アクアショップやホームセンターへ行くと『バクテリア剤』という製品が売られています。
バクテリア剤は、バクテリアのまだ少ない水槽立ち上げ時などに使用すれば、水質を安定させるのに有用な働きをしてくれます。
しかし、バクテリアが目に見えるわけではないのでどんな効果があるのか、わかりにくいと感じる場合が多いです。
そこで今回は、水槽の環境を整えるのに有効と感じた、バクテリア剤8選をご紹介します。
バクテリア剤について
バクテリア剤は、アクアリストの中でも必要か不要かで意見の分かれるアイテムです。
まずはバクテリア剤について簡単に解説いたしますので、自分の水槽に必要かどうか、ご参考になさってください。
水槽の水を作るバクテリア剤とは?バクテリアの働き
水槽の中の環境は、生き物の糞や死骸、餌の食べ残しなどの有機物によって日々汚れていきます。
これを改善するのに欠かせないのが、バクテリアの働きです。
水中の有機物は養分でもありますが、アンモニアなど毒性のある物質の発生源になります。
バクテリアはそうした有毒物質を分解して、ほぼ無毒にしてくれます。
こうした水が汚れを遅らせてくれる菌類・微生物の働きは生物ろ過と呼ばれています。
しかし、有益なバクテリアは、水槽の中に最初からいるわけではありません。
水槽で生き物を飼育していくなかで自然に増えていき、ろ過フィルター内のろ材や底砂などのざらざらした場所をメインとして、パイプやホースの中などにも棲み着いていきます。
バクテリアが水質を安定させるほどに増えるには、約4週間ほどかかります。
そのため水槽を立ち上げて間もないころには、バクテリアの働きが弱く、水槽の環境が安定しないことで起こるトラブルに見舞われることが多いです。
- 飼育水の白濁り
- 泡、油膜の発生
- 生き物がすぐに死んでしまう(アンモニア中毒) など
こうしたトラブルは、飼育初期に良く見られます。これはすべてバクテリアの定着量が少なく、魚たちのフンなどから発生するアンモニアを処理できていない状態です。
そこで素早くバクテリアを増やす方法として、『バクテリア剤』を使用することがあります。
有機物を分解してくれるバクテリアが含まれている液剤なので、水槽に投入することで手軽にバクテリアを倍増させられるというわけです。
ただし、バクテリア剤を無暗に添加してしまうのは、あまり良くありません。
バクテリアの棲みつける場所が少ない水槽環境の場合、バクテリアが定着できずに死骸となり、水を汚す原因になるケースもあるのです。
バクテリア剤のデメリットを確認したうえで、適切に使用するようにしましょう。
バクテリア剤の目的と必要性
バクテリア剤を添加する主な理由は下記の通りです。
- 飼育水を最適な状態にする
- 魚やエビなどの生き物を健康に育てる
- 水槽の立ち上げを早くしたい など
バクテリアは肉眼では見えません。
そのためバクテリア剤は、「使用すると飼育水の透明度が上がる」「水槽の臭いが減ったので効果抜群」という賛成派から、「水換えペースさえ守ればバクテリアは自然と増えるので、添加する必要はない」という不要派が存在しており、賛否の分かれるアイテムでもあります。
そんなバクテリア剤ですが、水槽の立ち上げ時には特に有用な働きをすることが多いです。
理由としては、バクテリアを短期間で増やして水の汚れや濁りを改善し、水槽の環境を安定させてくれるからです。
また、バクテリア以外にも様々なミネラルやビタミン、消化酵素などが含まれている商品もあるので、総合的に飼育水の質を向上させること目的で使用する方もいます。
他にも、窒素循環を行うことを目的としてバクテリア剤を投入する場合もあります。
豆知識:窒素循環とは?
窒素循環とは、バクテリアが有機物を分解するときに発生する硝酸塩を窒素に変化させ、空気中に排出する働きのことをいいます。
水槽飼育下では通常、硝酸塩は分解されず、溜まっていく一方なため、飼育者が水換えを行うことで取り除いていきます。
しかし、自然界ではこの硝酸塩も分解し窒素化したのち空気中に排出されていく窒素循環が行われています。
それは硝酸塩を分解し窒素に変えてくれる別のバクテリアがいるためです。
そうしたバクテリアは主に嫌気層(酸素がほとんどない土壌など)に棲んでいるため、通常の飼育水槽ではまず行わない水質維持法ですが、アクアポニックスなどではこの方法を使用できるケースがあります。
その場合、硝酸を生み出すバクテリア(=通常の水槽で活躍するバクテリア)が不可欠な為、バクテリア剤を投入することがあるのです。
プロが教えるバクテリア剤8選
姿が目に見えるわけではないバクテリア剤ですが、長年、飼育者たちに愛用されている製品も数多くあります。
そこで、プロおすすめのバクテリア剤8選をご紹介します。
シマテック PSB
人気の高いバクテリア剤です。
コスパが優れているので、バクテリア剤を使ってみたいという方の入門商品としておすすめです。
淡水・海水どちらの水槽でも使える汎用性の高さから使いやすいです。
ただ、バクテリア剤すべてに言えますが匂いは独特です。
添加量を守って使用しましょう。
Bioスコール 淡水用
透明度の高い水を作り出すことに定評のあるバクテリア剤で、東京アクアガーデンのスタッフも使用しています。
価格はやや高めですが、アクアリストが使っていることの多い商品です。
bioスコールシリーズには使用期限がありますが、生きたバクテリアが多数入っている証拠でもあります。
Bioスコール 海水用
bioスコールの海水用です。
水質変化に弱い種類が多い海水魚の飼育をサポートしてくれる、水質維持能力に効果を発揮するバクテリア剤です。
しかし、どれほどバクテリアが優秀に働いてくれても、水槽に汚れが溜まっていては水質を維持することは出来ません。
マガキガイなどのお掃除生体を導入し、美しく保つための水槽メンテナンスを欠かさないようにしましょう。
ジェックス サイクル 500ml
濃縮タイプのバクテリア剤です。
ホームセンターなどでも購入できる手軽なバクテリア剤で、バクテリア以外の栄養細菌も配合されています。
フンなどの分解作用が強めで、水槽内の目につく汚れの対策になりますが、砂利掃除などはしっかりと行うようにしましょう。
PSB 水草水槽・ビオトープ用
水草育成に特化したバクテリア剤です。
バクテリアだけでなく、植物の生長を促す成分が配合されており、どちらかというとコンディショナーの役割りが強い添加剤と言えるでしょう。
そもそも、ビオトープは自然の循環を再現する飼育方法です。
ろ過フィルターに頼る必要が無いため、硝酸塩を消費してくれる水草や水生植物の育成に力を入れることで、水質悪化を防げます。
バクテリアの分解効果をプラスしつつ、よりビオトープの水質を安定させやすい製品です。
バイコム 淡水用 スーパーバイコム スターターキット
淡水専用のバクテリア剤です。
2種類の液を使用するタイプで、独自の硝化菌(バクテリア)と嫌気性バクテリアを配合しており、水槽内で脱窒循環を再現するような働きがあります。
そのため、著者は少し特殊な位置づけのバクテリア剤と感じています。
このバクテリア剤以外にも言えますが、バクテリアにも力関係があります。
バクテリアの勢力が変わると水質も不安定になりやすいと考えられるため、なるべく同じバクテリア剤を使い続けるのがおすすめです。
金魚・メダカ用純生バクテリア A-810
金魚やメダカの育成をサポートするバクテリア剤で、成分などは詳しくわかりませんが、水質浄化の菌だけでなくさまざまな微生物が配合されていると言われています。
金魚は消化不良を起こしやすく、ストレスに弱い側面を持つ魚です。
そのため、水換えをこまめに行うことで健康を維持しやすいなど、水質改善は成長に大きな影響を与えます。
有益なバクテリアを添加することで、安定した飼育が可能と言えます。
ジクラウォーター ベニッシモ 熱帯魚・水草用
アクアショップなどでも取り扱いが多いバクテリア剤です。
珪藻土が含まれており、水の濁りに高い効果を発揮します。
消化酵素も入っており熱帯魚の消化を助ける働きも期待できるなど、総合的なサポートを行う添加剤としての側面が強いアイテムです。
まとめ:水槽の水を作るバクテリアを投入しよう!プロが教えるバクテリア剤8選!
美しい飼育水や健康な魚が育つ環境を保つためには、バクテリアの働きは不可欠です。
バクテリアは生き物を飼育していれば自然に発生し棲みついていきますが、水質が安定しなかったり、水槽を立ち上げたばかりの時には補助的にバクテリア剤を使用すると良いでしょう。
東京アクアガーデンでも、高い鑑賞性を保つためバクテリア剤を使用することがあります。
ただし、バクテリアが増えても、水槽が汚れきっていては効果を十分に発揮することは出来ません。
折角添加するのであれば、水槽掃除をこまめに行うことで、より美しいアクアリウムに仕上がります。
バクテリア剤はあくまでも水質維持のサポートとして考えましょう。
ご紹介したバクテリア剤を製品例としてご参照ください。
金魚に愛を注いでいるWeb担当。
かわいい金魚の為なら腰痛も何のその。金魚のテンションがMAXになる魔法の餌・アカムシを与えることに喜びを感じています!
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