水槽が汚れているほど水草が少なく、元気よく成長している水草が多いほど美しい水槽が多いことは必然です。
水草は水槽内のコケの素となる栄養を吸収するため、自然とコケの少ない美しい水槽となります。
では、コケの多い水槽にはどんどん水草を植栽すれば消えるのか?ということですが、一概にそうですとは言い難いところです。
なぜなら、水草は成長しているときにコケの素を吸収するからです。
水草が育つ環境となっていない水槽の場合、水草を追加しても育てることができず、逆に枯れてしまうことで水質を悪化させてしまう可能性があります。
ここでは、水草をたくさん植えるとコケが減る理由について解説していきます。
水草はコケの素を吸収する!?
水槽に発生するコケは、魚へ給餌した後に水槽内へ残ってしまった餌や、魚の糞などから溶け出す窒素やリンが水槽内に蓄積することで発生します。
窒素やリンは水草の成長に必ず必要な栄養分なので、水草がしっかりリンと窒素を吸収できれば理論上コケは生えにくくなるわけです。
つまり、水草が少ない水槽は窒素やリンを吸収する能力が弱いため、自然とコケが生えやすい環境となってしまいます。
これだけ聞くと水草を植栽すれば解決と安易に考えがちなのですが、水草に窒素やリンといったコケの素を吸収させるためには、水草が元気よく成長する環境でなければなりません。
その理由について掘り下げて解説します。
水草を元気に成長させなければならない理由とは
水草は窒素やリンを吸収するのですが、それは水草が元気よく成長するときにはじめて吸収することができます。
つまり、コケが生えているからといって単純に水草を浮かべたり水草を植栽するだけでは、コケの素を吸収する効果を期待することは極めて低いと言えるでしょう。
水草を入れてコケを吸収させたい場合には、しっかり水草が育成できる環境を整えることが大切です。
窒素とリンだけでは水草は育成しない!?
水草を育成するには、窒素とリンだけでは不十分です。
ここでは、窒素リン以外に水草育成に必要な栄養などを紹介していきます。
水草の三大栄養素
水草を元気よく育成させるには、三大栄養素と呼ばれる窒素、リン、カリウムをバランスよく整えていきましょう。
窒素とリンが豊富ならカリウムが不足しないように注意しましょう。
こちらで紹介しているテトラ社のフローラプライドは、窒素とリンがほとんど含まれていなくカリウム主体で構成された液肥でおすすめです。
底床を整えましょう
水槽内の栄養が整ったら、水草がその栄養を吸収しやすいように底床を整える必要があります。
水草が育成しやすい底床を選ぶなら、ソイルが圧倒的におすすめです。
水草の育成の基礎として、底床へ根をいかにしっかり張れるかが大切です。
底床の粒が荒く根が張りにくい、またはソイルを使用しても底床が薄く根が張りにくい状況だと水草が元気よく育成することが難しくなります。
水草を使いコケを減らしたい場合は、水草が満足に育成できる環境を整えるようにしましょう。
コケを抑制しやすい水草を紹介
水草がコケを抑制しやすいことを説明しましたが、何を植えても良いわけではありません。
ここでは、コケを抑制しやすいおすすめの水草を紹介します。
ウィローモス
コケの抑制には最強の水草です。
流木や石に巻きつけて水槽に沈めるだけで成長することができるため、底床の状況が良くなくても十分育成することが可能です。
成長モードへ入れば爆発的に増えるため、コケの抑制効果に大きな期待ができます。
水槽のコケに悩んでいて水草育成に自信のない方にもおすすめです。
有茎草
有茎草は、基本的にどれも成長が早くコケの抑制に効果的です。
ただし、肥料切れや底床がしっかり整っていないと成長させることが難しいため、しっかり水草の育成できる環境を整えてから有茎草を植栽していきましょう。
有茎草のなかでもわたしのおすすめの種類は、ロタラ類やハイグロフィラ類です。
この2種類は成長も早いこともメリットなのですが、何よりも美しいという点も忘れてはなりません。
水草をただただ成長させるだけでなく、成長したら綺麗に育つ種類や好みの水槽レイアウトになる種類を選ぶようにしましょう。
グロッソスティグマ
前景草の代表的な水草です。
ソイルの使用や二酸化炭素の添加、植栽にややコツがいると育成レベルは若干高めですが、成長モードに入るとアッという間に底床を覆いつくスピードで成長します。
水草の成長スピードが速い=コケの抑制力も強くなるため、グロッソスティグマで水槽内の栄養源を吸収させることは有効です。
有茎草同様、成長した後の水槽レイアウトの非常に美しいものとなるため、緑の絨毯を作りながらコケの抑制をしたい方にはおすすめです。
まとめ: 汚い水槽ほど水草が少ない?水草をたくさん植えるとコケが減る理由とは!
水草をたくさん植えるとコケが抑制できる理由について解説しました。
水草を育成することで、コケが抑制できれば鑑賞面でも美しいレイアウト水槽となります。
水草の育成が難しくて、だんだん枯れてしまったことで水草の総量が減りコケが増えてしまう方が多いかもしれません。
そんなときはまず最初に、水草が育成できるように環境を改善しましょう。
水草が元気よく育成できる環境が整うことで、コケに悩まされにくいアクアリウム水槽を楽しむことができるはずです。
これを読んだ皆さんが、コケの少ない水草水槽を楽しめることを祈っています!
熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
アクアリウム専門のYouTubeチャンネル『アクアリウム大学』も配信中!
よろしくお願いいたします!