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サンゴとイソギンチャクはどこが違う?それぞれの特徴をプロが解説します

サンゴとイソギンチャクはいずれも背骨を持たない無脊椎動物に分類され、その中でもクラゲなどと同様の「刺胞動物」のグループに属しています。刺胞動物という名称からも分かる通り、植物の仲間ではなくれっきとした動物で、両者はしばしばマリンアクアリウムにおいては飼育対象になります。

ここでは、サンゴとイソギンチャクの特徴と違いについて解説し、両者の飼育上の注意点などをご紹介します。

サンゴの特徴

(海水魚 サンゴ)ナガレハナサンゴ ミックスカラー Sサイズ(1個) 本州・四国限定[生体]

形態について

冒頭で述べた通り、サンゴはクラゲなどと同様の刺胞動物に分類される動物であり、植物ではありません。

サンゴは大別すると、「ポリプ」と呼ばれる個体が分裂して群体を形成する「造礁サンゴ」と群体を形成しない「単体サンゴ」に分類されます。前者は「ミドリイシ」「ナガレハナサンゴ」などが、後者は「クサビライシ」「コハナガタサンゴ」などが代表的な種類です。

ポリプ1個体の構造としては、一般的に想起されるイソギンチャクの形を小さくしたような形をしています。毒針が付いた触手を持ち、体には餌と排せつ物が出入りする口が付いており、体内には胃腔生殖腺があります。

多くの種類のサンゴで、胃腔の組織内に植物プランクトンである褐虫藻を住まわせており、両者は共生関係にあります。

そして、炭酸カルシウムで構成された骨格を持つことも特徴です。体外が骨格で覆われるものを「ハードコーラル」、骨格が体内に埋没しているものを「ソフトコーラル」と呼んで区別しています。

生態について

サンゴの摂食方法は種類によって大きく異なり、褐虫藻と共生しているものは、褐虫藻が光合成をすることによって得られるエネルギーの一部を受け取って生活し、あまり餌を食べることはしません。

一方、サンゴの中には褐虫藻と共生しないものも存在し、そのような種類は海中のプランクトンを摂食することでエネルギーを賄っています。

ハードコーラルの造礁サンゴは、大気中の二酸化炭素の固定において重要な役割を果たしており、陸上の植物よりも年間に多くの二酸化炭素を吸収していることが分かっています。

近年の気候変動による海水温の上昇で、サンゴから褐虫藻が逃げ出してしまうことによる白化現象が問題視されており、サンゴの保護が急務となっています。

イソギンチャクの特徴

(海水魚 無脊椎)サンゴイソギンチャク グリーン(1匹) 本州・四国限定[生体]

形態について

イソギンチャクも刺胞動物に分類されている動物です。体は基本的には円筒状をしており、口盤と呼ばれる上端には毒針を持つ触手が並び、中央部にはが付いています。体内には餌を消化吸収するための胃腔があり、食べたものは口から続く口道を通って運ばれます。

イソギンチャクもサンゴと同様に、餌と排せつ物は1つの口から出入りする構造です。体の下端は足盤と呼ばれ、多くの種類で吸盤が付いており、岩などに吸着することで体を固定していますが、砂泥地に生息するのもは吸盤が発達せずに、球状に膨らむことで体を支持しているものもいます。

生態について

イソギンチャクは足盤を使って移動することが可能です。足盤が球形の種類についても筋肉を伸縮させることで、ごくゆっくりとした速度ですが移動ができ、種類によっては触手を使って短時間ではあるものの泳いで移動するものもいます。

普段は海水を取り込んで体を膨らませていますが、外部から刺激を受けると海水を放出して縮こまる性質があり、その様子は名前の由来にもなっています。

イソギンチャクはサンゴのように褐虫藻と共生する種類もいますが基本的には動物食性が強く、触手に触れた小魚や甲殻類を毒で弱らせて捕食します。その一方で、イソギンチャクは色々な生物と共生関係を構築することが知られており、代表的な生物に「カクレクマノミ」がいます。

その他にも、小型のイソギンチャクを両のハサミに持つ姿が、チアリーディングのポンポンを持つかのようで可愛らしい「キンチャクガニ」や、自分の殻にイソギンチャクをくっつける「ソメンヤドカリ」などが有名です。

サンゴとイソギンチャクの違い

サンゴとイソギンチャクの違いは主に以下のことが挙げられます。

  • サンゴは骨格を形成するがイソギンチャクは骨格を作らない
  • サンゴは一部を除いて移動できないがイソギンチャクは移動する
  • サンゴは群体によって地形(サンゴ礁)を形成するがイソギンチャクは群体を作らない

サンゴは一見すると骨格を持たないソフトコーラルと呼ばれる種類でも、体内に骨格の断片が存在しています。一方、イソギンチャクは初めから骨格を形成しません。

また、サンゴは「クサビライシ」など一部の種類を除けば自力での移動はできませんが、イソギンチャクは自力で移動できる種類が普通です。

そして、サンゴは群体を形成することで地形を変えるほどの大きさになることがあります。そのようなサンゴの群生地をサンゴ礁と呼んでおり、1つの群体で数百から数万もの数のポリプが集まっていると言われています。

その一方で、イソギンチャクは基本的には1個体で独立して生活しており、居心地の良い場所に集まることはあっても、群体を形成することはありません。

サンゴとイソギンチャクの飼育上の注意点

水質について

いずれも水質の悪化には弱いので、いかにして水質を状態良く保つかが大きな焦点です。

特に硝酸塩の蓄積には注意が必要で、長期に維持しようと思うとオーバーフロー水槽が最適と言えます。しかし、定期的な水換えや個体数を調節するなどして適切に管理すれば、上部フィルターや外部フィルターでも年単位での維持が可能です。

照明について

飼育が容易とされている種類は、褐虫藻と共生している種類が多いので、十分に光合成を行わせるために強い光が必要です。蛍光灯やLEDのレベルでは難しい場合もあり、本格的に飼育したいのであればメタハラ(メタルハライドランプ)の使用を推奨します。

混泳について

サンゴとイソギンチャクの混泳には最大限の注意が必要です。なぜなら、前述したようにイソギンチャクは居心地の良い場所を探して移動する性質があり、その際に毒を持つ触手がサンゴに触れる可能性があるからです。

最悪の場合、イソギンチャクの触手に触れられたサンゴが、その毒によって衰弱して死んでしまうこともあります。また、毒性が強いサンゴだった場合には、逆にイソギンチャクの方が大きなダメージを受けてしまい死亡する恐れもあります。

このような事故を防ぐためには、先にイソギンチャクの方を水槽に入れて、お気に入りの場所に移動してもらい、後からサンゴをレイアウトすると良いでしょう。

まとめ・サンゴとイソギンチャクの違いについて

サンゴもイソギンチャクも刺胞動物に分類されている動物です。いずれも毒を持つ触手や、口と肛門の区別がないなど共通している点もありますが、骨格の有無や可動性などで決定的な差異が存在します。

マリンアクアリウムにおいてはどちらの生物もしばしば飼育の対象となりますが、これらの性質の差異を意識して飼育することが重要です。特に、イソギンチャクはあちこち動き回ることがあるので、サンゴと混泳させたい場合は注意してください。