熱帯魚のことを調べているときに「水槽の水を弱酸性に維持すると良い」という文章を見かけたことがありますか?
水槽の水を弱酸性にするといくつかのメリットがありますのでご説明します。
またどうやって水を弱酸性に維持すればいいのかについてもご紹介します。案外手軽な方法ですので、ぜひ試していただきたいと思います。
水槽の水を良い状態に保ち、魚や水草を健康に育ててみませんか?
水槽の水を弱酸性にすることによるメリット
ではまずは、水槽の水を弱酸性に保つことで期待できるメリットは何があるでしょうか。
弱酸性の水を好む魚にとっての良い環境を作れる
魚には様々な種類がいますが、原産地によって好む水のタイプが異なります。
現在アクアショップで販売されている人気の熱帯魚の多くが「アマゾン川流域」が原産の魚です。具体的には「ネオンテトラ」などのテトラ系、エンゼルフィッシュ、グッピー、プレコなどです。
これらのアマゾン川流域が原産の魚たちは弱酸性の水を好みます。
ネオンテトラやカージナルテトラの発色が、深みのある鮮やかな色となることは目視ですぐにそれとわかるほどなんですよ。
魚にとって良い環境を作れれば、魚はより美しく、健康で長生きしてくれます。魚にとっても私たち飼育者にとっても良いことですね。
水草がイキイキと育つ
美しいグリーンの水草はとても美しいですね。
水草は弱酸性の水質を好む種類がほとんどなので、水草にとっても弱酸性の水質は育ちやすい良い環境と言えます。水草がイキイキと生長することで、たくさんの硝酸塩を肥料分として吸収してくれますので、水槽に蓄積する硝酸塩を減少させることにもつながるでしょう。
アンモニアを中和できる
魚類は体内に蓄積した不要な物質をアンモニアの形で体外へ排出しています。
アンモニアは生物にとって有害ですが、自然界に住んでいる魚は大量の水の中で生活しているので薄められるので害はありません。水槽内で暮らす魚たちはそうはいかないので、バクテリアにアンモニアを分解してもらって生活しています。
そのアンモニアはアルカリ性です。水が弱酸性であれば、アルカリ性のアンモニアを中和することができるため、水質の維持に役立つと言えるでしょう。
スネールの成長を遅くできる
スネールは水槽の中にいつの間にかいたりする、巻貝の仲間です。
環境がスネールに適合すると爆発的に増殖してしまい、手が付けられなくなるスネールですが、弱酸性の水がそのスネールの成長を遅くするという人もいます。
スネールは巻貝なので、カルシウムを吸収しながら少しずつ貝がらを成長させています。ですが弱酸性の水は、水中に存在するカルシウムイオンをカルシウム塩という固形物に変えてしまいます。それにより、スネールがカルシウムを吸収しづらくなるという理論です。
水槽の水を弱酸性に変える・弱酸性を維持する方法は
水槽の水を弱酸性にすると期待できるメリットをわかっていただけたかと思います。
こちらの項では水槽の水を弱酸性にして維持する方法についてご紹介します。
なお、こちらのページで言う「弱酸性」は pH 6.0~6.5くらいを指しています。
底砂にソイルを使う
みなさんは水槽の底砂に何を使っていますか?
底砂に使えるものとして代表的なものに「ソイル」があります。
ソイルは細かな土を丸い粒の形に焼き固めたもので、水草を育てる人にはとても人気のある底砂です。ソイルは水を弱酸性にする性質を持っていますので、底にソイルを敷くだけで水を弱酸性にすることが可能です。
ただしソイルは土を焼き固めたものなので、1年ほどで形が崩れて粉のようになってきます。形が崩れてきたら交換する必要があります。
手荒に扱っても砕けてしまいます。そのため手入れが少し面倒かもしれません。
マジックリーフ・ヤシャブシの実を使う
マジックリーフ(ドクターリーフ・アンブレラリーフなどとも呼ばれます)は、シクンシ科モモタマナ属の落葉高木の葉を乾燥させたものです。
この葉を水に漬けると水を弱酸性に変えてくれます。ただし葉から様々な成分が溶け出して水が茶色く変化する場合があるので注意が必要です。この茶色い成分(タンニン)が効果をもたらすので、色を変えずにというのは無理なんです…。
また同じ効果をもつ「ヤシャブシ」という植物の実もあります。
流木を入れる
流木は水槽内のレイアウトには欠かせないアイテムですね。かっこいいだけではなく、流木には水を弱酸性に変えるというメリットもあります。
市販の流木を水槽に使う場合は、必ず前処理を行なってからにしましょう。処理を行なわないと水を濁らせる原因になったり、流木にカビが生えたりしてしまいます。
水をアルカリ性にしてしまうアイテムは
水槽の水を弱酸性にしても、これから紹介するアイテムを使うと水がアルカリ性になってしまう可能性があるので注意してください。
貝殻
装飾用に貝殻を入れると、水質をアルカリ性に傾けてしまいます。
弱酸性に保ちたい場合は使わないようにしましょう。
サンゴ
サンゴも貝殻と同じ成分(炭酸カルシウム)が主成分ですので効果は同じで、水質をアルカリ性にする力があります。
石
これも装飾用に使われることの多い素材ですが、水質をアルカリ性に傾けてしまいますので、注意が必要です。
水槽の水を弱酸性にした場合の注意点
水槽の水を弱酸性にしたぞ!これでOK!
…なのですが、少しだけ気をつけていただきたい点があります。
新規に迎えた魚は慎重に水合わせを
アクアショップで魚を購入し、自宅の水槽に導入する時には必ず水合わせを行ないましょう。
いくら魚が弱酸性を好むと言っても、それまでショップの水槽にいたわけです。ショップの水槽は頻繁な水換えを行なっていることが多いので、pHは7.0(中性)付近の場合が多いです。
ですが自宅の水槽は弱酸性ですから、時間を掛けて水合わせをしてあげましょう。
いきなり中性から弱酸性に入れられたら魚にとっては大きなストレス、そればかりでなくショックで死んでしまうこともあります。
割り箸を入れないで!
水槽に割り箸?!って思いますよね…。
流木と同じような効果を割り箸に期待できる、という説が出回っています。
ですが市販の割り箸が生産される際にどのような薬剤が使用されているかはわかりません。そういった薬剤が水槽内ににじみ出る可能性があります。
また割り箸の素材もどんな材木なのかわかりません。割り箸を水槽に入れるのは止めましょう。
まとめ:水槽の水を弱酸性に保って魚をキレイに育てよう
水槽の水を弱酸性にするメリットや、水を弱酸性にするための方法についてご説明しました。
魚の種類にもよりますが、多くの魚は弱酸性の水が好きです。せっかく縁あって迎えた魚たちですので快適に過ごしてもらうためにも、水槽の水を弱酸性に保ってあげてください。
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