先端の方から水槽底部へ落下してしまうと、摂食活動などが正常に行えずに白化することがあります。サンゴは自力で動けない種類が大部分を占めているので、日常的に異常がないかよく観察することが重要です。
サンゴの白化を防ぐ対策方法
水温・水質について
まず、水温についてはサーモスタットとヒーターならびにクーラーを導入し、年間を通して適温を保てるように設備を充実させましょう。
水質については定期的な水換えは大前提で、それでも硝酸塩がすぐに蓄積してしまう場合は、ろ過システムや同一水槽内で飼育する生体の個体数の見直しが必要です。
「プロテインスキマー」の導入やベルリンシステムなど、水槽にあった濾過方式の検討・採用に加え、飼育する個体数を絞るなどの対策が考えられます。
ミネラル不足について
ミネラルの不足に対しては「カルシウムリアクター」を導入することが効果的です。カルシウムリアクターとは、カルシウムメディアから炭酸塩やカルシウムを溶出させることで、安定してミネラルを供給する装置です。
高価な機材ではありますが、その分だけ強力な効力を持ち、SPSの育成には必須とまで言われています。
その他の方法としては、「添加剤」の使用が挙げられます。現在ではサンゴの育成を目的とした添加剤も色々な商品が市販されており、サンゴの育成で不足しがちな微量元素を供給することが可能です。
また、使用する人工海水を見直してみても良いでしょう。サンゴ用にカルシウムやマグネシウム、KHなどが強化配合されている物があるので、それを用いることも効果的です。
食害について
サンゴの食害を防止するためには、サンゴを食べる生物を混泳させないことが一番です。サンゴ水槽に様々な生体が共存している様子は多変見栄えの良い光景ですが、大事なサンゴが食べられてしまっては元も子もありません。サンゴ水槽に入れる生体は、よく調べてから入れるようにしましょう。
刺胞動物との接触・底部への落下について
これらの対策はサンゴをしっかりと固定しておくことです。サンゴを水槽に入れる際は他のサンゴと接触しないように間隔を空け、サンゴ用の接着剤などを使用して簡単に動いてしまわないように固定しておきましょう。
また、イソギンチャクと混泳させる時は、先にイソギンチャクを水槽に入れて好きな場所に移動してもらい、その後にサンゴをレイアウトすると良いでしょう。
まとめ・サンゴが白化する原因5つとそれぞれの対策法について
サンゴはデリケートな生物で環境の変化に弱いので、水温や水質を年間を通して適正な状態に保つことが重要です。また、自力では動けないので、他の生物からの刺胞毒や底面への落下などでストレスがかからないように、日頃から水槽内をよく観察しておきましょう。
サンゴは育成が難しい生物ではありますが、その鑑賞性は抜群です。サンゴを上手に育成して、楽しいマリンアクアリウム生活をお送りください。
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