現在は、ベテランのアクアリストの方だとしても、最初から失敗しなかった人はいないと言っていいほど、アクアリウムは、間口が広く、奥の深い趣味です。
アクアリウム初心者であるがゆえに、冒してしまった失敗の数々…。きっと思い当たる節のある方も沢山いらっしゃることでしょう。
アクアリウムは水槽で生き物を飼う訳ですから、思いがけない失敗や、思い通りにいかないことなどは付き物の趣味だとも言えます。
今回は、「そんなつもりじゃなかったんです」という人が殆どかと思われる、アクアリウム初心者にありがちな失敗例を10個選んでみました。
アクアリウムの失敗例を動画でもチェック!
YouTubeチャンネル『アクアリウム大学』でもアクアリウムの失敗例10選を解説しています!トロピカとは違った対策・対処法もご紹介しているので是非チェックしてみてくださいね!
アクアリウム初心者にありがちな失敗例10選
1.餌を与え過ぎてしまったために水質が悪化する失敗例
可愛がっている生体に餌を与え過ぎてしまったために、水質が悪化したり、生体が消化不良を起こして弱ってしまう失敗の例です。
この、「水槽内の生体に餌を与え過ぎてしまう」という失敗例は、全国で最も多く、老若男女を問わず、アクアリウム初心者であれば、起こしてしまいやすい失敗の一つだと言えます。
「ついつい、可愛がり過ぎて。」「餌を欲しがる姿が可愛すぎて。」「つい、手元が狂って。」…
このような失敗の後には、生体が食べきれなかった餌が水中を漂い、底砂を埋め尽くすことになります。放置しておくと、カビが生えたり、コケの原因になったりしますので、餌をあげすぎた場合は、速やかに取り除くようにしましょう。
通常の餌の量の目安としては、魚が2~3分で食べきれる量と言われていますが、この「2~3分」という量を把握するまでに起きやすい失敗例が、「餌の与え過ぎ」です。
2.掃除の際に、水槽やフィルターを綺麗にし過ぎる失敗例
水槽の水質を保つために、こまめに掃除を行うことは、水槽メンテナンス的には、大変素晴らしい管理方法だと言えます。
しかし、生真面目なアクアリウム初心者の方や、やや綺麗好きの傾向のあるアクアリウム初心者の方などが起こしてしまいやすい失敗が、「水槽を綺麗に掃除しすぎてしまう」ことです。
水道水でろ過材を洗うとバクテリアが全滅する場合も!
見た目も水も綺麗な水槽は好ましいものですが、生体にとっては「綺麗すぎる水」は、大きなストレスとなりやすく、水合わせをしたとしても、水換えのショックで死んでしまう生体もいる程です。
特に多いのが、ろ過材や底砂の掃除をし過ぎてしまう失敗例です。ろ過材や底砂に住み着いた、生物ろ過を促すバクテリアを洗い流しすぎてしまうと、必然的にバクテリアの量が減り、水換え後の水質環境が悪化しやすくなります。
また、水道水や熱湯でろ過材を洗うと、中に住み着いていたバクテリアが死滅してしまいます。
ろ過材を洗う場合は、バケツに入れた飼育水の中で、軽くゆすぐ程度で行い、綺麗にし過ぎないことが、生体への、水質ショックの予防になります。
また、洗剤を用いて水槽や底砂、器具を洗うことも避けるようにしましょう!
3.素手で生体を触ってしまう失敗例
小学生などのキッズ・アクアリウム初心者の方や、生体が初めて水槽の外に飛び出してしまったアクアリウム初心者の方が起こしやすい失敗例が「生体を素手で触ってしまう」ことです。
生体を素手で触ってしまうと、人間の手の熱で生体が火傷をしたり、粘膜が傷つく原因になります。
水槽で飼育できる生体等、主に魚は変温動物として知られています。
比較的熱に強い種類の魚もいますが、熱帯魚、金魚を問わず、基本的に素手で生体を触らないようにすることが大切です。
生体が水槽の外に飛び出した場合などは緊急を要するので、慌てるかもしれませんが、お手元に水槽用の網などがあれば、一度水槽の水につけてから、素手で魚を触らないように、網に入れて水槽に戻してあげる方法もあります。
また、飼い主に頭をなでてほしがるシクリッドのような例外もありますが、なるべくは、水槽内に手を入れて、生体を直接触るような行為は避け、ゴム手袋などをはめてお世話するようにしてください。素手で魚を触ると、魚が弱る原因になります。
4.水槽の立ち上げと生体の飼育を同時に行ってしまう失敗例
特に、「今すぐ生体を飼いたくて仕方ない」という熱意溢れるアクアリウム初心者の方が起こしやすい失敗例が、水槽と一緒にパイロットフィッシュ向けではない生体を購入してしまう例です。
立ち上げて間もない、有機バクテリアの繁殖していない水槽内の環境は、生体にとっては過酷な場合が多く、折角飼い始めても、弱って死んでしまう個体もいます。
水槽を立ち上げてすぐに生体を飼う場合は、丈夫な魚を選ぼう!
淡水の熱帯魚水槽ではラスボラやアカヒレ、金魚水槽では小赤などがパイロットフィッシュとしてはオススメです。
水槽の立ち上げと、生体の飼育を同時に始める際は、ショップの飼育水を捨てず、新しいカルキ抜きした水に混ぜてあげると、生体の生存率があがります。この場合も、水合わせをしっかり行うようにしてくださいね。
5.水槽の水量に合わない、大量の生体を飼育してしまう失敗例
水槽の水量に適応できる数以上の生体をたくさん飼育すると、水槽内に汚れが貯まりやすく、コケが大量に発生したり、生物ろ過が追いつかず、生体が病気にかかってしまうなどの失敗例です。
主に、「色々な種類の魚を飼ってみたい」という、知的好奇心の強いアクアリウム初心者の方に多い失敗例です。派生型の失敗としては、「飼い合わせの悪い種類の生体」を購入してしまい、水槽内で生体同士の喧嘩が起こってしまう例などがあげられます。
6.水換えを怠ってしまう失敗例
水槽で生体を飼育し続けていると、バクテリアによって分解されたフンや餌の食べ残しの成分が、有害物質となって、貯まっていきます。目に見えない病原菌なども増えている場合もあります。
この水換えの重要性を知りつつも、忙しさに追われて水槽の水換えを行わなかったりすると、生体に悪影響が出てきます。
カリムナス菌やエロモナス菌などに生体が侵されたり、コケが大繁殖したり、水質の悪化によって、生体の数が減ってしまうこともあります。
日々が多忙なアクアリウム初心者の方や、多少の汚れは気にならないアクアリウム初心者の方が起こしやすい失敗例です。
水槽のサイズや生体の数に合わせて、定期的な水換えを行うようにしましょう。
7.薬浴用の薬を入れすぎてしまう失敗例
水槽で飼える魚がかかりやすい病気には、白点病、尾ぐされ病、穴あき病など、たくさんの種類の病気があります。
飼育している魚が病気になったとき、ほとんどの飼い主さんが水槽に薬を入れて治療すると思います。この際に、適正な薬液の量よりも薬を多く入れすぎると、逆効果になります。
あまりに多すぎる薬の量は、魚を弱らせます。
魚の病気を治療してあげようと薬を入れたものの、すぐには症状が改善しないことがあります。心配で薬を追加しすぎてしまうと、元々病気で弱っている魚に更に負担が掛かります。
薬液を入れすぎてしまうという失敗は、心配性で優しいアクアリウム初心者の方に多い例です。
薬液用の薬は、目分量ではなく、しっかりと容量を確認してから入れてあげましょう。また、薬の使用方法を理解した上で、水槽に添加してくださいね。
8.水の量が減っても足し水をしなかったためにヒーターが壊れた失敗例
「水槽の水を足すのを忘れていたら、ヒーターが壊れた」という失敗の事例です。これは、うっかり屋さんのアクアリウム初心者の方に多い失敗例です。
水槽の水の量というものは、徐々に蒸発して減っていきます。特に冬場など、サーモスタッド一体型のヒーターを使用している水槽では、水の量の減りが早くなります。
ここで、水槽の水が減ってきたら、足し水をして、水かさを戻してあげるという作業が必要になってきます。この足し水の作業を怠ると、水草が水面に出て枯れてしまったり、器具の故障の原因になる場合があります。特に多いのが、水槽内のヒーターの故障です。
特に初心者向けの小型水槽などでは、足し水をしなかったことで、縦置きにしていたヒーターが空気に触れて故障する例が多く報告されています。
足し水をしなかったことがヒーターの故障の原因になる
水槽用のヒーターには、通常、「空焚き防止機能」というものが付けられています。もしも、水位が下がりすぎてヒーターが空気に触れたり、地震などでヒーターが外に飛び出した場合に、すぐにヒューズが働き、そのあとは一切通電しない仕様に切り替わります。
これが何を意味するかというと、今後一切、同じヒーターを使うことが出来なくなるということで、ヒーターの故障を意味します。ヒーターが故障すると、その都度買い替えなくてはいけなくなります。
また、水槽用のヒーターにおける、SH規格の上限400℃以下は、ギリギリ紙が燃えない温度であり、カバーが付属品として付いてくる場合は、ヒーターカバーを装着している際の温度とされています。
そういう事情ですので、なるべくヒーターは、空気に触れない方がよいのです。
初心者向けのおススメのヒーターとは?
上記のような事例を踏まえて、最近では、ヒーターが空気に触れた際の、温度操作が二段階に設定されている種類の水槽用ヒーターが販売されています。
- ヒーターが空気に触れると、安全な表面温度にコントロールし、水中に戻すと復帰する。
- 温度センサーが故障すると、ヒューズが働き、通電を遮断する。(再復帰無し)
- ヒーターの縦置きが可能。
気づいた時でいいので、水槽の水が減っていたら、足し水をしましょう。足し水は、生体にも、機材にも優しい管理方法です。
9.ボトルアクアリウムの瓶を窓際に置いてしまう失敗例
小型水槽や大型水槽を窓際に置いた場合、日光によってコケが繁殖しやすいという話はよく聞きます。しかし、容積の小さいボトル型の水槽を窓際に置いた場合は、また別の症状が起きます。
直射日光が当たる場所にボトルタイプの水槽を置くと、ボトルアクアリウム内の水温が急激に上昇し、魚が弱る原因になります。これは、小さい水槽ほど、水温の変動が激しいためです。
特に、自分のお小遣いで初めてコッピー飼育を始めたような、学生さんや新社会人のアクアリウム初心者の方に多い失敗例です。初めてのアクアリウム飼育でこのような事態が起こった場合は、「悲しくてしばらく何も飼えない」というペットロスの症状に陥ることがあります。
如何にインテリア性に優れたボトルアクアリウム水槽だとしても、くれぐれも、直射日光の当たる場所に水槽を置かないようにしてください。特に小型の水槽になるほど、置き場所には注意しましょう。
10.二酸化炭素を添加しすぎてしまう失敗例
水草の育成用に添加される二酸化炭素ですが、多すぎる添加は、生体にも水質にも影響を及ぼします。ついつい、早く水草を成長させたくて、必要量以上の二酸化炭素を添加してしまうことがあります。
二酸化炭素を添加しすぎると起こる症状
- 水槽内にコケが発生する
- 生体が酸素不足に陥る
大まかに分類すると、この二種類の症状に悩まされることになりますが、二酸化炭素の添加による生体の酸素不足には、エアレーションを強めて対応することができます。それでも生体の様子がおかしい場合は、水に溶け込んだ二酸化炭素を排出するために、水を換える必要があります。コケの予防にも、水換えは最善の方法です。
この、「水草育成のために、二酸化炭素を添加しすぎる」という失敗は、ガーデニングや自然が好きなアクアリウム初心者の方に多い失敗例です。
アクアリウム初心者にありがちな失敗例10選
まとめ
千里の道も一歩からと申しますように、誰しもが最初は初心者であり、失敗と成功を繰り返して成長していきます。
私自身も、水槽を綺麗にし過ぎてしまったり、餌をあげすぎてしまったりという経験が初期に多く、懐かしい反面、ほろ苦い思い出になっているものあります。
失敗したら、同じ失敗は繰り返さないという工夫が必要なのかもしれません。また、何事においても、失敗をバネにして、成功へ導くという努力も必要だと思います。
今回は少し耳の痛いお話が多かったのですが、これからアクアリウムを始められる方のご参考になれれば幸いです!
どうぞ素敵なアクアリウムライフをお送りください。
水槽のプロが所属するサイト運営チームです。
淡水魚・海水魚・水槽設備やレイアウトのことまで、アクアリウムに関する情報を発信していきます!
グッピーメダカを30x20x30の水槽で飼育してますが、春頃までは子どもが(卵胎生)産まれて、親子To.20匹位居ましたが 今では5匹まで減ってしまいました(ToT)水槽の底にはソイル〈黒〉をペットボトルを半分に縦に切って中に敷いて、水草も植えてます。死んでしまった原因が分かりません。アドバイスおねがいしますm(__)m
コメントありがとうございます。
20匹飼育するには水槽が少し小さかったかもしれません。その匹数ですと、45cm~60cmぐらいの水槽をおすすめしています。
また、稚魚は餌をこまめに与えなければならないので、はじめはちょっと難しいです。
稚魚には一日3回以上、パウダー状のエサを与えてみてください。よろしくお願いします!