アクアリウム初心者の場合、生き物についての知識はあるものの、水槽についての知識がないことが多いです。水槽の取り扱い説明書には、安心・安全に水槽を使用するための、次のようなポイントが書かれています。
- 水槽は水平な場所に設置する
- 水槽の耐荷重を考える
- 湿気や水漏れに注意
- 直射日光を避ける
- 熱湯・洗剤や薬品を使わない
- 水槽の上に物を載せない
- 運ぶ時は底を持って運ぶ
水槽設置のときになぜこのようなポイントに注意しなければならないのか、これからその理由について詳しく説明していきたいと思います。
水槽の材質や特徴は?
一般的に、観賞魚飼育に使用される水槽はガラス水槽とアクリル水槽の2種類があります。基本的にどちらも丈夫な製品です。
「ちょっとくらいぶつけても大丈夫だろう」
「このくらいの高さなら落ちても割れないだろう」
などと、アクアリウム初心者の場合思ってしまう事があるかもしれません。
しかしガラス・アクリルどちらも、ほんのちょっとしたことが原因で簡単に壊れてしまう事があるんです。
それぞれの材質で、メリット・デメリットや特徴が異なるので、水槽を設置する前に生き物だけでなく水槽の取り扱い方法も覚えておかなければなりません。
基本的な水槽の使用方法や、簡単に設置するコツなどについては、こちらの記事を参考にしてください。
水槽の取り扱い説明書に記載されている7つのポイント
今回は水槽の設置に関するお話ですが、先にお話しした水槽の特性などを理解していることを前提にお話ししていきます。
水槽を購入すると取扱い説明書が同封されていたり、梱包している段ボールに注意書きが記載されていることがありますが、この注意書きに記載されているポイントは、水槽を設置する上でとても大切なものです。
しかし取り扱い説明書を読んでも、「なぜそうしなければならないのか?」ということは考えず、ただ単に「こういう設置はダメ!」としか認識していないなんてことありませんか?
取扱い説明書に記載されている注意事項は、それぞれちゃんとした理由があってのことなので、きちんと理由も知っておかなければなりません。今まで考えたことがなかった、という人はこれからお話することをしっかりと覚えてください。
水槽設置は必ず水平な場所にする
水槽の底は真っすぐでも、設置する場所の床や台の天板が歪んでいる場合は、水平な状態を保つことができません。ほんの少しの歪みでも、長期間設置していると歪みが大きくなっていきます。
水槽は四隅で支えるのではなく、底全面で支える構造になっているので、設置場所に歪みが生じると底面にかかる負荷を分散することができなくなり、割れてしまうことがあります。
耐荷重を考えよう!
水槽は大きさに比例して重さも増えていき、使用時には水や底砂の重さもプラスされ重くなります。使用時の水槽の重さと設置する場所の耐荷重があっていないと、設置した台が重さに耐えきれず歪んだり破損してしまう事が多いです。まずは水槽の重さを計算し、設置予定の場所に置いても大丈夫か計算をしてみましょう。
水槽の重さに関しては、こちらのページで自動計算することが可能なので、気になる方は計算してみましょう!
電化製品には要注意!湿気や水漏れに気を付けよう
熱帯魚や海水魚など水棲生物の飼育には、ヒーターやクーラー、ポンプ、ろ過機など電気製品を使用します。しかし水槽の取り扱い説明書には、「電化製品には注意!」という記載がされていることが多いです。
この理由はとても簡単で、水槽にヒビが入るなどして水漏れが起こった場合、近くにある電化製品から「漏電」してしまう可能性があるからです。設置場所はもちろんですが、一般的な家電製品だけでなく、使用する水槽用の機材などの設置位置なども気を付ける必要があります。
また水槽は夏は暑さで水温が急上昇しやすいため、水が蒸発しやすくなりますし、冬でも少なからず水が蒸発するので、湿気で水槽の背面の壁などにカビが生えることがあります。
水槽の湿気対策に関してはこちらの記事を参考にしてください。
直射日光は厳禁!ライトの熱にも気を付けよう
水槽のコケ対策や夏の水温管理で、直射日光を避けるのは基本となっています。しかしそれだけでなく、水槽自体が直射日光でダメ―ジを受けるということを知っていますか?
直射日光はガラス水槽の板をつなぎとめている、「シリコン」にダメージを与えるんです。
またアクリル水槽の場合、シリコンでつなぎとめてはいませんが、アクリル板自体にダメージを与えます。長時間直射日光を当てることで、ごくまれに割れてしまうこともあります。
水槽用の照明とアクリル水槽の距離が近すぎる、高温になるライト(バスキングライトなど)を使用しているような場合でも、アクリル製の水槽は傷んでしまうことが多いです。
アクリル水槽の場合は特に、直射日光や高温になる水槽用照明は注意しましょう。
熱湯や洗剤・薬品(シンナーなど)で洗ってはいけない
水槽は耐熱性仕様ではないため、一般的に耐えられる温度は60度までといわれています。
そのため、水槽の消毒や水槽を洗うため、と熱湯を注いでしまうと水槽が割れてしまう事があるので、使用済み水槽や久々に使用する水槽を、熱湯を使って洗ったり消毒するのはやめましょう。
またアクリル水槽の場合、リン酸系の薬品やシンナーを使用すると、化学変化を起こしてしまう事があるので使用してはいけません。
ガラス製の水槽の場合も、ガラス板をつなぎとめているシリコンが傷むため、シンナーやベンジンといった薬品の使用はNGです。
薬品を使用して水槽が大丈夫だった場合でも、目に見えないレベルで傷みが発生していることもあります。そして綺麗に洗い流したつもりでも、水槽内に薬品が残っていて生き物にダメ―ジを与えることもあるので、リン酸系やシンナー、ベンジンなどの薬品を使ってはいけません。
水槽の上に物を載せてはいけない
水槽は基本的に上に物を載せるような設計になっていません。水槽のフタや照明以外の物を積んでいると、重さで水槽が歪んだり破損する原因になってしまいます。
上部フィルターは設置しないほうがよいのか?
「水槽の上に物を置くのがNGなら、上部フィルターはどうなるの?」
そんな声が聞こえてきそうです。
実はフチなしタイプ(フレームレス)のオールクリア水槽では、上部フィルターの使用を禁止しているメーカーが多いんです。
しかし水槽が絶えることのできる重さだったり、上部フィルターの構造次第では設置に耐えることが可能なこともあります。ただしメーカーで使用を禁止している場合は、「自己責任」になる点には注意が必要です。
必ず底をもって運ぼう
設置場所のところでお話したとおり、水槽は「面で支える」構造になっているため、水槽を運ぶときは両手で水槽の底を持つのが正しい持ち方です。水槽の側面だけをつかんだり、フランジをつかんで運ぶと、水槽を傷めて破損させる原因になってしまうので、注意しましょう。
まとめ:水槽の正しい使い方を覚えて安心・安全にアクアリウムを楽しもう!
水槽の取り扱い説明書に記載されているポイントについて、詳しく解説してきました。
アクアリウム初心者だと、水槽のフランジや側面を持つのがNGとは思っていなかった、という人もいるのではないでしょうか?
水槽の設置面に関しては、とても重要なポイントになります。市販のスチール台やチェストなどを使用すると、水槽を設置する設計になっていません。そのため板が歪んだり、素材の傷みが早く台もろとも水槽が壊れてしまうなんてことも起こることがあります。
そのため水槽を設置するときは、できるだけ使用する水槽にあった専用の水槽台を購入して使用することをオススメします。
安心・安全にアクアリウムを楽しむためにも、水槽の取り扱い方法や設置ポイントをしっかりと把握しておきましょう!
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