ろ過の仕組みを知ろう!熱帯魚水槽内の糞尿や汚れが無害化されるまで

水槽は、密閉された空間でありながら、小さな地球に似たシステムで成り立っています。水草が光合成を行い、水草が出した酸素を魚が吸い、魚の出した糞尿や汚れをバクテリアが分解し、分解されたものを水草が養分として吸い上げる……そう、学校の理科の時間に学んだ「食物連鎖」が水槽の中でも起こっています。

もちろんこのシステムだけでは不完全なので、人間がろ過や、水換えでお手伝いをしているわけですが、理想は食物連鎖だけで水槽内が健全に保たれることですね。

魚は生きていますから糞尿を出しますし、食べ残しのエサや水草の枯れたものも発生します。では、それをどうやって無害化したらよいのでしょうか?

水槽内を健全に保つために、ろ過システムがあります。では、ろ過システムは水槽の中をどのようにキレイにしてくれているのでしょうか。

水槽内で起こっている食物連鎖の流れ

水槽の中の食物連鎖

水槽の中では、以下のような食物連鎖を起こすのが理想です。

魚がエサを食べる → 魚が糞尿を出す → バクテリアがアンモニアを硝酸に変える → 硝酸を水草が養分として吸う → 水草が酸素を出す → 酸素を魚が吸う → 最初に戻る

ですが現実には、水槽内で全てが上手く循環するわけではないので、フィルター設置や水換えで私たちが手伝う必要があります。

まずはろ過について知っておきたいこと

最初に、ろ過システムの概要についてお伝えします。

水槽には水をキレイに保つために、ろ過装置を設置します。ろ過装置の役割は、水槽内の生物が出した糞尿などの「汚れ」をキレイにし、水槽内の水を健全に保つことです。

ろ過装置と簡単に言いますが、種類は複数あり、上部フィルター、外部フィルター、底面フィルター、投げ込み式フィルターなど、用途と性能により様々です。

フィルターの種類と用途について、詳しく知りたい方は下のページを参考にしてください。

ろ過のシステムは大きく分けて、3つあります。

  1. 物理ろ過 スポンジやウールマットを使って水をろ過します。水中の糞や、食べ残しのエサなど、目で見えるサイズのゴミはこの方法で除去できます。
  2. 化学ろ過 流木から流れ出たアクや、カビのような悪臭の元を、活性炭やゼオライトのようなものに吸着して除去します。
  3. 生物ろ過 水槽を健全に保つために圧倒的な力を発揮するのが、この生物ろ過です。バクテリアに生物の排泄物を分解してもらうことが目的です。

3つのろ過システムについて知ろう

物理ろ過

それでは、その3つのろ過システムの概要についてお伝えします。

物理ろ過では、スポンジやウールマットで大きいゴミをろ過するのが目的でした。

ゴミを通さないのが物理ろ過の重要性ですから、目の細かいフィルターを選ぶことが重要です。どんなフィルターが良いか、迷った場合は下のページを参考にしてください。

化学ろ過

化学ろ過では、物理ろ過できないような微細なアクや、生物ろ過でも取り除けないカビ臭を、活性炭やゼオライトで吸着するのが目的でした。

活性炭のオススメはこちらです。

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使い方に少し注意が必要なので、使い方についてはこちらが参考になります。

生物ろ過が最重要

3つのろ過システムの中でも最重要とされる「生物ろ過」のしくみと、重要性についてお話します。

「生物ろ過」とは上でお話した通り、生物が排出した「有害物質」を、バクテリアに分解してもらうことが目的です。魚やエビなどの小動物は、尿としてアンモニアを排泄します。アンモニアは生物にとって猛毒ですから、水槽内の生体にとっては脅威となります。そもそも魚にとってアンモニアは猛毒だから体外へ排出しているのに、それが水槽に溜まってしまうという皮肉が起こっているのです。

ところが、バクテリアにとっては、そのアンモニアはエサです。バクテリアがアンモニアを食べて亜硝酸に変え、さらに弱毒の硝酸へと変えてくれます。硝酸は弱毒ではありますが、徐々に蓄積していくため、水換えの必要があります。

要するに、猛毒のアンモニアを、バクテリアたちに分解してもらおう!というのが、生物ろ過の本来の目的です。バクテリアたちが正常に分解を行えば、水換えは2週間に一度くらいに抑えることができます。

バクテリアの働きについて、もっと詳しく知りたい人は下のページがとても参考になりますので、是非ご一読ください。

どうやったらバクテリアは働いてくれる?

では、どうやったらバクテリアが機嫌よく働いてくれるでしょう。バクテリアの働きを引き出すためには、バクテリアの性質を知らなければなりません。

エアレーションをしよう

アンモニアを分解するバクテリアは、生きていくために酸素が必要です。ですからエアレーションは、このようなバクテリアにとっても大切です。

水道水でフィルターを洗わない

バクテリアは水槽内のフィルターや、底砂に住んでいます。バクテリアはとても弱い生物なので、フィルターや底砂を水道水で洗うと、死んでしまいます。フィルターや底砂は水槽内の水で洗うのがベストです。無理な場合は、カルキ抜きをした水道水で洗いましょう。

水草を入れよう

バクテリアは水草の表面にも生息しますので、バクテリアのためにも水草を入れることは有効でしょう。

バクテリアの住む所を増やそう

バクテリアはフィルターや底砂の「デコボコ」したところに住むのが好きなので、バクテリアの住む所を増やしてあげましょう。下のようなアイテムがオススメです。

リキジャパン セラミックリングろ材 淡水・海水用 3.8L

ろ過システムの理屈を知って水をキレイに保とう

ろ過システムは大きく分けて3つあること、最重要なのは生物ろ過であり、バクテリアを元気にしておくことが水をキレイに保つ秘訣であることがわかっていただけたと思います。これからもバクテリアを大切にしながら、美しい水槽を保っていきましょう。

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