金魚のようなオスの大きなヒレが美しく、世界中で愛されているベタですが、飼育に慣れてきたり気に入った模様のベタが手に入った場合、繁殖を考える人が多いです。
しかしベタのオスはとても気性が激しく、オス同士はもちろんメスが相手でも容赦なく攻撃することも珍しくありません。またオスは意外にも面食いな一面があり、気に入らないメスは徹底的に追い詰めてしまいます。
このようなことから、ベタの繁殖が難しいと言われやすく、諦めてしまう人もいますが、きちんとポイントを押さえてペアリングすることで、繁殖させやすくなります。
今回はベタの繁殖を始めて行う人や、失敗続きな人向けにベタのペアリング方法について解説していきます。
ベタのペアリングは難しい?
まず、繁殖を考える場合はベタの習性や性格などを知る必要があります。
ベタについての知識が乏しい方は、こちらの記事でベタについての基本的な知識を得ましょう。
ベタの繁殖で慣れている人でも一番困るのが、ペアリングです。ベタのオスはメスでさえも容赦なく威嚇したり、攻撃してしまいます。お見合いをさせてOKだと思っても、同じ水槽に入れた途端に追いかけまわして、メスが絶えず逃げ回るということも、珍しくありません。
ベタのオスは意外に面食いなので、何度お見合いさせても失敗することもあります。どうしてもペアができない場合は、思い切って相手を変えることも視野に入れましょう。
メスの入手が難しい場合が多い
ショーベタのオス・メスは外見が異なるので見分けがつけやすいですが、種類によっては判別が微妙なものもあります。
トラディショナルベタなどのメスは、よくホームセンターやアクアショップで販売されていますが、色や模様の入り方など気に入ったものがいない、状態の良いものがなかなか見つからないということが多いです。
ショーベタ専門店に行けば、値段は一般のショップよりも高いものが多いですが、比較的メスが入手しやすいです。また近所にアクアショップやショーベタ専門店がない場合は、通信販売でも購入することができます。
繁殖前にベタのペアリングリスクも考えよう!
ベタ繁殖はまず産卵までが茨の道で、その後をあまり考えてない繁殖初心者さんが多いです。ベタはそれなりに大きな熱帯魚なので、あまり卵を産まないと思っている人もいるようですが、実は産卵に成功し孵化率が高い場合は、かなりの数の稚魚が誕生します。
それこそ慣れた人なら、1度に100匹を超える稚魚を育てることも。運が良すぎると200匹と、到底個人では育てきれない数が孵化し、貰い手を探すのも大変です。繁殖させる前に、稚魚の引き取り手のことも考えておきましょう。
また稚魚だからといっても、一定の大きさになれば親と一緒の水槽に入れておくことができなくなるため、孵化に成功した場合は多くの水槽が必要となります。
さらにベタのペアリングは、相性が最悪な場合はどちらかが死んでしまうというリスクがあることもあるという点を忘れないでください。
ベタの繁殖水槽はどう作る?
ベタの繁殖は、実は飼い主によってさまざまです。ここでご紹介する繁殖水槽を参考に、自分の飼育環境に合わせて繁殖に向いた水槽づくりを行いましょう。なお、ろ過フィルターは泡巣を壊してしまうので、使用しないか、使用する場合は水流を一番弱くする必要があります。
水槽について
普段瓶やベタ専用の小型の水槽で飼育場合は、最低でも30cm水槽サイズは必要ですが、40~45cmサイズの水槽をおすすめします。
また水槽にはフタを設置しましょう。フタを設置することで、泡巣が壊れるのを防ぎやすくなりますし、オスに追いかけられて飛び跳ねたメスが水槽から飛び出すのを防ぐことができます。
水槽用照明もあったほうがよい?
水槽をセットする際は、水槽用の照明もセットすることをおすすめします。通常ベタの場合は飼育時に照明を必要としませんが、照明を設置することでベタの様子を観察したり、卵の状態が確認しやすくなります。
水温は高めに設定しよう!
ベタを小さなグラスなどで飼育している場合は、ヒーターやクーラーを使用していない人が多いです。ヒーターなどで水温を管理している場合、25℃前後で飼育している人が多いですが、繁殖時は27~28℃とやや高めにしたほうが繁殖を促しやすくなります。
浮草を入れる
ベタのオスは水面に泡巣をつくり、そこに卵を集めて育てます。そのため泡巣を作りやすいように、なるべく水面に浮草を浮かべましょう。おすすめはサルビニア・ククラータです。
メスが逃げ込めるようシェルターを入れる
ベタのオスは気の合わないメスは追いかけて脅したり、攻撃してしまいます。またお見合いで上手くいきそうだと思っても、しばらく威嚇行動などを行い、メスがいじめられることもあるため、繁殖用水槽にはメスが逃げ込めるようなシェルターや水草を設置することをおすすめします。
ただし、オスのヒレを引っかけて傷つけてしまうような、葉の硬い水草や、突起のあるような形状のものは避けるのがポイント。おすすめはココナッツシェルターやウィローモスです。
ベタのペアリング手順
水槽の用意ができたら、ペアリングを開始しましょう。具体的な手順は以下のようになります。
1.繁殖水槽を用意しオスを入れる
水合わせを行い、オスを繁殖用水槽に入れ、2~3日飼育します。水換えは行いませんが、餌はいつもどおり与えましょう。フィルタ―を使用している場合は、水流を弱くします。
2.お見合いさせる
繁殖させるためにはメスを水槽に入れなければなりませんが、いきなり入れるとオスに攻撃されてしまうこともあるので、必ずお見合いさせます。水槽の水を入れたプラケースにメスを入れ、プラケースごと水槽に入れて様子をみましょう。隔離ケースなどを使用してお見合いさせるのがおすすめです。
お見合いさせる時間は飼い主により異なりますが、1日かけて行う人が多いです。
3.混泳させる
お見合いさせて大丈夫そうなら、メスを静かに水槽内に放し、ペアができるか観察します。メスを入れた時点で、食卵を防ぐため産卵終了まで餌を止めます。
4.産卵後メスを隔離
産卵後はメスはすぐに元の飼育水槽に戻しますが、このときオスに威嚇されたり攻撃されて傷ついている場合は、メチレンブルーに入れてトリートメントを行ってから戻します。
繁殖可能なオスの状態
基本的にオスは泡巣を作るようになれば、繁殖可能です。しかしメスの姿がないと泡巣を作らない性格のものもいるので、見た目的に成熟しているならOKと考える飼い主が多いです。
繁殖可能なメスの状態
メスは産卵可能な状態になると、背中からお腹にかけて縞模様が出て、お腹側に1~2mmほどの白い卵管がぽつんと見えるようになります。しかしこの模様も、メスの体色によっては出なかったり、出ても判別しにくいことがあるので、お腹側に白い卵管が出ているかで判断しましょう。
ベタの産卵の行動とかかる時間
ベタの産卵は独特で、オスがメスを包み込むよう名形で繁殖行動を行います。具体的には、以下のような流れになります。
- オスがメスに巻き付くような形で受精
- メスが卵を産卵し、気絶する
- メスが産み落とした卵をオスが口で泡巣へ運ぶ
この行動は1度ではなく、何度か繰り返され2時間ほどで終了します。
前もってベタの繁殖に関する知識がないアクアリストは、初めてベタの繁殖行動を見たときにメスが気絶しているのを見て、「死んでしまったのでは?」と驚て慌てる人が多いです。
産卵が終わった後は、オスはメスを無視したり、卵を守るためにメスを攻撃しだします。そのためメスはすぐに水槽から取り出し、飼育用の水槽に戻しましょう。
こんな時はペアリングは即中止!
ベタのオスの攻撃性や、相性などからどうしてもペアリングを中止せざるを得ない状況があります。
- メスがボロボロになり死にそう
- オスがメスに攻撃されている
- 3~5日経過しても産卵しない
オスと比べると大人しいメスですが、中にはオスにやり返してオスがやられてしまうこともあります。オス・メスどちらかがぼろぼろになって死にそうな場合は、相性が悪いと考え即ペアリングを中止しましょう。
3~5日経過しても産卵しない場合も、相性が悪かったりメスの抱卵準備が整っていないと考えることができますし、餌を抜いていることと体力の消耗も考えて中止すべきです。
毎日きちんとベタを観察していないと、最悪の場合どちらかが死んでしまうことにもなります。
産卵後オスはどうする?
ベタのオスは卵が孵化するまで世話をすることが知られています。
しかしメスに攻撃されて体がボロボロだったり、食卵がひどい場合にはオスを繁殖用水槽から出して、人工孵化させなければなりません。
ベタのオスは口に卵や稚魚を入れて運ぶ習性があるので、食べているかの判断はベタの繁殖初心者に判断が難しいかもしれませんが、よく観察して判断しましょう。
オスに卵の面倒をみさせる場合は、水深を浅くして卵が孵化するまでライトをつけっぱなしにして、餌もまだ与えません。このとき餌を与えてしまうと、食卵や稚魚を食べやすくなります。孵化した稚魚は2~3日で泳げるようになるので、稚魚が泳ぎ出したらオスを繁殖水槽から元の飼育水槽に戻しましょう。
人工的に孵化させる場合は、基本的に孵化するまで放置です。無精卵でカビの生えているような卵は見つけ次第取り除きます。
まとめ・正しい知識を得てベタのペアリングを成功させよう!
今回はベタのペアリング方法についてお話しました。ベタは気性が荒いため、繁殖初心者にとってはまずペアづくりが難関といえるでしょう。ペア作りに失敗すると、最悪の場合どちらかが死んでしまうこともあります。そのため、メスを同じ水槽内に入れた後は、こまめに様子を観察して、どうしてもだめなら一旦ペア作成を中止する勇気も必要です。
産卵に成功した後は、稚魚の飼育で一苦労しますが、卵から育てたベタはより愛着がわくのではないでしょうか。
ベタ飼育に慣れたなら、繁殖も一度試してみることをおすすめしますが、孵化した後のこともきちんと考えてペアリングを行ってください。
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コメント
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