アクアリウムの楽しみ方は人それぞれで、「好きな魚種を単独飼育したい」「水草に合う熱帯魚がいい」など、目指す方向性は異なります。なかでも、「熱帯魚をたくさん飼いたい」という意見が多く、鮮やかな熱帯魚が群泳する姿に憧れる人も少なくありません。
ただ、その場合は水質や給餌量、魚同士の相性などを考慮する必要があります。今回は複数の生体を一つの水槽で飼う際に気を付けたいポイントを解説します。
たくさんの魚を飼育するコツと注意点
一般的に一つの水槽で飼育する場合、生体の数は少数よりも多数の方が難しいといわれます。それは、数が多いほど水が汚れやすく水質の管理が難しいためです。また、生体によっては相性を考えなければ、小競り合いが起きてしまい上手く群泳させることができません。
ここでは、たくさんの魚を飼育する際のコツと注意点をご紹介します。
バクテリアが繁殖してから数を増やす
水槽に新しく生体を入れる場合はバクテリアが繁殖してからにしましょう。生体が多いということは、それだけ排泄物の量も増えます。そのため、バクテリアが少ないと上手く浄化できず、アンモニア中毒を起こしてしまうリスクが高まります。
これは特に水槽の立ち上げ時に多く見受けられます。「新しい水槽に早く熱帯魚を泳がせたい!」と、はやる気持ちもわかりますが、グッと堪えてバクテリアの数が増え水質が安定するまで待ちましょう。
バクテリアを繁殖させる方法についてはこちらをご覧ください。
水草やレイアウトは控えめにする
魚の数が多いと、それだけ泳ぐスペースが必要です。水草やアクセサリーなどが多いことでストレスをかけてしまい、病気の発症につながることがあります。また、水槽内に物が多いと掃除する際に手が行き届かない場合も少なくありません。
さらに、レイアウトに水流が遮られ、ゴミが一ヶ所に溜まってしまうことで、その場所が病原菌の温床となってしまうことも。効率よくメンテナンスするためにも水草やレイアウトは控えめにしましょう。
餌はこまめに与える
魚の数が多いと、全体に餌が行き渡らない可能性が高まります。複数いるとそれぞれ餌に対する反応が異なり、よく食べる個体とあまり食べられない個体が出てきます。特にコリドラスなど、底付近を遊泳域とする魚は餌が沈むまでに食べられてしまうことがあります。
そのような場合は餌の種類を変えて、沈降スピードの速い餌を与えましょう。また、パワーバランスによっては、弱い個体が押しやられ餌を食べられない場合も。そのような事態を避けるためにも、餌はこまめにまんべんなく与えるようにしましょう。
エアレーションを設置する
魚は水槽内の酸素を取り込んでいます。生体の数が多いとそれに比例して多くの酸素が消費されるため、酸欠になりがちです。人でも狭い空間に大勢の人がいれば息苦しさを感じますよね。それと同じです。
そのような場合はエアレーションを設置するようにしましょう。バブルストーンは大きな泡が出るものよりも細かい泡がたくさん出るもののほうが効率よく酸素を供給できます。
フィルターをろ過能力の高いものにする
魚が多いと水質が悪くなりがちです。水が汚れる速度がフィルターのろ過能力を上回ってしまうとあっという間に水質が悪化し、魚が体調を崩してしまいます。そのような場合はフィルターをろ過能力の高いものにしましょう。
サイズにもよりますが、上部フィルターよりも外部フィルターのほうがろ過能力は高い傾向があります。上部フィルターで水質の維持が難しい場合は外部フィルターにするのも効果的です。
また、上部フィルターと外部フィルターを併用すると、さらにろ過能力が高まります。群泳に挑戦する際はフィルターのグレードアップや増設も検討してみてください。
群泳できる種類を選ぶ
魚のサイズが大きくなるとフンなども大きくなり、水が汚れやすくなります。そのため、大きな魚を多数飼育することは簡単ではありません。ろ過能力の高いフィルターを用意した上で頻繁にメンテナンスする必要があるので、環境を用意できない場合は小型の魚を選びましょう。
また、種類によっては小競り合いすることも珍しくはありません。気性の荒い魚を群泳させると必ず弱いものが出てきて、いじめられてしまいます。相性が悪いと目に入ったそばから攻撃を仕掛けてお互いに疲弊してしまうため、そうならないためにも群泳向きの魚を選びましょう。
60cm水槽では何匹まで飼育できる?
ここまで、たくさんの魚を飼育する際のコツと注意点をご紹介しました。では、具体的にどのぐらいの水槽サイズで何匹まで飼育することができるのでしょうか?
60×30×36cm水槽を例にとって解説します。
ネオンテトラSサイズなら50匹!
ネオンテトラのSサイズであれば、50~70匹ほど群泳させることが可能です。数を増やすにつれてレイアウトを減らし遊泳域を確保しましょう。また、弱い種類ではないので、必要以上に気を遣わなくても大丈夫ですが、水質の悪化によって一気に体調を崩してしまうことがあります。
そのため、定期的なメンテナンスは欠かせません。気性は温和なので小競り合いの心配はないものの、餌はこまめに全体に行き渡るように与えましょう。
ラスボラなら100匹!?
ラスボラはとても丈夫な種類なので、さらにたくさん飼育できます。100匹ほど群泳させても問題はないでしょう。ただ、ラスボラは泳ぎが速いため、これだけの数がいると底まで餌が届かないことがあります。底付近を遊泳する魚を混泳させる場合は、餌が行き渡るよう工夫が必要です。
また、東京アクアガーデンでは実際、ストック水槽(60cm水槽)でこれ以上の数(100~200匹)を飼育しています。
ただ、それは上記のポイントをクリアしており、日々こまめにメンテナンスを行っているからこそ。あまり無理に詰め込むのはリスクが高いので止めましょう。
まとめ:熱帯魚をたくさん飼いたい!60cm水槽で何匹まで飼育できるか?を解説
たくさんの魚が水槽で泳ぐ姿は小さい水族館のようで美しく迫力があり、憧れる人も少なくないでしょう。
ただ、その光景を維持するためには水質に気を配ったり、給餌量や魚の相性を考慮したりと一筋縄ではいきません。そのような場合に、この記事を参考にしていただけたら幸いです。
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トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。