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水草が白くなるのは病気? 水草の白化症状の原因と対策とは?

水草の育成において、直面するトラブルの代表的なものに、水草の白化が挙げられます。白化とは読んで字のごとく、通常なら緑色や赤色など色鮮やかな水草の色が落ちてしまい、新芽を中心に白色になってしまう症状です。

白化症状の直接の原因としては、水草が葉緑体などの色素を生成できない状態になっていることが考えられます。ここでは、なぜ色素を合成できなくなってしまうのか、水草の白化症状の原因とその対処法についてご紹介いたします。

水草の生育に必要な環境と要素

水草の白化症状の原因ですが、一概に”これ”とは言い難いのが実情です。なぜなら、水草の育成には育成環境の他に水槽内に含まれる栄養素のバランスも重要で、これらが複合して症状が出る場合もあるからです。まずは、水草育成の基礎についておさらいをしましょう。

環境について

水草が好む水質は、品種によって多少の差はありますが、弱酸性~中性の軟水です。具体的な数値としてはpHが6.0~7.0前後、水の硬度を表すKHとGHはそれぞれ、0~6°dH(ドイツ硬度)程度と言われています。

しかし、水の硬度とpHには密接な関係があり、硬度が低すぎるとpHの急変を招くので2°dH前後は確保しておいた方が無難です。

水温に関しては、大部分の品種が20~28℃前後で育成が可能です。また、水草も陸上の植物と同様に光合成によって、水と二酸化炭素CO2)から炭水化物を合成して生育します。水槽水中に適度な溶存CO2濃度と、光合成に必要な光量の確保も水草の育成には欠かせない要素です。

栄養について

基本となる3大栄養素

さて、次に栄養面についてですが、水草の生育に必須になる3大栄養素というものが存在します。それは、窒素リンカリウムで、これらの栄養素はバランスよく供給されることが重要です。

いずれかが欠けてしまうと、その他が潤沢に存在していても一切消費されずに、成長が滞ることが知られています。この中で不足しやすいものとしては、カリウムが挙げられます。窒素とリンに関しては、生体のエサや代謝物によって供給される機会が多く、不足するケースは少ないです。

対してカリウムは、水槽内で発生する機会が少ないうえに水に溶出しやすい性質を持つので、水換えなどにより失われやすいのです。また、水草のみを育成する場合には、窒素やリンも不足するケースがあるので注意が必要です。

その他の微量元素

水草の生育には3大栄養素以外にも必須となる微量元素があり、代表的なものとしてはカルシウムマグネシウム硫黄が挙げられます。これらの元素は、3大栄養素と比較すると必要な量は遥かに少ないのですが、不足することで発育不良などの症状が出ることが知られています。

この中で特に不足しやすい元素はです。鉄を含む微量元素は、少量ながら水道水にも含有されているので、水換えを定期的に行えば補充が可能です。しかし、鉄の要求量は比較的多く、特に赤系の水草では顕著なので、水換えだけでは間に合わない傾向にあります。

白化症状の原因

白化症状が起きる原因は、水草が何らかの理由で葉緑体などの、色素を生成できなくなっているためと考えられます。では、なぜ色素を生成できなくなってしまうのか、その原因を考えていきましょう。

環境的要因

テトラ (Tetra) テスト 6 in 1 試験紙 水質検査 テスト 総硬度 硝酸塩 亜硝酸塩 塩素 炭酸塩 PH

まずは、環境的な要因で生育が妨げられていることが考えられます。先に述べた水草の生育に適した環境から外れてしまっていた場合に、成長が阻害された結果として白化症状が出る可能性があるのです。

水温やpH、硬度などについて適正範囲にあるかチェックしてください。現在では、家庭でも簡単に水質を調べられる検査キットが市販されているので、それを利用するとどなたでも手軽に調べることが可能です。

また、水槽水のみならず、光合成に必要な光源となる照明も大切です。十分な光量が確保できているかなども、併せてチェックする必要があります。

栄養不足

環境的な要因以外にも、水槽水中の栄養分が不足することで生育が阻害された結果、白化症状が生じる可能性もあります。窒素リンカリウムの3大栄養素はバランスよく供給されているか、その他の必須微量元素は不足していないかなど栄養面にも注意が必要です。

白化症状の対策

環境の見直し

水草の白化症状の対策ですが、まずは育成環境を見直してみましょう。チェックすべき項目としては、主に水温水質光量の3点が挙げられます。

水温

水温は高すぎても低すぎても、水草は調子を崩してしまいます。夏は冷却ファンやクーラーを、冬はヒーターを用意して水草に適した20~28℃の範囲になるよう、水温を調節してください。

水温が低い場合は、多くの陸上植物と同様に水草の活力が低下して枯れてしまいます。また、水温が高すぎると、水草を構成するタンパク質の変質や、水質を維持するバクテリアの活動低下溶存CO2濃度の低下などを招くので注意してください。

水質(pH、硬度)

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水質に関してはpH硬度KHGH)に注意が必要です。水草は弱酸性から中性の水質で育成が可能ですが、特に弱酸性を好みます。pHがアルカリ性に傾いた場合、多くの品種が悪影響を受けるので注意してください。

硬度は、主に水中のカルシウムマグネシウムの量を基に算出される指標ですが、これも高すぎると成長が妨げられてしまいます。水草の育成に欠かせないカルシウムとマグネシウムですが、水中に多く存在しすぎるとその他の微量元素の吸収を阻害してしまうからです。

日本の水道水は主に軟水ですが、地域差があるので検査キットなどを用いて硬度を測定し、高いようでしたら水質調整剤などを使用して水槽導入前に硬度を調節してください。

光量

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水草の育成には光量も重要です。使用している照明器具が水草の育成に適しているか確認してください。最近では、植物栽培用に使用される、光合成に必要な光の波長帯を強化したLEDを採用した、水槽用照明器具も市販されています。

一般的な熱帯魚用LEDライトと比較するとやや高価ですが、水草を育成するのであれば導入したい外部機器です。また、水草用を謳う照明を導入していても、電球などが切れていては機能しません。照明器具が適切に点灯するかも見直してみてください。

ちなみに、光源として太陽光を当てることはおすすめできません。なぜなら、太陽光は強力すぎるため、水温の上昇を招いたりコケの大量発生を誘発してしまうからです。水槽という限られた環境で育成するのであれば、照明器具を用いて管理した方が良いでしょう。

栄養状態の改善

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育成環境に問題がない場合は、栄養状態が不適切であることが考えられます。栄養は水草用の肥料を用いて補充が可能ですが、むやみに追肥をしてしまうと水槽水の富栄養化を招き、コケの大量発生につながります。

足りない栄養素のみを補充できれば理想ですが、水中の養分は目に見えないので、水槽水全体の栄養バランスを整えることを考えましょう。

栄養バランスを整える方法としては、水槽水の半分ほどを換水して全体の栄養分を減少させ、その後に栄養がバランスよく配合された総合肥料を投入します。こうすることで富栄養化を防ぎつつ、水草にとって必要な栄養分を供給することが可能です。

まとめ・水草の白化症状の原因と対策について

水草が白化するということは、色素を生成できない状態になっており、生育において何かしらの問題が発生していることを意味します。しかし、水草の白化症状の原因には様々なものがあり、一概には断定できないのが実情です。

白化症状の解決のためには、ご自身の育成環境を鑑みて、可能性のある事柄について1つ1つ検証していくことが重要です。