熱帯魚の飼育を始める際に苦戦する最初の作業といえば、購入してきた水槽資材を設置する水槽設置作業ではないでしょうか。
私たちプロでも水槽を設置する作業は気を使います。
水槽を設置する作業で大切なことは、準備を大切にすることです。
準備ができていなければ、実際の設置現場で水道が使えない、お湯が出ない、忘れ物をしてしまうなどスムーズ水槽設置ができない恐れがでてしまうのです。
これは、趣味で水槽設置する場合も同じです。
設置場所へ水槽台をおいてみたら床が水平ではなくガタつく、または水を張り終えたら、カルキ材が無い、買い忘れたなど水槽設置はトラブルが最も起こりえる作業とも言えるでしょう。
そこで、初めての方でも水槽を設置する作業がスムーズにできるよう、水槽を設置する準備から設置手順まで解説していきたいとおもいます。
水槽を設置する準備1 水槽設置場所の確認
水槽を設置する場所は、下記3点をクリアした場所を選びましょう。
- 耐荷重
- 水平
- 直射日光
耐荷重について
水槽は水を張ると結構な重さになります。
熱帯魚飼育の入門編といえる最もスタンダードな60センチ水槽でも、水を張れば60キロを超える重さとなります。
水槽を選ぶ際は、床が水槽の重さに耐えることができるかを必ず確認して水槽サイズを選びましょう。
また、建物には床設計用積載荷重が設けられており一般家庭では1平米(㎡)あたり180キロ以上にすることと定められています。
180キロというと水槽サイズで、横幅90センチ水槽(奥行・高さともに45センチ)で水を満水まで張ると189キロとなりなんとかギリギリ置けるサイズとなります。
もし、180キロを超える水槽を設置することを検討する場合は、施工主や管理主に一度確認して問題なく置けるのか聞いておきましょう。
水平について
水槽を設置する上で床が水平を取れているかは非常に重要な要素です。
もし床が斜めになっていたら転倒の危険が高くなるほか、水槽が破損する可能性が極めて高くなるので絶対に水平なところへ設置しましょう。
水平か否かは水平器と呼ばれるものを使用して測りましょう。
この時、水平器はできるだけ水槽サイズに近いものが良いです。あまりに短いものだと正確に計測できないことが多いです、最低でも30センチ以上の水平器を使用しましょう。
直射日光について
直射日光が当たる場所へ水槽を設置することは控えましょう。
直射日光があたる場所に置くと、水槽にコケが生えやすい、水温が上昇しやすいと日々の水槽管理がとても大変となります。
直射日光の力を使って水草を管理したいなどの熟練者以外は、控えることがベターです。
また、アクリル水槽は直射日光があたる場所へ置くことは危険です。
紫外線の影響によりクラックが入りやすいため、破損の危険があります。
水槽を設置する準備2 動線の確認
水槽をいざ購入してみてはいいものの、設置場所まで運べないという問題もあります。
とくに、120センチ以上の大型水槽の場合水槽単体の重量も重いですし、エレベーターに立てないと乗らないなんてこともよくある話です。
そのような問題をクリアするために、メジャーを片手にエントランスからエレベーター、自宅入口から設置場所までの運び方と人数を確認しておきましょう。
水槽を設置する準備3 水道の確認
小さい水槽でも水槽に使用する水の量は多いです。
水槽へ使う水をどのように取水して、水槽に注ぐかを確認しておきましょう。
ホースで直接注ぐ
ホースの長さとホースの取り付け口を確認しましょう。
とくに、最近の一般家庭では普通のホースが入らない構造になっていることが多いです。
それも踏まえて、変換アダプターを使って直接注げるようにするか、または変換アダプターなくてもホースが差せる可能性が高い、洗濯機付近にある水道を利用すると良いでしょう。
最後に、水槽に注ぐ水の出口をどうするかも考えておきましょう。
ホースが外れてしまえば床が水浸しになってしまいますからね。
バケツで注ぐ
バケツで注ぐ場合は、取水場所にバケツが入るかを確認しておきましょう。
お湯の確認
一般家庭でお湯に困ることは少ないかもしれませんが、場合によっては電気式といってお湯を貯水しているところもあります。
その場合、お湯を使用する量が決まってしまうので大型水槽を使用する場合は、あらかじめ使用できる量と水温を気にしておきましょう。
水槽を設置する準備4 電源の確保
水槽付近には電源が必要です。
水槽に使用する電源を確保しておきましょう。
また、実際使用する水槽機材が全稼働した際の電気容量を確認しておきましょう。目安として一般家庭では1500Wが上限です
水槽設置場所が決まったら、設置作業に移っていきましょう。
水槽設置作業1 水槽資材を準備しましょう
ここでは60センチ水草水槽で解説してきます。
最低限下記の水槽資材を準備しましょう。
- 水槽機材
- 水槽
- 水槽専用台
- ろ過器
- 照明
- 底床
- ろ過材
- ヒーター・サーモスタット
- レイアウト用品(流木・石)
- 水草
- カルキ抜き
以上で全部と思われがちですが、プロはここからさらに準備します。
これがプロの水槽設置ポイントです。
以下グッズも準備しましょう。
- アミ
- ホース
- ピンセット
- ゴミ袋
- タオル
- 電源タップコード
では、水槽を置いていきましょう。
水槽設置作業2 底床をいれましょう
水槽を水平な場所に置いたら底床をいれていきます。
底床は砂か土を選びましょう。底床の厚みですが水草を植栽する場合は5センチ以上敷くと水草を植栽しやすいためおススメです。
水槽設置作業3 機材をセットしましょう
ろ過器とヒーターをセットします。
ろ過器
ろ過器をセットします。ここでポイントですがろ過器は目立たないように水槽背面の端に寄せましょう。配管は垂直になるように付属品のキスゴムなどを利用し固定しましょう。
ヒーター
ヒーターのコード類もろ過器配管同じ場所くるようにセットします。
ヒーターをセットする際は3つのポイントを抑えて設置しましょう。
- ヒーター本体とサーモセンサーを近づけすぎないこと
- サーモセンサーが水上に飛び出ないようにすること
- ヒーターは横置きにすること
この3点は必ず守ってください。水槽トラブルでヒーターが原因のトラブルが多いのも事実ですので安全に説明書通りの使用をしましょう
水槽設置作業4 注水しましょう
レイアウト前に水槽へ水を注ぎましょう。
この際に、砂を巻き上げて水を濁らせるとその後のレイアウトがしにくくなります。
注水口を手で受けるか、ビニールを敷くなどして砂を巻き上げないようにしましょう。
水槽設置作業5 レイアウトをしましょう
石や流木の選ぶポイントは流木同士、石同士の色や模様を統一することです。ここを統一することで自然な水景を作ることができます。
とくに石の使い方として、大・中・小とサイズをバラバラで選びましょう。そうすることでレイアウトに立体感を出すことができますのでおススメです。
水槽設置作業6 水草を植栽しましょう
水草は大きく分けて2種類あります。
- 有茎草
- ロゼット
有茎草は茎から草が生えているものです。
ピンセットで丁寧に植え込みましょう。
注意点として、手で無理やり植える、または購入してそのまま鉛ごと水槽へ植えこむことは控えてください。根腐れを起こし、その結果、育成することが一気に難しくなります。
ロゼットという水草の種類は根っこから草が生えているものです。
こちらも有茎草同様、本来はピンセットで植えるのがベストなのですが、品種によっては葉が大きく浮力があることから植えることが難しい種類もあります。
その時は、手で根っこを砂に植えるのも1つの手です。
水槽設置作業7 完成
以上で完成です。
主役の魚は?と思うかもしれませんが、まだ水を綺麗にするバクテリアがいません。
目安として1週間程度はから回しして、その後1か月程度かけて徐々に入れていきましょう。
最後の安全対策としてコンセントを確認してください。
水と電気は相性が悪く、漏水した際にコンセントに水がかかると危険です。
必ずコンセントは漏水しても水がかからない場所へ設置しておきましょう。
まとめ
いかがでしたか。
初めて水槽を設置する方にとって、いろいろ苦戦することが多い水槽設置作業。
どんな作業でもそうですが準備が大切です。
しっかりシュミレーションして準備しましょう。
それでは、素敵なアクアライフを!!
熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
アクアリウム専門のYouTubeチャンネル『アクアリウム大学』も配信中!
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