海水魚水槽で底床に使用される「ライブサンド」を使用することで、自然環境に近い環境を作ることができます。アクアリウム初心者~中級者の中には、ライブサンドのメリット・デメリットをきちんと理解しないまま、人にすすめられたという理由で使用している人もいます。
しかし自宅水槽で使用するのであれば、きちんとメリット・デメリットを理解して使用すべきです。
今回はライブサンドとはどんなものなのか、またメリットやデメリット、選び方などについてお話していきます。
ライブサンドとは?
海水魚水槽で底砂に使用されるライブサンドですが、砂浜の砂ではなく天然のサンゴを使用しています。わざわざライブサンドを作るために生きているサンゴを採取するのではなく、サンゴの死骸が風化して、細かい砂のような状態に粉砕されたものです。またアラゴナイトにバクテリアなどを付着したものもあります。
ライブサンドの特徴
サンゴ砂はサンゴの死骸が風化し砂状になったものですが、海水水槽に使用すると、成分がゆっくりとと水中に溶け出します。ミネラルなどが溶け出すため、phの維持がしやすいという特徴があります。
ライブサンドのメリットとデメリット
ライブサンドはph維持以外にもメリットとなることがありますが、同時にデメリットも存在します。きちんとメリット・デメリットを把握して使用することで、生き物に適した自然に近い環境を作ることができます。
ライブサンドのメリット
ライブサンドを海水水槽で使用するメリットは、おもに次の3つをあげることができます。
水槽の見栄えが良くなる
海水魚水槽で底に何も敷かない人がいます。悪いとはいいませんがあまりにも水槽内がさっぱりしすぎていて寂しく見えてしまうことがありますし、ガラスが丸見えなので見栄えが悪いです。
しかしライブロックを敷くことで、見栄えが良くなり自然に近いレイアウトを作ることができます。
最初からバクテリアが付着している
水槽立ち上げ時は、淡水も海水も水槽内にバクテリアを定着させる必要がありますが、ライブロックは最初からバクテリアが付着しています。そのため水槽が立ち上がり安定するまでの期間が短くなります。
すすぎ洗い不要
一般的に底床に使用する砂や砂利は、ごみや細かな破片を取り除くために使用前に水洗いをします。しかしライブサンドは水洗いの必要がないため、購入してそのまま水槽内に入れて使うことができます。
ライブサンドのデメリット
ライブサンドのデメリットは、おもに2つあります。これらのデメリットを把握しないで失敗してしまわないよう気を付けましょう。
白点病などの病原菌の温床になることがある
ライブサンドはバクテリアを定着させた状態で販売されています。海岸や海中から採取してそのまま販売しているものもありますが、中には人工的に微生物を付着させているものもあります。しかしどちらも100%安全かというと微妙なところです。
採取してそのままパッキングして販売しているものは、デトリタス生物を含んでいる場合があります。また水槽内で人工的にバクテリアや微生物を付着させた場合は、白点病などの病原菌が潜んでいることも。
購入時は問題がなくとも、自宅で飼育している魚が病気にかかってしまったときは、底床の厚さがあると嫌気層ができやすくなり、知らず知らずのうちにライブサンドの中で病原菌が繁殖してしまうことがあるので注意が必要です。
販売価格が高い
ライブサンドは、海水魚水槽用の他の底床材と比較すると販売価格が高いです。例えば神畑養魚株式会社が取り扱っているアラガライブのバハマオーライトは4.5kgで税抜きで3,600円で販売されています。
ライブサンドにはさまざまなサイズがある
一口にライブサンドといっても、実は粒の大きさによってさまざまな種類があり、大きく分けると次の5種類があります。
パウダー
パウダー状のライブサンドは、一番粒が小さなものチンアナゴや底床の素材を口に入れるベントス性のハゼなどの飼育に向いています。
他のサイズを下に敷いて一番上にパウダーサイズのものを使用することが多いです。
このサイズは底材の交換や水槽レイアウトの変更時や、ちょっと水流の加減を間違えただけですぐに水中に舞い上がってしまいます。また細かいために底砂の中で密度が高くなり、嫌気層ができやすいです。そのため硫化水素の発生リスクが高まるので、海水魚飼育初心者には扱いが難しくあまりおすすめできません。
パウダータイプを底に敷く場合は、厚さは3cm以内にしておきましょう。底床での還元ろ過を気にしないのでれば1cmでも十分です。
スモール
スモールサイズのライブサンドはパウダーよリもやや粒が大きめです。大きいサイズと組み合わせて使われることが多いです。
パウダーよりも粒が大きいといってもわずかなサイズ差なので、スモールサイズも3cm以内の厚さにしたほうがよいでしょう。
ミディアム
ミディアムはスモールサイズよりも少し大きめの粒となり、5cmくらいまでなら大丈夫といわれていますが、やはり硫化水素発生リスクを減らしたいのであれば、3cm以内の厚さにしておいたほうが無難です。
ラージ
ラージサイズはミディアムよりも大きな粒で、人の目でもしっかりと粒を確認することができるサイズです。
LLサイズ~
LLサイズ以上のものはサンゴの形状が残っているものとなります。底砂として使用するよりも、ネットにまとめて入れてろ過材として使用されることが多いです。
ライブサンドはどこで買える?
ライブサンドはアクアショップで販売していることが多いですが、近くのショップで購入できない場合にはネットショップで通信販売で購入することが可能です。
ライブサンドの使用量
具体的にライブサンドの使用量がわからない、という人のために大まかですが厚さ1cmあたりで必要になる使用量を記載しておきます。
- 30cmキューブサイズ:1L(1,5kg)
- 45cm水槽:1.5L(2.25kg)
- 60cm水槽:2L(3kg)
- 90cm水槽:5L(6.75kg)
この数値はあくまでも目安なので、自分の水槽のサイズと実際に水槽の底に敷いたときの厚さに合わせて購入してください。
まとめ:ライブサンドのメリット・デメリットを把握して自然に近い環境を作ろう!
今回はライブサンドについて、またライブサンドを使うメリットやデメリットなどについてお話しました。
ライブサンドは最初から微生物やバクテリアが付着しているというメリットがありますが、病原菌やデトリタス生物を持ち込む可能性がある、また厚く敷きすぎると硫化水素が発生しやすくなるというデメリットもあります。
メリット・デメリットをきちんと把握したうえで、使用することでより自然に近い環境を作ることができるでしょう。
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