アクアリスト初心者さんが水槽を立ち上げるとき、またアクアリスト中級者の方が今までとは全く別のタイプの水槽を使うときに、ろ過機やフィルター選びに困ることが多いですよね。飼育する生物や水槽内のレイアウト、また水槽の大きさなどによってもろ過器は変わってきます。
そこで今回はタイプ別に水槽用のろ過機・フィルターについてそれぞれの特徴や選び方に関して解説していきます。ろ過機やフィルター購入の参考にしてくださいね。
水槽用ろ過フィルターを動画で解説!
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ろ過フィルターのタイプ別選定方法を音声付きで解説しています。
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『ろ過』とはいったい何をすること?
アクアリウムではどのタイプの水槽を使うにしても『ろ過』がついて回ります。
はじめのうちは水はとても綺麗な状態ですが、熱帯魚の飼育や水草の飼育をしていくうちに、水槽内にフンや不要な栄養素、また場合によっては有害な物質が溜まっていきます。
ろ過装置であるフィルターに水を通すことで、不要なものを取りのぞき、綺麗な水にするのです。
このろ過装置ですが、『外部フィルター』、『上部フィルター』、『底面フィルター』、『外掛けフィルター』など、設置する場所によって分かれており8種類ほどあります。
ろ過装置であるフィルターを選ぶときは、まず水槽に適したフィルターをどこに設置するかを考える必要があります。
ろ過方法には種類がある!
一口に『ろ過』といっても機材に種類があるように、ろ過方法も3種類あります。ろ過機の中ではこの3つのろ過が行われていますが、一番重要なのは生物ろ過です。機材の説明前にまず、ろ過方法について説明しましょう。
物理的ろ過
水槽内にある熱帯魚などのフン、餌の食べ残しや水草の枯れ葉といったごみをスポンジや網にひっかけて除去する方法です。目に見える大きさのものであればこの物理的ろ過で取り除くことができます。
化学ろ過
水槽内に発生した、目に見えない過剰な養分や、有毒な成分をゼオライトや活性炭などを水槽内やろ過機材に入れて吸着させたり、分解させる方法です。
生物ろ過
フィルターの中にバクテリアなどの微生物を定住させることによりバクテリアが水中にある有機物質や有害物質を分解し水をきれいにする方法です。水槽の立ち上げ時に一番必要なろ過となります。
水の流量やポンプにも気を付けてみよう
ろ過フィルターを選ぶときは、一説によると最適な流量で選ぶのがよいといわれています。
流量とは一時間に水槽全体の水が何回ろ過器の中を通るかということです。これには『ろ過の回転数=流量 (L/h)÷水槽全体の水量 (L)』という計算式があります。
水の量とろ材のバランスによって変わりますが、生物ろ過の場合には1時間に1~2回が適切といわれることが多く、一般的には5~10回転で7回転が目安といわれています。
市販されている商品は箱などに、目安となる水槽サイズなどが書かれているので、そちらを参考にするとよいでしょう。
ろ過器・フィルターの種類と特徴・選び方
それではここから各ろ過機・フィルターの特徴などを説明していきます。どれも一長一短がありますので、使用する水槽に合わせたものを購入するようにしてください。
外部フィルター
外部フィルターは水槽内や水槽の上部などに設置するものではなく、水槽から離れた位置に設置するフィルターです。
ろ材を入れる容器がとても大きく、上部には水を循環させるモーターがついています。容量が大きいのでバクテリアが多く住み着くため、生物ろ過の効果が絶大ともいえ、8種類あるフィルターの中では一番ともいえるでしょう。
外部フィルターのメリット
メンテナンス性が高く、耐久性も高いのが特徴です。パーツが壊れてもばら売りされているので、パーツの買い替えがききます。
また、水が空気に触れることがないため、水中の二酸化炭素を逃しにくいので、水草水槽に向いています。水槽から離れた場所に設置することが可能なので、水槽回りがとてもすっきりしますよ。
音を気にする人がいると思いますが、意外にこのタイプのモーターの音は静かで寝室などに設置しても気にならないほどです。使用するろ材は特にこれといった決まりはなく、自分で好きなろ材を使用することもできます。
外部フィルターのデメリット
熱帯魚飼育となると水が空気に触れないため、適度なエアレーションを行わないと酸素不足になる可能性があります。 そして他のフィルター類よりも価格が高く、掃除などの手間がかりますし、水槽とは別に設置場所が必要となります。
一般的に45~90センチ用のものが多いですが、最近では30センチ以下のものも販売されているようです。
水草水槽・小型熱帯魚・エビ類・大型熱帯魚のサブフィルターに向いています。
外掛け式フィルター
このタイプのフィルターは、水槽上部に引っかけて使用します。小型のものが多く、取り外しが簡単でろ材交換も楽にすることができるんですよ。物理ろ過だけのものが多く出回っていますが、最近では生物ろ過や化学ろ過、物理ろ過全てのろ材を使用することのできるタイプのものも販売されてきています。
水流の調節が可能なタイプが多いですが、調整しにくいという欠点があります。
外掛け式フィルターのメリット
値段が安く、水槽上部に設置するためそこまで場所を取らない点が挙げられます。また水槽用の照明を設置するスペースを確保することも可能で、水が空気に触れるので水中に酸素を取り込みやすいということも挙げられます。
外掛け式フィルターのデメリット
ろ過能力がそこまで高くないこと、水が空気に触れるため水中の二酸化炭素が外に出てしまう点がデメリットとして一番大きい点でしょう。水面と外掛け式フィルターの間に高さがある場合には、水が落ちる音がすることもあり、周囲に水が飛び跳ねることも。また水流が強いと水草の成長が阻害されたり、熱帯魚の体力が消耗されてしまいます。
そしてろ材は汚れてきたら都度交換する必要があるので、一定の維持費がかかります。外掛け式フィルターはできるだけ安く抑えたい人や、外部フィルターを設置するスペースがない場合、また30センチ以下の小さな水槽向きです。
上部フィルター
上部フィルターは文字どおり水槽の上部に乗せる形で設置し、水槽内からポンプを使い水を汲み上げて、濾過槽で水をろ過して水槽にきれいになった水を戻します。
このタイプのフィルターは、そのほとんどが水槽にフレームがついていないと設置しにくいです。そのため、上部フィルターを使用する場合にはあらかじめフレームのついている水槽を購入する、もしくはフレームを別で購入する必要があります。
最近ではフレームなしでも設置できるタイプのものもありますが、一般向けではないようです。
上部フィルターのメリット
メンテナンスが楽でフィルター設置の場所を取らない点が一番でしょう。また物理的ろ過能力が高く、水に酸素を取り入れやすいため、生物やバクテリアが酸欠になりにくいです。そして価格が割と安いという点が挙げられます。
上部フィルターのデメリット
水が空気と接する面積が広いので、二酸化炭素が大量に外に出てしまうことがまず挙げられます。そして水槽の上部を使うために、見栄えが悪く照明装置の設置スペースが限られてしまいます。
また水の落ちる音やモーター音が意外に大きいので、寝室などには設置しないほうがよいでしょう。
上部フィルターは生物メインの水槽に向いています。特に金魚のような水を汚しやすい・水草を食べるような魚に向いていますし、大型魚の飼育では外部フィルターと併用している人が多いようです。
底面フィルター
底面フィルターとは、すのこのようなフィルターを水槽の底に置き、その上に吸着系のソイルやセラミックサンドのようなバクテリアの住処になるろ材を敷いて、モーターなどで水槽内の水を循環させて、底床そのものをろ材として使用します。
底面フィルターのメリット
価格が安く底床全体がろ過器となるため、生物ろ過能力が高いという点がメリットとして挙げられます。水槽の上部が開くので見栄えがよく、音も比較的静かで、他のフィルターと併用しやすい点もメリットといえるでしょう。
しかしメリットに対してデメリットが意外に多いので注意が必要です。
底面フィルターのデメリット
まず、底面フィルターは水草水槽には向いていません。なぜかというと、底面全体がフィルターになっているために、水草を深く植えることができず、水草の根がフィルターに絡んでしまいます。
そして水草を植えると底床の掃除がしにくく、水草の肥料がフィルターの水流で流されて、水槽内の水が栄養過多状態になってコケの発生原因となってしまいます。
これらのことから底面フィルターは、水草水槽に向いていないといえるでしょう。
このほかにも水槽の底面が汚れていると、フィルターが目詰まりしてしまうので掃除に気を使いますし、フィルターを交換する場合には水槽をリセットする必要があります。底床を敷かないベアタンク水槽で使用することができません。
また水が空気に触れることがないため、エアレーションを別で用意する必要があります。
底面フィルターは孵化用の水槽や稚魚用の水槽、60センチ以下の生体がメインの水槽に向いています。
投げ込みフィルター
投げ込みフィルターは、その名のとおり、水槽の中にフィルターを投入して使用するものです。水中フィルターという別名で呼ばれることもあります。
チューブでエアレーションなどを連結して、泡によって水流を作るものと、水中ポンプを使って水流を作るものがあります。一般的に投げ込み式フィルターという場合は、エアレーションがセットになっているタイプのことを指します。
投げ込みフィルターのメリット
非常に価格が安く設置が簡単なこと、そしてエアーポンプ式の場合は水中に酸素を送ることができます。また水槽内に設置するため、設置場所を取らないという点もメリットでしょう。
投げ込みフィルターのデメリット
デメリットは小型水槽サイズのものしかないこと。エアーポンプ式でない場合には別にエアレーションが必要になり、大きさがあるので水槽内で目立ってしまいます。そしてろ過能力がそこまで高くないという点と、定期的にフィルターを交換する必要があるというのもデメリットといえるでしょう。
投げ込みフィルターは小型水槽向きです。また大型魚を飼育している場合にはサブフィルターとして使っている人も多いようです。
スポンジフィルター
スポンジフィルターとは、エアーポンプに取りつけるタイプのスポンジ製のフィルターです。見た目的に物理ろ過だと思いがちですが、実は生物ろ過用のフィルターなんです。
エアーポンプと併用することで、バクテリアが繁殖するために必要な酸素を十分に与えることができます。
スポンジフィルターのメリット
非常に価格が安く水中に酸素を送ることができる点、また水槽内に設置するので場所を取らず、複数設置が可能なので見栄えが気にならないのであれば大型水槽でも使うことができます。
スポンジフィルターのデメリット
スポンジにごみが詰まりやすいため、掃除をマメに行う必要があります。またエアレーションの音が気になる人も多いようで、見栄えが悪いといったことも挙げられます。
スポンジフィルターはエアレーションとセットになるので、エビ類のように酸欠に弱い生物の飼育に向いています。
また外部フィルターや上部フィルターのサブフィルターとして使うことで、メンテナンスの手間を軽減することもできますよ。
流動式フィルター
流動式フィルターは水処理場で実際に使われているろ過方法です。ろ材を筒状になっているケースの中に入れて水を流すと、ろ材が動く仕組みになっています。生物ろ過能力に定評があり、ろ材が動くことで目詰まりが起きにくいというメリットがあります。
流動式フィルターのメリット
流動式フィルターのメリットは生物ろ過能力が非常に高いこと、そして目詰まりが起こりにくいので長期間維持することが可能な点でしょう。
流動式フィルターのデメリット
最近出たろ過方式なので、市販されている製品がまず少ないです。そのため市場に出回っている流通量が少ないので、コストが高く、物理的ろ過能力がありません。
流動式フィルターはエビ類のような水質悪化に弱い生物を育てるときや、海水魚水槽のように、非常に高いろ過能力を求められる場合に向いています。
オーバーフロー水槽
オーバーフロー水槽は、水槽の下にろ過槽を設置します。このろ過槽に水槽内の水を落とし、ろ過槽で綺麗にした水をポンプで水槽内に戻すというシステムになっているんです。フィルターというよりは『ろ過システム』とでもいうべきでしょうか。
水槽ごとろ過システムにしてしまうのでコストが大きく、設置場所を取るのが難点ですが、その分ろ過能力はフィルターの中では最強というべき能力を誇ります。
オーバーフロー水槽のメリット
ろ過能力が高い、まずこれでしょう。水換えがろ過槽で行うことができるので、水槽内の生物のストレスが減ります。また水質が安定しやすく、拡張性が高いため、配管などでカスタムすることが可能です。
オーバーフロー水槽のデメリット
一式そろえるとなると非常に高額になる点、設置スペースが必要になり総重量も大きくなるので、設置する場所の積載重量を考えなければなりません。また音に関してはカスタマイズする必要があるので、ある程度の知識が必要になります。
オーバーフロー水槽は大型の水槽や大型魚飼育、海水水槽に向いています。
タイプ別で分かる!水槽用ろ過器・フィルターの特徴と選び方まとめ
いかがだったでしょうか。今回は水槽用のろ過器やフィルターの特徴と選び方についてお話しました。ろ過能力でいうならオーバーフロー水槽一択なのでしょうが、いかんせん、コストがかかりすぎますし、設置場所選びにも困るという人が多いのではないでしょうか。
今回紹介したろ過器やフィルターは単独で使用することも多いですが、底面式やスポンジフィルター、投げ込みタイプのものは外部フィルターなどと併用しているアクアリストが多いです。
どれも一長一短あるので、それぞれの特徴を把握して、自分の水槽にあったタイプのろ過機やフィルターを選んでくださいね。
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