グッピーは数ある熱帯魚の中でも特に繁殖が容易な魚種です。しかしながら、グッピー自身や飼育環境に問題があると、繁殖活動そのものを行わなくなったり、稚魚が育たないなどの理由で繁殖が上手くいかなくなってしまいます。
グッピーが繁殖しなくなる理由としては、主に以下に示す4点が挙げられます。
- 飼育水が不適切な状態にある
- 親魚の相性が悪い
- 稚魚が食べられてしまっている
- 近親交配が進んでいる
グッピーを繁殖させたいのであれば、水質を始めとした飼育環境を整えることはもちろん、親魚の相性や世代にも注意が必要です。
ここでは、グッピーが繁殖しない理由を挙げ、それに対する対処法や繁殖のポイントについて解説していきます。
グッピーが増えない理由
水槽の飼育水が古い
グッピーを繁殖させるためには水を奇麗に保つことも必要ですが、新しい水を追加することで水質を変化させることが重要です。
自然界の魚たちには繁殖期がありますが、その時期を察する情報は水温の他に水質の変化があります。季節の変わり目は、雪解け水や雨水による水位の増減などにより水質が変化する地域も珍しくなく、その変化を合図に繁殖を行う魚種も数多く存在しているのです。
グッピーは品種改良の結果、繁殖期を失ってはいますが、野生のころの名残で水質の変化がトリガーとなり繁殖を行う例があります。そのため、飼育環境に特に問題がないのに繁殖を行わない時は、いつもより多めの水量を交換してみると良いでしょう。
親魚の数が少なく、相性が合わない
繁殖を狙う場合は、親魚であるオスとメスの相性も重要な要素です。グッピーにも個体差があり、それに伴って繁殖が上手くいきやすいオスとメスの組み合わせも変わってきます。そのため、親魚の数が少ない場合、相性が悪いとなかなか繁殖活動に至らないことがあります。
稚魚が隠れる場所が無い
グッピーの稚魚は親魚に見つかると食べられてしまいます。自身が産んだ卵や稚魚を捕食することは魚の世界では珍しいことではないので、生まれた稚魚が親魚から逃れられるよう、隠れ場所を用意するか隔離して保護する必要があります。
シェルターや水草などが何も配置されていないと、稚魚が全滅することもあるので注意してください。
近親交配が進んでしまっている
グッピーは世代交代が早い魚種です。そのため、同一水槽内で近親交配が進むと遺伝的多様性が早期に失われ、生殖能力に悪影響が出る危険があります。
他にも、奇形個体の出現頻度が高くなったり、短命に終わる個体が出るなどの現象が懸念されるので、繁殖を続けたい場合は定期的に外部から新しい個体を迎えるようにしてください。
グッピーを増やすポイント!
新鮮な水で水換えする
グッピーを繁殖させたい場合は、新しく奇麗な水で水換えを行って刺激を与えてみると良いでしょう。水換えは飼育環境を清浄に維持するために必須であるのと同時に、新水による環境の変化がトリガーとなって繁殖を行うケースがあります。
ただし、あまりに環境が急変すると水温ショックもしくはpHショック、またはその両方を招くので、多くても飼育水の全量に対して1/2程度の換水に留めてください。
また、繁殖活動は多大なエネルギーを必要とします。栄養不足では上手くいかないので、「テトラ バイタル」など熱帯魚用のビタミン剤を使用することもおすすめです。
親魚の数を増やす
オス・メスが揃っているのにもかかわらず、あまりにも繁殖しないようであれば新しい個体を迎え、親魚の数を増やしてみると良いでしょう。前述の通り、親魚の相性が悪いと繁殖行動にまで至りませんし、近親交配によって生殖能力が弱化している可能性があるからです。
また、近親交配が進んでいる場合は生まれてくる稚魚についても、短命に終わるなど成長しづらくなっている可能性があります。そのため、新しいグッピーを迎えることは、繁殖を成功させるうえで効果的な手段です。
水草で隠れる場所を確保する
グッピーは卵胎生の繁殖形態を持っているので、稚魚はある程度の遊泳力を持った状態で生まれてきます。それでも、水槽という狭い環境では、自身を捕食しようとする親魚などから逃れることは至難の業です。そのため、稚魚が難を逃れられるように、水草などで隠れ場所を作ってあげましょう。
水槽の水深にもよりますがグッピーの遊泳層は上層なので、入れる水草はある程度背が高くなる種類がおすすめです。候補としては「マツモ」や「アナカリス(オオカナダモ)」などが挙げられ、これらの種類は成長が早くて伸びやすく、葉が細かいため稚魚が隠れるのにうってつけです。
ただし、放っておくと水面を覆いつくすほど増殖する、丈夫で生命力に溢れる種類なので適度に間引いてください。水草を入れたくない場合は、稚魚を確認したら他の水槽に隔離して保護すると良いでしょう。
まとめ:グッピーが繁殖しない!餌?水温?グッピーを増やすのに必要なポイントとは
グッピーは熱帯魚の中でも特に繁殖させやすい魚種ですが、飼育環境が整っていないと当然ながら繁殖は成功しません。グッピーの繁殖においてチェックすべき主なポイントは、飼育水の状態・親魚の相性と状態・稚魚が成長できているかの3点です。
これらの条件を満たすためには、水換えをきちんと行ったうえで、相性が良いペアが形成されるよう取り計らい、稚魚を保護することが大切です。
ところで、グッピーはその繁殖力がしばしば問題になる魚種です。卵胎生であることから稚魚の生存率が高く、一度の交尾で複数回の出産が可能である生態などが原因に挙げられます。
グッピーを繁殖させる際は、これらの生態を把握したうえで増えすぎて困った事態にならないよう、きちんと管理して行ってください。
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