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【プロが解説!!】夜は照明をつける?夜間の水槽照明で気をつけるポイントとは

アクアリウムにおける照明には、水槽内を明るく照らして飼育している生体を見やすくする目的もありますが、生体の健康状態を整えるという重大な目的があります。観賞魚や水草などの生物も、明るい時間は活動し暗くなると休眠することで(夜行性の場合は逆)、体調を整えているのです。

そのため、1日中照明で明るい状態だと生体は調子を崩してしまいます。しかし、仕事などの関係で夜間に照明を点けて、生体を観賞したい方もいると思います。そこで本稿では、照明についての注意点や、夜間に水槽照明を点灯したい場合の方法などをご紹介します。

水槽照明の役割

水槽における照明は、水槽内を明るく照らして生体を見やすくする目的も勿論ありますが、それ以上に重要な役割として、生体の健康状態を整える目的があります。観賞魚や水草、サンゴや甲殻類などの無脊椎動物も「生物時計」に従って生活しています。

自然環境下では明るい内に活動し、暗くなると睡眠をとるなどして体を休める(夜行性の生物の場合は逆)、このサイクルが定期的に繰り返されることによって健康状態を保っているのです。

私たち人間が睡眠不足に陥ると体調を崩してしまうように、観賞魚なども明るい時間と暗い時間があり、活動のON/OFFが切り替えられる環境になければ、調子を崩して発育不良などの弊害が生じてしまうのです。

理想的な水槽照明の時間について

水槽で飼育される生体にとって、理想的な照明時間は8~12時間と言われています。照明時間が8時間未満だと、観賞魚の場合はビタミンD不足に陥ったり、水草やサンゴは生育に必要な光合成を十分にできない恐れがあります。

また、12時間を超えてしまうとコケや藻の発生を促進すると同時に、観賞魚や水草、サンゴなどが十分に休眠できずに衰弱することが考えられます。それぞれの生体にとって理想的な時間は厳密には異なりますが、8~12時間の間であればそこまで細かく管理する必要はありません。

むしろ重要になるのは、点灯時間と消灯時間のサイクルです。季節による日照時間の差が大きい日本においても、野生の水生生物は問題なく生息しています。これは、季節の移り変わりとともに、徐々に日照時間が変化するので生物が適応できるからです。

しかし、飼育下での照明時間は飼育者の手にゆだねられています。点灯時間と消灯時間の長短が頻繁に変わるような環境では、生体は生物時計が狂ってしまい健全な育成は望めません。

照明時間の管理にはタイマーを用いて、定期的に点灯と消灯が繰り返されるようにした方が、管理も楽ですし生体にとっても良い環境を提供できます。

夜間に水槽照明を点けたい時のポイント

それでは、夜間には照明を点けられないのかと言うと、そうではありません。要は、1日の内の明るい時間が8~12時間になるように、水槽の明るさをコントロールすれば良いのです。

夜間に照明を点けたい場合は、朝方から午前中にかけては水槽がある部屋のカーテンを閉めたり、水槽を暗幕などで覆い遮光すると良いでしょう。

そして、照明を点けておきたい時間から逆算して8~12時間前に照明を点灯させれば、生体の健康状態を損なうことなく夜間に照明を点けておくことが可能です。

夜間の水槽照明で事故を防止

飼育している生体の健康のためには、点灯時間と消灯時間が必要であることは前述しました。だからと言って、消灯時間に水槽内を真っ暗にする必要はありません。なぜなら、悪天候時と新月の日を除けば、月明かりがあることが普通だからです。

飼育下で夜間に水槽を真っ暗にしておくと、水槽の付近を横切る際の物音や気配に驚いた生体が、周囲の様子が見えないためにパニックを起こしてしまいます。その結果、水槽から飛び出したり内壁やレイアウトに激しくぶつかってケガをしてしまう危険性があります。

夜間でも月明かり位の弱い照明を点けておくことで、驚いた際も隠れ家を見つけて退避できるので、飛び出しや衝突などの事故を防止することが可能です。

調光機能付きのおすすめの水槽用照明

ここでは、夜間照明としても使用できる、調光機能が付いたおすすめの水槽用照明をご紹介します。

「ゼンスイ マルチカラーLED」シリーズ

ゼンスイ マルチカラーLED 600

自由に色合いを調節できるタイプで、最大10万通りの組み合わせが可能なマルチカラー水槽用照明です。
水槽の鑑賞性を上げるだけでなく、水草育成も可能で1本で様々なアクアリウムに対応できます。

どんな照明が良いか悩んだら、マルチカラータイプがおすすめです。

「コトブキ RAY MAX」シリーズ

寿工芸 コトブキ工芸 RAY-MAX 600

調光タイマーが内蔵されているLEDライトです。設定次第でかなり細かく調光することが可能で、日の出・日中・日没・深夜・早朝を再現できます。

デフォルトで1日のサイクルが設定されているので、セッティング後すぐに水槽内の明るさを24時間自動でコントロールが可能です。

60、90、120cmの水槽サイズに対応した機種が発売されており、値は張りますがそれに見合った高機能な水槽照明に仕上げっています。

「コトブキ エコスポットフリー」シリーズ

寿工芸 コトブキ工芸 エコスポットフリー 21 2W

小型水槽用の簡易的なLEDライトで白色LEDと青色LEDから成り、青色LEDのみを点灯できるので、夜間の常夜光として適しています。

LEDライトのスタンド部を、水槽の上枠にはめてネジで止める固定方式なので、取り付けは簡単で様々な水槽で使用が可能です。LED電球の数が異なる2種類が発売されており、価格が安価な点もポイントです。

まとめ・夜間の水槽照明について

現在、一般的に飼育されている水生生物にとって理想的な照明時間は8~12時間です。よって、日中は暗幕などで水槽を覆って暗くしておけば、夜間に照明を点けても生体の健康状態を害することはありません。

また、暗くするといっても真っ暗にする必要はなく、月明かりのような弱い光を点灯させておくことで、飛び出しなどの事故を防ぐことが可能です。調光機能がある水槽用の照明も販売されているので、それらを用いて生体にとって良い環境を作ってあげてください。