普段は南方に生息している魚のうち、黒潮などの海流に乗ったり台風などに流される形で日本にやってくる魚を季節来遊魚といい、以下のものなどがあります。
- ソラスズメ
- チョウチョウウオ類
- チョウハン
- キンユゴイ
- モンツキハギ
- ツノダシ
- オヤビッチャ
今回はこのような季節来遊魚がどのような魚かをはじめ、よくいるポイントや採集時の注意点、日本によくやってくるアクアリウムで飼育できる季節来遊魚の種類を見ていきます。
季節来遊魚とは
季節来遊魚とは南方に生息している魚のうち、チョウチョウウオなど浮くタイプの卵や幼魚が名前のとおり特定の季節に日本にやってくることを指します。でも夏や秋など水温が高い時期はいいのですが、冬になりグッと水温が下がってしまうともともと南方の暖かい海で生きている魚なので、耐え切れずに死んでしまいます。
そのため「死滅回遊魚」や「無効分散」と呼ばれることも。そんな自然の厳しさをストレートに受けてしまう季節来遊魚ですが、南方に生息している魚だけあって色あいがカラフルだったり、体型がユニークなものもいます。
中にはきちんと管理してあげればアクアリウムで飼育できる魚もいるんですよ。さすがに混泳は難しいものが多いですが自分で採集しにいくことも可能で、他とは違う海水魚のアクアリウムを作ることも可能です。
季節来遊魚がよくいるポイント
季節来遊魚はどういった要因で日本近海まで来たか、によってよくいるポイントが変わります。そこでここからはどんな場所に季節来遊魚がいるのかや、その理由についても見ていきます。
黒潮の影響がある場所
フィリピンなど南のほうから東シナ海を抜け、房総半島沖まで流れる黒潮は暖流ということもあり、これに乗って季節来遊魚が日本までやってくることも多いです。その中でも陸地の近くを通るのが関東南岸のため、房総半島や三浦半島、伊豆半島などの海沿いによくいることが多いですよ。
対馬海流の影響がある場所
対馬海流は上でもご紹介した黒潮が東シナ海の海水と混ざって、対馬海峡を通り日本海側に流れ込む暖流のことを指します。黒潮と違い陸地の近くを通ることが多いので、海沿いなら季節来遊魚が良くいるポイントはわりと多めです。
採集の注意!
季節来遊魚を採集するという人はわりと多いですが、気軽に取りに行けると思うのはNG。相手は海の生き物なのできちんとした準備を整える必要があります。靴も水陸両用のものを選ぶようにしましょう。
また本格的にさまざまな季節来遊魚を収集する場合は陸から行う釣りの「オカッパリ」や海に潜る「シュノーケリング」を行う人もいます。こちらをする場合にもきちんと準備をしてから行くようにしましょう。
よくやってくる季節来遊魚
季節来遊魚とはどんなものかや良くいるポイントなどをご紹介してきたところで、ここからはアクアリウムでの飼育が可能で、なおかつよく日本にやってくる季節来遊魚にどんなものがいるかをご紹介していきます。
ソラスズメダイ
https://youtu.be/ZFtMJjl2UI4
ソラスズメは「ソラスズメダイ」や「コバルトスズメ」とも呼ばれる魚で、名前のとおり体色の青がとてもきれいです。ダイビングなどをする人は海中でたくさんのソラスズメが泳いでいるのを見てその美しさに惹かれる人もいるほど。
そのためアクアリウムでもソラスズメを入れたい!というアクアリストは多いですが、気が荒いタイプなので海のようにたくさんのソラスズメを水槽内で泳がせる、というのは残念ながら不可能です。
チョウチョウウオ
さまざまな種類がいるチョウチョウウオは季節来遊魚の中でもポピュラーなもので、体型がユニークなこともあり子どもの人気も高いです。
縄張り意識が強いほか、水槽も水深が深いものを選んだほうがいいといった注意点もあります。
トゲチョウチョウウオ
チョウチョウウオの仲間で、背びれの後方にある軟条がトゲのように見えることからこの名前がついた魚です。若干気が強めのタイプなので他の魚と混泳させるときには注意が必要です。
フウライチョウチョウウオ
縦状に並ぶバンド模様や,白・黄色・黒のカラーリングがかわいらしいチョウチョウウオです。観賞用として売られていることもあり、飼育もしやすいので人気があります。
アケボノチョウチョウウオ
黄色い縁取りと黒のストライプのバランスが鮮やかで特徴的なチョウチョウウオです。成長しても体長が13㎝ほどとあまり大きくならず、餌付けもしやすいので初心者でも飼育しやすく人気がある魚です。
チョウハン
ベースとなる黄色に黒がかぶさるような色あいと目の後ろにある白い帯が特徴的な魚です。実はこれもチョウチョウウオの仲間で、採取以外でも入手しやすくなっています。
チョウチョウウオにしては縄張り意識がそこまで高くないので、水槽内に複数のチョウハンを入れた同種混泳も可能ですが、サンゴを食べてしまうので間違ってもサンゴ水槽には入れないようにしましょう。
ギンユゴイ
河川などで生息している種類も多いユゴイ科の中で、海に棲んでいるタイプのギンユゴイは銀色の体とボーダー状の尾ヒレが特徴的な魚です。
餌付けもしやすいですが、すぐに体が大きくなってしまうのであまり小さい水槽は飼育に向いていません。
モンツキハギ
幼魚のうちは体が黄色いのに、成長して成魚になるとこげ茶色をベースにしてオレンジ色の細長い斑点が入るという子どもと大人で別の魚じゃないかと思わせるような違いを見せる珍しい魚です。
食欲旺盛なので餌付けもわりとしやすいですが、成魚になると35㎝ほどまで大きくなるので水槽の大きさには注意が必要です。
ツノダシ
「ファインディング・ニモ」に登場するギルとしても有名なツノダシですが、ちょっとした変化でストレスを感じたり、それが原因で病気にかかったり死んでしまうことも少なくないため飼育難易度はとても高い海水魚です。しかしその美しさは海水魚の中でも上位に入るほどなので、飼育生体としても人気があります。
アクアリウム上級者などしっかりと飼育できる自信がある人なら、その美しさを水槽でも見せてくれることでしょう。
オヤビッチャ
名前もユニークですが、体に幅広く入る縞模様ととぼけたような顔立ちも特徴的なスズメダイ科の海水魚です。比較的体も丈夫で餌付けもしやすく、水槽内のサンゴを食べてしまうこともないので初心者でも安心です。
60㎝以上の水槽であれば他種との混泳は可能ですが、同種同士だとケンカをすることも多いので、オヤビッチャ同士を混泳させるのは避けましょう。
まとめ:季節来遊魚とは!採集できるポイントは?なぜそんな場所にいるの?
季節来遊魚は本来日本近海にいる魚ではないため、特徴的な見た目やきれいな色合いをしているものが多いです。しかしアクアリウムで飼おうとすると一般的に売られていないので採集するしかない種類がいたり、水槽の水温に気を付けなければいけません。
また水槽という狭い場所で飼育するため、ダイビングなどで見たような景色を再現させるのは無理があります。でもきちんと飼育してあげられれば、南方の海水魚ならではの鮮やかな色合いで水槽を彩ってくれるので、今回の記事を参考にして季節来遊魚で水槽を華やかにしてみましょう!
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勉強になりましたぁー!
コメントありがとうございます!
季節来遊魚は会えるとなんだかラッキーな気持ちになります。