海水魚水槽に入れるれることで、より自然らしい雰囲気を作り出すサンゴですが、実は株分けができることを知ってますか?
株分け可能なサンゴには、以下のようなものがあります。
- ウミキノコ
- スターポリプ
- ミドリイシ
- ウミアザミ
- トゲサンゴ
しかし珊瑚にはソフトコーラルとハードコーラルの2種類があり、それそれで株分け方法が異なる点は注意しなければなりません。
今回は株分け可能なサンゴの紹介と、株分け方法、子株がうまく育たないときの対処方についてお話ししていきます。
サンゴの株分けとは
海水魚水槽出おなじみのサンゴですが、実は植物ではなく、刺胞動物門に属している動物なんです。ポリプという独特の構造を持っているんです。ポリプ単体で生活しているサンゴを「単体サンゴ」、1つのポリプが出芽や分裂を繰り返すことで集まって生活しているものを「群体サンゴ」と呼んでいます。
植物ではないのですが、株分けすることで元の株と切り分けた株それぞれが細胞分裂を繰り返し成長していきます。
ソフトコーラル、ハードコーラルどちらも株分け可能ですが、種類によっては株分け不可能なものもあるので注意が必要です。
株分け方法の基本は大きく育っているサンゴを適度な大きさにカットし、ライブロックに活着させるだけなので、特に難しい技術は必要ありません。
株分けできるサンゴ
サンゴの中には株分けできないものがありますが、これからご紹介する5種類は株分け可能な品種です。水槽内に入れて大きく育ちすぎてしまったり、増やしたいという場合は株分けを検討してみましょう。
ウミキノコ
ウミキノコはその名前のとおり、見た目がキノコのように見えるソフトコーラルのサンゴで、飼育難易度は低めでサンゴ飼育初心者におすすめ。価格も安く増やしやすいという特徴があり、流通量が多いのでアクアショップやネット通販で購入可能。
ポリプの長さはさまざまなので、購入するときはネット通販ではなくショップで実物を見て購入したほうがお気に入りのものを見つけやすいですし、水槽に合うサイズかどうかもチェックしやすいです。
毒はほとんどないといってよいほど弱いものですが、ないわけではありません。飼育環境によってはとても大きくなるサンゴなので、水槽内の他のサンゴに触れないよう気を付けましょう。
ちなみにウミキノコの中でもカクレクマノミが入る可能性があるのは、ハタゴイソギンチャクに形状がよく似ている「オオウミキノコ」です。
スターポリプ
スターポリプはソフトコーラルで、水質変化や水の汚れに耐性がある丈夫なサンゴで増やしやすく、サンゴ飼育初心者におすすめしやすいです。流通量も多いので、比較的入手しやすいですよ。
毒性は強めなので、他のサンゴが負けてしまうことが多いうえに、他のサンゴと隣接していると、大きくなるに従い他のサンゴの上に覆いかぶさるような形で増殖していくので、水槽内のスペースに注意が必要です。
ミドリイシ
ミドリイシはハードコーラルの仲間でさらにポリプの短いSPS(Small Polyp Stony)に分類される、飼育が難しいサンゴです。
水の汚れや水質の急変に敏感なので、しっかりとした飼育環境を作り飼育する必要があります。
水槽内で他のサンゴと接触してしまった場合、相手の毒に負けて肉が溶けてしまい、骨だけが残る「白化」という現象が起こります。また移動性のあるイソギンチャクも避けたほうがよいですし、サンゴ食性の強い海水魚と同じ水槽に入れると食べられてしまう可能性があります。
ほとんど動かないため、コケや海藻が生えやすいという特徴もあります。
ウミアザミ
ソフトコーラルの仲間のウミアザミは、飼育難易度が高いのでサンゴ飼育初心者にはおすすめできません。
とても繊細なポリプを持ち、種類が豊富ですが中にはポリプを口のように開閉させる動作を見ることもできるものもあるという特徴があります。
水質悪化に弱く、サンゴ食性の強い海水魚は厳禁で、茎状の部分を傷つけやすいカニなどの甲殻類の一部や、ウミウシのようにサンゴを食べてしまう生き物も同じ水槽に入れることができません。毒性が弱いため毒性の強いサンゴに負けてしまう点も注意が必要です。
トゲサンゴ
トゲサンゴはハードコーラル・SPSに分類され、こちらのサンゴも飼育は非常に難しいため、海水魚飼育上級者向けです。水質に敏感な種類で、栄養塩が溜まってしまうとすぐに弱くなってしまいます。
毒性が弱いため水槽内に他のサンゴを入れるときは、接触しないように注意する必要があります。ヤッコ類やチョウチョウウオのような、サンゴ食性のある海水魚と同じ水槽に入れると、食害を受ける可能性が高いです。
沖縄の海では1998年に起こった白化現象のせいで、今では生きているものを見るのはごくまれな状態になっています。そのため現在では海外のものが取引されていて、ショップでは入荷されにくいですが、ネット通販やオークションサイトなどで購入することは可能ですよ。
サンゴの株分け方法
サンゴの株分けはソフトコーラルとハードコーラルとで、やり方が異なります。ここからはサンゴの株分け方法をご紹介していきます。
ソフトコーラルの株分け
柔らかいソフトコーラルは、市販されているカッターやナイフといった刃物で本体をカットしましょう。カットしたものをライブロックの隙間に入れておくことで、活着させて増やすことが可能になります。
固定させるときに糸やテグスを使おうとする人がいますが、全体が柔らかいため糸で固定しようとすると、最悪の場合その糸が原因でまた分断してしまう可能性があるので、糸を使う方法は向きません。ソフトコーラルをしっかりと固定させたいのなら、サンゴ用のフラグや専用のボンドで活着させましょう。
サンゴ用のフラグや、専用のボンドについてはこちらの記事を参考にしてくださいね。
ハードコーラルの株分け
ハードコーラルの中でもポリプが大きいLPSに分類されるものは、一般的には株分けは難しいですし、固い骨格を切断するために、専用のカット機材が必要になります。
LPSはカット後に弱くなってしまう可能性が高いため、ベテラン以外は下手に株分けを行なうと殺してしまう可能性もあるため、株分けを行なう際は細心の注意を払う必要があります。
ミドリイシのようなポリプが小さいSPSの場合は、ニッパーでカットすることが可能。このときサンゴが弱まるのを防ぐために、カット後に切り口にディッピングやヨウ素処理を施す人もいます。
SPSならカット後はサンゴ専用のボンドを使ってライブロックに固定しますが、LPSの場合は、糸を使ってライブロックに活着させるのが一般的です。
子株がうまく育たない時は
サンゴの種類によっては水質変化に敏感だったり、株分け後に弱りやすいという特徴があるものもいます。水質が安定し良い状態を保つことができていれば、そのまま活着できることが多いです。
しかし水質が不安定だったり、水質悪化しているような状態だと、子株が切り分け直後に死んでしまうこともあるんです。
株分けしたけれどうまく成長していない、弱っていると感じたら切り口の傷を治すために、緩やかな水流を与えましょう。
止水域(水流が行き渡らずよどんでいるところ)があるとそこから急速に弱まるので、水流を与えるときは通水性の良いメッシュの隔離ケースなどに入れ、水流を万遍なく当てるのがポイントです。
腐敗してしまった部分が出てきているのなら、腐敗した部分をスポイトやホースを使って水ごと取り除きますが、この作業は腐敗の進行がなくなるまで毎日繰り返します。
また水質が悪い・サンゴのダメージが大きいといった場合は、見た目的に問題がなくても、目に見えないダメージを受けている可能性が高いため、水換えの量をいつもより多めにしましょう。
まとめ:サンゴの株分け方法!増えすぎたサンゴをカットして増やす方法を解説!
サンゴも成長し大きくなる生き物なので、長期間飼育して大きくなり過ぎてしまった場合は、株分けをしてサイズを小さくし増やして別の水槽に移すといったことも検討しましょう。
ソフトコーラルとハードコーラルとで株分けに必要な材料が異なるので、自分の育てているサンゴがどちらなのかを株分け前に知っておく必要があります。
株分け後も、状態が安定するまでは弱りやすいという種類もあるので、しっかりと活着するまでは気を抜かずに観察し、状態が悪くなってきたらしっかりとケアしてあげなければなりません。
株分けして小さくしたサンゴを使って新しい水槽レイアウトを考えることもできるので、大きくなったサンゴで悩んでいるのなら、株分けすることも考えてみてはいかがでしょうか。
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