アクアリウムを長年続けていると、どうしても避けて通れないのが水槽の経年劣化。
ガラス水槽とアクリル水槽、どちらにしても使い続ければいずれは寿命が来てしまいます。
しかし、水槽の置き場所やメンテナンス方法に少しだけ気をつかったり、強度を高めるような加工を施すことで、寿命をグッと伸ばすことができるんです!
今回は水槽の劣化を遅らせ、長持ちさせるためのポイントを詳しく解説していきます。
水槽をいつまでも美しく保って、アクアリウムを長く楽しく続けましょう。
ガラス水槽を長持ちさせるポイント
まずはガラス水槽の劣化を遅らせ、長持ちさせるためのポイントをご紹介していきます。
シリコンを傷つけない!
ガラス水槽はそれぞれの面をシリコンでつなげているため、シリコンの劣化は水槽の寿命に直結します。
ガラス面自体はかなりの衝撃がないと滅多にひび割れたりはしませんが、シリコンが傷付くとそこから水が浸透し、水漏れや水槽のゆがみなどを引き起こしてしまうのです。
つまり、シリコンをいかに傷付けず管理するかが、ガラス水槽の寿命を伸ばすガギを握ります。
ガラス水槽の内側を掃除するときは、コケを取るためにスクレーパーを使う方が多いと思います。
実はこのスクレーパー、ガラス面をこするときはそこまで気を使わなくても大丈夫なのですが、シリコンをこするとすぐに傷が付いてしまうのです。
シリコン付近を掃除するときは必要以上の力を入れないよう注意したり、樹脂製のスクレーパーを使用するなどの対策をしましょう。
水槽マットは必ず敷く!
ガラス水槽に必要不可欠な水槽用マットも、水槽の寿命を伸ばす大きな役割を担います。
水槽用マットは地震などの際に水槽が水槽台から落下してしまうのを防ぐ目的がありますが、実はガラスのひび割れや水槽台の傷を防ぐのにも役立っているのです。
ガラスはその性質上、部分的な負荷に弱く、水槽と水槽台の間に小さな砂利が1粒でも挟まっているとひび割れの原因になってしまいます。
水槽台自体にゆがみや凹凸がある場合なども同じです。
ガラス水槽の予期せぬひび割れを防ぐ水槽マットは、水槽の寿命を伸ばすためのかなり重要な存在と言えます。
アクリル水槽を長持ちさせるポイント
続いて、アクリル水槽を長持ちさせるためのポイントをご紹介していきます。
日光に当てない!
アクリル水槽にとって、日光は大敵です。
太陽光に含まれる紫外線はアクリルを劣化させ、黄ばみや強度の低下を招きます。
水温の上昇やコケの大量発生など、飼育する生き物にとっても悪い影響が出てしまうので、部屋に水槽を置く際は直射日光の当たらない場所に配置しましょう。
掃除用具に気を付ける!
アクリルは傷が付きやすい性質をしているため、普通の食器洗いスポンジなどでこするとすぐ傷だらけになり透明度がかなり落ちてしまいます。
アクリル水槽を掃除する際は専用のクロスを使用するか、柔らかいメラミンスポンジがおすすめです。
あまりにも力を込めすぎると水槽が傷ついてしまいますので、必ず水の中で優しくこすりましょう。
経年劣化を遅らせる加工!
水槽の経年劣化を遅らせるための加工について、
- ガラス水槽・アクリル水槽共通できる加工
- ガラス水槽のみできる加工
- アクリル水槽のみできる加工
こちらの3種類に分けて解説していきます。
これからご紹介する加工方法はすべてオーダーメイド水槽のオプションで選択できるため、気になる方はお気軽にお問い合わせくださいね。
共通:板厚を厚くする
板厚とは水槽に使われる素材の厚みのことで、厚くなればなるほど接着面が強固になります。
市販されている水槽は大きさや水圧に応じて必要最低限の板厚で作られているのですが、やはりオーダーメイドで板厚を厚くした水槽を使用した方が長持ちし、買い替えの頻度が少なくなります。
特にアクリル水槽は水圧による湾曲が出やすいので、板厚を厚くして強度を増すことが、水槽のゆがみ・劣化の防止につながるのです。
共通:フランジを付ける
水漏れや生き物の飛び出しを防止するために付けるフランジ。
実は水圧による水槽のふくらみを軽減し、水槽の耐久性を高める効果がメインであるのをご存知でしたか?
主にアクリル水槽で施されることの多いフランジ加工ですが、もちろんガラス水槽にも加工できます。
大型水槽には水槽の四方に付けるフランジの他に、水槽前面から後面を横断するセンターフランジも付けることで、より強度を持たせることが可能です。
共通:専用の水槽台に乗せる
水槽は本体の重さに水の重さ、レイアウトで使う装飾品の重さが加わるので、かなりの総重量になります。その重さはなんと、60cm水槽で約70kg!
一般的なウッドラックやテレビ台などの耐荷重は30~40kgなので、水槽を乗せるとかなりの確率で壊れてしまいます。
一方、専用の水槽台であれば水槽の重さを上回る耐荷重で作られているのはもちろん、地震などの揺れにも強く設計されているため、より安全にアクアリウムを楽しむことができます。
意外と盲点ですが、水槽を長持ちさせるには水槽台の強度も重要になってくるのです。
ガラス水槽:シリコンを厚くする
こちらはガラス水槽のみで対応している加工ですが、ガラス水槽をオーダーメイドする際はシリコンの厚盛りが可能な場合があります。
先ほどもご説明したようにガラス水槽のシリコンは耐久性を左右するため、厚くすればその分強度は増していきます。
ガラス水槽におけるシリコンの重要性やシリコンの色による印象の違いについて解説した記事がありますので、是非読んでみてくださいね。
ガラス水槽:ワームプロテクトを付ける
ワームプロテクトとは文字通り、ワームの侵入を防ぐ加工のことを指します。
ワームとはサンゴやイソギンチャクに付着している小さな貝のことで、シリコンをかじってしまう厄介者。
ワームによるシリコンの劣化を防ぐために、シリコン部分に樹脂を貼り付ける加工を施します。
この加工によりワームの被害を100%防ぐというのは難しいのですが、シリコンそのものをカバーするため耐久性が増し、劣化を遅らせることができます。
アクリル水槽:重合接着にする
アクリル板を接着する方法には、重合接着というかなり強度の高い加工方法があります。
一般的なアクリル水槽は板の間に溶剤を流し込んで貼り合わせますが、重合接着では溶かしたアクリル剤を注入して硬化させます。
重合接着で作られた水槽であればフランジが不要な場合が多いので、フランジの無いアクリル水槽をお求めの場合は是非ご検討ください!
まとめ:水槽を長持ちさせる方法!ガラスとアクリル、経年劣化を遅らせるポイント
強度を高めるような加工を施すことで、水槽はかなり長持ちさせることができます。
しかし、いきなりオーダーメイドで加工をするのは敷居が高いと感じる方は、今回ご紹介した水槽の管理方法などを参考にして、日々のメンテナンスに少しだけ気をつかってみてくださいね。
ガラス水槽とアクリル水槽の価格やメリット・デメリットを比較した記事もありますので、こちらもご覧になっていただけたら嬉しいです。
トロピカライターの井上あゆみです。
金魚から熱帯魚・海水魚まで、全部で20種類程度のお魚を飼育してきました。
お気に入りはイエローヘッド・ジョーフィッシュ。怒ったような顔をしているのに、実はかなり臆病というなかなか憎めない海水魚です。アクアリウム初心者の方でも楽しく読めるような記事を書いていくので、よろしくお願い致します!