こちらの記事の中で、活魚水槽のトラブルについて触れたことがあります↓
時々、活魚水槽をご自身で管理されている方から、活魚水槽のトラブル相談をいただくことがあります。
その多くは、水槽の中の活魚が弱ってしまったというもの。
活魚は飼育している魚と違い、お客様へ食材として提供する大事な商品です。
弱っている活魚は提供できませんよね。
しかし、よくよく話を聞いてみると意外なところにトラブルの原因が隠れていることがあります。
今回は、活魚水槽の管理方法をじっくり解説してまいります!
活魚水槽の管理方法
活魚水槽の目的、性質を考えれば、意外にも活魚水槽の管理はシンプルです。
プロが行う、活魚水槽の管理方法を大公開します!
活魚水槽に餌は必要?
ズバリ、活魚水槽に餌は必要ありません!
活魚水槽の目的を考えましょう。
活魚水槽は、魚介類を新鮮な状態でお客様へ提供する為の水槽です。
活魚を飼育することが目的の水槽ではありません。
水槽を汚さず、メンテナンス回数を減らすためにも餌を与えるのはやめましょう。
活魚は長くても7~10日程度のストックになるよう、入荷量を調整しましょう。
これくらいの絶食であれば問題なくお客様へ提供できます!
活魚水槽の水温
一般的に、活魚水槽に入れるような魚(アジやカワハギやフグなどなど)は、熱帯魚飼育で適正とされるような24-26℃の水温には耐えられません。
ストックする活魚の種類にもよりますが、どんなに高くても18℃を下回るようにクーラーを設定しましょう。
活魚が弱ってしまった!と連絡を受けて駆けつけると、クーラーの故障で水温が上がってしまっていた、というパターンも珍しくありません。
クーラーも定期的にしっかり清掃するようにしましょう。
さらに低い水温を好む活魚もいますが、基本的には短期ストックなので、必ずしも適正温まで下げる必要はありません。
しかし、低水温の方がコケの発生を抑制できますし、中には「活魚の身が引き締まる」ように感じる板前さんもいらっしゃいます。
活魚の様子と相談しながら温度調節をしてみましょう。
また、水換えの直後は水道の温度に合わせて水温が上昇することが多いのでお気をつけください!
できれば活魚がいない状態で水換えするのが理想ですが、それが難しい場合は少しずつ水を注ぐなどして、水温の急変で活魚にストレスを与えないようにしましょう。
活魚水槽の水換えの頻度
誰でも面倒なのが水換えです。
活魚水槽も例外ではなく、面倒に感じることも。
しかし、上述のように活魚水槽には餌を与えないことが基本です。
するとどうなるかというと、水槽の汚れるペースが普通の熱帯魚水槽と比べると極端に遅くなります。
こうすることで、水換えのペースを減らすことができるのですね。
活魚水槽の立ち上げ初期は、しばらく週に一回程度の水換えが必要ですが、ろ過槽にバクテリアが定着しはじめるとだんだん水換えの頻度を減らしていけます。
三週間に一回程度の水換えまで減らせたら、かなり負担も低減するのではないでしょうか。
活魚水槽の塩分濃度
また、活魚水槽の水換えにはもう一つコツがあります。
それは、塩分濃度です!
比重計を使い、塩分濃度が1.020になるようにしましょう。
自然界の海よりも少し薄めの海水です。
こうすることにより、病原菌や寄生虫の活性が下がるとされています。
もちろん、直ちに問題が出るほどではないにしろ、活魚にとってもやや住みにくい環境になるので、活魚の長期ストックは避けましょう。
↓こちらは、我々プロが日ごろから使っている比重計です。
リーズナブルで使いやすいので、おすすめです!
エアレーションは強めに!
意外と忘れがちなのが、エアレーションです。
エアレーションは市販されている熱帯魚用のエアレーションでは弱いです。
熱帯魚と比べると活魚は体もエラも大きく、溶存酸素の要求量が多い為、熱帯魚用だと窒息してしまいます。
ブロワーと呼ばれる、大型のエアレーションを使用しましょう!
だいたい、120cm水槽で吐出量15L/minくらいのものがよいでしょう。
エアストーンは、ブロワーの吐出量に合ったものを選びましょう。!
休日前の準備
もうひとつ大事なのが、休日前にしっかり準備をすることです!
休日、つまり活魚水槽の様子が見れない日は少ないに越したことはありませんが、人間、休みは必要です。笑
休日前の準備はただ一つ、ストックしている活魚の量をギリギリまで減らす、ということだけです!
活魚が多ければ多いほど水は汚れやすく、病気や死魚のリスクが高まることはどんな水槽でも一緒です。
危険なのは、死んでしまった魚を放置すること。
そうなると、水質は一気に悪化し、連鎖的に活魚が死んでしまうこともあります。
さらに、活魚が大量死してしまった水槽はろ過槽の清掃、全換水など、想像以上にハードなリセット作業が待っています。
そのリスクを少しでも減らす為、出来る限りストック数は減らすようにしましょう。
活魚水槽に最適な魚数とは?
基本的な管理方法について解説してまいりました。
しかし、上述の管理方法をしっかり守り、完璧に管理ができていたとしても活魚が死んでしまう。。。
そんな方は、お使いの活魚水槽のキャパシティ以上の活魚を入れてしまっている可能性があります!
実は、活魚水槽には適正な放魚量というものが決まっています。
全水量(水槽+ろ過槽)の1.5~2%の放魚量が適正とされています!
つまり、全水量が300Lの活魚水槽があった時、適正放魚量は4.5~6㎏となります。
しかし、どの水槽でもこの数式が当てはまるわけではありません。
いま一度、活魚水槽の設計をしっかり見なおしてみましょう!
活魚水槽の水量を計算しよう
全水量とか言われても、そんなのわからない。。。
という方もいらっしゃるかと思います。
しかし、これは簡単に求められます。
下記の式を参考に、計算してみてください!
水量(L)=水槽の横幅(cm)×奥行き(cm)×高さ(cm)÷1000
これだけです!
水槽の水量
例えば、W120×D45×H50cmの水槽を使っている時。
式はこのようになります。
120×45×45÷1000=243
水槽容量は243Lだということが分かります。
ろ過槽の容量
ろ過槽の容量も、同じ計算式で求められます。
しかし、ろ過槽は真四角ではないことが多いですよね。
しかし、この数式は理想値でOKです。
L型の水槽でも四角型の水槽でも、下記の大きさから水量を求めましょう。
ウールボックスは無視してOKです!
濾過槽容量を確認しよう
水槽とろ過槽の水量計算ができるようになりました。
ここでもう一つ大事なのが、水槽の水量に対するろ過槽の水量です。
水槽の水量に対し、ろ過槽のろ過能力が適正かどうかを考えます。
「ろ過槽水量が水槽水量の1/4以上であること」を一つの目安としてください。
もちろん多いに越したことはありませんが、最低でもこれぐらいは必要だということです。
この条件がクリアできた時、「全水量(水槽+ろ過槽)の1.5~2%」の式で適切な放魚量を求めることができます!
活魚の種類に気をつけよう
もうひとつ忘れてはならないのが、活魚の種類です。
水を汚しやすい種類の活魚をストックする時なんかは、必ずしもこの計算式が当てはまらないことがあります。
活魚水槽に適している種類は、あまり遊泳性の高くない、大人しい魚です。
遊泳性が高い=運動量が多い魚はその分代謝も早く、粘膜の分泌量が多かったり、投入初期は糞が多かったりして水を汚しやすいので注意が必要です。
水槽の様子を見ながら、放魚量は調整してください。
また、イカをストックする時はスミに気を付けてください!
一度でもスミがろ過槽に落ちてしまったら、濾過槽清掃&全換水が必要になります。
イカは上級者向けの活魚と言えるでしょう。
事前にスミを吐かす、ショックが少ないように丁寧に水合わせを行い投入する、多種多頭を入れることは避け、ストレスの少ない環境でストックするなど、細心の注意が必要です。
活魚水槽の管理方法と最適な魚数について まとめ
いかがでしたか?
基本的な管理方法についてまとめました。
私が調べた限りだと、この記事が日本で一番詳しく活魚水槽の管理方法について解説しているのでは?と思います。笑
とは言っても、相手は生き物です。
この通りに管理できていたとしても、予期せぬトラブルはつきものです。
あくまで「基本的な管理方法」だということを念頭に、最終的には食べる為のストック水槽ではありますが、愛情を持ってお世話してあげてください。
そうすれば、きっとおいしく提供できると思います。
それでも原因不明、お手上げなトラブルが発生した場合は、すぐに東京アクアガーデンにお問い合わせください。
経験豊富なプロのスタッフが、活魚を、そしてあなたのお店を守るべく、駆け付けます!
トロピカプレゼンテーターのぶっちーです(。-`ω-)
この記事が、皆様の素敵なアクアリウムライフの手助けになれば幸いです。
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